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■5857 / inTopicNo.1)  305号室
  
□投稿者/ ハル 一般人(1回)-(2009/05/16(Sat) 07:11:49)



    生まれて初めてラブホテルと言うものに入った。

    部屋に入りはしゃぐ私を優しく見守るように見つめるこの人は彼女ではない。





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■5858 / inTopicNo.2)  
□投稿者/ ハル 一般人(2回)-(2009/05/16(Sat) 07:13:46)


    セックスフレンドなんて自分には縁のない言葉だと思っていた。大学に入学してからすぐ付き合いはじめて2年たつ彼女もいる。今まで浮気をした経験もなければそう言った発想すらなかった。


    それが今、彼女ではない女の人とラブホに入りパステルカラーで統一された可愛いらしい部屋のこれまた可愛いらしいソファーに座りシャワーの音を聞いている。

    お風呂が広いから一緒に入ろうという誘いを丁重に断り、近くのコンビニで仕入れた缶酎ハイをチビチビと飲んではいるが正直味などしなかった。
    先に一人で入らせてもらった風呂場は確かに広かった。2人どころか4人は余裕だ。



    今から始まるであろう行為を想像すると、緊張のあまりこのまま心臓が止まってしまうか口から出て行ってしまうかの二択しかないような気さえする。
    さっきまで無邪気にはしゃいでいた自分は遠く彼方に行ってしまったようだ。


    シャワーが止まり緊張がピークに達する。
    多分、初めてユリさんと待ち合わせをした日と同じ位の緊張感だ。

    ここまで来て逃げたら負けだ。誰と勝負しているのかはわからないが備え付けのフワフワとしたガウンを正し気合いを入れた。



    ユリさんは3つ年上で背が5センチ高くて可愛くて優しい、今から私のセフレになる人だ。




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■5881 / inTopicNo.3)  
□投稿者/ ハル 一般人(3回)-(2009/05/19(Tue) 07:32:41)
    ベッドに潜り込む辺りになると緊張は随分と和らいでいた。
    ソファに並び一時間近く飲んでいたせいだろう。アルコール度数の低い酎ハイばかりだったが自分にはそれで十分だった。

    体をかたくし明らかに無口になった自分を気遣ってか、ユリさんは隣に座り緊張がとけるまでお喋りに付き合ってくれた。

    本当に優しい人なのだ。

    会うのはこれで3回目だが毎回ユリさんの優しさに助けられている。3つしか変わらないのにすごく大人で自分がひどく幼く感じる。


    「ヒロちゃんはどっちがいい?」


    偽名でもよかったが呼ばれ慣れているヒロを名乗ったのは別の名前に反応できる自信がなかったからだ。


    「ユリさんは?」


    ニコニコと返答を待つユリさんに訪ね返す。抱きたいです、抱かれたいですなんて言葉は口に出来なかった。


    「じゃあ…」


    しばらくの沈黙。恥ずかしさに目をそらす。
    自分より飲むペースがはやかったユリさんも顔には出ていないが少し酔っているようだった。


    「交代でしよっか。」


    まるでゲームでもするかのようにユリさんは明るく言った。
    そして私の返答を待たずに、はいと言いかけた唇をふさいだ。


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■5902 / inTopicNo.4)  
□投稿者/ ハル 一般人(4回)-(2009/05/24(Sun) 07:06:37)
    出会い系のサイトに手を出したのは単純に欲求不満だったからとか彼女と詰まらないことで喧嘩をした直後だったからとか色々と言い訳はできる。


    ただ、どんな言葉を並べてみても自分の感情を正しく表現することが出来ないでいた。


    時折襲ってくるどうしようもない虚しさや苦しさ、原因はわかってる。

    コンプレックスなんて言うと大袈裟かもしれないが私にとっては大きな悩みだ。



    贔屓目で見ずともかわいい彼女がいて、現に彼女は異性にとてもモテる。
    人に言わせれば中性的で整った顔ともう少し背が高ければ男にしか見えないと評判のこの体も気に入ってはいるのだ。現に同性にはよくモテる。

    服装も自分に似合うものを着るとなるとどうしてもユニセックスなものになってしまうが不満があるわけではない。




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■5903 / inTopicNo.5)  
□投稿者/ ハル 一般人(5回)-(2009/05/24(Sun) 07:07:13)
    どこもかしこも柔らかい彼女の体を撫で、大きな胸に口付ける。

    突起を口に含むと高く可愛く鳴いた。

    鎖骨にかかる長い髪をずらし唇を落とし首筋へのぼる。

    耳を舐めながらハスキーでカッコいいと誉められる彼女のお気に入りの声でささやく。


    いい?


    と茂みを撫でればまた甘い声があがる。それを了承とみなし体を下げれば恥ずかしそうに足を閉じ軽い抵抗をした。

    少し強引にとても優しく敏感な部分をなで上げる。

    腰を揺らす彼女の太ももを触りながらゆっくりと舐めはじめた。




    一方的に奉仕し、彼女が絶頂を迎え情事は終わる。



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■5904 / inTopicNo.6)  
□投稿者/ ハル 一般人(6回)-(2009/05/24(Sun) 07:07:50)
    ブラジャーが要らないんじゃないかとからかわれる薄い胸。柔らかさのない痩せて骨ばった体。




    彼女に抱かれるのに抵抗がある訳ではないがどうにも申し訳ないような恥ずかしいような気がして何度か断るうちにセックスは一方的な奉仕のみとなった。
    精神的な気持ちよさは存分にあるものの、肉体的快楽は無い。徐々に溜まる欲求を発散出来ずにいたのは事実だ。


    だからと言って今更彼女に自分も抱いて欲しいだなんてとても言えやしない。いや彼女だからこそ言えないのは役割期待というべきか。
    甘え上手な彼女をリードをするうち男役、女役という明確な役割分担が出来上がっていた。不満があるわけではないが時々疲れてしまうのは自分の能力以上の事をしているからではないかと思っている。



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■5921 / inTopicNo.7)  感想
□投稿者/ 海猫 一般人(1回)-(2009/05/27(Wed) 23:37:17)
    とても、好きなストーリーです☆
    続き楽しみにしてますので、お暇なときに続きお願いします><
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■5925 / inTopicNo.8)  
□投稿者/ ハル 一般人(7回)-(2009/05/29(Fri) 06:36:31)
    初めは誰かに相談したいだけだった。


    女の子と付き合っていることを知っている友達は何人かいるし、恋愛の話もできる。ただ、自分のコンプレックスや悩みすべてを話すのはどうにも照れくさいと言うか恥ずかしかった。


    出会い系の掲示板を利用したのはそう言った事情からだ。会ったこともない人になら自分の悩みをすべて言える気がした。


    ユリさんとメールを始めて2週間。1日1、2通程のやり取りだったが途切れる事はなかった。
    内容はくだらない話ばかりだった。笑いのツボとノリが合って、メールをするのが楽しかった。

    その頃にはユリさんとのやり取りは日常に欠かせないものになっていた。


    メールを始めて1ヶ月が過ぎたころ、彼女と大喧嘩をした。きっかけは些細な事だったと思う。
    大学で顔を合わせても口を聞かないという状況が続き参っていた時。ユリさんから直接会ってみないかと持ちかけられた。

    メールや電話のやり取りの中で割と近くに住んでいる事は知っていたし、自分もユリさんに会ってみたいとすぐ了承した。




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■5926 / inTopicNo.9)  
□投稿者/ ハル 一般人(8回)-(2009/05/29(Fri) 06:37:20)
    メールや電話だけじゃなく普通の友達のようになりたかったのかもしれない。


    初めてユリさんと会った時。

    大人で優しくて面白くて、なんてイメージ通りの人なんだろうと思った。


    喧嘩ばかりではあったが彼女の事は好きだ。


    だから、ユリさんから誘われた時迷った。すぐに断ろうとしなかったのは好奇心。
    後ろめたさはあった。ただ、悪いと思う気持ちより好奇心を優先した私だ。


    何度かそう言った類の誘いを受けたことはある。
    彼女が居なければそれを受け入れてきた。好いてくれる事を有り難いと思ったし、礼儀だと思っている。

    一夜限りの事でも、男の変わりでも問題ない。

    彼女が居れば、誘いを受けないよう気をつけてきた。
    応えることはできないから。それも礼儀だと思っている。




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■5927 / inTopicNo.10)  
□投稿者/ ハル 一般人(9回)-(2009/05/29(Fri) 06:38:26)
    電話で初めて話した時、声を誉められた。

    2度目に会った日、酔いに任せて彼女と喧嘩ばかりになっている事、自分が何かにつけて男役を期待される事がきついと話した。深刻になっていた訳じゃない。
    少し誰かに聞いて貰いたかっただけだ。

    冗談ばかり言っていたユリさんが


    「私で良ければ体で慰めるよ。」


    なんて茶化すように言っても私は


    「ユリさんならだーい歓迎です。慰めてください。」


    なんて冗談にできた。

    3度目に会った日、元々オールで遊ぶ予定だった。何をしようかと駅前の柱にもたれ掛かり話していた時。


    「いいよね、その声。」

    歌声も聞いてみたいなぁと言われ困った。カラオケが嫌いと言うわけではないが初めて行く人の前では緊張してしまう。
    曖昧に濁していると耳元で


    「えっちな声でもいいよ。」


    2択ね。と楽しそうに笑うユリさんとの距離はとても近くて


    「後者を選ぶとどうなるんですか」


    なんて言葉遊びをしようとした私の耳に口付けたユリさんは楽しそうにその言葉遊びにのってきた。


    ユリさんは可愛くて大人で優しくて面白くて。
    私はラブホテルなんて入った事がなくて。
    好奇心がつよかった。





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■5928 / inTopicNo.11)  
□投稿者/ ハル 一般人(10回)-(2009/05/29(Fri) 06:39:13)
    久しぶりの肉体的な快楽は心地よかった。焦らすような丁寧な前戯でお望みのえっちな声も存分に聞かせられただろう。

    相変わらずユリさんは笑っていた。恥ずかしがる私の頭を撫でてニヤニヤと厭らしい言葉を言う。
    いつもの冗談のように。

    それに応えるように軽口をたたきながらも躰は熱を帯び、確実に上り詰めていく。
    まるで遊んでいるようなセックスだ。


    罪悪感はあった。それでも遊びの延長のような行為にそれは段々と薄れていった。


    「今度は歌声も聞かせて欲しいな。」


    ぐったりと横たわる私の髪を撫でながらユリさんはタバコの煙を吐き出す。細く吐き出されたそれは他の煙を巻き込みながら天井に届く前に消えていく。


    ひろちゃーん聞いてると言う呼び掛けには答えず。代わりに口付けをねだった。



    私達はセックスフレンドになった。正確にはセックスもする友達。

    まぁ、いいかと欲望に正直に生きる決意をした私は思う。
    この遊びはとても魅力的だった。




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■5929 / inTopicNo.12)  海猫さん
□投稿者/ ハル 一般人(11回)-(2009/05/29(Fri) 06:56:36)
    ありがとうございます。


    好きだと言ってもらえてとても嬉しいです。


    拙い文章ですが、完結までがんばりたいと思います。


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■5942 / inTopicNo.13)  10
□投稿者/ ハル 一般人(12回)-(2009/05/31(Sun) 23:42:38)
    大学構内は独特の空気を持っていて、それが好きだ。世界と切り離されたような、まったりとした雰囲気は居心地が良い。


    午後一番の授業で眠気と闘っていると携帯がメールの着信を伝えるため振動した。


    ユリさんからだ。


    ニヤけそうになる頬を手で隠しながら携帯を開く。
    内容は土日のお泊まりの事についてだった。


    彼女とは仲直りすることが出来てそれなりに幸せな毎日だ。学科が同じでもお互いにバイトやサークルが違えばいつもべったりと言う訳にはいかない。週に何度か泊まって行くこともあれば、学校で顔を合わせるのみになる時もある。

    最近、彼女はサークルの飲み会とバイトで忙しい。


    今まで寂しがったり、会いたがるのは向こうからだったからそれが少し寂しかった。


    その反面、楽でもあった。




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■5947 / inTopicNo.14)  11
□投稿者/ ハル 一般人(13回)-(2009/06/01(Mon) 14:45:02)
    「ユリさんって、料理するんだ。」


    「ちょくちょく失礼なこと言うよね、ヒロは。」

    半信半疑を隠そうともせず素直な感想を口に出した私の横腹をつつきながら憮然とした顔で不満を漏らした。慌てて謝ろうとするが脇腹をくすぐられて言葉がうまく繋がらない。

    暫しのじゃれ合いが一段落すると、息を整えるのに忙しい私を放ってユリさんは裸のままベッドを抜け出し飲み物を手にして戻ってきた。


    「今度、手料理作ったる。泊まりで家おいでよ。」


    ニヤっと笑いながら差し出された飲み物を有り難く受け取った。


    アレから、初めてベッドを共にした日からひと月半。関係は続いていた。

    ラブホテルではしゃぐ自分を面白く思ったのか、ユリさんは毎週のように色々なホテルへと連れて行ってくれた。ゲームだけをして朝を迎える事もあればゲームのように抱き合う事もある。

    部屋代は全てユリさんが払ってくれていた。こちらが半分出そうとしてものらりくらりとかわされてしまうので困る。
    学生の身分としては有り難いのだが、こう毎回だと申し訳ない。

    家に来ないかと言う申し出は正直有り難かった。



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■5964 / inTopicNo.15)  12
□投稿者/ ハル 一般人(14回)-(2009/06/04(Thu) 21:30:34)
    ジリジリと照らす太陽を睨みつける。焼かれたアスファルトが陽炎をつくっていた。

    まだ5月だってのにおかしいだろ。

    去年もこんなもんだったっけと考えてみてもよく思い出せない。ニュースで聞いた夏日と言う言葉はうまい言葉だと思った。


    土曜の午後。自分の家から電車で30分。そんなに離れていない筈なのに線路が少し遠回りの為時間がかかるし、乗り換えが一度有る。
    乗り換えがどうにも苦手な私は暖かいから気持ちいいだろうと愛車のリトルカブで家を出た。
    オレンジ色の車体に一目惚れして大学入学を期に乗り換えた。


    メットを取り、汗で蒸れた髪をかきあげる。
    早めに家を出て、寄り道しながら行こうと思っていたが予想外の暑さに参って予定よりも早く目的の駅前に着いてしまっていた。


    近くにあるコンビニの駐輪場で軽く体を伸ばし、携帯を取り出した。
    あと15分。




    (携帯)
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■5965 / inTopicNo.16)  Re[1]: 305号室
□投稿者/ 美都 一般人(1回)-(2009/06/05(Fri) 01:17:37)
    面白いです^^
    続き楽しみにしています。
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