| 「・・・・・・の、梨乃!!!!!」
美空の少し焦った声で目が覚めた。 うっすらと目を開けると、心配そうに馬乗りになっている美空がいた。 腹部が苦しいが、美空のその気遣いが嬉しい。
「もう、心配したんだから!帰ってきてみれば、梨乃はボーっとしてるしっ! 廊下では何故か美夜が泣いてて、由貴も落ち込んでるし・・・・・・しまいには梨乃がふらっと倒れて、何なのかと思うでしょ!?」
「ご、ごめん・・・・」
滅多に無いことに、美空が怒ったかのように涙目であたしにまくしたてる。 それほど心配していた証に、額には冷たい濡れているタオルが置いてあった。 近くに机の椅子が持って来てあって、どうやら座って見ていてくれたらしかった。
そう、あたしはショックによって、貧血を起こして気絶したのだ。 これほどダサい話はないだろう。たかが、涼の事でーーーー
涼。その言葉と顔を思い浮かべてしまって、ずきりと胸が痛んだ。 あの話は本当だろうかと、『また』ぐるぐると考え込んでしまう。 ・・・・そう、あたしは昔から1人で何でも考え込んでしまう癖がある。
「ねえ、悪いけど水をちょうだい?」
「ああ、ここに用意してあるの。さっき冷蔵庫から取って来たから冷たいはずだよ」
美空からボトルを受け取り、水をごくん、と3口くらい飲んだ。
それからも心配する美空をどうにか静まらせ、シャワーを浴びてまた眠った。
|