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■6153 / inTopicNo.1)  夏のハジマリ。
  
□投稿者/ 蒼 一般人(1回)-(2009/11/18(Wed) 20:34:23)
    ――その日も、雨が降っていた。

    7月ももう下旬だというのに1週間以上、すっきりと晴れない日が続いていた。
    「あーっもう!いい加減に晴れてくれよ!」
    大学から少し離れた、大きな公園の脇に立つマンション。
    そのエントランスの前で、長身の女の子がたたんだ傘をぶんぶん振りながら叫んでいた。

    彼女は佐久間 空。
    名は体を表す、とはよく言ったもの。
    「天気のいい日にはほとんどいつも外にいる」と知人からからかわれるくらい青空と戸外を好んでいる。
    そして、中途半端な天気の日が続くと、天然パーマのショートヘアに変なクセがつくこともあり、分かりやすく機嫌が悪くなる。
    まあつまり、気分屋だ。

    マンションのエントランスに敷かれている泥除けにスニーカーをこすりつけ、郵便受けの部屋番号をちらりと確認した。
    「えーっと、306?だっけ」
    たどたどしく、オートロックの操作盤の数字キーを押し「呼び出し」を押してしばらく待つ。
    「はい?」とすぐに声が聞こえた。
    「空です」と短く答えると、すぐに目の前の自動ドアが開いた。
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■6154 / inTopicNo.2)  夏のハジマリ。2
□投稿者/ 蒼 一般人(2回)-(2009/11/18(Wed) 20:49:44)
    エレベーターで3階まで上がり、目当ての部屋のインターホンを押した。
    「開いてるよ!入って」と中から声がきこえ、そのまま空はドアを引いた。
    「おじゃましまーす……」とためらいがちに入ると、この部屋の住人は奥に。
    「あ、ごめん鍵かけといてねー」彼女は玄関のほうも見ずにそう言った。

    部屋の住人、加藤 百香が部屋のクロゼットの前で何やら悪戦苦闘していた。
    「ごめんごめん、今日って忘れててさー。今出してたんだ」
    「モモさん…一昨日に念押ししておいたじゃないですか」
    「だーかーら、ごめんって」
    「手伝いますよ」

    空が手を貸してどうにか引っ張り出したのは、段ボール箱。
    あけると、中にはきっちり整理されて詰められたルーズリーフとクリアファイルが入っていた。

    「多分、一昨日言ってた科目は全部入ってるはずだから、適当に探してね」
    「え?モモさん一緒に探してくれるんじゃないんですか?」
    「あたしこれからシャワー浴びるの。集合までもうあまり時間ないから」
    「まぁ、そうですけど……」
    「見つからなかったら、あきらめてね」
    「えぇーーっ」

    不平を言う空に笑顔で答えて、百香はバスルームに消えた。
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■6155 / inTopicNo.3)   夏のハジマリ。3
□投稿者/ 蒼 一般人(3回)-(2009/11/18(Wed) 21:09:25)
    7月下旬の大学生はにわかに慌ただしくなる。

    夏休みのバイトや帰省という前に、前期試験をいう壁が立ちふさがるからだ。
    4月に大学生になったばかりの空は、それなりに真面目に講義を受講している方ではあるが、試験の対策をしておくに越したことはない。

    そこで所属しているサークルの先輩達に聞いてみると、ひとつ上の百香が
    「去年のノートも試験問題もあるよ?貸そうか?」と言ってくれた。
    百香と空は学部が同じということもあり、取っていた講義がだいぶ一致していた。

    そのため、空は百香の提案をありがたく了承して、今、百香のマンションにいる。


    「しかし…」と空は小さくつぶやいた。

    目線は自分の時間割と、その横に置かれた去年の百香の時間割。
    百香は大雑把そうに見えて意外にしっかりしているらしく、
    ノートもレジュメもきっちり分類されていて、目当てのものは全ていくらも経たずに見つけれそうだった。

    なので、空が眉間にシワがよりそうな表情をしているのはそのことが理由ではない。

    「いっくら女同士だからって…誰かいるのに気にしないでシャワー浴びれるもんなのかな?」
    部屋の反対側から聞こえてくる、シャワーの音が気になっていたのだ。
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■6156 / inTopicNo.4)   夏のハジマリ。4
□投稿者/ 蒼 一般人(4回)-(2009/11/18(Wed) 21:24:14)
    「はぁー、さっぱりー」
    がたん、と風呂の扉が開いた音が聞こえて、蒸気が部屋に流れ込んできたのか、シャンプーの香りがした。
    少しして、頬を上気させた百香が部屋に戻ってきた。

    バスタオル一枚という格好で。


    そのまま壁際のベッドに腰を下ろす。

    「ちょっっ!センパイ…、ちゃんと服着てくださいよ!」
    「えー、空、女子高出身なんだから、このくらい平気でしょ」
    「バスタオル一枚はないですよー」
    「ちゃんと、ぱんつは履いてるよ?」
    ―そういう問題じゃない、と空は言いかけてやめた。

    百香には、案外真面目なところのある空をからかって遊ぶことがよくあった。
    相手しすぎるからかな、と空は思ったのだ。

    「あ、そうだ。箱の下のほうにさー、あたしがコピーしたりした過去問もあるよ?」
    「えっそれ早く言って下さいって」
    空は大体探し終わったかと思い、箱の中にキレイに戻そうとしていたところだった。

    「ゆっくりでいいよー。あ、ちょっとドライヤーかけるからうるさいかも」
    そう言って、ベッドの頭のほうに置いてあったメイク箱に手を伸ばした。
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■6157 / inTopicNo.5)  夏のハジマリ。5
□投稿者/ 蒼 一般人(5回)-(2009/11/18(Wed) 21:41:09)
    ゴオゴオと音量と風を出しているドライヤー。
    ベッドの上でメイク箱の鏡を一心不乱に見ている百香を、空はちらっと盗み見た。
    普段は服で隠れている二の腕と、鎖骨の下の部分、そして太腿が妙に白くて柔らかそうに見える。
    タオルの下に隠されている胸のふくらみも、普段服を着ている時よりおおきく見え、手が動くたびに今にもバスタオルから飛び出してしまいそうに思えた。

    (―こういうのってなんて言うんだっけ?)

    百香から目線を外して少し考えて思いついたが、口には出さなかった。

    (―着やせする、って褒め言葉かどうか微妙なところだよなぁ)


    ドライヤーの音が止まり、百香は今度はメイクをしている。
    あらかた探し終わった空は、箱の中にもう一度元通りに詰めなおしながら、ひそかにつぶやいていた。

    ―女子高出身だから、むしろヤバイとは思わないのかな?

    はぁー、とひとつ溜息をついた。
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■6158 / inTopicNo.6)  夏のハジマリ。6
□投稿者/ 蒼 一般人(6回)-(2009/11/18(Wed) 22:30:00)
    初めての夏休み、大学生の特権ともいえる長い休暇を、空はいれるだけ帰省してバイトはもしするなら地元でする予定だった。


    しかし、6月の終わりの夜、雨の日が続いてうんざりしていた空に電話がかかってきた。
    「もしもし、空?」
    相手は、高校の時同じクラスだった、千尋。
    高3の時から付き合っていて、一緒に受験を乗り切った仲だ。
    千尋は地元の大学に進んで、4月から遠距離になっていた。

    「空に……大事な話が、…あるの」
    その時の千尋の口調と声で、空はいい話ではないと直感した。
    だから先手を打って「別れ話?」と聞くと、電話の向こうで千尋が泣きだした。

    まぁ仕方がないか、と溜息をついた。そして
    「離れたから、そうなっちゃうのも仕方ないか、って思う。
     でも聞かせて?他に好きな人ができたの?」と聞いた。
    すると不意に、千尋の泣き声が電話から遠ざかり、
    「空?久しぶり」と違う声が聞こえた

    空は一瞬ですべてを悟った。

    電話の声は、空と千尋の、親友だった人間の声だから。

    「唯花、久しぶりだね?
     ………千尋とはもうヤったの?」
    「GW以来かな。相変わらずだねー」と後半部分が聞こえてないかのように軽く返した唯花は、さらりと、

    「千尋って感じてる時、すごくいい声で鳴くんだねー。あ、勘違いしちゃだめだよ?
     千尋が誘ったりしたわけじゃなくて、私が空のこと相談してきた千尋を襲っちゃったの。
     でもね、そういうふうに強引にされるほうが好きみたいだよ、千尋って。
     あ、今からこっちで実践してみようか?」

    え、ちょっと、やだっ、と後ろで千尋の声。

    「やめときなよ」無意識に声が冷えていた。
    「冗談だよー。
     でもね、空、私が秘かにずーっと千尋のこと好きで好きでどうしようもなかった、って、
     知ってて千尋と付き合い始めたよね?」
    「……」
    何も、答えずに電話を切った。

    唯花のいう通り、空は唯花の千尋への想いに気が付いていた。
    それでも千尋が自分への好意を示してくれたときにそれを拒むことはなかった。
    自分も千尋のことを想っていたから……。




    「空は、夏休みどうするの?帰省?」
    ドライヤーを使っていた時から黙っていた百香が、不意に空に声をかけた。

    いつの間にかぼんやりしていたようだと、空は我に返った。
    気づくと箱から出したものは大半が片付け終わっていた。
    「あー、…いや、まだはっきりとは決めてなくて」
    「…ふーん?そっかぁ」
    百香はそれ以上聞かずに「あ、麦茶あるけど飲む?」と空の返事も聞かずに台所に向かっていた。

    空は心のなかでこう答えていた。
    …さすがに予定していたようには帰りたくはない。
    付き合っていた彼女と親友だった人間が仲良くしている場所には。
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■6159 / inTopicNo.7)  夏のハジマリ。7
□投稿者/ 蒼 一般人(8回)-(2009/11/18(Wed) 23:02:34)
    百香はすぐに左手にグラスを二つ、右手に麦茶の入ったボトルを持ち部屋に戻ってきた。
    とん、と、それらをテーブルに置き、グラスを麦茶で満たした。
    「いっぱい飲んでいいよー」と言いながら自分の分も注ぎ、再びベッドに腰を下ろした。

    もちろん、まだバスタオル一枚のまま。

    「ちゃんと服着てくださいよー」何回目か、と思いながらも空は言った。
    「だってさー、暑いんだもの。いま服着たら汗かいちゃうよ」
    そう言ってごくごくと麦茶のグラスを傾け、一気に飲み干す百香。

    白いバスタオルは丈の短すぎるワンピースのように、太腿の付け根と胸のふくらみの頂点をギリギリ隠している。
    それだけでも、今の空には十分刺激が強い。
    そして、グラスを空けるときに見えた、百香の白い喉がごくごくと動く様子にいつの間にか見とれていた空は、自分がおかしいくらい緊張しているのに気づいた。

    「…モモさん、トイレそっちですか?」
    「あ、うん。左のドア」

    バタン

    空はとりあえずトイレで深呼吸した。

    千尋とは一年くらい前の夏休み中に初めて身体を重ねた。
    さすがに受験の直前はそういう行為は慎んでいたが、受験直後から空が地元を離れるまでの間は毎日のように求めあった。
    そしてGWに戻った時にも会えない時間を埋めるように千尋を求めた。
    それから約3ヶ月経つのだ。

    平たく言うと、空は欲情していた。
    彼女がいるという状況だったら、もちろん我慢できるのだが…。


    「はぁ…センパイ、誘ってるとかじゃなくて無意識だよなぁ…結構ぬけてるし」
    サークルでの人間関係を考えると、自分が女性が好きだと言うことすらままならない。
    当然、この状況で「誘ってる?」と聞けるわけもない。

    「冷静に冷静に……そか、先に帰っちゃえばいいのか」
    この後、サークルでの夏休み前の飲み会があるので、百香と一緒に行くものだと思い込んでいた空だったが、もちろん別行動でもいいんだと気づいた。


    そう思って気が楽になった空はトイレから出た。
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■6160 / inTopicNo.8)  夏のハジマリ。8
□投稿者/ 蒼 一般人(9回)-(2009/11/21(Sat) 02:25:23)
    トイレの中でなんとか理性と落ち着きを取り戻し、空が部屋に戻ると、
    いつの間にか、百香はベッドに腰を下ろした姿勢から、さらに上半身をベッドに倒していた。
    「眠い〜。このまま寝ちゃいたいかも…」なんて言う。

    「…モモさん、なんていうか、すげー自由、ですね」
    半ばあきれつつも少し羨ましさをこめて空はつぶやいた。
    そのままさっきまでいた場所に座りなおし、自分の鞄を引き寄せた。
    来た時よりも相当重くなっているな、と少し憂鬱になった。

    ふと見ると、さっき空けたグラスに麦茶が満ちていた。
    百香が注いでくれたのだろうと思った空は、横のテーブルのそれに手を伸ばそうとして、

    一瞬、固まった。

    ベッドが低めのためか、百香は足をほんの少し開き膝から下をハの字に開いた体勢。
    空の位置で百香に目をやると、ちょうど、百香の柔らかそうな白い太腿の間に薄いブルーの下着がちらりと見えたのだ。
    さっきまで座っていたせいか、下着ごしに谷間の線まで空にははっきり確認できる。

    喉が一気に乾ききった感覚になって、手にしたグラスを一気に飲み干した。

    そしてゆっくりと立ち上がった空は、何も言わずに、百香の上に覆いかぶさった。
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■6161 / inTopicNo.9)  夏のハジマリ。9
□投稿者/ 蒼 一般人(10回)-(2009/11/21(Sat) 02:56:58)
    とはいえ、空には百香をそのまま襲おうという気はなかった。
    確かに、欲望のままに相手をどうにかしたい、という気持ちはあったが、
    (―さすがにそれは色々まずいでしょ、立場とかさ)と考える余裕はあった。

    だから、覆いかぶさって、びっくりした相手に
    「女の子同士だからって油断したら、襲われちゃいますよ?」
    と冗談として警告するだけ。


    そういうつもりで、無言のまま百香の両脇に膝をつき二の腕を押さえた空は、違和感に気づいた。
    さっきまで暑い、と言っていたはずなのに、百香の身体はひんやりしていた。
    まるで、涼しいところにずっといたときのように。

    「モモさん、なんでこんなに身体が冷えて――」
    訊きながら、気づいた。
    「もしかして……誘ってたんですか?」

    空の言葉に、百香からの返事はない。
    しかし、はっきりとした抵抗も拒絶もなかった。

    百香の耳元に口を近づけて、
    「モモさん、わざとバスタオル一枚で目の前を歩いて、あたしの事、誘ってたんですよね?」
    と囁くように問いかけると、百香の肩がピクンと動き、
    「……うん」
    と今度は小さく百香が答えるのが耳に入った。

    「キス、してもいいですか?」
    そういうと、無言で目を閉じた百香に、空はそっと唇を重ねた。
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■6162 / inTopicNo.10)  夏のハジマリ。10
□投稿者/ 蒼 一般人(11回)-(2009/11/21(Sat) 03:49:32)
    最初は触れるか触れないかくらいの軽いキス。
    そして髪に触りながら、ゆっくりと長いキスを交わした。
    「空…」
    百香は感じやすいのか、それだけでうっすらと目を潤ませている。
    もう一度唇を合わせながら、百香の下唇に軽く歯を立てると、
    「んっ…」とびっくりしたように身体が反応した。
    そのまま、唇をなぞるように舌を百香の口の中に侵入させて、百香の舌を吸い上げる。
    ちゅ…ぴちゃ……
    しばらく、粘膜が重なりあう音だけが響いた。

    唇を離すと、今度は百香の耳元に唇を寄せた。
    空の唇が耳に触れるだけで「やぁっ……」と声をあげてしまう百香。

    「耳、真っ赤ですよ?」
    百香の色白の肌は既に、耳だけではなく鎖骨の下まで赤く染まっていたが、あえて空はそう言って、耳の外周に沿って舌を這わせ、耳たぶを軽く噛む。

    「……っ、あぁんっ」声が出てしまう百香に、
    「声が外に聞こえちゃいますよ?」と耳元に息をかけながらからかう口調で言う空。
    部屋の窓が開いているのを思い出したのか、百香は声は出さずに吐息をもらした。

    「我慢してるんですね。でも、身体は、ビクンってすっごい反応してますよー」
    そう耳元で囁きながら、右手の指先を首筋から鎖骨へとそっと動かしていく空。
    その指の動きにも百香は反応する。

    「モモさん…、すっごい感じやすいんですね」
    「そ…んなこ…と……、ああんっ」
    「耳元でこんな風に囁かれて、ちょっとキスするだけで相当気持ちよさそうですよ?」
    「い…やぁ……んっっだめぇ」

    空の言葉通り、百香は耳をせめられるだけで頭がしびれそうなくらい感じていた。

    空は、一度百香の上から起き上がった。
    「モモさん、ベッドの上にに座ってもらえませんか?」

    百香がゆっくりと起き上がり、ベッドの奥のほうに腰を動かすのを見て、空は開いている窓を閉めた。

    「窓閉めたんで、声いっぱいだせますよー」
    隣に座った空はそう言いながら再び、耳に唇を近づけた。
引用返信/返信 削除キー/
■6166 / inTopicNo.11)  Re[1]: 夏のハジマリ。
□投稿者/ 真里菜 一般人(1回)-(2009/11/28(Sat) 11:49:51)
    ドキドキします^^
引用返信/返信 削除キー/
■6169 / inTopicNo.12)  Re[2]: 夏のハジマリ。
□投稿者/ 蒼 一般人(12回)-(2009/11/30(Mon) 21:29:13)
    ありがとうございます。
    のんびりペースですが気長にお付き合いくださいm(_ _)m
引用返信/返信 削除キー/
■6170 / inTopicNo.13)   夏のハジマリ。11
□投稿者/ 蒼 一般人(13回)-(2009/11/30(Mon) 22:12:30)
    百香は空にしがみつくように両腕を首に回した。
    空は右手で首筋をやさしく撫で上げながら、耳たぶを軽く噛んで、吸い上げる。
    「んんっ…!あっ!」
    それだけで百香は色っぽい声をあげた。
    窓を閉めたせいか、さっきよりも声はおおきい。

    「めちゃくちゃエロいんですね……」空が興奮でかすれた声で呟いた。
    その声と吐息にも反応して身体をビクンと震わせる百香。
    「……もっと、」

    そう言うのと同時に、
    右手で百香の身体に巻かれていたバスタオルをぐいっと強引に引き下げた。

    「あぁん!!」
    いきなりバスタオルに乳首をこすられ、百香は叫びに近い声をあげた。

    「もっと、気持ちよくなりたいですよね?」
    百香の目を見て、空が訊いた。
    「うん………もっとキモチよく、して…あっ!」
    答えるのと同時に、空の指先が百香の乳首に触れてた。
    本当に触れるか触れないかくらいの軽いタッチにも反応して、声を出してしまった百香は恥ずかしそうに目を伏せた。

    「モモさん、手、後ろについてください」
    言われたとおり百香が後ろ手に身体を支える姿勢をとった。
    それでも、百香のふくらみはきちんと形を保ったまま、乳首は少し上向きで空を誘ってるように動いた。
    空は、そのふくらみを下から受け止めるように両手でつかみ、軽く揉みあげながら、乳首にそっと唇を近付けた。

    「はぁ……ん」
    先程の耳へのそれよりも、軽めの愛撫。
    柔らかい唇で触れるか触れないかくらいのタッチに、百香はもどかしさを感じた。

    (―なんか、すっごい…恥ずかしい)
引用返信/返信 削除キー/
■6172 / inTopicNo.14)  夏のハジマリ。12
□投稿者/ 蒼 一般人(14回)-(2009/12/03(Thu) 22:16:43)
    唇でつんつんっとごく軽く、乳首をつついて百香を見上げた。
    百香の肌は紅に染まり、目は潤んでどこかトロンとした表情。
    普段は絶対見せない顔と声に、空は百香をめちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られていた。

    (―でも、)

    乳首を唇でやさしくはさみこむように捉え、唇だけの力で、軽くリズミカルに刺激し続ける。
    右手はもう片方の乳首をやはり軽くつつき、こする。

    「んんっ……やぁ……あ…ん」
    敏感なところに刺激といえないくらいの愛撫を受けて、百香は知らず知らずのうちに太ももをこすり合わせ、身悶えていた。

    「そ、空ぁ……」
    もどかしさに耐えられなくなった百香が切なげな声をあげた。
    「どうしたんですか?」
    わざと手を止めて、空が訊いた。
    「おねがい…もっと、して…」
    「もっと?」と言って空は乳首を強めに舐めあげた。
    「あぁん!」すぐにビクン、と百香の身体が跳ねた。
    「でもモモさん、こうやって…」
    わざと乳首に息を吹きかけるように言いながら、空の右手の指先は優しく乳輪をなぞる。
    「焦らされるの、好きでしょ?…もう全身がビクビク動いちゃってますよ」
    「っ……やぁっ」
    恥ずかしそうに首を振る百香。

    空はその反応に言いようのない衝動にかられ、
    両方の乳首をさっきよりも強めにつついて、そっと摘まみ、指先でこすりあげて転がした。
    いきなり敏感なところだけを集中して責められた百香は、
    「あっ!…だめぇ!」と声を上げ、身体を震わせた。
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