| 『お友達を助けるか、自分を助けるか』
―――――コツ、とヒールの音がやけに大きく路地裏に響いた。
『結局、人間なんてモノは、自分の為にしか動けない生き物なのよ』
―――――ゆるり、と綺麗に整った淡いピンク色の唇が歪められた。
『だから貴方が自分を選んでも、気にする必要は無いのよ?』
―――――ロープで縛られて転がされている友達の身体に、足を乗せた。
『さあ・・・・貴方はどちらかしら。偽善者か、それとも、エゴイストか』
―――――泣きそうな顔の友達が、足の下から不安そうな顔を向けてきた。
『逃げようなんて悪あがきはやめて頂戴ね?貴方に失望してしまうわ』
―――――ドッ、と鈍い音をかすかに立てて、友達が蹴られ転がされた。
『ほら・・・・早く選びなさい。2択だもの、簡単なことでしょう?』
―――――アスファルトの地面に、水滴が何粒か流れ落ちていった。
『・・・・・貴方に、ついて行きます。だから友達を、解放して下さい』
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