| 両手の先に巻かれた包帯を見ながら、どうしてあんなバカな取引をしたのかと、私は心底悔やんだ。 唐辛子責めに耐えきれず、シャワーを浴びさせてくれたら爪を剥がされてもいいと言ってしまったのだ。 比べられるようなものではなかった。 唐辛子責めはまだこの世の痛みだった。 爪を麻酔無しに剥がされる痛みは、医者がやっても耐えられるものではない。 しかもシロウトが見よう見まねでやるのだ。 爪の間にメスが入れられ、ザクザク、ゾリゾリと切られていく。 まるで料理教室のように女達はキャッキャッと笑いながら…… どれだけ泣き叫んでも許されることはなく、過酸化水素水をかけられて血の泡が吹き出す地獄の中の地獄を味わっても気絶すら出来ない。 そしてその痛みは数日続く。 おまけに自分では下の世話も出来ず、すべて沙子に頼らねばならない、この屈辱…… それでも、あの飢餓の中で女の子に聖水を求めたり、沙子の黄金粥を悦んで食べたりした経験は、私の心から人間らしい感情を奪い去っていた。 私は責められて当然な人間だし、なぜなら、女の子に……沙子の…… あの頃の私の心理状態を説明するのは不可能だろう。 私は結局、四人組に四回、生爪を剥がされた。 それでも逃げようとは思わなかった。 本物の警察が来て保護されても、私は何のことやらわからなかった。 すべては早喜のお芝居で、私を四人組に売り払うために仕組んだことだった。 あのホスト崩れのバカ男も、早喜の企みだった。 私はまんまと乗せられ、会社の金を持ち出し、早喜の前に現れたというわけだ。 結局、四人組は爪を剥がす程度の責めでは満足できなくなり、私とは別の生け贄を責め殺してしまい、そこからすべての悪事がバレた。 早喜を含め、このグループはこれまでに四人責め殺していた。 皆、きっと死刑になるだろう。
「セックスに愛は必要か」 バカバカしい。 私は今でも、股ぐらに唐辛子を塗られ、生爪を剥がされるのを待っている。 苦痛でも、快楽でも、そこに何の愛がなくても求めてしまうものがあるのだ。 聖水を求めて泣き叫んだ日々も、私には愛おしい想い出だ。 もう一度あの日に戻れと言われれば…… 躊躇無く、私はイエスと答え、自ら全裸になって檻に入るだろう。(終わりだよ。感想待ってるね)
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