| 広いホールのすべての拷問具には全裸の女達が架けられ、その誰も五体満足な者はなかった。 阿鼻叫喚の叫び声はもはや無く、皆、苦悶の中に静かに死を待つか、その姿に明日の自分を重ねて絶望に泣くか、それだけだった。 中にはパーティでMを責めた女もいた。 肛門から少しずつ腸を巻き取る機械にかけられ、恐ろしい苦悶の表情で静かに泣き続けていた。 椅子に拘束されたFがいた。 Fの眉毛から上は頭蓋骨が剥がされ、脳が剥き出しになっていた。 突き刺された電極から電気が流されるたびに身体は奇妙に麻痺し、意味不明な言葉を発した。 「強情なのよね、この女。麻酔無しで頭蓋骨を剥がれても黙ってる。脳に直接電流流されたら、全身が激痛でショック死してもおかしくないのに、もう五時間も耐えてるわ」 FはMに気付き、叫んだ。 「人民の英雄、グレートヒェン、万歳!」 そして事切れた。 「最後の最後まで嘘にまみれた人生だったわね」 そう言って、同志はMに振り返った。 「さあ、あなたは素直に白状してね。今なら銃殺で済むわ」 「私は裏切ってない! 私は今でも人民と共に……」 同志は黙って兵士達に指示を出した。 「身体に聞くわ、すべて」 「私は裏切ってない、私は今でも人民と……」 Mの絶望の叫びが空しく拷問ホールに響いた。 この日、国際社会は新政府を承認した。(終わり)
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