| 何不自由なく育ってきた。 ただ、十八になると「学校」を出て行かなければならないのだった。 出て行った女の子で、帰ってきたのは一人もいない。 どこに行ったのかもわからない。 私にもその日がやってきた。 「先生」や「きょうだい」たちに別れを告げて、わたしは「学校」を後にした。 今月十八歳になる「きょうだい」たち二十人とバスに乗り、私たちはこれから待ち受ける将来について語り合った。 もしかしたら「恋」も? そう思うと胸は高鳴るのだった。 私とルリという女の子が同じ場所で下ろされた。 そこで待っていた女性は、私たちを、なぜか汚いものを見るような目で見た。 そんな目で見られるのは初めてで、一瞬、不安がよぎった。 通された部屋には鉄格子が入っていて、廊下から丸見えだった。 他の部屋にも女の子たちが二人ずつ、無気力に私たちに視線を向けていた。 私たちもそれぞれ部屋に入れられた。 トイレも便器の椅子が無造作にあるだけで、ドアもなかった。 ここは、何? 一つしかないベッドには女の子が寝そべっていた。 「ここは?」 「今知る必要なんてないわよ。すぐにわかる」 ……キャァァアアアアァァァ…… 遠くで、女の子の絹を裂くような叫び声がしていた。 同室の子の目に涙が浮かび、スウッとこぼれた。(続く)
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