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Nomal ネコと子犬と一人の飼い主T /みな (04/08/18(Wed) 03:10) #623
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Nomal お疲れさまでしたvv /キョウ (05/08/03(Wed) 10:06) #2178
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■623 / 親階層)  ネコと子犬と一人の飼い主T
□投稿者/ みな 一般人(1回)-(2004/08/18(Wed) 03:10:06)
    困ったことに私は捨て猫や捨て犬を見ると、すぐに拾ってしまう性格だった。
    幼い頃から雨の日の度にダンボールで鳴いている動物を見つけ家に連れて帰っていた。
    自分の親も似たような性格だったので、エサを与え回復するまで飼わせてくれた。
    それからいつも近所のペットショップに張り紙をし、里親探しをする。
    里親が見つかった猫や犬と別れるのが辛くて別れの度に泣く。
    それがとても辛いことだとわかっているのに、それでも捨てられていると拾わずにはいられない。
    だから今でもこうやってニ匹も飼うハメになっている。
    いづれ来る別れに怯えながら・・・。


    「ご飯だよ、キキ・・・ララ・・・」
    子犬のキキと子猫のララは勢い良く、私の足元に駆けよってくる。
    この子達、実際には人間だ。
    だけど拾って首輪をつけて飼ってるうちに、犬と猫にしか見えなくなった。
    二人の性格は両極端で、まさに犬と猫。
    「ご飯ご飯〜vv今日も僕のために働いてくれてありがと、ご主人様vv」
    子犬のキキはよく懐く。
    私の足をペロペロ舐めながら喜ぶ姿が、完全に子犬。
    キキの一人称は「僕」だが、キキは女である。
    尻尾を(正確には尻尾付きこけし)を嬉しそうに振り、エサを食べる姿がいい。
    四つん這いになって食べる後ろ姿から除く、秘部からは甘いジュースが溢れている。
    「キキ、お留守番できた?」
    「はいっ、ご主人様の帰りをじっと待ってました」
    「えらいね・・・キキ・・・」
    「んっ、はぁっ・・・ご主人さまぁ・・・」
    甘いジュースを舐めてやると、キキは甘い声を出す。
    これが私の晩御飯なのだ。
    「今日も美味しいよ、キキ・・・」
    「ふっ・・・ありがとうございます・・・んんっ・・・あぅ・・・」
    「・・・ご主人さまぁ」
    いつもこうやって食事をしていると、遠慮がちにすりよってくるのがララだ。
    自分の食事を終えたララは、私の目の前で仰向けになる。
    服従のポーズ・・・普通の猫はこんなポーズとらない。
    でも私の前では特別、そう躾たのだから。
    「キキ、ちょっと待ってね?」
    キキの秘部から口を離すと、キキはララを恨めしそうに見る。
    そんなキキが可愛くて、私は更に虐めたくなる。
    細めのバイブを入れてやり、私はララの方に興味を向ける。
    「ララもお留守番できたかな?」
    弱々しく首を縦に振り、顔を真っ赤にして私の愛撫に反応する。
    猫の気持ちのいいところは全て知ってる。
    首、背中、お腹、手・・・ララの性感帯を執拗に責める。
    その度に掠れたような声を出す。
    溢れ出す愛液は甘美な味がする。
    この食事時間は、自分の一日の中で一番好き。
    キキもララも私を愛してくれるから。
    拾って来たこの子達しか愛せない。
    「キキ、ララ、愛してるよ」
    二人を同じくらい愛していて、大切に思ってる。
    そのうち別れがくるのは分かってるのに、どんどん深く愛してしまう。
    少しの時間だけでも、二人を出来る限り愛してあげよう。
    同じくらいの愛で、同じくらいの愛撫を・・・。

    だけど、二人がこの「平等な愛」に納得いかないことくらい、ちゃんと分かっていたんだ・・・。


[ □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 623 ] / ▼[ 625 ]
■624 / 1階層)  ネコと子犬と一人の飼い主U
□投稿者/ みな 一般人(2回)-(2004/08/18(Wed) 16:13:39)
    キキを拾ったのは霧雨の降る午後四時だった。


    人通りのない裏道を一人ぼんやりと歩くキキは印象的で、後ろから急に抱きしめたくなりそのまま抱きしめた。
    だけどキキは何の抵抗もせず、家まで付いて来た。
    ホットミルクを与え、風呂に入れ、着替えさせた時にはもう私に懐いていた。
    茶色がかった髪の毛は子犬の毛並みのように柔らかで、私は撫でる度に快感を覚える。
    頭を撫でると嬉しそうに体を摺り寄せてくるのが大好き。
    「僕を飼ってくださいな?ご主人様vv」
    私達の関係はここから始まった。
    キキは私が何をしても喜ぶし、何でも言うことを聞く。
    全裸に剥いて首輪をつけて家の中に拘束しても、何の文句も言わなかった。
    飼われることに生き甲斐を感じているかのように、私に忠実で大人しい。
    「僕はご主人様が大好きです」
    キラキラした瞳は私の心を溶かした。
    今まで人間に愛を感じなかった私に、やっと愛しさが生まれた。
    だから自分が出来る限り激しく、今まで他人に与えることのできなかった愛をぶつけた。
    全てを受けとめるキキ。
    余計に私の愛がエスカレートしてもおかしくなかった。
    留守番の時のバイブも、食事の愛撫も、時折出てしまう私のひどい本性も受けとめてくれた。
    ムチ打つことも愛なのだと錯覚して、後で後悔し、それすら慰めてくれるキキを愛している。
    「ご主人様のしたいことなら、僕は何でも受け入れます」
    じゃあベッドに縛りつけられて何本もバイブを咥えさせられてもいいワケ?
    ムチを打って体にたくさんの傷跡をつけられても喜ぶの?
    それでも私を愛してるなんて言えるの?
    「僕はご主人様になら、何をされたって嬉しいです」
    私はキキの口からその言葉が出た時、思わず涙が出てしまった。
    年齢だってあまり私と違わないはずなのに、何故私にそこまで尽くせるのかわからない。
    今まで人を愛せなかった分、こんなにも可愛いキキを激しく愛しすぎた。
    最近は少し落ち付いたものの、キキの白い肌に作った傷は数え切れない。
    赤い跡までも喜んで受けるキキを見ると、しだいに切なくなっていったのだ。
    「キキ・・・愛してるよ・・・」
    今はもうあんな愛し方しない。
    白い肌に傷を作るのに私の方が耐え切れなくなった。
    バイブや拘束は今でもしてるけど、ムチや他の傷つくようなことはやめた。
    やっと自分らしい愛し方を見つけたようで嬉しかった。
    何度も何度も愛して、もう離れないように育てているうちに、私が離れられなくなったことにも気付いている。
    そう、私はキキから離れられない。
    抱きしめると嬉しそうに尻尾を振るキキ。
    子犬のように愛してくれるキキを手放すのは相当先になりそうだ。
    ちゃんとわかっている・・・いずれ別れはくるんだ。
    今だけでも愛さないといけない。
    「キキ・・・愛してる・・・ずっと側にいて・・・」
    「はい、ご主人様」
    そんな可愛いキキにずっと甘えていた。


    だからかもしれない・・・嵐の夜にララを拾ってしまったのは・・・
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 624 ] / ▼[ 626 ] ▼[ 639 ]
■625 / 2階層)  ネコと子犬と一人の飼い主V
□投稿者/ みな 一般人(3回)-(2004/08/19(Thu) 16:17:11)
    ララは嵐の夜にやってきた。

    キキの時とは違い、随分衰弱していて大変だった。
    うっかり買い物に行くのを忘れてて、嵐の中コンビニに行こうとした矢先だ。
    何故かララが私のマンションの部屋の前に立っていた。
    ずぶ濡れで虚ろな目をしたララ。
    私の顔を見た瞬間に、少し微笑み倒れた。
    ララに面識はなく、何故私の部屋の前に立っていたのかよくわからなかった。
    でもそのままにはしておけず、家に上げるとキキは嫌そうな顔をしていた。
    「この子も飼うのですか?」
    「捨ててはおけないからね・・・」
    「僕は・・・捨てられるの?もういらないの?」
    「大丈夫だよ、キキを捨てたりしないよ」
    キキは納得したように笑うと、ララにミルクをあげるんだと言って台所に立った。
    着替えさせようと服に手をかけると、白い手首が覗いた。

    ・・・リストカットか

    白い手首に浮かぶ幾筋もの線は、明らかにリストカットの傷だった。
    私はその傷跡にゆっくり唇を寄せる。
    最近作った傷なのだろう・・・まだ抜糸の済んでないものまであった。
    血の味のするそのラインに舌を這わせると、しみたのだろうかララが起きた。
    「んっ・・・誰・・・?」
    ララの大きな目が私を捉えると、ララは驚いたように飛び起きた。
    「ここ、どこ?私・・・何してんの?」
    混乱して自分の状況が把握できてないララは可愛かった。
    私はキキにホットミルクを持ってこさせると、ララに渡した。
    ララは・・・少し驚いたようだ。
    なぜならキキは全裸で尻尾まで生やしているのだから。
    「驚いた?」
    「・・・うん」
    「別に強制されてるワケじゃないよ、僕はご主人様の犬だから当然なんだ」
    「ご主人様?」
    「そう、僕のご主人様。僕も雨の日に拾われたんだ」
    キキは嬉しそうに話しながら、私の腕の中に入ってくる。
    不思議そうな顔で私とキキを見つめながらカップを傾けるララ。
    「僕はご主人様に助けてもらった。だから恩返しのためにここにいる」
    「恩返しって?」
    「だから・・・こうやってご主人様に奉仕するんだよ」
    キキは私の腕を飛び出すと、ララに飛びかかった。
    「んっ・・・ぺちゃっ・・・ちゅ、ん・・・ぺちゃぺちゃ・・・」
    「えぇっ?な・・・何を・・・んんっ!!」
    ララの秘部を愛撫しだすキキ。
    私に喜んでもらいたいという気持ちが、キキの瞳に滲んでいた。
    自分がララを手懐けたらもっと愛してくれる、と思ってるに違いない。
    私はそんなキキの思惑通りになっていた。
    「すごいよ・・・んっ・・・いっぱい濡れてるよ・・・」
    ピチャピチャと音を立てて舐めるキキの顔には、ララの愛液がいっぱいついていた。
    顔を赤くし声を漏らさないように耐えているララを見て、キキは気味悪く笑う。
    「こうやって・・・ちゅ・・・ご主人様に奉仕するんだ・・・ぺちゃぺちゃ・・・できる?」
    「んっ・・・はぁっ・・・私も・・・するの?・・・んっ・・・」
    「助けてもらったんでしょ?当然だよ・・・」
    ララはその瞬間にイってしまった。
    私は気付くとデジカメを手にし、ララのその姿を納めていた。
    嬉しさと気持ち良さと切なさの入り混じったような顔は、私の加虐心に火をつけるのに十分だった。
    キキの替え用首輪を取り出して、ララの細い首につけていた。
    リード、尻尾、バイブ、ローター・・・ララのために買い揃えなければならない。
    キキは犬だから、ララは猫。
    可愛い二匹の動物を同時に飼うのは難しい。
    同じだけ愛を注いで、大切に大切に育てなければならない。
    私にそれができるだろうか?
    「・・・私に飼われてくれる?」
    「んっ・・・はい・・・」
    リストカットの傷跡にキスをして、ララは私の猫になった。

    ここで私とキキとララの三人だけの生活が始まった。
    そしてそれは決して上手く行かないことだって、最初からわかっていた・・・
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 625 ] / ▼[ 637 ]
■626 / 3階層)  NO TITLE
□投稿者/ 匿名 一般人(1回)-(2004/08/19(Thu) 19:21:54)
    設定面白いですね!この続き、どんなふうになっていくのか楽しみです!

    (携帯)
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 626 ] / 返信無し
■637 / 4階層)  Re[4]: NO TITLE
□投稿者/ みな 一般人(4回)-(2004/08/26(Thu) 11:44:20)
    感想ありがとうございます。今続きを執筆中なので、これからもよろしくお願いします
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 625 ] / ▼[ 654 ] ▼[ 683 ]
■639 / 3階層)  ネコと子犬と一人の飼い主W
□投稿者/ みな 一般人(6回)-(2004/08/26(Thu) 13:14:39)
    嵐はいつも突然、そして思いがけなくやってくる


    「キキ、ララはどこに行ったの?」
    家に帰るとララがいなかった。
    キキは不貞腐れたような顔で俯いたまま顔を上げない。
    「キキ・・・どうしたの?」
    「ご主人様が・・・いけないんだ・・・」
    声を震わせながらキキが答える。
    涙を浮かべた顔を上げると、頬の辺りに血がついている。
    嗚咽を漏らしながら泣くキキに、私の思考は止まりそうになる。
    「ララを拾ったりするから・・・僕だけを愛してくれないから・・・」
    「え・・・?」
    バスルームを指差すキキ。
    嫌な予感がする。
    決して当たってはほしくないこの予感。
    頬についた血が何か別のものであることを願いたい。
    だけど泣き叫ぶキキを見て、この予感は絶対なものだとわかっている。
    「ララ・・・?」
    バスルームのドアを開ける。
    目の前に広がる赤。
    「ご主人さまぁ・・・」
    赤い背景には似合わない青白い顔でララが言う。
    首から大量の血を流し、今にも出血多量で死んでしまいそうだった。
    私は何も言うことができず、ただ立っていた。
    「僕がララを噛んだんだ・・・」
    「キキ?」
    「ララが死んじゃえば、ご主人様が僕だけを愛してくれると思ったんだ・・・」
    キキの言葉は耳に入らなかった。
    早く止血しないとララが死んでしまう。
    「救急車・・・早く呼びなさい・・・」
    遠くでキキが救急車を呼んでいるのを聞きながら、私は止血を施していた。
    一体どうやって噛んだらこんなに出血するのだろうか・・・。
    皮膚が食いちぎられていて血が止まらない。
    本気でララが死ぬんじゃないかと思った。
    とりあえず止血をして、服を着せ救急車を待つ。
    その間ずっと恐怖と闘っていた。
    ララが死んでしまったら・・・私はどうなってしまうだろう。
    この関係が壊れてしまうのが怖い。
    私達のバランスはいつから狂っていたのだろうか。
    キキがララを殺そうとするなんて、思ってもみなかった。
    可愛い妹のように思っているとばかりいた。
    「救急車もうすぐ来るっぽいよ・・・」
    サイレンの音が聞こえてくる。
    キキは私の横に立ち、まだ泣いていた。
    「キキ・・・」
    私は無意識のうちにキキを押し倒していた。
    手元に転がっていたバイブを秘部に押し込み、両手足を縛っていた。
    濡れていないのに入れられて、キキは苦痛の表情を浮かべる。
    「ご・・・主人・・・さま・・・」
    「私が帰ってくるまで、このまま待ってなさい」
    サイレンの音は残酷な程、大きく近くに聞こえている。
    私の目には涙が浮かんでいた。
    もうキキを痛め付けるようなことはしないと誓ったのに、キキ自身に裏切られたからだ。
    キキはララを傷つけた。
    とてつもなく残酷な裏切りだった。
    救急隊が私の部屋にやってきてララを運ぶ。
    私は冷たい目でキキを見てから、ララに付いていった。
    「キキ・・・キキが悪いんだからね・・・」
    切ないキキの泣き声は私の耳の中で鳴り響く。
    この裏切りに私の心は破裂しそうだ。
    部屋の鍵を閉めた時、私達の関係まで閉ざされてしまったように感じた。



    「でも僕は・・・ご主人様に愛されたかったんだ・・・」



[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 639 ] / ▼[ 684 ]
■654 / 4階層)  NO TITLE
□投稿者/ 匿名 一般人(2回)-(2004/08/28(Sat) 06:53:06)
    かなり面白いですね!でも可愛そう(:_;)死なないでほしい…

    (携帯)
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 654 ] / 返信無し
■684 / 5階層)  Re[5]: NO TITLE
□投稿者/ みな 一般人(8回)-(2004/09/07(Tue) 14:09:24)
    大丈夫です!死ぬことはありません
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 639 ] / 返信無し
■683 / 4階層)  ネコと子犬と一人の飼い主X
□投稿者/ みな 一般人(7回)-(2004/09/07(Tue) 14:08:30)
    僕は逃げることしか出来なかった。


    ご主人様が家を出てすぐに、自分を拘束しているロープが緩んでいることに気付いた。
    きっとよっぽど慌てていて、ちゃんと縛れていなかったんだと思う。
    だけどそれは少しだけ悲しかった。
    僕の方には全く気が向いていなかったのだ。
    ララがあんなことになっちゃったんだから、仕方がないことだけど。
    切なくて悲しくて、僕は逃げた。
    全裸で尻尾も首輪もつけたままで、バイブも入っていたけど気にならなかった。
    外は雨が降っていて、誰も外を歩いていない。
    誰にも見られることなく、全速力で走った。
    僕はどこを走っているのかもわからず、泣きながらさまよっている。
    ご主人様を裏切ってしまった。
    自分でも信じられない。
    よくわからないけど何故かララが疎ましくなって、消えてしまえばいいと思ったのだ。
    いつも下を向いていて、僕とは絶対に目を合わそうとしないララが嫌いだった。
    だけどケンカなんかしたらご主人様が悲しむと思って、わざと仲良くしていた。
    ララは僕のそんな気持ちに気付いていたに違いない。
    ご主人様がいない時は僕を避けていたから。
    僕は当然のことだと思いながらも、釈然としない感情を抱いていた。
    だからきっと僕はキレてしまった。
    バスルームでシャワーを浴びているララに近付き、その首筋を食い千切ろうとしてしまった。
    思ったより柔らかい皮膚が千切れて、僕の口の周りにいっぱい血がついた。
    痛みに声も出せずもがいているララを見るまで、僕は自分が何をしたのかわからなかった。
    僕は・・・ララを殺そうとした・・・?
    正気に戻った時には、すでにララはぐったりしていて危険な状態だった。
    止血の仕方もわからない、救急車を呼ぶのは怖い。
    すぐにご主人様が帰ってこなかったら、ララは確実に死んでいた。
    あの時、ご主人様が僕を見た目は・・・怖いというより悲しかった。
    まだ僕の瞳にはあの目が焼き付いている。
    それから逃げるように走った。
    僕は昔から逃げる時はいつも場所が決まっていた。
    町外れの廃屋・・・そこにいつも逃げ隠れていた。
    その習慣は今でも治っていなかったらしく、僕は廃屋の中に逃げこんだ。
    湿った空気が僕の体に纏わりつく。
    それはまるで僕を責めているかのようだった。
    罪の意識は余計な事まで思い出させてくれる。
    ご主人様に拾われた日のことだ。
    あの日僕は、大学の男友達数人に輪姦されて精神的にボロボロだった。
    友達だと思っていた人間からの裏切りだ。
    僕はひどく傷ついた。
    ボロボロの体と心を引き摺りながら、いつもの廃屋に逃げていた。
    その時だったんだ。
    ご主人様が後ろから抱き付いてきたのは。
    奴らが追ってきたのかと思ったけど、柔らかい女性の体だったから安心した。
    救われたような気がした。
    僕は何の躊躇いもなくついていき、そこから飼われることになったのだ。
    ご主人様のすることを何でも受け入れ、絶対に裏切らないって決めたはずだったのに・・・。
    僕は結局、裏切ってしまった。
    裏切りなんてしたくはなかったのに・・・。
    ご主人様もララも傷つけて、僕は一人だけ逃げた。
    廃屋の中、僕は罪の意識に包まれながら目を閉じた。
    もうこのまま目が覚めることがなかったらいいのに、なんて思いながら・・・。



    僕の意識は嵐に掻き消されるように沈んでいった・・・。


[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 623 ] / ▼[ 638 ]
■634 / 1階層)  NO TITLE
□投稿者/ キョウ 一般人(1回)-(2004/08/24(Tue) 12:49:29)
    切ない感じになりそうですね…(;_;)でもご主人様、キキ、ララが幸せになればいいなぁ…。
    続きがスゴく気になります!今後も目が離せません!!(><)

    (携帯)
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 634 ] / 返信無し
■638 / 2階層)  Re[2]: NO TITLE
□投稿者/ みな 一般人(5回)-(2004/08/26(Thu) 11:47:02)
    感想ありがとうございます。これからどんどん切なくなっていくはずです。
    3人とも幸せになる方法は、私もまだ模索中です^_^;
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 623 ] / ▼[ 730 ]
■696 / 1階層)  NO TITLE
□投稿者/ キョウ 一般人(2回)-(2004/09/09(Thu) 02:05:16)
    まるでキキとご主人様の心を映し出したかのような雨…。
    そして、愛されたいと願うキキが…切なくて…愛しい。

    死ぬことはないとのことなので少し安心しました。やっぱり…生きてて欲しいから。

    みなサン、これからも応援していますvv(*><*)

    (携帯)
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 696 ] / 返信無し
■730 / 2階層)  Re[2]: NO TITLE
□投稿者/ みな 一般人(9回)-(2004/09/19(Sun) 01:06:05)
    またまた感想ありがとうございますvv

    続きは月曜にUPするつもりなので、これからもよろしくお願いします
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 623 ] / 返信無し
■798 / 1階層)  感想
□投稿者/ 麻里 一般人(1回)-(2004/10/08(Fri) 16:00:29)
    続きはないのでしょうか(ToT)

    (携帯)
[ 親 623 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 623 ] / ▼[ 1052 ]
■1017 / 1階層)  NO TITLE
□投稿者/ アン 一般人(1回)-(2004/11/07(Sun) 08:56:23)
    この話すっごい好きだったのになぁ♪
    もう続きは書かれないないんですか?(>_<)

    (携帯)
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▲[ 1017 ] / 返信無し
■1052 / 2階層)  すみません・・・
□投稿者/ みな 一般人(1回)-(2004/11/20(Sat) 01:47:24)
    長い間ほったらかしで、すみませんm(__)m
    実は受験のため、勉強しないといけないんであまり書けない状況に・・・。
    受験が終わったら、続きから書くなり、むしろ改訂版にしてみるなりするんで、しばらくの間御辛抱を・・・。
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▲[ 623 ] / 返信無し
■1072 / 1階層)  おかえりなさい!
□投稿者/ キョウ 一般人(2回)-(2004/11/24(Wed) 03:03:23)
    〜みな様へ〜
    凄く嬉しいです。
    正直、もう書くことを止めてしまわれたのかと‥少し思っていたので、、事情がわかり凄く安心しました!(><。)(涙)
    受験、大変だとは思いますが‥どうぞ頑張って下さい!応援しております!!(*>_<*)

    …この作品、本当に好きなので‥お時間が出来ましたら、是非×Aまた書いて下さいネvv…その日まで私は待ってますのでvv

    では‥またvv(*//◇//*)

    (携帯)
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▲[ 623 ] / ▼[ 1757 ]
■1756 / 1階層)   ネコと子犬と一人の飼い主Y
□投稿者/ みな 一般人(1回)-(2005/03/04(Fri) 01:27:28)
    『ダメよ・・・うちにはもう犬がいるでしょ?』
    何度その言葉を聞いただろう。
    『早く飼い主を見つけてきなさいね?』
    いつまでも一緒にいたいのに。
    だけど、あなたは私達を引き離す・・・。




    目が覚めると病院のベンチで横になっていた。
    ついさっきここに来たのだと思っていたら、すでに3時間も過ぎていた。
    ララと共に病院に来て、彼女が処置室に運ばれた時に気が抜けて眠ってしまったのだろうか?
    とにかく、自分のそばにララの姿はない。
    どこで眠っているのだろう・・・?
    病室を探そうと思っても、どこにあるのかわからない。
    そういえば、ララの本名を私は知らなかった。
    私が途方に暮れていると、廊下の向こうから女医がやってきた。
    「・・・あなたが、ユカを連れてきたのですか?」
    「ユカ?」
    知らない名前だ。
    「首筋に噛み傷のある、肌の白い女の子です」
    「あの子は、ユカって名前なんですか?」
    「えぇ、あなたはユカを何と呼んでるのですか?」
    きっとララのことだろう。
    首筋の噛み傷なら間違いない。
    この女医はララのことを知っている。
    「私は・・・ララと呼んでいます」
    彼女は私に自販機のコーヒーを渡す。
    「やっと、いい御主人に拾われたんだと思ってました」
    長身の美人な女医は私の横に腰掛けると、少しずつ語り出した。
    今ララは集中治療室にいるらしい。
    面会謝絶だから、会うことはできない。
    暗い待合室に二人きりだ。
    「あなたの前にも御主人がいたんです。でもその人はユカをひどく傷つける人だった」
    度を越えたSM行為を強要されたり、感情にまかせて殴られていた。
    白い肌に真っ赤な血が流れるのが好きな人だったそうだ。
    ララの手首に傷をつけて、泣き叫ぶララを無理矢理犯す。
    ララはいつも苦しみに耐えながら、逃げたくても逃げられなかったという。
    私がいうのも難だが、私よりなんてひどい人なんだろうと思った。
    キキにもそんなひどいことしたことない。
    いや、していたのかもしれないけれど、私は少なくとも反省することができた。
    「いつもユカは私のところにやってきて、手首の治療を受けていました。それが3ヶ月ほど続いたんです」
    「あれは・・・自分で傷つけたんじゃないんですね」
    「私も最初は自殺未遂だと思ってたんですよ。でも親しくなるうちに話してくれるようになりました」
    「あなたがララの逃げ場だった・・・」
    「えぇ、そのうち私はユカのことが好きになっていたんです」
    少しだけ嫉妬が心の中に産まれた。
    「だから、私はユカを助けようと思い、私の家にくるように言いました。逃げてきなさいって」
    冷め始めたコーヒーのカップに少し力が篭る。
    続きを聞きたくなかった。
    「ユカは私の家には来ませんでした。・・・いいえ、正確には来れなかったんですけど」
    「もしかして、嵐の夜でしたか?」
    「酷い雨でしたよ。ララは元の御主人に逃げようとした所を見つけられて、殴られて捨てられたそうです」
    ホントに捨て猫だったのか。
    「って、元の御主人が私の所に言いに来たんですよ。車に乗せて遠くに捨てたって」
    幼い日の記憶がよみがえる。
    私も拾った猫を親に車で遠くまで捨てに行かされた。
    その時の子猫はララと同じような気持ちだったのだろうか・・・。
    2度と会えないとわかっていたから、私はいつも泣いていた。
    「その捨てられたララを、私が拾ったんですね」
    女医が何を言いたいのか少しずつわかってきた。
    こんな日がくることはもちろん知っていたから覚悟はしていたものの、少し悲しいものがある。
    「私が拾って、いっぱい愛情をかけてあげました。だけど、今日でそれも終わりみたいですね」
    「わかってくれますか?」
    「はい、愛情をかけすぎたことが招いた結果ですから・・・平等な愛なんてもの、どこにもないんです」
    そう、この日がくることはわかっていた。
    だから仕方がない。
    昔から言われていたじゃないか、『2匹も飼えない』んだって。
    「ララは記憶をなくしていたんです。だけど、あなたのことは覚えていると思いますよ」
    コーヒーを一気に飲み干して、立ち上がる。
    早く家に帰らなければならないからだ。
    平等な愛はどこにもない。
    だから、だからこの人に渡さなければならない。
    「ララをあなたに返しますね」
    「ありがとうございます」
    「私には無理だったから、あなたが幸せにしてあげてください・・・」
    「えぇ、もちろん」
    女医は集中治療室に消えていった。
    私は反対方向の病院の玄関ホールへ足を向ける。


    そう、この世界に平等な愛なんてどこにもなかった・・・

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▲[ 1756 ] / ▼[ 1758 ]
■1757 / 2階層)  NO TITLE
□投稿者/ ぁんり 一般人(9回)-(2005/03/04(Fri) 02:07:50)
    おかえりなさい(>∀<)
    待ちに待った続き読みましたッ(●^∀^●)

    みなサンの小説の続き続き楽しみにしています♪♪

    (携帯)
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▲[ 623 ] / 返信無し
■1759 / 1階層)  NO TITLE
□投稿者/ 菜貴 一般人(1回)-(2005/03/04(Fri) 02:12:10)
    お帰りなさい★
    待ってました〜!!

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▲[ 1757 ] / 返信無し
■1758 / 3階層)  Re[3]: NO TITLE
□投稿者/ みな 一般人(3回)-(2005/03/04(Fri) 02:09:54)
    随分とお待たせしてしまい、申し訳ありませんでしたm(__)m
    受験も一段落ついたので連載再開です☆

    これからもよろしくお願いします♪
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▲[ 623 ] / 返信無し
■1804 / 1階層)  おかえりなさいvv
□投稿者/ キョウ 一般人(1回)-(2005/03/09(Wed) 03:51:20)
    遅くなってしまいましたが…(>_<;)
    受験お疲れ様です。
    みなサンが、またここへ帰ってきてくれて‥凄く嬉しいデスvv

    続きを読みました。
    予想外な展開でしたが、彼女たちが幸せを手に出来そうな展開に、少しホッとしています///

    今後も楽しみにしていますvv(*=w=*)


    (携帯)
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▲[ 623 ] / 返信無し
■2060 / 1階層)  もう終わりかな?
□投稿者/ のの 一般人(1回)-(2005/07/20(Wed) 23:19:13)
    キキがどうなってしまうのか気になって仕方ありません!

    (携帯)
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▲[ 623 ] / ▼[ 2161 ]
■2160 / 1階層)  ネコと子犬と一人の飼い主Z
□投稿者/ みな 一般人(1回)-(2005/08/01(Mon) 01:54:32)
    嵐の夜は再びやってきた。
    強い風が吹き荒れ、ひたすら雨が降っていた。

    ララを女医に託してからすでに3日が経っていた。
    自分の家には以前のような笑い声はなく、暇を持て余す自分がいるだけだ。
    暗い部屋に電気もつけずに、家にいる間はただ眠るだけ。
    食事も外で済ませ、家はただ寝るだけの場所になっている。
    キキがどこにもいない。
    ララの病院から帰るといなくなっていた。
    雨のひどい日だったのに、どこに消えてしまったのだろうか。
    私は不思議とキキに対して怒ってはいなかった。
    憎しみなんて全く感じていない。
    ただ、キキとララを平等に愛せなかった自分が憎い。
    愛しているつもりだった。
    でもキキはそう感じてくれなかった。
    きっと私が愛せてなかったから、キキは愛されていないと感じたのだろう。
    「ごめんね・・・キキ」
    呟いた声は壁にぶつかって消える。
    私はキキを愛していた。
    多分ララよりもキキの方がずっと好きだった。
    ララは傷ついた子猫で、ただ子猫としてララに接していただけなのだ。
    あの女医に会ってよくわかった。
    彼女はララを自分よりも知っていて、愛していた。
    何故かはわからないけれど、それを彼女から感じたのだ。
    私は違う。
    私はただ、ララを子猫として・・・自分の優しさを表現するための道具として見ていた。
    ララも私ではなく女医のことが好きだった。
    捨てられた猫は生きていかなければならない。
    前の主人に捨てられ、愛する女医からも引き離されたララは、私に頼るしかなかった。
    私に頼るしか生きる方法はなかったから、私を愛している振りをしていただけなのだ。
    きっと私が今までに拾ってきた子犬や子猫もみんな同じだった。
    私は気付かずに一方的な愛を注いでいただけなのだ。
    そんな簡単なことなのに、全てを失うまで気付けなかった。
    自分が愚か過ぎて涙が出てくる。
    少なくともキキのことは人間として愛することができていたはずなのに。
    拾った時、そして自分の愛し方が間違っていると気付いた時、キキのいない部屋に帰ってきた時。
    何度もキキの存在を愛しく思い、キキを大切にしようと思った。
    だけど・・・キキはいない。
    人間として愛したくても、キキはどこかに消えてしまった。
    嵐の夜は気が狂いそうになるほど孤独になる。



    嵐の中、私は小さな傘を差して外に出る。
    もう夜遅いから、住宅街のどの家も電気を消している。
    弱々しい蛍光灯だけが、嵐の道をぼんやりと照らしている。
    薄暗い道をあてもなく歩いた。
    どこかでキキが泣いているような気がした。
    強い風が吹き荒れる中を注意深く耳を澄ましてみると、どこからが聞こえるのだ。
    茶色の髪の毛を濡らして寒そうに震えているキキの声が。
    自分が濡れてもかまわなかった。
    キキが凍えていることだけが気がかりだった。
    誰も歩いていない町の中を一人でキキを探しさまよう。
    この雨ならどれだけ泣いてもわからない。
    キキを見つけた時に泣き顔を見られることはない。
    自分の準備は万端だ。
    家には食事も用意してあるし、キキに似合いそうな可愛い服も買ってある。
    子犬ではなく、人間として愛してあげることができる、そんな心も持っている。
    ただ、ないのはキキだけ。
    誰よりも愛しているキキをこの腕に抱きしめないと、何もないのと同じだ。
    だから、キキを探す。


    だけど、嵐の夜なのに、キキはどこにも見つからなかった・・・。


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▲[ 2160 ] / ▼[ 2174 ]
■2161 / 2階層)  ほんとごめんなさい・・・
□投稿者/ みな 一般人(2回)-(2005/08/01(Mon) 01:58:28)
    どんだけ待たせるんだ!!って話ですよね。
    大学生活にも慣れ、テストも終わり、夏休みに入りました。
    この話も完結できそうな感じです。
    ご主人の想いがキキに届きます様に・・・との思いを込めて書いてます。

    そのうちまとめサイトでも作るつもりです。
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▲[ 623 ] / 返信無し
■2175 / 1階層)  ネコと子犬と一人の飼い主 最終話
□投稿者/ みな 一般人(3回)-(2005/08/02(Tue) 04:00:51)
    どんなにひどい嵐でも、いつかは太陽の光が差しこむということ。
    それを教えてくれたのは君だった・・・。


    一晩中暗い街を歩いてしまい、家に帰る頃にはすっかり体が冷え切っていた。
    結局キキは見つからず、一人で倒れ込むようになんとか玄関に入ることができた。
    足は棒のようになり、ベッドまで歩く気力はない。
    夜通し歩いたので疲れてしまった。
    玄関のフローリングが冷たくて気持ちいい。
    それとは逆に悪寒のようなものが背筋を走り気持ちが悪い。
    風邪を引いてしまったのだろうか。
    いや、確実に引いている。
    冷え切った体を暖めるには熱いシャワーを浴びればいいのだが、バスルームに行く体力は残っていない。
    キキがいれば、きっと私をベッドに運んでくれた。
    いつも飲んで帰ってきた時には、そうやって運んでくれたから。
    小柄な体格に似合わず意外と力があって、私をベッドに寝かせてくれた。
    水を持ってきて口移しで飲ませてくれた。
    私が眠るまで横にいてくれた。
    朝食の準備を私に代わってしてくれた。
    だけどその時はいつもトーストと目玉焼き。
    ワンパターンでしかもちょっと焦げてて、笑いながら食べるとキキはいつも拗ねた。

    それが日常だった。

    悔しいけれど、その日常を消し去ったのは自分だ。
    キキはいつも側にいた。
    私はキキのことを何も知らないし、知ろうともしなかった。
    側にいればそれでよかった。
    嵐が運んできた出会いは、嵐が奪い去っていくのだろうか。
    側にいることも許されないのだろうか。
    「キキ・・・」
    一晩中流れたので涙は枯れてしまったと思っていた。
    しかし、冷たいフローリングを熱く濡らしているのは明らかに涙だ。
    フローリングを熱く濡らすくらい、キキと愛し合ったのに。
    そのフローリングは今、冷たく、熱く、涙で濡れている。
    「キキ・・・!!」
    バイブもローターも鞭もロープも何も必要ない。
    そんなものなくても愛せる。
    キキを縛るものは何もないけど、ずっと側にいさせる自信だってある。
    なのに・・・目の前にキキはいない。
    愛すべき人がいないということがどれだけつらいことなのか。
    溢れ出す涙が物語っている。
    「キキ!!」



    「ご主人様・・・」



    「えっ・・・?」
    「ただいま」
    そこにはキキが立っていた。
    Tシャツとジーンズというさっぱりした格好で、ドアを開けて立っていた。
    まだ時計の針は朝6時を差している。
    幻覚じゃないのかと思った。
    手を伸ばすと、キキは握り返してくれて、それは確かに人の温もり。
    「また、こんなところで寝てるのですか?僕、驚いちゃいましたよ・・・ベッドに行きましょう」
    ゆっくり支えられて立ち上がると、頭に溜まった熱が下へ降りていく感じがした。
    「あらら、熱がありますね。風邪薬はどこにありますか?」
    「どこに・・・行ってたの・・・?」
    まぎれもなくキキの体だ。
    いつもと変わらないキキの声だ。
    熱で幻覚を見ているのではなく、すぐ側にいるのだ。
    「僕は・・・怖くて逃げていました。もう帰らないつもりでした・・・合わせる顔がないから」
    ベッドに寝かせてくれて、キキはベッドサイドに立ったまま語る。
    「だけど・・・すごく、すごくご主人様が好きだから・・・会いたくなったんです」
    「うん・・・」
    「僕は、ご主人様が好きです・・・大好きなんです」
    涙目で私に語りかけるキキは今までにないくらい可愛い。
    だけどそれは子犬の瞳じゃない、少女の瞳だ。
    飼い主に対する愛情ではなくて、一人の人間に対する愛情。
    それが私に伝わってくるくらいに、真剣で切実な眼差し。
    こんな感情は味わったことがない。
    何とも言えないくらいに喜びがこみ上げてくるのだ。
    「ねぇ、キキの本当の名前を・・・教えて?」
    耳元で囁くように、キキは本名を告げた。
    本当に可愛らしい名前で、その名前を脳内で何度も反芻した。
    「私も・・・・・・が大好きよ」
    「ご主人さまぁ・・・!!」
    嬉しそうに抱き付きながら、私にキスをしてくれた。
    私は本当に嬉しくて、何度も髪の毛を撫でながら愛してると囁いた。
    女同士だからと、他人から避難されてもかまわない。
    ただ一緒にいて、お互い愛し合うことができるのならそれでいい。
    「『御主人』って呼ばれるのはフェアじゃないわね」
    対等な関係で、対等に愛し合いたいから。
    「ご主人様の・・・名前は何ですか?」
    私はニッコリと笑って、その茶色の髪の毛をかきあげる。
    まだ赤い瞳に語りかけるように、私は私の名前を彼女だけに教える。



    「私の名前は・・・・・・」






















    嵐が止んで、太陽が見えた時に、側にいるのは君だということ。
    それは当然のようで特別なことだから。
    たとえ今まで与えていた愛が一方通行だったとしても、必ず想いは伝わっているはず。
    これからはお互い愛し合えるのだから、想いはもっと伝わるから。


    嵐の中でも、君となら歩くことができるから・・・・・・


                       〜END〜


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▲[ 2161 ] / 返信無し
■2174 / 3階層)  復活おめでとぉ↑↑ございます(((ο≧∇≦)
□投稿者/ 杏奈 一般人(1回)-(2005/08/02(Tue) 02:20:03)
    めっちゃ楽しみにしてました(>▽▽<)o

    続き頑張って書いて下さいね(◎'з<)
    楽しみに待ってます☆彡

    (携帯)
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▲[ 623 ] / 返信無し
■2176 / 1階層)  NO TITLE
□投稿者/ まみ 一般人(2回)-(2005/08/02(Tue) 07:57:10)
    お疲れ様でした★
    最後スゴィ感動して朝から泣いてしまいましたι笑
    気になるんですがララはどうなったんですか?

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▲[ 623 ] / 返信無し
■2178 / 1階層)  お疲れさまでしたvv
□投稿者/ キョウ 一般人(1回)-(2005/08/03(Wed) 10:06:48)
    みなサン、お帰りなさい!帰ってきて下さってとても嬉しいデス(*^O^*)
    最終話…読みました。ご主人様とキキとララがそれぞれ幸せになってくれて本当に嬉しかった。思わず最後は目頭が熱くなりました…(/o\*)感涙
    お忙しい中、最後まで書き上げて下さって本当にありがとうございました!!これからも、みなサンを応援しておりますvv

    P.S.サイトが出来ましたら是非教えて下さいvvもぉ〜スッ飛んで行きますvv(*^^*)笑

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▲[ 623 ] / 返信無し
■2186 / 1階層)  あっ続きが
□投稿者/ のの 一般人(2回)-(2005/08/06(Sat) 01:28:47)
    と思ったら最終話…ハッピーエンドで安心しまいた。
    お疲れ様でした。

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