| 真里菜は、部屋で佐々木の帰りを待った。
それから、数時間・・
ドアの音がした。
ガチャ・・
そこには、まだ顔色のすぐれない佐々木の姿があった。
「お姉さま!」
真里菜は佐々木の胸に飛び込んでいった。
佐々木は、驚いたような顔で
「ここで待ってたの?恵子さんは?」
「お客さまは、もう早くに帰られたので、私、ここで待ってたんです。」
「何か言ってた?」
「いいえ。暫くしたら戻るわって言って出ていかれましたよ」
真里菜は、何も言わなかった。
「それならいいわ。でも、真里菜、今日仕事休んだの?」
「今日は、休んじゃいました。」
佐々木は、にっこり微笑んで、ソファに腰を下ろした。
「昨日、お姉さまに食べていただこうと思って、食事つくったんですけど、食べま
せんか?」
「うん。今まだお腹空いてないけど、じゃ、後でいただこうかな。」
「じゃ、それまで甘えていいですか?」
フフフと、佐々木は笑って、真里菜を抱きしめた。
真里菜は、今にも、泣きそうだった。
佐々木に分からないように、胸に顔を埋めた。
「ごめんね・・心配ばかりかけて・・」
佐々木は、真里菜の髪を撫でた。
佐々木の手は、とても冷たかった。
「お姉さま・・」
「どうしたの?」
「一緒眠りたい・・」
佐々木は、にっこり笑って真里菜の顎をそっと持ち上げ、キスした。
「じゃ、ちょっとシャワー浴びてくるわ。」
佐々木がシャワーを使っている隙に、真里菜は預かった薬をそっと、佐々木の枕の
下へ忍び込ませた。
佐々木の後、真里菜もシャワーを済ませベッドにもぐった。
佐々木の枕の下にそっと手を滑り込ませた。
薬は消えていた。
「お姉さま、一緒に眠ってください・・少し眠い・・」
佐々木は、ベッドに入り真里菜を抱きしめた。
真里菜は、佐々木の胸の中で、眠ったふりをした。
佐々木は、しばらく真里菜の顔を見て、そっとキスし、そのまま眠っていった。
そっと目を開けて、佐々木の寝顔を見る。
透けてしまいそうな、肌の色・・、少し目の下に隈ができている。
(お姉さま・・。)
真里菜は、そのまま、佐々木の胸に顔を埋めた。
温かい・・・
その温かみで、真里菜もゆっくりと眠りに落ちていった。
(つづく)
|