| 『中嶋さん?
ちょっといい?』
同じフロアで働く別の部署の女性が、
突然私の席に来て声をかけてきた。
私、中嶋智子。27歳。
某メーカー会社の教育部に所属している。
新人教育をはじめ、社内の各システムの教育を一貫して行う教育専門部署だ。
声をかけてきたのは、私より遥かに若い女性。
顔くらいは同じフロアなのだから知ってるが、
名前も知らないその人は、なんだか機嫌が悪い・・・と言うか、
怒ってる様に感じられた。
トレーニングで何かあったっけ?と一瞬思ったが心当たりも無く・・・
『・・・・はい?何か?』
私は皆目件等が付かず、怪訝な顔だったかもしれない。
『5分程度でいんだけど・・・ちょっと話せない?』
確実に年下で、はじめて話をするのにタメ口かよ!と思いながら
『・・・・・いいですけど・・・どちらで?』
仮にも社内のトレーナーである私は、落ち着いた声で聞き返した。
『人がいないところがいいので、屋上』
『いいですよ』
私と、名も知らないその人は、一言も口を利かないまま屋上に出た。
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