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その日部活後の帰り道、君の泣き顔が頭から離れなかった。 もっと抱きしめてあげれば良かったと思った。 そんなことを思いながら駅についた。 フッっと目に入ったのが、うちの制服を着た学生が2人仲良さそうに歩いていた。 ドクンっと心臓が脈打った気がした。 それは君の彼女が他の女と歩いていたんだ。
「ねぇ、今日は彼女さんとデートじゃなかったの?」
「ああ〜いいのいいの。最近アイツに飽きてきたしさ〜そろそろ終わりかな〜」
「フフッ、そしたら私と付き合ってよ」
そんな会話を耳にしてしまった。聞くんじゃなかった。 頭からスーっと血が引いてくような感覚お覚えた。 こんなヤツに君は渡せないって心から思ったんだ。
次の日、学校に着き昇降口で私はある人物を待っていた。 数分後、その彼女はやってきた。
「おはようツカサ」
『おはよう』
上履きを履いている彼女の後姿に話しかけた。
『この間の話しなんだけど…』
ピクっと彼女の動きが止まった気がした。
『協力するよ』
「フフッ、急にどうしたの?この前は嫌がってたじゃない」
振り返り、笑顔を向けてきた。
『その代わり、こっちにも協力して欲しいんだ………カオリ』
「ふ〜んそぉゆうこと……いいわ。とりあえず昼休みにでも話しましょ」
『分かった』
私はそう言って、カオリを後にした。 あの女をどうにかしなきゃ気が済まなかった。君の彼女を。 そう思いながら廊下を歩いていた。
教室の前に着いたとき、後ろから声をかけられた。
「ツカサちゃん!!」
君が笑顔で走ってくる。
「昇降口で待ってたんだけど、全然こないから…」
君は少し照れくさそうだった。
「あのね、仲直りした!!昨日はホントありがとうね」
満面な笑みが向けられた。 心臓がズキっとした。 君が切なくて、可哀想で、思わず手を君の頬に持っていってしまった。
「…?ツカサちゃん?」
その言葉で我に返った。不信に思われたか焦ってしまった。
『泣き虫ヒトミ』
そう言って頬を軽くつねって誤魔化した。
「もぉぉお!!」
君は少し赤くなり頬を膨らませた。
「ヒトミじゃなくて、ヒトミ先輩!!」
君も照れているのを隠しているようだった。 そんな彼女が愛しかった。 やっぱりあの時抱きしめておくんだったと後悔した。
私は少し君の彼女に感謝していた。 これで君が私のものになるかもしれない。 こんな絶好のチャンスを見逃すものかと思ったんだ。
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