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気分がいい。 暇つぶしの相手ででも君が私を求めてくれた。 また屋上へ行こう。君に会いに。
久しぶりに心が晴れている。 君と別れて教室に向かっていた。
「あの人だぁれ?」
カオリか。
『ちょっと…ね』
「ふ〜ん…」
別に隠しているつもりもないが、言うつもりもない。
『まぁいいじゃない』
そう言って教室に入る為にカオリと別れた。
その週は何もなく過ごした。屋上にも行った。 君とも楽しく過ごせた。気分がいい。
そして次の週になった。 今日はまだ火曜日だ。本番は金曜日。まだゆっくりしていて平気だろう。 今日は火曜日。火曜日の4限は君が屋上にいる。
購買でジュースを2本買った。1つは君にあげよう。 屋上へ向かう足が少し浮かれてる。 扉を開けるとやっぱり君がいた。 後ろ姿の君にそっと近づいた。冷たい缶ジュースを君の頬に当てた。
「ひゃっ!」
『アハハ、いると思った。ビックリした?』
缶ジュースを君に差し出した。
「ビックリしたよぉ〜。くれるの?ありがとう」
今日は暑い。君は喉がカラカラなのだろうか、缶ジュースをゴクゴクと飲んでいた。
「ぷはぁっ」
『クックックックッ』
そんな君を見て思わず笑ってしまった。
「何笑ってるの?」
『いや、別に』
無邪気で可愛すぎるんだよ君は。
「屋上きたの久しぶり?」
『そぉだね。久しぶりって程でもないけどさ。ヒトミの暇つぶしの相手しにきてあげたんだよ』
「えへへ」
『ヒトミは寂しがりだからねっ』
ニヤッと視線を向けた。
「だから、違うってば!!もぉ〜」
その反応が私のツボなんだよ。君はわかってやってるのか?
楽しい時間を過ごした。 君も笑顔だった。
4限を終える鐘が校内に響いた。
「もぉ終わっちゃった…」
時間が過ぎるのが早いな。
『戻ろうか…』
「うん」
2人で肩を並べて階段を下りていた。
「ヒトミ!」
階段下で君が名前を呼ばれた。
「アユム!」
相馬がいた。
「ごめん先行くね。じゃあね」
そう言って君は階段を一気に下りていった。 その腕を捕まえてしまいたかった。 でも私にはその術はない。
「どこ行ってたんだよ〜」
「えへへ、ちょっとね」
そんな会話をしている2人の背中を見送った。 心が痛かった。
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