SMビアンエッセイ♪

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■4133 / 親記事)  お詫び
  
□投稿者/ 麻琴 一般人(1回)-(2007/01/24(Wed) 23:43:53)
    久しぶりに投稿いたします。

    前回、作品を掲載させていただきました際、
    二転三転するストーリーで筋書きを考えており、
    肉付けをしながら作成をしておりました。
    ところが、話を膨らませすぎて収拾出来ない状態のままで今に至っております。
    続きを楽しみにしています!等のありがたいお声のメッセージを頂いておりましたが、
    次回作の掲載は取りやめにさせていただきたく思います。
    この場をお借りしまして一言。
    申し訳ありません。

    新しい作品になりますが、
    今回は実話に基づき作品にしてみました。
    (出てくる名前は仮名です。)
    ですので、あまり激しい内容ではありません。
    あ!SMのジャンルから逸脱していたらスミマセン。

    お読みいただけますとおわかりになると思いますが、
    今回は副音声風に仕上げてみました。

    出来ましたら頭の中でシーンを組み立てながらお読みいただけると嬉しいです。

引用返信/返信 削除キー/
■4134 / ResNo.1)  一話
□投稿者/ 麻琴 一般人(2回)-(2007/01/24(Wed) 23:44:56)
    「お疲れ様です」

    星 冴子が自販機の前でコーヒーが出来るのを待っていると後ろから声を掛けられた。

    声を掛けたのは違う部署の矢吹奈々。

    『あ、お疲れ様です』

    矢吹に向き直り、社内用の挨拶を交わす。

    『寂しくなっちゃいましたね』

    先日、矢吹と同じチームの同期が一人退職したばかりだった。星はそのことを言っているのだ。

    「・・・・はい」

    矢吹の返事も社交辞令ではなく、本当に寂しい気持ちが伝わるものだった。



    「あの・・・」

    『はい?』

    「星さんは寂しいですか?」

    『ん?・・・木村さんがいなくなって?』

    「はい」

    『・・・矢吹さんの様に一緒にお仕事してたわけじゃないけど、やっぱり今までいた人がいなくなるのは寂しいですよね』

    考えていることが読み取れない表情の矢吹。言葉が出ない。

    「・・・」

    『どうしてそんなこと聞くの?』

    「木村さんと仲良しだったんですか?」

    少々ぶっきらぼうな聞き方をする矢吹。

    『(笑)いいえ。プライベートでお話したことないですよ』

    「木村さん、泣いてたんです。星んからのメールで」

    『あぁ、チームの方に聞きました。(お元気で!)ってメールしただけだったんですけどね。なんか悪いことしちゃったかなぁ』

    「どうしてメールを?」

    『意味はないですよ。部は違うけどプロジェクトで関わりがあったので、やっぱり距離が近い感じがしていたんです。それで・・・・。やっぱおかしかったかなぁ。突然のメール』

    「嬉しかったみたいです。それで涙が出てきたみたいで」

    返答に困る星。

    『・・・』

    「私が辞める時もメールくれますか?」

    やはりぶっきらぼうに質問する矢吹。

    『え?辞めちゃうの?』

    「辞めるときです」

    『ん〜・・・どうしよっかんぁ〜(笑)』

    少し意地悪く言ってみる星。

    「あの・・・」

    言いにくそうに矢吹。

    『ん?』

    「・・・・」

    自分から話をしておいて言葉に詰まる矢吹。

    『どうしたの?なんか変よ。(笑)』

    「・・・・」

    『何か話しが・・・ある?』

    「あの・・・」

    『本当にどうしたの?辞めちゃうの?』

    「いいえ、今のところは」

    『・・・えっと・・・私はどうしたらいい?(笑)』

    コーヒーは既に星の手にあり、席に戻りたい風だ。

    「・・・」

    しかし口ごもる矢吹。

    『何かあったらメール頂戴。何もなくてもメールくれていいけど(笑)・・・・んじゃ行くね』

    いつまでもここにいても仕方がないと判断し、星は立ち去った。

    「はい。スミマセン。」

    言いたいことがあるのに何も言えないもどかしさを堪えている風な矢吹。
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■4135 / ResNo.2)  二話
□投稿者/ 麻琴 一般人(3回)-(2007/01/24(Wed) 23:45:30)
    矢吹は自席に戻り、一通り仕事を済ませ、星にメールを送った。

    ‘先ほどは失礼しました。お時間があるときにゆっくりお話できませんか?’

    間もなく星から返信がくる。

    “お疲れ様です。さっきはおかしな矢吹さんでしたね。仕事が忙し過ぎてどうかしちゃったのかと思いました(笑)

     いつでもいいですよ^^帰りにお茶でもいかがですか?”

    ‘ありがとうございます。今日の帰りとかでもいいですか?’

    “今日でもいいですよ。定時で上がれるので。矢吹さんの定時は何時ですか?ちなみに私は17時45分です。”

    ‘私の定時は6時です。少し待ってていただけすか?’

    “了解です。では、18時10分に2Fのソファーってことでどうですか?もしも急なお仕事が入ったら連絡し合う。ということでいかがでしょう。”

    ‘ありがとうございます。6時10分に2Fで・・’


    星は定時ピッタリにPCの電源を落とし、少し早いが約束の2Fに向かった。

    ギリギリまで席にいると何が起こるかわからないからだ。

    逃げられる(?)時に逃げておかないと!

    「すみません。お待たせしました」

    『お疲れ様です。待ってないですよ(笑)矢吹さん時間通りだし。どこに行きましょうか』

    「星さん、お食事とかは・・・無理ですよね?」

    『どこかおいしいところ教えてもらるんですか?』

    「あ、いえ、大してお店知らないので・・・」

    『んじゃ新規開拓でどこか行きますか?』

    「大丈夫なんですか?」

    『全然平気よ(笑)どして?ところで矢吹さんのお住まいは?』

    「池袋です」

    『んじゃぁ、新宿方面なら帰り不便じゃないですよね?』

    「私はどこでも。星さんは。。。吉祥寺でしたっけ?」

    『お!知ってるの〜。すごーーい(笑)池袋でお薦めのお店があったらそこでもいいけどな』

    「池袋詳しくないのでスミマセン。とりあえず新宿に行きませんか?」

    『新宿ね。OK!池袋地元なのに詳しくないの?(笑)モグリだわ』

    たわいない、どこにでもいるOLの会話をしながら新宿へ。
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■4136 / ResNo.3)  三話
□投稿者/ 麻琴 一般人(4回)-(2007/01/24(Wed) 23:46:08)
    新宿東口の改札を抜け、アルタ前に出た二人。

    『新宿も久しぶりだなぁ〜。相変わらず凄い人でおばちゃんは疲れてしまう(笑)』

    星は今年で29。三十路手前の星からは冗談抜きで自然に出た言葉だ。

    「やだぁ、おばちゃんだなんて(笑)」

    矢吹は24になったばかり。

    『ところで新宿は詳しいの?』

    「いいえ。全然」

    『なぁんだ(笑)んじゃ適当にインスピレーションでお店見つけますか!』

    「はい」

    適当に歩きながらお店を散策する。

    『ここ、どんなだろ。イタリアンだね。平気?』

    「はい。好きです。」

    東口から南口に抜ける途中、見過ごしてしまいそうな重々しいドアが目に入った。

    高級店じゃないわよね。と思いながら中を覗く星。

    (いらっしゃいませ。ご予約ですか?)

    『いいえ。』

    矢吹に向き直り

    『覗いただけだったのに見つかっちゃった。ここにする?』

    「はい」

    矢吹も同意した。店員に

    『二人なんですけど』

    星が言う。

    (おタバコはお吸いになりますか?)

    『矢吹さん、吸うんだっけ?』

    「あ、はい。」

    『喫煙席でお願いします』

    (こちらへどうぞ)

    「星さん平気ですか?」

    『私も吸える(笑)』

    席に通され、落ち着いた二人。

    『思ったより静かかな?』

    「そうですね」

    店内を見回し会話する二人。

    『まずはドリンクだっけ。何にする?お酒飲めるんだっけ?』

    「はい、飲みますよ。」

    『とりあえず生かなぁ』

    「同じで」

    タイミングよく店員がオーダーに来た。

    (お飲み物からご注文をどうぞ)

    『生二つ』
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■4137 / ResNo.4)  四話
□投稿者/ 麻琴 一般人(5回)-(2007/01/24(Wed) 23:46:46)
    メニューを見ている矢吹さんに

    『何か気になるものある?』

    「いえ。何にしましょうか」

    『コースでもいいけど・・・コースってどんな感じ?』

    メニューを覗く二人。

    『コースとアラカルト、どっちにしよっかなぁ〜』

    「コースにしませんか?」

    『そうしましょう!』

    星もコースが楽かな?と思っていたので矢吹の提案に迷わず同意した。

    (生二つ、お待たせしました。お食事はお決まりですか?)

    『こちらのコースを二つ』

    4800円のコースを指さした。

    (かしこまりました。)

    店員が去り、それぞれグラスを手に

    『では、乾杯〜』

    と言ったものの

    『・・・って何に?ん?ま、いっか(笑)』

    星がおどける。会社にいるときよりかなり砕けている感じだ。

    いつもスーツ姿の星は硬く、少々怖く(?)見られることが多い。

    ゴクゴクゴクと流しこんだ後

    『やっぱ冬でもビールだよね〜』

    星がおいしそうに言う。

    「おいしい。喉乾いてたから。緊張しちゃって」

    矢吹も一気に半分飲み干している。

    『ん?何に緊張してたの?』

    「星さんに」

    『私かよ!(笑)って本当に?』

    「そうですよ。会社で話してたときからドキドキしてて」

    『どしたの?私・・・怖い?怖そうに見える?』

    「いいえ。全然」

    『だったらなんで?』

    「・・・・」

    また読み取れない表情の矢吹。

    『あ、ごめん。また困った顔させちゃった』

    「あ、いえ・・・・」

    『ねぇ、本当にどうしたの?』

    星は会社のときと違い、気さくに話しかけている。

    「改まると言い難いんですけど・・・・」

    『とにかく食べようか!気が向いたら話してくれてもいいし、くれなくてもいいし(笑)いただきまぁ〜す』

    次から次とタイミングよく運ばれてくる食事。

    そして決して高い金額ではないのにどれもこれもおいしい料理に満足な二人。
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■4138 / ResNo.5)  五話
□投稿者/ 麻琴 一般人(6回)-(2007/01/24(Wed) 23:47:18)
    デザートのコーヒーとアイスクリームが出てきたとき矢吹が聞いた。

    「星さん、今夜は何時くらいまで大丈夫ですか?」

    『今夜?まさかオールで飲もう!なんて言わないよね?(笑)ま、金曜日だし、終電でもいいけど』

    「新宿とかでは飲まないですか?」

    『新宿は来ないなぁ。六本木とか青山とか、最近はもっぱら地元の吉祥寺だけど。

    歳とるとさぁ、地元で全部済ませようと思うわけよ。お買い物もお食事も遊びも』

    「歳歳って全然若いじゃないですか!」

    『あ、知らないね?私の実態を(笑)もう目も薄くなるし耳も遠くなるし足腰痛いし・・・・ってそこまでじゃないよ!(笑)』

    本当に会社とは全然違う星。気さくなお姉さん。といった感じだ。

    「二丁目とか行ったことないですか?」

    矢吹が少し声を落として聞いた。

    『二丁目?・・・新宿の・・・二丁目?』

    「はい」

    なんで二丁目の話なんか?と星は思ったが、そのまま続けた。

    『あるよ。若い頃。もう10年前の話かなぁ?あ〜懐かしい。若かりし頃・・・シミジミって感じよね』

    「この後行きませんか?」

    間髪入れず矢吹が言う。

    『えぇ?興味があるの?』

    「・・・はい」

    星は、ちょっと迷ったが口を開いた。

    『聞いていいのかわからないけど、矢吹さんって同性愛者?』

    「人によります」

    下を向いて答える矢吹。

    『え?そうなの?んじゃ博愛主義ってことね(笑)』

    「星さんのこと好きです」

    『・・・・あ、ありがとう。それはどっちの意味?博愛?同性愛?』

    「・・・わかりません。初めてだから」

    やはり顔を上げない矢吹。

    『んで?なんで二丁目?』

    「一度行ってみたかったんですけど、なかなか誘える人がいなくて」

    『それで私かよ!(笑)いいよ。当時のお見せはもうほとんど残っていないと思うから案内は出来ないけど』

    「いいんですか?本当に?」

    『うん。矢吹さん狙われそう(笑)声掛けられて気に入った人いても私を残して消えないでね(笑)』

    「そんな。離れませんよ!星さんから」

    ここで初めて顔を上げる矢吹。

    『んじゃ、そろそろ出ますか?』

    「はい」

    会計を済ませ、新宿通りに戻り四谷方面に歩く二人。人ごみはまだまだ凄い。
引用返信/返信 削除キー/
■4139 / ResNo.6)  六話
□投稿者/ 麻琴 一般人(7回)-(2007/01/24(Wed) 23:47:49)
    ゲイのお店が並ぶ界隈に入り込む二人。

    『どこにする?お任せします。ついて行きますから』

    星は矢吹に言う。

    「えぇ〜困ったなぁ。」

    初めての街を興味と不安の目で見回す矢吹。

    『来たかったんでしょ?だから気になるところに入れば?』

    ウロウロ・・・ウロウロ・・・の矢吹。

    『ショウガナイな!(笑)じゃちょっとこっちに来てみて。まだあるかなぁ?』

    ある路地を入り、レンガ作りのビルを確認する様に眺める星。

    『このあたりのビルなんだけど・・・・。あった!看板見っけ!』

    ある看板を見つけ星が言う。

    『私が決めていいの?』

    矢吹に確認する。

    「すみません。お願いします。」

    自分から二丁目に行きたいと言っておきながら何も出来なかった自分を恥じている矢吹。

    『どういたしまして。人生の先輩ですから(笑)』

    明るく答える星。



    ビルの入り口は細い。

    そして何の飾りもないエレベータにのり5階で降りた。

    矢吹は星のあとをピッタリくっついて歩いている。

    そして星はあるドアを開けた。

    (いらっしゃいませ〜お二人さん?)

    女性の様な男性の様な声が聞こえた。

    『はい』

    (一番奥の席へどーぞぉ〜)

    『一番奥だって(笑)』

    星は矢吹に笑いながら言った。

    全てカウンター席で、20名位は入るだろうか。

    壁を背に座っている脚の背後を横になりながら通り過ぎ、奥のカウンターイスに腰掛けた二人。

    「凄いですね」

    星の耳元で話す矢吹。

    『ん?あぁ、みんな(笑)』

    驚きと好奇の目で見ている矢吹に星が答える。

    「入り口でキスしてる人がいました」

    少し興奮気味の矢吹。

    『ま、唯一周りを気にしないでイチャつける場所だからね』

    冷静に答える星。
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■4140 / ResNo.7)  七話
□投稿者/ 麻琴 一般人(8回)-(2007/01/24(Wed) 23:48:50)
    星はコートやバッグを整理して置く間、矢吹は周りから目が離せないでいる。

    (お食事ですか?お酒?)

    お絞りを渡しながら店員が聞く。

    綺麗な顔立ちの少年っぽい女性だ。

    『食事は済ませてきたのでお酒を・・・私はバーボンロックで。矢吹さんは?』

    「えっと・・・・モスコミュール」

    (はい)

    『モスコかぁ〜。スンゴイ若い頃飲んだ気がする(笑)』

    「お酒は何が好きですか?」

    『最近はバーボンとかブランデーをストレートでチビリチビリ。若い頃はブランデーベースのカクテルがもっぱらだったけどね』

    「いきつけとかあるんですか?」

    『今は吉祥寺かな?昔は勤務が渋谷だったので六本木や青山が多かったけど。矢吹さんは?』

    「私はそんなカッコいいバーなんて行った事ないので。今度連れて行ってください」

    『いいですよ^^んじゃお酒に強くならないとね』

    「星さん、強そうですね」

    『え?え?ホント?そう見える?強いよ(笑)』

    「(笑)やっぱり好き。星さんのこと」

    今度はしっかり星の顔を見ていう矢吹。

    『なんかどさくさに紛れて言われたって感じ(笑)』

    「手を繋いでもいいですか?」

    少しずつ自分の気持ちをハッキリ伝え始める矢吹。

    『え?手?』

    「やっぱり嫌ですよね?」

    少しだけ暗い顔になる矢吹。

    『いいよ。』

    明るく星が言い、カウンターの下で手を伸ばす。

    星の左手と矢吹の右手。ためらうことなくしっかり握られている。

    『これでいい?』

    しっかり握り合った手。星が確認すると

    「・・・嘘みたい」

    矢吹は感激しているみたいだ。

    『嘘じゃないわよ。もしかして本当に私を好きになってる?』

    今までのことを冗談とでも思っていたのか星が言う。

    「最初から言ってるじゃないですか!好きだって」

    真面目な顔で答える矢吹。

    『彼氏いるんでしょ?』

    「いると言うかいないと言うか・・・もう別れるんです」

    『私のせいにしないでよ』

    「半分星さんのせいです」

    『まったぁ〜(笑)彼氏と別れて私と付き合うの?』

    「付き合ってくれるんですか?」

    矢吹は真面目な顔をしている。

    『今日みたく食事したり飲みに来たりで親睦を深めますか?』

    「それって友達ってことですよね?」

    『友達以上を求めてるとなると親友ってことになりますね〜』

    「意地悪!」

    矢吹は星があまり真剣に受け止めてくれていないことに苛立ちを見せ始めた。
引用返信/返信 削除キー/
■4141 / ResNo.8)  八話
□投稿者/ 麻琴 一般人(9回)-(2007/01/24(Wed) 23:49:51)
    少し間をおき星が言う。

    『ちょっと真面目に話してい?』

    「はい」

    矢吹も星に向き直った。

    『私に何を求めてる?』

    星はゆっくり聞き始めた。

    「わかりません。わかりませんけど・・・好きでたまらない。苦しいんです」

    『恋愛は苦しいっていうけど、好きになっても仕方ない人を好きになったから余計に苦しんじゃないの?』

    「好きになっても仕方ない・・・人?」

    半分呟く様に言う矢吹。

    星も真面目に答えている。

    『その時だけを楽しむにはもう若くないのよ。私は』

    「その場だけって・・・」

    『きっと男女と同じ関係を求め始めるわよ。恋愛になると。』

    「どういうことですか?」

    『・・・矢吹さんが彼氏とすることをそのまま当てはめればいいわ。』

    「彼氏とすること・・・・」

    『おしゃべりして食事してドライブして映画見て・・・それだけだったら仲がいい友達でいいわけじゃない?

    でも彼とはキスもするしセックスするでしょ?』

    「私・・・星さんとキスしたいしセックスも・・・したい」

    握っていた手をゆっくり離そうとする星の手を、より強く握りしめる矢吹。
引用返信/返信 削除キー/
■4142 / ResNo.9)  九話
□投稿者/ 麻琴 一般人(10回)-(2007/01/24(Wed) 23:50:24)
    2007/01/24(Wed) 23:51:06 編集(投稿者)

    星は言葉を探していた。いや、慎重に言葉を選んでいるという感じだろうか。

    『矢吹さん・・・経験は?』

    「同性同士ですか?」

    『そう』

    「ありません」



    少し間をおいて

    『私はあるの』

    「え?」

    驚きを隠せず、星を見つける矢吹。

    『すっごく好きになた女性がいたの。今でも好き。多分一番かな?いい思い出しか残っていないからだと思うの。だから一生好きだと思う。』

    「・・・・」

    星はゆっくり話し始めた。

    『歳は一つ下だったかな?前の職場に数ヶ月遅れで中途入社した帰国子女だった。なんだか急激に仲良しになってね。

    んで、彼女の誕生に横浜のホテルを予約したの。変な意味はないのよ。ただ、ゆっくり二人で時間を過ごしたかっただけ。

    部屋のあちこちにアロマのローソク置いてね。部屋で乾杯して。んで、イザ寝ようって時に彼女が言ったの。

    (お風呂、てっきり一緒に入るかと思ったのに)って。その時は全然エッチすることなんて考えていなかった。

    純粋に一緒にいたかっただけ。でもだんだんこの感情って恋愛?って思う様になってね。彼女には彼氏がいたかから結構嫉妬もした。

    休日に誘っても(彼に聞いてみる)とか言うから(彼の言うなりなの?)って喧嘩したり。

    そうしたら彼女(そうだよね。言われるまで変だってことに気が付かなかった)って言ってた。

    それからかな?二人で泊りがけで旅行に行ったり会社の帰りによく飲みに行ったり。

    会社の更衣室でね。誰もいないのを確認してキスしてた。音が出ない様に(笑)』

    「・・・・」

    じっと聞き入る矢吹。

    『これ以上好きになれないってくらい好きになっててね。自分でも自分が押さえられないくらい好きになってた。

    彼女も同じこと言ってくれてた。

    ある時ね、彼女が(こんなに好きになってどうしたらいんだろ。)って言ったの。

    それで・・・別れた。

    っていうか、友達に戻ったの。

    最後の夜、いつも行ってた渋谷のバーの前で別れたんだけど、もう体中の水分が流れ出たみたいに泣いた。

    辛くて苦しくて・・・。

    それから暫くして私は会社を辞めた。彼女が原因じゃないわよ。他にやりたいことがあってね。

    それから数ヶ月して、違う友達から彼女はアメリカに帰ったって聞いた。一度だけ、アメリカからエアメール貰った。

    書かれていた住所、今でも大切にメモしてある。

    もう7年も前の話しだからきっともうそこにはいないだろうし、結婚して子供もいるかもしれない。

    私も転々と引越ししてるしね。でも、ずっと心の中で思ってるの。彼女のこと。

    唯一、誕生石のピンキーリングをお互いの誕生日に贈りあったんだけど、それが宝物。

    誰にも言っていないけど大切な宝物。』

    「大切にしまってあるんですか?」

    『ううん?お財布に入ってる。ちょっと邪魔なんだけどね(笑)』

    邪魔とか言いながらも全然そんな風に思っている様子ではない星。
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