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『いらっしゃいませ。』
「貸出人形館(レンタルドール)へ」
木製の扉を開けば、出迎えるは、黒髪ストレートに栗色の眼をした女の子。
その奥には、黒色のテンロガンを被った怪しげな人が一人、背もたれのついた、ふかふかの椅子に構えていた。 腕掛けに手を置き、偉そうに言った。
『つったってないで、入ったら?貴婦人。』
栗色の眼をした女の子は、一礼して扉を閉める。そして、私を怪しげな人の前まで、手を引いた。
『ご要望はありますか?』
怪しげな人、という表現は性別がどちらか判別が付きにくかった。
声はそこまで低くないが、顔は中性的とでもいいましょうか。
どちらにせよ、人に代わりはないのだ。
「娘の世話をしてくれる方を探していますの。」
『実の娘の世話を人形(ドール)に?』
「はい。私は忙しくてあまり構ってあげられないものですから。」
『では…そこに立っている人形でどうですか?美しいでしょ?』
怪しげな人が指すのは、先程出迎えてくれた、栗色の瞳の女の子だった。
「よろしくお願いします。奥様。」
怪しげな人は、貸し出し料として、500万を要求した。
(携帯)
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