|
『くだらねぇこと思ってないで練習しろっチビ。』
あたしの頭を楽譜の角で小突く。
「いだ…」
そんな奴はあいつしかいない。
同じバンドメンバーの、リーダー兼ボーカル。
アキラ(22)
その容姿は自他共に認める美しさ。 歌唱力も人より勝っていて、ユキに誘われて入ったらしい。 皆、アキラを尊敬していた。
「くだらなくないし。本気だもん」
『だから、お前はいつまでも下手なんだよ。時間があれば上手くなれると思ってんだろ?』
「そっ…んなことねぇー!!」
『まぁまぁ、アキラも許してやってよ!瑞穂も反発しないでな?』
あたしたちの喧嘩を止めてくれるのは、最年長の、影のリーダー。
ヒカル(25)
ギターがマジうまくて、流石長いことやってるだけある。
ライブの出演とか製作とかヒカルに任せっきりだ。
『瑞穂、アキラ、ヒカル!お待たせー。』
スタジオの扉が思いきり開かれ、勢いよく現れたユキ。手には缶ビールが四本握られていた。
『待ってましたー!』
アキラはユキからビールを受け取り、タブを起こす。
プシッ。
ゴクゴク。
『ぷはぁーうめぇ♪』
「『おっさん』」
三人が口を揃えてアキラに言う。
週一で、スタジオを借りてあたしたちは練習する。
あたしは、青春を改めて謳歌しているなって嬉しかった。
(携帯)
|