| 2007/11/21(Wed) 04:03:11 編集(投稿者)
カーテンの隙間から、肌色のものが小刻みにうごめいているのが見える。
片桐裕は、覗き込んでいた天体望遠鏡の倍率を上げ、それがなにかを観測しようとした。
激しく上下される腕。汗にまみれた体。レンズ越しにみてもその肌はキメ細やかそうで、ラインからしても女性であることに間違いなさそうだった。 裕の位置からは腹部しか見ることはできないが、ベッドの上で裸になってひとりで汗にまみれるといえば、彼女にはひとつしか思い当たらなかった。
オタノシミチュウ。
ちょうど一年前、天文部があるからという理由だけで選んだ高校の入学祝にかこつけて買ってもらった天体望遠鏡。今日は記念すべき一周年記念の1人観測会、としゃれこんだつもりだった。のだが。
「すげえもん、観測しちゃったな・・・」
裕の家は高層マンションの20階にあり、あたりにはちらほら同じようなマンションが建っている。 たまたまそのうちのひとつに向けたまま調整中、眼に飛び込んできたのがそれだった。
「でも・・・」
のぞきはいけない、と思いつつ、裕はその動きから目が離せなくなっていた。 腕の動きがさらに激しくなってきて、腰が思い切り浮いたかと思うとビクビクと痙攣し、やがてゆっくりとベッドの上に降ろされ、しばらく動かなくなった。
しばらくしてその影がゆっくりと起き上がると、ちょうど横顔が見えた。 「あっ・・・!?」 裕に衝撃が奔った。それは、同じ学年の直海涼子だった。
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