SMビアンエッセイ♪

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■5354 / ResNo.40)   人体観測。20
  
□投稿者/ JEE 一般人(2回)-(2008/06/09(Mon) 00:02:27)
    写真を束ねる音。

    鞄の中を整理する音。

    立ち上がるときの衣擦れの音。

    ドアに向かって遠ざかっていく、小さな足音。


    そのすべてを、裕は背を向けたまま聞いた。


    キィ、と聞きなれたドアの音がして、ゆっくりと静かに閉まる。



    パタン。



    無情な静寂。



    ・・・・・・終わった。

    もう学校であっても話すことはないだろう。

    役員としては、普通に接してくれると思うけど。

    キツイな。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    ふと、気付いた。

    謝ってねぇ。


    どこまで間抜けなんだ。

    ほとんどレイプしといて謝罪の言葉のひとつも出てこないとは。

    謝って許されることでもないし、許してもらえるとも思ってない。

    ただの自己満足かもしれない。かえって不愉快にさせるだけかも。

    しかし、それでも、一言だけでも、謝っておきたかった。


    追いかけるか否か、少しの逡巡ののち、裕は椅子を蹴って立ち上がった。


    そこで。


    ピーンポーン・・・


    ・・・だれだよ、こんなときに。

    勢いをそがれて、居留守をつかってやろうかと一瞬考えるが、
    そんなことをしているうちに涼子はどんどん遠ざかってしまう。

    さっさと用事を済ませてもらって追いかけたほうが早い。


    確認もせずにドアを開ける。

    「はい?・・・・・・!?」





    ドアの先に立っていたのは、直海涼子そのひとだった。


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■5355 / ResNo.41)  そして?
□投稿者/ ヒロミ 一般人(1回)-(2008/06/09(Mon) 12:28:38)
    それからそれから・・・?

    (携帯)
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■5356 / ResNo.42)  NO TITLE
□投稿者/ 優 一般人(1回)-(2008/06/09(Mon) 20:41:40)
    めっちゃ続き気になりますよー!!
    これからも頑張ってください!!

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■5382 / ResNo.43)   人体観測。21
□投稿者/ JEE 一般人(3回)-(2008/06/22(Sun) 23:12:21)
    2008/06/22(Sun) 23:14:16 編集(投稿者)

    予想だにしなかった人を視界に入れて、裕はしばし声を失う。

    涼子はさっき出て行ったままの恰好で、目の前に立っている。

    「・・・・・・・・・えと、」

    「ケータイ。・・・・・・忘れたの」



    あぁ。



    一瞬期待してしまった自分の愚かさに改めて凹む。

    うつ向き気味の涼子の表情は、読めない。



    「・・・取ってくるから、入って」

    涼子を玄関で待たせておいて、踵を返す。


    部屋の中を見渡すが、携帯らしきものが見当たらない。

    鳴らして見つけ出そうと、自分の携帯から涼子に電話をかける。



    ♪〜〜〜〜


    しかし、涼子の最近のお気に入りだった洋楽が聞こえてきたのは、
    すぐ背後からだった。


    ほぼ同時に、背中に人の温もりと柔らかさを感じる。


    「・・・・・・・・・・・・!??」


    涼子しかいない。いないが、ありえない。


    どうする事も思いつかず、抱きつかれたままぎこちなく立ち尽くす。


    心臓がバクバク言っている。


    涼子は背中にぴったり頭をつけているようだから、
    きっと裕のこの鼓動は・・・つまりテンパり具合は、
    ばっちり伝わっているだろう。


    しかし。


    それと同様に、裕にも背中越しに伝わってくる涼子の鼓動が、
    いつもより格段に速く打っていることが感じられた。



    涼子が何か言おうと口を開く、かすかな空気の流れ。

    一瞬の間があって、言の葉を何も紡ぐことなく唇が結ばれる。

    そんなことが何度かあって。

    遂に裕から音を発する。


    「あの……今まで、ごめん。

    私は…最低だった、と、思ってる。

    謝っても謝りきれることじゃないけど…」



    「…好きだったの」


    そこで唐突に、裕の言葉を遮って涼子が言った言葉は。


    「裕のこと。話すようになる前から…」


    あまりにも、覚悟していた現実とかけ離れていて。


    「だから、あんなことされて、ショックだったけど」


    自分をとことん罰するための極限の嘘ではないかと疑えるほど。


    「…さっきのは、嬉しかった」


    真実味を帯びてはいた。



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■5384 / ResNo.44)  待ってました!
□投稿者/ mayu★ 一般人(1回)-(2008/06/24(Tue) 22:42:03)
    ずっと続きが気になってました!
    UPしてくれて嬉しいです!(>▽<)
    ラスト、お早めにお願いします(笑)
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■5385 / ResNo.45)  Re[2]: 人体観測。21
□投稿者/ 優 一般人(2回)-(2008/06/24(Tue) 23:01:36)
    お待ちしてましたよ〜!
    続きがめっちゃ楽しみでっす!期待してますよ〜!
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■5386 / ResNo.46)  ぉ!
□投稿者/ 樹里 一般人(1回)-(2008/06/25(Wed) 23:57:34)
    続きアップされてる!
    そろそろラストっぽい?? 超楽しみにしてますvv
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■5387 / ResNo.47)  キター!
□投稿者/ mal 一般人(1回)-(2008/06/26(Thu) 21:34:54)
    ずっと待ってました!ドキドキものですね!
    続きも期待してます!
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■5389 / ResNo.48)  NO TITLE
□投稿者/ 優 一般人(3回)-(2008/06/29(Sun) 18:54:44)
    続きヤバいぐらい気になります!!!
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■5397 / ResNo.49)   人体観測。22
□投稿者/ JEE 一般人(4回)-(2008/07/18(Fri) 22:02:38)
    口にすべき言葉が浮かばない。


    驚き。

    喜び。

    困惑。

    期待。

    疑念。

    愛情。

    後悔。



    ――欲望。


    さまざまな感情が混じり合って溶け合い、

    裕を縛り付ける。


    つばを飲み込もうとするが喉が干上がって張り付く。

    完全に、思考が混乱している。


    自分は涼子のことが好きで。

    涼子も自分のことが好きだという。


    だが・・・・・・そう簡単に
    めでたしめでたし、といっていいのか?この社会。


    今すぐ振り返って抱きしめたい衝動を、

    罪悪感が押さえつける。


    裕のシャツを掴む涼子の手に力がこもった。


    「半年くらい前・・・学校の屋上で星を見てる裕を見たの」

    「・・・・・・・・・・・・?」

    「6時になればもう真っ暗な季節だった。
    暗闇の中、なぜか屋上に人影があるのが見えて。
    立ち入り禁止なのに、って」


    覚えてる。


    あの日は寒かった。

    けど、寒い日は空気が澄んでるから。

    それに天気もよくて雲がなかった。

    なのに部活が休みだったから、勿体なくて。

    どうせなら普段は入れないところで、って思って、

    人目を忍んで屋上へ向かった。


    「注意するつもりで行ったんだけど。
     私になんか全然気づかないで夢中になって望遠鏡をのぞきこんでる裕が、
     なんか・・・すごく格好良くみえたんだ。
     ・・・私には、夢中になれるものなんてなかったから」


    あのとき、涼子が来てたんだ・・・・・・。

    全然、気づいてなかった(汗)。



    「それからずっと気にしてて。
    でも話しかける機会があんまりなくて。
    だから、裕のほうから初めて話しかけてきてくれた時は
    嬉しかったんだけど・・・・・・」


    ・・・・・・けど?


    「やっぱり『生徒会会計』としか見てくれてないのかぁ、って
     思ったら、ちょっと寂しくなった」


    あ・・・それでか。


    あの時、涼子の表情が不機嫌なままだったことを思い出す。


    ・・・・・・ヤバイ、嬉しい。


    報われるはずがないと思っていた恋の相手が、彼女もまた
    自分を思って悩んでくれていた。

    こんなにうれしいことはない。




    「その日の放課後のことは・・・びっくりしたけど」


    涼子が続ける。



    「裕が私を、体だけじゃなくて愛してくれるなら、

     全部赦すから。

     ・・・・・・私を裕に、あげるから」









    どくん。









    ヤラレタ。








    これに応えなきゃ逆に罪ですよね?神様。






    都合のいい理屈に信じてもいない神様のお墨付きをつけて。











    「あんたがほしい。
     ・・・・・・・・・・・・愛してる」






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