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■6042
/ ResNo.50)
愛琳の家・45
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□投稿者/ 葉
ファミリー(191回)-(2009/07/03(Fri) 01:14:57)
2009/07/03(Fri) 01:18:03 編集(投稿者)
私より早く、絨毯に寝そべっていた瑞雪と雪亮が気配を察した。
居間の扉に二頭が飛びつき、嬉しそうに尻尾を振る……音もなく扉が開き、私は息を飲み込んだ。
「待ちきれなかったのね、愛琳」
ソファに身を沈めた夫人が呟いた。
「少しだけ待ってちょうだい―――今、支度するから……」
夫人がもの憂げに身を起こし、のろのろとソファから起き上がるのを私は見てはいなかった。
愛琳―――小柄な身体に豪奢で重たげな衣をまとい、歩き始めたばかりの幼児のようなぎごちない足取りでこちらに近付いて来る少女を、私は見つめた。
「そんな――――」
口の中で舌が凍りつく。血染めの瑞雪と雪亮を従えた少女は、私にちらりと目を向けて微笑んだ。
私はぞっとした……その笑顔はとろけそうに美しかったが、古風な濃い化粧でも隠しきれないほどの高慢さに満ちていた。
「……日本に来てから、この子は泣いてばかりだったの」
居間の片隅で背中を丸め、煙膏や煙槍を盆に整えながら夫人が言った。
「あまりにも従順に、妓楼の生活に慣れさせられたのね。この子は燕華の命令しか聞かず……それなしには生きていけない子だったの」
夫人は急に貧相に、十や二十も老け込んだように見えた。
「……二年目に、この子は一度死んだのよ。どんなに手を尽くしても食べなくて、みるみるうちに衰弱して……止めさせていた阿片を与えるしかなくなって」
誰に聞かせるためなのか、夫人は早口に喋り続けた。
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■6043
/ ResNo.51)
愛琳の家・46
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□投稿者/ 葉
ファミリー(192回)-(2009/07/03(Fri) 01:50:38)
「―――この子が死ぬ度にね」
震える指先で掴んだ物を何度も取り落としながら、夫人は続けた。
「先刻話したでしょう、この家と生活費をお世話してくれた方のお身内にお願いすると、元気なこの子を連れて来てくれるの―――まだ幼い、纏足も始めていない、汚れなく健やかな愛琳を」
―――私は無意識に後ずさり、みすぼらしい風情で作業に手間取る夫人とそれを眺める少女を見比べた。
夫人は完全に、びくびくと少女の顔色を窺う下僕になり果てていた。
不意に、少女が動いた。
見覚えのある髪飾りが私の目の下を通り過ぎた―――小さな珊瑚玉がしゃらしゃらと音をたて、宙を泳ぐ。
思いもかけぬ素早さだった。少女は夫人に歩み寄り、小さな足を振り上げると、吸煙道具の支度にまごつく夫人の腰を蹴り上げた。玉や青銅、精緻な造りの吸煙道具が音をたてて辺りに散らばった。
夫人は絨毯の上に倒れ込み、私はようやく悲鳴をあげる。
「やめて――――」
声こそ出たが、身体が動かない……少女は倒れた夫人の腰に纏足靴の先を食い込ませ、私を振り返って微笑んだ。
(この婆さん、いつもこうなのよ)
そう言いたげに少女は笑顔で首を振り、足先で靴を脱ぎ捨てた―――少女は、足布を巻いていなかった。
「ああ……愛琳」
剥き出しの足先を突きつけられて夫人は呻き、震える両手で包み込む。
開ききり、枯れ始めたクチナシの香りがにわかに強くなる。
甘く濃密な、生きながら腐敗するものの香りだった。
(携帯)
完結!
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■6063
/ ResNo.52)
NO TITLE
▲
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■
□投稿者/ パト
一般人(1回)-(2009/07/13(Mon) 16:40:41)
一気に読んでしまいました。
ここで完結なのですか?最後が残念な感じです。
すごい引き付けられたので余計。
その後はないのかなぁと
(携帯)
引用返信
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■6064
/ ResNo.53)
NO TITLE
▲
▼
■
□投稿者/ 葉
ファミリー(196回)-(2009/07/14(Tue) 02:47:24)
読んで下さってありがとうございます。
ここまでしか考えていませんでした。
大抵、最後の場面を先に決めて、そこに行きつくように書きます。
最近はそれがちょっと長くなりすぎるので、いかんなあと思っています。
エロくないのも。
(携帯)
引用返信
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■No6064に返信(葉さんの記事) > 読んで下さってありがとうございます。 > ここまでしか考えていませんでした。 > > 大抵、最後の場面を先に決めて、そこに行きつくように書きます。 > > 最近はそれがちょっと長くなりすぎるので、いかんなあと思っています。 > > エロくないのも。 > > > (携帯)
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