SMビアンエッセイ♪

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■6022 / ResNo.10)  possession
  
□投稿者/ 美優 一般人(10回)-(2009/06/30(Tue) 20:07:58)
    しばらく適当に相手の話を流しているうちに、2人分の夕食が運ばれてきた。
    あたしはハンバーグ定食・・・まあありがちな、ハンバーグとご飯、野菜スープとサラダ、デザートにパンナコッタ。そしてカフェオレ。


    ミチルの夕食は、これまた同じハンバーグ定食。唯一異なるのは、あたしが選ばなかったパンのところだけ。





    「まあ、またもや奇遇ですわ!ここまでご一緒なんて・・・ハンバーグはお好き?」



    「・・・・・ええ、まあ、好物ですが」



    「嬉しいですわ、わたくしもちいさい頃から好物なんですのよ」



    「あたしも好きですよ」





    そういうと、ミチルはまぁ、と小さく言って、頬を赤らめた。何を照れているのかさっぱりだ。


    にしても、大崎といえば有名な会社の名前。彼女はそこの会社の次女なんだとか。
    ちなみに、姉が1人いるらしい。詳しくは知らないが。


    今日はミチルは、淡いピンク色の胸元が開いたフリル付きのチュニックに、白いこれまたフリルのミニスカート。
    右手の銀のバングルが時折、彼女の動きに合わせて揺れる。





    「にしてもですわよ、梨乃さんは相変わらずお美しいですわ」



    「・・・・・・はぁ・・・・・貴女の方が見目麗しいと思いますが」



    「あら、謙虚ですのね。でも、結構いますわよ?梨乃さんを狙ってらっしゃる方」



    「そうですか?てっきり、美空への視線かと思って」



    「それもあるのでしょうけど、彼女の場合は有名なカップルではありませんか。
     何せ、あの先輩ですもの」





    そう、美空の恋人は、『ミス・黒百合』。成績優秀、眉目秀麗、まさに才色兼備の生徒に贈られる称号の持ち主だったのだ。
    確か、弦楽器が得意で、理数系では教師も驚くほどの天才ぶりなんだとか。
    まあ確かに、成績だっていいらしいし、見た目も美しい。
    というか、この学校は美人の割合が高い事でも有名なのだ。





    「そういえば、梨乃さん。今日はこれから用事はありまして?」



    「いえ、特には」



    「ならば、わたくしの部屋へ来て下さらないかしら?寂しいんですのよ」



    「あたしはいいですけど・・・・でも、ルームメイトは?」



    「大丈夫ですわ、緊急の用事だとかで、一時帰宅していますの」





    彼女のルームメイトは、あたしの隣の席にいる早坂瑠衣。バスケットボール部。
    それなりの容姿と、抜群の運動神経で、運動部活では重宝されている。
    たまに他の部活の大会にも出ているような、忙しくて活発な人だ。





    「先生によると、叔父様が交通事故にあってしまわれたんですって」



    「よくなるといいんですがね」



    「そうですわね・・・・・・心配ですわ。梨乃さん、わたくし部屋でお待ちしておりますわ」





    そういうと、彼女は最後のパンナコッタを口に入れて、お盆を持って立ち上がる。
    典型的なお嬢様だが、随分と早飯なのだ。








    あたしは正直面倒臭かったし、また今夜もあの人に会えるかもしれない、と淡い期待を抱いていた。
    が、結局気まずい事になると思われ、ミチルの部屋に行く事にした。

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■6023 / ResNo.11)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(11回)-(2009/06/30(Tue) 20:32:44)
    彼女達・・・・・ミチルと瑠衣の部屋は、あたし達の1階上である3階の中央部。
    シャワーを軽く浴びてから向かった。




    コンコン・・・・・と控えめなロックをすると、ドアの隣のスピーカーからどうぞ、と声がする。
    室内の電話を取って話せば、外のスピーカーから聞こえる仕組みなのだ。





    「お待ちしておりましたわ、さあ、座って」





    ガチャリとドアを開けてはいると、ミチルが茶色い円形のテーブルにケーキを並べて待っていた。
    横には、温かい湯気を立てる紅茶も置いてある。





    「お気遣いありがとう」



    「どういたしまして。昨日、わたくしが突然思い立って作ったケーキですの。味は保障いたしませんわ」





    白い生クリームと、赤い苺のショートケーキ。上には蝶々型の飴細工が乗っている。これはまずいことはないだろう。




    あたしが椅子に座ると、ミチルはその横の方に嬉しそうに座ってきた。
    向かいも空いているのに、わざわざ椅子を移動させて、だ。
    彼女がつけている甘い香水が鼻をくすぐる。





    「いただきます」





    そういって1口食べてみると、やはり期待を裏切らず、美味しいケーキだ。





    「美味しいですね・・・!」



    「まあ、ありがとうございます。心配でしたの、甘い物はお好きか、尋ねるべきでしたわ」



    「甘い物は好きですよ」





    ちょっと機嫌を良くして、あっという間に全部食べてしまった。本当に美味しい、プロ顔負けの味だったのだ。
    思い立って作ったにしては、とても上手い。





    「あら、ここにクリームがついてますわよ・・・・・・」






















    ぺろっ






















    いきなり、右側の頬に温かくて柔らかな感触があった。
    ・・・・・・・ミチルがクリームを舐め取ったのだ。





    「すみません、近くに拭くものがなくて」





    そういう割には、近くの棚にティッシュが箱ごと置いてある。
    まあいいか、と割り切り、ありがとう、と照れつつもお礼を言った。





    「・・・・・っ!!!!!」





    何故かそれだけで赤く赤く顔を染め上げたミチルは、俯いてしまった。
    つくづく不思議で面白い人だ。





    「そ、そうですわ!梨乃さんの髪って、茶髪じゃないですか。染めてらっしゃるの?」





    そう、あたしの髪は生まれつきの茶髪で、目も茶色っぽい。よく不良みたく、染めていると思われがちだ。





    「いえ、生まれつきで・・・・・父親の遺伝なもので」



    「あら、そうでしたの。ずっと気になってしょうがありませんでしたわ」





    ふふふ、と口に手を当てて笑うミチルは、綺麗と言うよりも可愛い。





    「まあ、狙っている方が多い、というのも納得ですわ・・・・すらっとしてらっしゃるし・・・・・」





    そういって、つぅっと指であたしの横腹をなぞり上げた。
    つい体がびくり、と震える。





    「敏感ですのね・・・・・・ますます可愛らしい方ですわ、開発して差し上げたい位・・・・」





    ふふふ、とさっきとは同じような笑い方だが、全く違う。今度は怪しい笑いだ。
    あたしは逃げようか、と思ったが、体がいう事を聞かない。
    まるで、あたしが受け入れるかのようになってしまった。





    「胸も結構大きいですわね・・・・・以前にお風呂にご一緒した時に思いましたわ」



    「んぅっ・・・・・・・!?」





    そういうと、いきなり胸を揉んで来た。最悪な事に、薄着なので余計リアルに感じてしまう。
    つい、声が漏れてしまった。ミチルはそれを聞いて、嬉しそうにしている。





    「やだっ・・・・・・・ミチル、やめて・・・・・・ひあ・・・・/////」



    「何と可愛らしくて素敵なお声とお顔なのでしょう。興奮してしまいますわよ?」





    あたしは力が抜け、椅子の背もたれにすがっていることしかできない。





    「実は、ずっとわたくしは梨乃さんを狙っていたんです。好きですわ・・・・」




















    ・・・・・・・・・・なぜ、このときに・・・・・・・・・・










    得体の知れない、あの人が脳裏を掠めたのか・・・・・・・・・・・・・・




















    あたしは、もうミチルのなすがままに、処女を奪われるのだろうか・・・・?







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■6024 / ResNo.12)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(12回)-(2009/06/30(Tue) 20:44:49)
    ミチルは、キスこそはしなかったものの、服の中に上から手を入れてきた。
    そして、中で器用にもあたしのブラジャーのホックを外してしまう。



    ミチルの冷たい指が肌に触れ、それだけでびくん、と肩を揺らしてしまう。
    温かい肌との温度差のせいである。





    「ここもきちんと感じさせて差しあげますわね」





    くりくりと乳首を両方いっぺんに弄られ、喘ぎ声が止まらない。





    「やぁぁっ、ミチ、んんん・・・・・・っ!!!」





    口を押さえようと弱々しく手を胸元まで何とか挙げるが、押さえ込まれてしまう。



















    誰か、助けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!




















    半泣きしながら、ぎゅっと目を瞑って心の中で助けを必死に叫んだ。



















    「強姦は感心しないな、大崎ミチルさん?」




















    え・・・・・・・・。















    いつの間にか、ドアを蹴破ってあの人が入ってきていた。
    頑丈なドアを蹴破るとは、どういう力の持ち主なのか・・・・かなりの力だ。





    「なんですの、無礼者ですわ」



    「無礼者は君でしょ。嫌がってるのが分からない?強姦は犯罪、ね」





    そういって、驚いて何も言えないあたしの乱れた服を整えて、軽々とお姫様抱っこをした。





    「ちょ、ちょっと・・・・・・・・・・!?」



    「じゃあ、おじゃましました。ドアは弁償しておくから安心して」





    そういって、怒りを少しこめた笑顔を残し、あたしを抱えたその人は早足で過ぎ去った。






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■6027 / ResNo.13)  NO TITLE
□投稿者/ ゆう 一般人(1回)-(2009/06/30(Tue) 23:51:28)
    続きが気になります(>_<)

    (携帯)
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■6029 / ResNo.14)  possession〜ゆう様〜
□投稿者/ 美優 一般人(13回)-(2009/07/01(Wed) 17:23:45)
    またもやメッセージを残して下さり、ありがとうございます。


    私的に、え?まさか、って感じにしたかったので、新しくお嬢様を出してみました(苦笑)


    これからも頑張って、梨乃達のお話を書いていきたいと思います。
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■6037 / ResNo.15)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(14回)-(2009/07/02(Thu) 15:47:45)
    あたしを抱えたまま、怒った顔で終始無言だった。
    まだ美空が帰っていない、誰もいなかったあたしの部屋に入り、ベッドに投げるように降ろした。





    「あ、あの・・・・・・・・えと・・・・・?」





    あたしをベッドに寝かせた後、その人はあたしの顔の横に両手を付いて、怒った顔のまま見下ろしてくる。


    あたしは、その見下ろした顔につい、ドキンと胸が高まった。





    「あ・・・・・え、あの・・・・・・・っ・・・・!」



    「・・・・・・高嶺涼」



    「って、え・・・・・・っ?」



    「名前。知りたいって顔してたじゃない」



    「あ、ありがとう、ございます・・・・・・・・?」






    なぜ、このタイミングで名乗るのだろうか。






    「あの、涼さ「涼って呼んでよ」りょ、涼・・・・・/////」






    あたしの言葉を遮って、耳元で吐息混じりに囁く、涼さ・・・・・涼。
    年上そうだから涼『さん』って呼ぼうとしたけど、納得してくれないらしい。






    「・・・・・ふふ、今日はその真っ赤な顔に免じて許してあげる」






    ようやく柔らかい微笑んだ顔と雰囲気になって、涼はベッドに腰掛けた。






    「今日はありがとう、ございました」



    「気にしないで。前からあの子は危ない感じだったからさ。気をつけてね」



    「はい・・・・・・・」



    「うん。他の人も狙ってると思うから、十分に気をつけてな」






    そういい残し、あたしの部屋を去った。




















































    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゅ。








    ただし、キスをあたしの額に軽くしてから・・・・。
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■6038 / ResNo.16)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(15回)-(2009/07/02(Thu) 20:48:03)
    ドキリ、と鼓動が不安な心を掻き立てる。


















    今は、6限目の体育の時間。みんな綺麗な青のジャージに着替えて、体育館に集まっている。




    何で、今日に限って百合組と合同で体育なんだろう・・・・・・・。




    あれからミチルには出会ってない。けど、合同という事は会うことになってもおかしくない。
    何でもないように、いつも通りに振舞わなければ、かえって怪しまれる。






    「あ、梨乃っ♪昨日はゴメンね!また先輩の部屋に行ってて・・・・」



    「いいよ、気にしてない」






    子犬のように走り寄って、美空があたしの腕に自分の腕を絡ませる。
    尻尾を犬がブンブン振っているような感じだ。
    結局、彼女は部活の後に先輩の部屋に行ったらしく、朝まで帰ってこなかったのだ。









    先生がちょうどそのとき、ピーーーッ、とホイッスルを吹いた。みんなで先生の所に走り寄る。




    静宮先生という先生で、それなりに好印象を生徒にも教師にも与えている。
    白い紫の蝶がペイントされたTシャツと、青いジャージのズボン。
    腰まで伸びた黒髪が揺れて、ナイスバディーな先生の綺麗さを際立たせる。
    実際、何人も狙っているんだとか。






    「はい、今日は薔薇組と百合組の合同授業にして頂きました!いきなりでごめんね?」






    そうやって、首を少し左に傾けてうるっとした目で謝る静宮先生に、何人かの生徒が顔を紅潮させた。
    静宮先生は、無意識なのが質が悪い。可愛らしさと色気を常に振りまいているのだ。




    先生によると、今日は百合組が本来習うはずだった歴史の先生が、肺炎で急きょ早退したんだそうだ。
    そのため、体育の授業にしてもらったらしい。




    2クラス、といえば、全員で80人くらいだ。
    そもそも学園の人数も多く、部活の種類もあるため、とても大きな体育館が2つある。
    あたし達がいるのは、そのうちの1つ。校舎側の体育館だ。
    別に80人いたって困らない。











    「あ・・・・・・・・・・・・・・・」










    先生が指示したとおり、ドッチボールの準備をしていると、コートに入った瞬間に不幸が起こった。
    ・・・・・・・・大崎ミチルだ。彼女と鉢合わせしてしまった。






    「ごきげんよう、梨乃さん」



    「ごきげんよう・・・ミチル」



    「今日は敵同士ですわね。お互い頑張りましょう」



    「ええ、頑張りましょう。健闘を祈ります」






    ミチルが何も無かったかのように笑顔で話すのが、唯一の救いだった。
    あたしもつられて、微笑んで答える。



    今日は薔薇組対百合組のクラス対抗戦だ。
    ミチルや美空に負けないように、頑張らなければ・・・・。
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■6039 / ResNo.17)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(16回)-(2009/07/02(Thu) 21:19:24)
    「じゃあ始めてね!よーい・・・・・・・・・スタートッッ!!!!」





    静宮先生が、ジャンプボールをする瑠衣と美空の間で、高く柔らかい黄色のボールを上げる。



    ボールを先に自分のチームへと叩いたのは、やはり運動神経のいい瑠衣。
    弾んであたしの隣の子の手に渡った。



    その子がえい、と投げたボールは、見事にミチルにキャッチされてしまった。
    意外と彼女もやるのだ。
















    しばらくボールの投げあいが繰り広げられ、薔薇組は15人、百合組は19人の外野が出ていた。





    今、ボールを持っているのはミチル。彼女は1度も当たっていない。
    そして、狙いを定めてこちらに投げてきた。































    ・・・・・・・あたしの方に飛んできたから、避けた・・・・・つもりだった。






    「やっ、あぁっ!」






    顔に当たりそうだったが、何とか両腕でガードして防いだ。






    ボールは近くにいた瑠衣の足元に転がっていったが、なぜか取らない。



    疑問に思ってそっと見ると、まわりの人の大部分が顔を赤らめたりとか、口元を押さえている。






    「・・・・・・?私がどうかしましたか、先生」






    あまりにもあたしをじろじろ見るので、先生につい聞いてしまった。






    「い、いえ!!!別に何もしてないわよ!!!」






    慌てて先生は言って、じゃあ外野に、って言っていた。
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■6040 / ResNo.18)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(17回)-(2009/07/02(Thu) 21:37:12)
    その後、何もなく普通に進んで、薔薇組が勝った。







    授業が終わり、自分たちの教室に戻って着替えていると、ちょうど上を脱いでシャツを着ているあたしに、話しかけられた。






    「ねえ、梨乃・・・・・・」






    クラスメイトの南城由貴と、美濃幸夜だった。去年くらいからクラスが一緒で、ある程度仲がいい。
    その2人が、いきなり話しかけてきた。






    「何?どうかしたの?」



    「あ、あのね・・・・・?今日の放課後にちょっといいかな」



    「予定もないし、いいけど。どこに?」



    「理科室の準備室に来てくれない?待ってるから、夕方5時に」



    「分かった」




















    まさか、コレがまたああなるとは、思いもせずに。
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■6044 / ResNo.19)  possession
□投稿者/ 美優 一般人(18回)-(2009/07/03(Fri) 18:53:13)
    放課後、終わりのチャイムが鳴り響くと、あたしは図書室で借りていた小説を返却し、理科室へと向かった。


    理科室は、中等部と高等部校舎の接合部あたり、1階に位置する。
    準備室はというと、1階の理科室の隣に隣接しているが、滅多に人が来ないのだ。
    授業中でも、担当教師しか主に入らない。教師さえあまり入らないらしい。






    「由貴、美夜・・・・・・いるの?」






    カーテンが閉められた、薄暗い準備室。やっぱり1人で入るのは勇気がいる。
    何しろ、人体模型やら実験器具、いろいろなものがあるのだ。






    「あ、来た来た!」



    「ごめんね、待たせてしまった?」



    「ううん、こっちも今来たトコだし、大丈夫よ」






    2人は、窓際の使われていない大き目の机に、2人並んで座っていた。




    こうしてみると、実に2人は正反対だ。


    由貴は剣道部所属で、凛とした強気の明るい性格。肩までの黒髪と、黒い目。
    確か、勉強では物理と古文が得意なんだとか。


    一方の美夜は美術部。ほんわかした雰囲気の、マイペースで穏やかな性格だ。
    ツインテールの茶色っぽい髪と黒い目、勉強は美術と日本史が得意らしい。


    この2人は幼稚園に入る前からの幼馴染で恋人だなんて、誰が予想できよう。






    「で、話って・・・・・・?」






    あたしはなるべく早く済ませて、ここから出たかった。何だか呼吸がし辛いのだ。
    窓を閉め切っているせいだろう、湿気もすごい。






    「ああ・・・・・聞き辛いんだけど、この前高嶺って人といなかった?」



    「!?え、ああ・・・うん・・・・?」



    「この前、お姫様抱っこされて、ミチルの部屋から出て行ったのを見たの」






    唐突な由貴の質問に、美夜が説明を加えた。
    どうやら、あの日の出来事を見られてしまっていたらしいのだ。
    2人の部屋は、あの部屋と同じ階だから、見たとしても不自然ではない。






    「ねえ、あの人とどういう関係?」






    真剣な顔で問う由貴。狙っている・・・・・わけではないだろう。






    「えっと・・・・・まあ、知り合いと言うか、なんと言うか・・・・・」



    「困らせてごめんね?でも、忠告したくて」






    美夜はそうやってフォローしてくれるが、若干焦りを隠しきれていない。
    そして、忠告なんてさらりと言う。何なんだろうか。






    「ねえ、何を隠しているの?・・・・・・教えて」






    あたしがそうせまると、由貴が言いにくそうに口を開いてくれた。
    ものすごく言いたくないんだけど、と前置きしてから、小声で言った。






    「あの高嶺って人・・・・・・注意した方がいいよ」



    「え・・・・・・・・?!」






    そんな予想にもしない回答に、あたしはただただ驚いてしまった。
    涼が危険人物・・・・・・・そう言いたいのだろう。
    でも、あたしを助けてくれたりした人を、証拠もなしに疑いたくはない。






    「私のパパとママね、情報を管理する仕事をしているの、仕事については・・・詳しくはいえないんだけど・・・・・。
     とにかく、パパとママの仕事の同僚がこの前、情報を一部盗まれたの。犯人はとある裏の組織。正確な正体は分からないって言ってた。
     その組織のメンバーにね、高峰って女性がいるらしいのよ。彼女が情報を奪ったみたい・・・・・・」






    美夜がそう言い、辛そうに俯いた。
    あたしは今だに信じられなかった。確かめたかった。
    だけど、涼の連絡先は何も知らないし、いつ会えるかも分からないのが現状だ。






    「とにかく、あの人には注意して、近付かない方がいいんじゃないかな。
     どうも美夜のご両親が務めてる会社の情報曰く、結構危ない組織らしいから・・・。
     マフィアみたいに暗殺もするし、スパイや情報を流したりだとかするらしいし。そういう人達の集まった組織なんだって・・・・・」



    「でも、その人がそうとは限らないんじゃな「限られるのよ、梨乃」






    美夜が声を少し張り上げて、あたしの反論を封じ込める。






    「組織の正体や詳細はまだ掴めてないけど、何人かの人は分かっているらしいの。彼女は組織の幹部・・・・かなりの権力者らしくて・・・・」



    「彼女が動けば、会社1つ簡単に潰されるし、政治家も動くし、警察だって。そうなるかもしれない。詳しくは知らないから言い切れないけど。
     だけど、危ないよって事は、はっきりと言えるんだ」






    美夜、そして由貴が説得してくる。
    あたしは耳を塞ぎたい気持ちをこらえ、俯いていた。

















































    そして、しばらくして2人は、それじゃあ、そういうことだからと言い残して去った。









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