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■661
/ 親記事)
NO TITLE
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□投稿者/ ORE
一般人(2回)-(2004/09/01(Wed) 20:28:15)
「由希さん、ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど。いいかな?」
「はい、岬チーフ。あの・・・何でしょうか」
「今日は定時で帰れないと思うけど。ちょっと時間のかかる仕事だから」
“時間のかかる仕事”と言われ、由希は少し顔をこわばらせた。
仕事もでき、頭も切れる上司、チーフである岬の言う事は絶対だ。
そしてこの言葉は、単に『仕事』だけを意味していない事を由希は知っていた。
由希は岬には逆らえない。どんな状況でも、どんな事でも、嫌と言えない。
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■662
/ ResNo.1)
NO TITLE 2
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□投稿者/ ORE
一般人(3回)-(2004/09/01(Wed) 20:29:45)
男性の部下を従え、テキパキと現場を仕切る岬は、絵に描いたようなキャリアウーマン。
スマートなファッションも身のこなしも、仕事同様に隙がない。
のりとプレスのしっかりきいたシャツに仕立ての良いスーツ。
襟元からのぞく細く白い鎖骨。
ほっそりした手首には品の良い時計、シンプルな指輪をひとつだけした美しい手。
由希は思わず岬にみとれてしまう。
あんなふうになりたい・・・。彼氏はいるのかな?どんな人だろう。
ただの憧れだった上司が、由希の支配者となったのはいつだろう。
上司に仕える忠実な部下。
それだけではない。
心も、身体も、わたしの全てはあの人のもの。
あの日、偶然が起きなければそうはならなかったかもしれない。
いや、わたしの本質は、どうやっても見透かされていたのかもしれない。
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■663
/ ResNo.2)
NO TITLE 3
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□投稿者/ ORE
一般人(4回)-(2004/09/01(Wed) 20:31:51)
休日やプライベートで仕事関係の人、まして上司に会うなんて面倒でしかないのに。
ぶらぶらと買い物をしていて上司に会うなんて、嬉しい偶然ではない。
でも、わたしはあの時、嬉しかった。
職場以外の場所であの人と会えた事が。
思春期に、憧れの人の私服を見て喜んだのと同じように、プライベートの時のあの人にときめいた。
カッチリとしたフォーマルなスーツじゃない、普段着のあの人にときめいた。
休日の岬は、職場とは打って変わってカジュアルだった。
ぱっと際立つような洗練された雰囲気はあるが、仕事中のあの緊張感は無かった。
「一人で買い物?もし暇だったら、デートの相手というわけにはいかないけど食事くらいどう?」軽く挨拶だけで済ますはずが、思わぬ誘い。
同僚達とも常に距離を取りたがる岬のほうからこんな誘いをしてくるなんて意外だった。憧れの上司と仲良くなれるかもしれないチャンスに、
由希は素直に喜んだ。
デート、という言葉にもわくわくする響きがあったので、食事の誘いも即OKした。
普段はなんとなく近寄りがたい存在で、職場では部下と上司の関係だが、プライベートの岬は身近に感じられたし。
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■664
/ ResNo.3)
NO TITLE 4
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□投稿者/ ORE
一般人(5回)-(2004/09/01(Wed) 20:35:48)
友達同士のようにお店を巡り、とりとめのない会話をしながら食事をし、お酒が入ると由希はほろ酔いで、
いつもより多く喋った。
会社ではできない会話も、飲み会などとは違って二人きりだと楽しい雑談として話せる。
岬は、お酒に強いのか、酔いが表に出ないのか、ほとんど様子を変える事なく京子の話を楽しそうに聞いていた。
「わたしね、憧れてるんですよ!岬チーフみたいになりたいって」
「あはは、ありがとう。本当は怖くて嫌な上司って思ってるんじゃないの?
三十路一歩手前のお局よ、私。それに外で“チーフ”はやめてよ。お世辞も
言わなくていいのよ」
「いえいえ!そんなこと。わたしが男だったら絶対に好きになっちゃう。
いつもね、思わずみとれちゃうもん。いつもわたし・・・あの・・・素敵だなって」
岬は微笑みながら聞いていたが、少し困った表情をした。
その表情を読み取ると、由希は焦って言い訳をする。
「あ!ヘンな意味じゃないですよ!岬さんモテそうだし、大人の女性って感じ
だし、いいなーって・・・女のわたしでも憧れるっていうか・・・」
言いながら今度は由希がどぎまぎとしてしまった。言い訳がましいフォローの
つもりはないし、でも、こんな事を言うと変に思われるかもしれない。
「はいはい、フォローありがとう」ふふふっと笑いながら、岬はグラスを傾けた。
「フォローじゃないです!ホントに・・・!」由希は自分でも不思議なくらい、ますます必死になった。
「由希さん、可愛いね〜」岬の少し赤くなった頬に浮かぶ優しい微笑や、冗談のような口調とは裏腹に、
射止めるような鋭い瞳の力に由希はドキリとした。
見透かされる・・・
憧れよりも強い感情?恋愛感情?岬に身を委ねたいという衝動?同性に性を感じている自分?
この人を抱く男に嫉妬している自分?
女の上司相手に・・・わたしは何を・・・
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■665
/ ResNo.4)
NO TITLE 5
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□投稿者/ ORE
一般人(6回)-(2004/09/01(Wed) 20:36:53)
「飲ませすぎちゃったかな?」
岬は由希の手に自分の手を重ね、ゆっくりとグラスごと下におろさせた。
「ほら、顔もこんなに熱くなってるし。大丈夫?」
岬に触れられ、由希は確信した。
わたし、この人にどうしようもなく惹かれてる。いけない感情。
目を合わすのが怖い。自分を見透かされるのが。
自覚したくなかった感情が、堰を切ったように溢れ出してしまいそうになる恐怖。
ゆっくりとお酒を飲み続ける岬。
「そっかー、由希さん、私の事好きなんだ?」
少し笑いながら、余裕と意地悪さが混じった表情で、冗談のように言う岬。
必死に冗談で返そうとする由希。お酒の酔いにまかせた冗談で済ませたい。
由希の心を見透かすように、一瞬間をおいて、岬はまた聞いた。
「本当は?」
空間ごと静止しそうなくらい真剣な眼差しに、由希は思わず頷いた。
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■666
/ ResNo.5)
NO TITLE 6
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□投稿者/ ORE
一般人(7回)-(2004/09/01(Wed) 20:38:43)
反応に恐れつつ、先を期待する由希。
それを裏切るように、岬は「へぇ・・・そうなんだ」と軽く言って冷たく不敵な笑みを浮かべた。
突き放されたようで、由希は泣きたくなった。わたし、何を期待してたんだろう。
岬は、由希同様に衝動を抑えていた。
自分の部下、可愛いこの子をめちゃくちゃにしてしまうかもしれない。
突き放すなら、今。
もっと進めば、引き返せなくなるかもしれない。
私はこの子をダメにしてしまうかもしれない。
しかし・・・無邪気に自分に憧れ、笑い、そして今は悲しみの表情を浮かべる由希に言いようのない愛しさと欲望を感じている。
抱き締め、そして何もかも奪って自分のものにしたい。
残酷な愛情と喜びを共有してみたい。
「由希さん、こっち向いて」
ゆっくりと顎を持ち上げ、しっかりと目線を合わせた。
おろおろと困った表情のまま、由希は目線を泳がす。
「ありがとう。私のものになってくれる?」岬はそう言うと、由希の髪を撫でた。
手を引かれながら店の外に出ると、一気に現実の世界に引き戻される。
上司のはずのこの人が、わたしの手を引いて歩いてる。
不思議な感覚で、地に足が着かない。
時折振り返ってわたしを見る視線は、恋人に向けられるものと同じ種類。
優しく腰を抱く腕の感触が心地良い。
少し酔っているせい?
でも・・・もう帰りたくない。一人では。
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■667
/ ResNo.6)
NO TITLE 7
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□投稿者/ ORE
一般人(8回)-(2004/09/01(Wed) 20:42:27)
岬はタクシーをとめ、先に乗り込むと行き先を告げながら由希を中に引き入れた。
ああ、もう引き返せなくなる。もう、戻れなくなるかもしれない。
二人は無言のまま、同じ事を思う。
運転手に見えないところで、しっかりと手を握り合う。
バックミラー越しに運転手はちらりと二人を見ると、すぐに目を逸らした。
岬はバックミラーを見たまま、握った手を由希の太ももに移動させ、ぐっと力を入れた。
体温が熱っぽく上昇してゆく。
岬の部屋につくと、由希の中に小さな後悔が生まれていた。
本当に良いのだろうか。
落ち着いたインテリアや、趣味の良い雑貨に感心しながら、由希は期待と不安に
苛まれていた。
「素敵な部屋ですね」そう言いながら、言葉が白々しくはないかとまた不安になる。
喉が渇き、自分の声が上ずっているような気がする。
上司と・・・女同士で・・・様々な感情に押しつぶされそうになる。
落ち着かない様子の由希に、岬は優しく微笑んだ。
「どうしようって思ってる?来るんじゃなかった?」
「あ、いえ!そんなこと・・・」由希は咄嗟に答えた。
「怖い?」岬はそう聞きながら、由希の返事を待たずにゆっくりと唇を重ね、有無を言わさずキスをした。
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■668
/ ResNo.7)
NO TITLE 8
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□投稿者/ ORE
一般人(10回)-(2004/09/01(Wed) 20:46:32)
由希は硬直し、緊張したままだった。
キスなんてはじめてでもないのに、どうして良いかわからない。
初めて触れる、女性の柔らかい唇の感触に由希は戸惑っていた。
「そんなに緊張しないで。もう少し飲む?」
岬は由希から離れ、慣れた様子で冷凍庫からウォッカの瓶を取り出した。
凍るほどに冷えたボトルは部屋の空気に触れ、みるみるうちに白い結晶で覆われる。
小さなグラスに少しだけ注ぎ、一気に口に含み飲み干し、岬は大きなため息をついた。
「由希、あなたも飲むでしょう?」
岬は2杯目をグラスに注ぐと、また自分の口に含んだ。
指先で軽く由希のあごを上げ、口づけと同時に由希の唇に注ぐ。
由希は思わず唇を開き、舌を絡ませるようにしてそれを受ける。
不思議と、嫌とは思わなかった。
唾液と混じったその強いアルコールは、喉を焼くように伝わり、内臓に落ちて行く。
二口目がまた注がれる。
唇の端から少しだけ流れ出てしまった雫は、首筋を伝って鎖骨で止まる。
「由希、こぼしちゃ駄目でしょう」
岬の唇の感触とストレートのウォッカは、息苦しいほどの強さで由希を酔わせる。
かろうじて残っていた心のブレーキが、アルコールのせいで外れそうになる。
思考が鈍り、身体が少し熱くなる。
それを見届けると、岬はグラスを置いた。
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■669
/ ResNo.8)
NO TITLE 9
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□投稿者/ ORE
一般人(11回)-(2004/09/01(Wed) 20:48:23)
2004/09/02(Thu) 02:10:05 編集(投稿者)
触れるだけのキス。
焦らすように、ゆっくりと唇をなぞる。
身体が溶けそうになる。
由希の髪を撫でる岬の指先が、首筋を伝って両肩から腕へと降りてゆく。
あの、書類をめくる時の指先が由希の頭に浮かんだ。
それはすぐに消え、想像が現実のものになった、確かな指先の感触に感覚が支配されていく。
手首まできたところで、岬は急に力を入れた。
緩みきった由希の身体は、簡単に腕を後ろに回され、固定される。
「由希、私が好きなんでしょう?私のものになりたいんでしょう?」
手で押さえられているだけなのに、動けない。
「怖い?」
岬は由希のシャツのボタンを一つずつ外しながら、由希の目から視線を逸らさない。
好奇心に満ちた眼差しに、由希は恐怖を感じる。
袖の先まで脱がせたシャツで、岬は由希の両手首を縛る。軽い圧迫感と期待。
「岬チーフ・・・岬さん・・・駄目です・・・」本当はもっと先を期待しているのに、思わず由希は言う。
「由希、嫌なの?やめるの?」悲しそうなのに、意地悪な岬の声。
懇願の表情を浮かべたのは、由希だけではなく岬も同じ。
手首を縛ったシャツを緩めようとせず、もっときつく縛る。
ブラのストラップが肩から落ちた。
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■670
/ ResNo.9)
感想です
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□投稿者/ さき
一般人(1回)-(2004/09/02(Thu) 01:53:34)
なんだかすっごくドキドキしてしまいました(>_<)続きがすごく気になります!!
(携帯)
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