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全うに生きているような人間は知らないような学園があることを、御存知ですか? しかもそれは日本にだけではなく、世界各国にひっそりと存在しているのです。 その存在を知るのは、裏社会に生きるごく一部の者たちのみ・・・・。
日本の某所に存在する学園は、一見普通の学園に見える。 女子校で生徒数は多く、生徒も教師も全員寮で暮らしている。 パッと見は普通の中高一貫の女子校にしか見えず、何の問題もない。 しかし、それは“見せかけ”だけであり、学園の本性は普通ではない。
この学園に在籍している生徒は、主に3パターンに分けられる。 親に連れてこられる生徒、学園側にスカウトされた生徒、自主的に入った生徒。 自主的にこの学園に入ってきた生徒はごく稀で、滅多にいない。
高等部1年生としてその学園に在籍している田宮真里菜は、親に連れてこられた。 「ここの中学に入学しなさい」、そう言われ、勝手に入学手続きを済まされた。 入学試験などはなく、ただ、親が必要な書類を揃えてサインをすれば入学できる。 真里菜はよく分からないまま入学し―――――地獄の日々が、始まった。
まず、入学式が行われ、普通の学校のように、クラス分けが発表された。 真里菜は高等部1年D組になり、他の大勢の生徒と一緒に教室へと向かった。 教室に入ると黒板に貼り出された席順の通りに席に着き、担任が来るのを待つ。
「こんにちは、私があなたたちの担任、鈴野よ」
担任は優しくふんわりとした、いわば癒し系の低身長の女性教師だった。 胸元まである栗色の髪は緩く巻かれ、フリルがふんだんに使われたワンピース。 可愛らしく女性らしい女性教師は、黒板に大きく自分の名前を書いた。 鈴野友里――――・・・・それが高等部1年D組の担任の名前だ。
「さて、早速だけど、この資料を配るわね。手元に来た人から見てちょうだい」
ホッチキスでまとめられた分厚い資料が、クラス全員に配られた。 その資料に目を通した生徒はざわつき、あっという間に大騒ぎになった。 鈴野は数回手を叩いてその騒ぎを収束させ、先程と変わらない笑みを浮かべる。
「資料を見て分かってもらえた通り、この学園はとても特殊な学園なの。 基本自由はないわ、学園の外に出るのも、親元に帰るのも、申請と許可が必要。 まあ申請したところで、滅多に受諾されることはないわね・・・・。 その代わり、あなたたちはここで、普通なら体験できないことが体験できるわ。 勿論、この学園を卒業した後の“就職”に関してもバックアップは万全よ。 この学園に在籍する間だけじゃなく、卒業してからも幸せな毎日が送れるの」
生徒の中には泣き出す生徒もおり、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。 ドアから逃げ出そうとする生徒もいたが、鍵が閉まっていて開けられない。 どうやら、あらかじめ廊下側の方から鍵を閉められていたようだ。
「ふふふっ・・・・逃げようとしたって、そうはいかないわ。 このD組は、高等部から入学した人のための、いわゆる初心者クラス。 じっくりその身体に教え込んであげるから・・・・覚悟しなさい」
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