| いつの間にか気を失い、気がつけば楽屋でした。 「気がついた?」 メイクさんが言いました。 「私……」 「いいのよ。あなたにはあれが限界」 「玲奈は?」 「玲奈ちゃんはもう少し頑張るって」 メイクさんは楽屋のテレビのスイッチを入れました。 あっ、と私は思わず声を上げ、テレビから目をそらしました。 そこには斜めに立てかけられた白い板に全裸の女がハリツケになっていたのです。 黒々とした茂みがとても見ていられない羞恥の感情を呼び起こしました。 「ちゃんと見るのよ」 メイクさんは私を見透かしたように言いました。 画面の中では、ハリツケの女の足下に一人の女が歩み寄り、しゃがむと、何か、カサカサと音を立てていました。 「もう限界ですぅ! やめて下さい!」 ハリツケの女が言いました。 けれど女は作業を止めることはありませんでした。 ハリツケの女の表情が苦しげに歪み……私に得も言えぬエロティックな動揺を与えました。 それから三人同じような儀式が続き、よくわからない責め苦は終わったはずなのに、ハリツケの女は「助けて、助けて」とうめき続けているのでした。 「あれ、わかる?」 とメイクさんは聞いてきました。 「全然わかりません」 「あれはね、イチジク浣腸をされたの。今日のお客さんの数だけ」 は? と答えるほかありませんでした。 「スカトロタイムなのよ。好き嫌いあるから、お客様でも希望者だけが参加するの」 私はその時、スカトロという言葉さえ知りませんでした。 「希望者はああやって、嬢に浣腸出来るの」 「浣腸、ですか」 「そうよ。ショーの重要な要素よ。ああ、もう限界みたいね。見てて」 「も、もう限界です。申し訳ありません。みっともないものを見せてしまいます」 「さあ、みなさん、ステージに上がって、処女がすべてを晒すところを近くでしっかり観察しましょう。オナニーも許可します」 昭子先生に促されて女達がステージの上に上がると、ハリツケの様子は画面から見えなくなりました。 けれど、女達が立ったまま自らを慰めるうわずった後ろ姿が、そのむこうでやられている責めの極端な隠微さを知らせていました。 女達が自らを慰めるみだらな声がホールに響き、やがて絶頂を知らせる声になり、安堵のため息にかわりました。 「満足された方から、お帰り下さい。今日はどうもありがとうございました」 と、昭子先生がショーの終わりを告げ、女達がパラパラとステージから降りると、そこには責めに耐えきれず、絶対に人目に触れてはならぬ羞恥の汚物を白い板の上にぶちまけた女が、屈辱に耐えかねた様子で、顔を横に向けて号泣していたのです。 マスクをしていてもわかる端正な顔つきは、間違いなく玲奈でした。(続くよ。感想待ってるね)
|