| 美紀ちゃんと平日はじゃれ合い、オナニーゴッコやセックスゴッコをして過ごしていました。 そんなある日、廊下で美紀ちゃんと先生とが話しているのを立ち聞きしてしまいました。 「先生、あと何回くらいやれますか?」 「そうね。今と同じ濃度なら今度が最後かな」 「最後ですか……」 「あの子、良くもってる方よ。たいてい、一回で妄想に侵食されて廃人になっちゃうんだから」 「そうですよね」 「前の子も、その前の子も、妄想に取り憑かれて、こっちに帰って来られなくなっちゃったでしょ」 「あれは、どうなったんですか?」 「かわいそうに、彼女らの中では永遠に妄想が続いてるの。最初の子はなんだっけ?」 「皮剥です」 「だったよね。永遠に、死ぬまで、彼女は生皮を剥がされてるの。全身剥がされたらまた復活して爪の先から剥がされて、終わることがないわ。その恐怖と激痛で現実の彼女は全身が硬直したままよ。食事も排泄も出来ないし、点滴を止めたら三日で死ぬの」 「でも、それって自分が望んだことですよね」 「確かに深層意識の中で望んだことしか妄想にならないわ」 「だったら、本望ってことでは?」 「苦しみから解放されるっていう、その快楽が望みだったのに、永遠に解放されない苦しみの中に落とされるのよ」 「永遠に解放されない苦しみ……ああ、なんだかその言葉にゾクゾクしちゃいます。そこに早く突き落としてあげたい」 「あなたも病気ね。じゃ、日曜は予定通りで良いのね」 「はい。これが最後だと思って、それまで思い切り愛おしんであげます」 「で、妄想は?」 「彼女、鞭打ちが好きなんで……」 「カミソリ仕込みの鞭で全身切り刻むとか、どう?」 「いいですね。その苦しみの中に一生閉じ込められることになるんですね、彼女」 「そうよ、かわいそうに」 「そう言いながら、先生、嬉しそうですよ」 「私ね、妄想に閉じ込められて廃人になった女の子の顔を見るのが好きなの。まだ若いのに、あと何十年も妄想に閉じ込められたまま、恐怖に見開いた目で、常人は凝視できない引きつった表情で『助けて下さい、助けて下さい』って言い続けてるの。あれを観ると、もう……」 「先生も病気ですよ」 「それは認めるわ。あの女の子たちに囲まれてするオナニーって最高よ。あなたも一度やってみたらいいわ」 「今の彼女がそこに加わったら、やってみます」 「じゃね。日曜にね」 私は本物の恐怖に凍り付き、持っていたコップを落としてしまいました。 「誰かいるの?」と美紀ちゃんが言いました。 私は柱の後ろに隠れ、身を固くしました。 「誰か?」 美紀ちゃんがこちらに来る気配があり、私はソッとドアの陰に移りました。(次回最終回。恐がりの人は読まないで)
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