| また私は縛られて…… さやかちゃん! ヴァーチャル空間にも現れたの? まさか、まさか…… この間聞いた、男だったら聞いただけで卒倒するようなあの責めをするの? 勃起した亀頭に針治療の針を一本ずつ、何十本も、まるで針山のように突き立てた後、その針ごと手のひらでグリグリと…… 「究極の亀頭責めですよ。だいたい五分も持たずに失神しますね。で、アンモニアの原液を嗅がせて起こして、またグリグリって……泣いて止めてくれって言うんですけど、最初の約束で一時間は責め抜くって決めてるんです。私は大好きですよ、これ。大の男が泣いて泣いて哀願するんですから」 それを、まさか、やるの? 「本当にいいのね?」 手にはポリ袋に入った針が! ポリ袋を破るさやかちゃんの細い指! 良いわけないでしょ! ヒンヤリとした針が! 思ったより痛くないけど、ジーンと重い不気味な感覚が! 「次々行くわよ」 痛くないけど、痛くないけど、不気味で嫌! それを見る勇気もない。 「終わったわ。十本打ち込んだ。それじゃ、ショータイムよ」 …… 「おかしいわね、戻って来れないみたい」 水野先生の声が遠くでする。 「スイッチ切れてますよ」と助手の人。 「そんなことはありえないわよ」 「もしかして、脳から強い電流が逆流したんじゃないですか?」 「どういうこと?」 「脳がもう、こっちの現実の方がいいってことで閉じこもってしまったってことじゃ……」 「それで機械のスイッチを切って、自分の望む現実に閉じこもったってこと?」 「そうです」 「だったら、美咲ちゃんは帰ってこられないの?」 「自分が望まない限りは、そうなりますね」 …… 何を言っているのかわからない。 おそるおそる、自分のそこがどうなってるか見てみる。 おかしい、見慣れた私の胸がある。 男性自身らしいものはどこにもなくて、草むらの向こうに銀色に光る針が無数に! 「クリトリスに十本って、けっこうな密度だと思うの。存分に楽しんで」 そう言ってさやかちゃんは針の一本を指で弾いた! ギャァァァアアァァァ! 電気が、強烈な電気が身体を引き裂く! 股ざきになる! 止めて、これは耐えられない! 死ぬ、死ぬ、死ぬ。 「本番はこれからよ。今打ち込んだのはニッケルの針なの。ここに違った金属、銅で出来た針を打ち込んだらどうなるか。クリトリス自体が一個の電池になって、微細な電流を流すようになるわ。自分で作った電流に自分自身が痺れるの。楽しみでしょ」 そんな? 何を言ってるのかわからない。 「行くわよ。覚悟して」 ギャァァァアアァァァ! ギャァァァアアァァァ! …… ウギャァァァ! 震える、全身が震える、逝く、逝く、逝く、逝けそうで、逝きそうで逝けない! 死ぬ、本当に死ぬ! 「逝けそうで逝けない微細電流なの。究極の焦らしになるわね。さあ、もう一本、銅の針をどうぞ、なんちゃって」 ギャァァァアアァァァ! ギャァァァアアァァァ! ギャァァァアアァァァ! 「刺激が複雑に絡み合って、なんとも言えないでしょ。でも逝けるほどの電流じゃないの」 ギャァァァアアァァァ! 「さあ、次、三本目……」 …… 「じゃあ、目が覚めないって可能性も……」 「あるんじゃないですか? このまま何年も向こうに行ったきりで……」 …… このまま何年も? なんのこと? それより…… 「さあ、四本目よ……」 死ぬ、死ぬ、死ぬ、もう止めて…… でも、本当はこれを望んでいたのかも…… 「銅の針を十本打ち込んだら、指で弾いてあげる。あなたは楽器よ。楽しい声で歌ってね」 さやかちゃんは嬉しそうに笑んだのだった。(終わりだよ。感想待ってるね)
|