SMビアンエッセイ♪

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■7523 / 親記事)  ヘヴン  1
  
□投稿者/ ケイ 一般人(1回)-(2014/01/20(Mon) 02:07:21)


    何か新しいものを開発しようとする時に、その効力や副作用を確認・発見しようと生身の人間の身体を使って実験を行うことは、日本では禁止されている。
    しかし、法治国家であり先進国の一角を担っている現代の日本で、今では「常識」とされるそのルールを守らず、未だに執り行っている組織がある。
    勿論、見つかったらただ事では済まないことは当の本人たちも痛いほど理解しており、大っぴらに人間を使った「人体実験」を行なっている訳ではない。
    誰にも見つからないようにと国内の某所の地下深くに研究所を設置し、セキュリティも非常に厳しいものにして、万全の対策を施してあるのだ。
    そこでは大勢の白衣をまとった研究者や時々様子見として訪問する数人のスーツ姿のお偉いさんの他に、監禁された何十人もの男女が暮らしている。
    スーツ姿のお偉いさんは普段は地上で暮らしており、数ヶ月に1度、研究・実験の進行速度や内容、研究所や研究者の様子を見にやってくる。
    が、研究者や実験体である数十人の男女は、この地下深くに造られた広く太陽の光が届かない研究所の中で衣食住を共にし暮らしている。
    実験体として扱われる数十人の男女は年齢も出身地も容姿も性格も千差万別だが、その中でも若干多いのは10代から20代の年齢層の人間だろうか。
    借金のカタ、関係者による拉致、親に多額のお金と引き換えに売られた・・・そこで実験体として扱われるようになった経緯も人それぞれだ。
    まあ彼らには「実験体」として生きて働いてもらわねばならないので、1日3回の食事と1回の入浴、十分な睡眠時間は確保されている。
    実験に関係していても無関係でも、彼らが病気やケガを負えば治療を受けられるし、身なりもきちんとさせてもらえることになっている。
    ただ、実験によっては苦痛を受けるし、場合によってはそれが快楽になったりして、辞めたい、逃げたいと思っている人間も少なくはないだろう。
    だがしかし、彼らにはそこから自力で逃げられるだけの勇気も何もなく、そもそも大勢の監視の目と監視カメラをくぐり抜けられる訳がない。








    これは、そんな研究所でのお話である――――――








    【プロローグ】


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■7524 / ResNo.1)  ヘヴン  2
□投稿者/ ケイ 一般人(2回)-(2014/01/20(Mon) 03:10:14)


    実験体にはそれぞれ本名の他に「実験体番号」が割り振られており、本人も周囲の人間も覚えている人はその人の本名と一緒にその番号を覚えている。
    名前で呼ぶか愛称で呼ぶか番号で呼ぶかはその人次第で、大勢いる研究者も全員が実験体に対して乱暴な扱いをしたり番号で呼んだりとしている訳ではない。
    研究所から出ることは絶対に許されず、監視カメラと研究者によって常に厳しい監視下に置かれており、実験体として扱われるが、完全な「モノ扱い」はされない。
    食事だって栄養バランスが摂れていて美味しいものだし、衣服も寝床であるベッドも研究所内も清潔で、「実験」さえなければ快適な環境下に置かれる。




    そんな「実験体」になって2年目だか3年目だかを迎える天藤リツカ(あまふじりつか)は、目の前で行われる研究をぼうっと眺めていた。
    目の前ではおそらく年下であろう華奢な幼い少年が実験体として実験を受けており、今は眠っている間の脳波を測定されているようだ。
    恐らく、確か一昨日ぐらいに飲まされた新薬だという錠剤の効果と副作用を調べるための実験だと思うが、少年は至って普通で、苦痛も何も感じていない。
    リツカは昨日の時点で少年同様脳波の測定は済ませており、内心自分がたくさんある研究室の中の一室に呼び出された意味が分かりかねていた。


    「リツカ、」


    機械的に記録されていく脳波の線を眺めて意見を交わしている数人の研究者のうち、1人の女性がリツカの方を振り返った。
    彼女は20代でありながらも有能な研究者の1人であり、真っ白な白衣と黒い衣服が対照的な、可愛いというよりは綺麗な女性だ。
    首から下げたネームプレートには真顔で写っている彼女の顔写真と専門分野、そして彼女の名前である篠崎亜希(しのさきあき)の4文字。
    彼女は胸元まで伸びた細く少なめの黒髪を揺らしながらリツカのいる部屋の隅のソファーまでゆっくりと歩み寄り、目線を合わせようとしゃがんだ。
    きらきらと照明を反射する黒い切れ長の瞳に吸い込まれそうになりながらも、元々負けん気が強いリツカは目を逸らすまいと無言で目を合わせる。
    亜希はそんなリツカの様子を見てにこりと薄い唇の両端を上げると、持っていたファイルから1つの真っ白い書類の束を差し出してきた。
    左上が銀色のホッチキスの針で2箇所にわたって止められた薄めの書類の束は細いリツカの手に渡り、かさりと僅かに音を立てた。


    「あなたが今日これから受ける実験の説明文よ。今回のは確実に痛みを伴うから、よく読んで覚悟しておきなさい」


    亜希はリツカの実験を担当することが多い研究者の1人だが、頭脳明晰な研究者は変わった人が多いという話は事実だという証拠になるような人間だ。
    この研究所に所属している研究者は多くがその素質を持つが、亜希はサディスティックな面を持ち、それをなぜかリツカに向けてくることが多い。
    容姿もスタイルも平均以上で頭の回転も早く知識も豊富、性格も穏やかで滅多に怒ったりはせず優しく、スキンシップは積極的にとる女性、それが篠崎亜希。
    実際彼女に懐いている実験体の人間は多く、研究者の中にも溶け込めており、ここでは厚く信頼されているような人間だが、そんな一面もある。
    今だって3ページ目の書類の隅にシャーペンで「今日」とだけ書かれたメモがあり、意味ありげに優しげにリツカに微笑んで見せるのだ。
    リツカは軽いストレス性の頭痛と呆れた溜息をお供に書類に軽く目を通し、少年の脳波の測定の実験が終わるのを手持ち無沙汰に眺めながら待った。


    「実験体番号「Y−10」、天藤リツカ、女、19歳」


    少年の脳波の測定はそれから1時間をかけて行われ、男性研究者に優しく起こされた少年はご褒美のお菓子をもらって上機嫌でこの部屋を出て行った。
    それから研究者たちが意見を交わしながらも機械やコードを片付け、リツカの実験の準備をし、そして室内で1番大きなパソコンのスイッチを押す。
    あらかじめ研究所で使われる機械全ての中に登録されているらしい個人情報をパソコンが機械的な女性の声で読み上げ、何やら音を立てて作動する。
    リツカはペンと紙とパソコンとビデオカメラを携えた研究者が囲んでいるベッドに無表情のままで歩み寄り、何も言われないうちから寝転んだ。


    「君に一昨日投薬した薬は新薬のひとつで、感じる痛みを和らげるためのものだ。これからその効果と副作用を見てみようと思う」


    研究者の1人からにこやかに実験の説明を受けながらも、リツカは手足を枷で拘束され、胴体も2つのベルトを巻きつけてキツめに拘束された。
    そして毎回のことながら右腕から血液を採取され終わると、研究者の1人が病院でよく見かける銀色のワゴンをごろごろと音を立てて引っ張ってきた。


    「では・・・実験をはじめます、」















    「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!!!」


    あまり日焼けしていない白いリツカの背中にあざとミミズ腫れと切り傷を残すのは、研究者の1人が力いっぱい振るっている特注らしい頑丈な一本鞭だ。
    あの薬のお陰でどれぐらいの痛みに耐えられるのか、様々な方法と道具を使ってかれこれ1時間は拷問地味た実験を受けている気がする。
    安全ピンや治療用の長い針を身体中に刺されたり、カッターやナイフで皮膚を切り裂かれたり、素手で叩かれたり・・・。
    薬のお陰か普段よりも痛みを感じにくくなっているとはいえ、全く感じない訳ではないし、そもそも薬の効力の持続時間なんかも分からない。
    恐らくしばらく前に薬の効力は途切れているが、研究者たちは未だにリツカに痛みを与え続け、それをデータとして記録していく。
    リツカのシャープな頬には幾筋もの涙が伝い、にじみ出た汗や傷から溢れた血液、つけられたあざやミミズ腫れが痛々しい。
    生まれつき染めたかのように色素が薄い茶色い髪の毛は顔に張り付き、拘束された身体は無意識のうちに痛みから逃れようともがく。
    そんなリツカを先程と同じような優しげな微笑みを浮かべて観察する亜希は、やはり通常の感覚を失った人間なのだろう。


    「いだいよお゛!!!!い゛やあああああああああああああ!!!!」


    何発目か分からない鞭が肌に思い切り叩きつけられた後、息が切れている研究者はようやく鞭を握った右腕を下ろし、ワゴンに鞭を置いた。
    呼吸は荒く、主に胴体部分に傷を負ったリツカはなおも大量の涙を流しながら、次に与えられる苦痛を想像し恐れがたがたと震えている。
    研究者たちは小声で何かを言い合った後、実験開始前から実験途中も浮かべていた穏やかな笑みのまま、リツカの拘束具を外し始めた。
    すっかり赤い跡がついて痺れている手足を優しくマッサージされ、傷口を消毒してもらい絆創膏やガーゼで手当てされる。
    涙や汗も蒸しタオルで優しく拭き取ってもらい、叫び過ぎて声が枯れて口内と喉が乾いているリツカのために、冷たい麦茶が飲まされた。
    リツカが大きめのコップに注がれた麦茶を飲み干す様子を見届けた研究者たちは、ワゴンや拘束具を片付け始める。


    「リツカ、これで実験は終わりよ。よく耐えたわね」


    優しげな微笑みを浮かべてリツカの頭を微笑み同様優しく撫でた亜希は、空のプラスチックのコップを受け取ると退室を促した。
    自室まで送ろうか、車椅子を持ってこようかなどとと心配し気遣ってくれる研究者たちの申し出を片っ端から断り、リツカは実験室を後にした。
    散々痛めつけられた身体で長く明るく広い廊下を歩いていると、別の研究室のドアが開いて、1番仲がいいといえるであろう実験体に会った。
    彼女はリツカよりも2歳年上だという藤野四季(ふじのしき)、他の実験体や研究者からは「藤ペア」と呼ばれることもある親友だ。
    四季はひと目でリツカの実験が苦痛を伴う実験だと見抜いてくれたらしく、一瞬心配そうな顔でリツカのことを見た。


    「・・・四季、」


    「分かってる、心配するなって言うんでしょ?全く・・・リツカ姫は強がりなんだから」


    ふざけて姫などと呼んだ四季の横腹を肘で軽く小突いたリツカは、歩幅を合わせてゆっくりと歩いてくれる四季と一緒に自室へと向かう。
    研究者は個室が割り当てられるが、リツカや四季たち実験体の部屋は大体2、3人でひと部屋と決まっており、リツカの同室者はこの四季だ。
    四季は定期的に研究者に頼んで染めてもらっているという綺麗で真っ直ぐで明るい、本来なら背中まである茶髪を頭上で結んでいた。
    四季が受けた実験はリツカとは違って痛めつけられたりはせず、味覚の有無や程度を確認したかったらしく、しこたま食べさせられたらしかった。
    お陰で晩ご飯はいらないと明るく笑っておどけてみせる四季につられてリツカも笑うと、2人で自分たちの部屋に消えていった。


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■7525 / ResNo.2)  Re[2]: ヘヴン  2
□投稿者/ Ruiko 一般人(1回)-(2014/01/20(Mon) 11:31:28)
    実験の内容がSM的なものだけでないのが面白いですね。
    改行が入って読みやすくなりました(^O^)
    展開待ってます!
引用返信/返信 削除キー/



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