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何か新しいものを開発しようとする時に、その効力や副作用を確認・発見しようと生身の人間の身体を使って実験を行うことは、日本では禁止されている。 しかし、法治国家であり先進国の一角を担っている現代の日本で、今では「常識」とされるそのルールを守らず、未だに執り行っている組織がある。 勿論、見つかったらただ事では済まないことは当の本人たちも痛いほど理解しており、大っぴらに人間を使った「人体実験」を行なっている訳ではない。 誰にも見つからないようにと国内の某所の地下深くに研究所を設置し、セキュリティも非常に厳しいものにして、万全の対策を施してあるのだ。 そこでは大勢の白衣をまとった研究者や時々様子見として訪問する数人のスーツ姿のお偉いさんの他に、監禁された何十人もの男女が暮らしている。 スーツ姿のお偉いさんは普段は地上で暮らしており、数ヶ月に1度、研究・実験の進行速度や内容、研究所や研究者の様子を見にやってくる。 が、研究者や実験体である数十人の男女は、この地下深くに造られた広く太陽の光が届かない研究所の中で衣食住を共にし暮らしている。 実験体として扱われる数十人の男女は年齢も出身地も容姿も性格も千差万別だが、その中でも若干多いのは10代から20代の年齢層の人間だろうか。 借金のカタ、関係者による拉致、親に多額のお金と引き換えに売られた・・・そこで実験体として扱われるようになった経緯も人それぞれだ。 まあ彼らには「実験体」として生きて働いてもらわねばならないので、1日3回の食事と1回の入浴、十分な睡眠時間は確保されている。 実験に関係していても無関係でも、彼らが病気やケガを負えば治療を受けられるし、身なりもきちんとさせてもらえることになっている。 ただ、実験によっては苦痛を受けるし、場合によってはそれが快楽になったりして、辞めたい、逃げたいと思っている人間も少なくはないだろう。 だがしかし、彼らにはそこから自力で逃げられるだけの勇気も何もなく、そもそも大勢の監視の目と監視カメラをくぐり抜けられる訳がない。
これは、そんな研究所でのお話である――――――
【プロローグ】
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