| リョウが初めてマイを見かけたのは、通学の電車の中だった。 その車両には郊外の女子大に通う女子大生がほとんどだった。 その大勢の女子達の中で、何故か気になった。 窓の景色を眺めているマイを、なんとなく見ていた。 するとマイの様子が変わった。 急に困ったような顔になり、モジモジし出したのだ。 リョウはすぐに分かった。きっと痴漢に遭っているのだ。 マイは顔を真っ赤にして俯いてしまった。 何受け入れてるの?抵抗しなさいよとリョウは歯軋りした。 でもリョウの位置からは遠すぎて助けられない。 マイは眉を八の字にして耐えている。 そのうち声を抑えるように口を手で押さえた。 顔を下に向いて必死に耐えている。時々イヤイヤと首を振る。 その時リョウは不思議な感覚に囚われていた。 必死に耐えるマイの顔を可愛いと思ったのだ。
彼女は同じ大学だろうか? 見るとまだ痴漢されているようだ。また口を手で押さえている。 激しくされだしたようで、身体が揺れている。 そのうち感極まったのか、ガクッと膝を折った。
もしかしてイッちゃったの? そう思った時、マイが顔を上げリョウの方を見た。 慌てて目を逸らしたがたぶん目が合ってしまった。 リョウは焦った。いたたまれなかった。 責められているような気がしたのだ。
それから幾度となくマイを見かけた。なぜか痴漢されている。 リョウはマイを痴漢の手から守ろうと決心した。 次の日早くから駅に行きマイを待って、一緒に乗り込んだ。 ジワジワとマイに近づき、その時を待った。 するとマイの様子が変わった。マイの背後を見ると日に焼けた少年がいる。 リョウはそっと確認すると、少年はマイのスカートの中に手をいれている。 リョウはその手首をガッと掴んだ。
「あなた、なにしてるの?‥‥あっ、あなたは!?」
続く
|