| 脳裏に流れ込む映像。 銀髪の美女の記憶の断片なのか?
戦国時代なのだろうか、まだ幼い少女がいかつい男とあどけない少年に丁寧に挨拶をしている。 人質として送り込まれた少女を温かく迎えたのは銀髪の美女。 いやその記憶の中の彼女は艶やかな黒い髪だった。
初めて女同士で肌を重ねた日の、悦びと罪悪感の混ざった感覚も伝わってきた。
そして惨く悲しい記憶。 父親が裏切ったのか、少女は高々と大の字に磔にされた。 性器を容赦なく民衆に晒され、そして数本の槍に刺し貫かれ、絶命した少女。 磔柱から下ろされてなお首を切られ、その首を晒された。 御前さまと呼ばれた美女は少女の生首を抱き締めて泣き叫び、そしてその嗚咽は奇怪な笑い声に変わっていった。
突然、辺りが騒々しくなった。 警察が救出に来たのだろうか。
救出に来たのは警察ではなかった。 ドアを開けて飛び込んで来たのは、弓香? 「さちか!!」 救出に来たのは浄魔師らしい。 弓香は手にしていた短い竹刀で二人をうちすえると私の縄をほどきはじめた。 「あたしは医者なんだけどねえ。幸香、怪我はないか?・・・なさそうだね」 その声はひかる先生か。 他にも浄魔師が数名来てくれたのか、
弓香とひかる先生の顔をみたら急に力が抜けてきた。 弓香の胸に抱かれたまま私は眠ってしまったようだ。
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