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■8114 / ResNo.10)  Re[10]: 磔柱の花嫁
  
□投稿者/ 水無月 一般人(2回)-(2018/05/13(Sun) 10:50:50)
    脳裏に流れ込む映像。
    銀髪の美女の記憶の断片なのか?

    戦国時代なのだろうか、まだ幼い少女がいかつい男とあどけない少年に丁寧に挨拶をしている。
    人質として送り込まれた少女を温かく迎えたのは銀髪の美女。
    いやその記憶の中の彼女は艶やかな黒い髪だった。

    初めて女同士で肌を重ねた日の、悦びと罪悪感の混ざった感覚も伝わってきた。

    そして惨く悲しい記憶。
    父親が裏切ったのか、少女は高々と大の字に磔にされた。
    性器を容赦なく民衆に晒され、そして数本の槍に刺し貫かれ、絶命した少女。
    磔柱から下ろされてなお首を切られ、その首を晒された。
    御前さまと呼ばれた美女は少女の生首を抱き締めて泣き叫び、そしてその嗚咽は奇怪な笑い声に変わっていった。

    突然、辺りが騒々しくなった。
    警察が救出に来たのだろうか。

    救出に来たのは警察ではなかった。
    ドアを開けて飛び込んで来たのは、弓香?
    「さちか!!」
    救出に来たのは浄魔師らしい。
    弓香は手にしていた短い竹刀で二人をうちすえると私の縄をほどきはじめた。
    「あたしは医者なんだけどねえ。幸香、怪我はないか?・・・なさそうだね」
    その声はひかる先生か。
    他にも浄魔師が数名来てくれたのか、

    弓香とひかる先生の顔をみたら急に力が抜けてきた。
    弓香の胸に抱かれたまま私は眠ってしまったようだ。
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■8129 / ResNo.11)  Re[11]: 磔柱の花嫁
□投稿者/ 水無月 一般人(1回)-(2018/11/03(Sat) 09:06:02)
    目が覚めた。
    ここは病院らしい。
    傍らに付き添い用ベッドで弓香が眠っている。
    夜明けらしい光が窓から差し込んでいる。
    悪夢の時間は意外に短かったようだ。

    私は起き上がりストレッチめいたことをする。
    しばらくして弓香も目を覚ました。
    弓香と視線が合う。その瞬間、弓香は私に抱きついて来た。
    その勢いで再びベッドに倒れてしまう。
    「さち姉のバカ、肝潰したよ今回は」
    弓香は半泣きでいう。
    「ごめん、心配かけたね」弓香の髪を撫でながら私は詫びる。
    弓香と私、血縁では従姉妹になる。
    交通事故で両親を失った弓香を私の実家で引き取り、育てたのだ。
    その事故が弓香の浄魔師の資質を目覚めさせたらしい。
    最初は余計な雑霊に怯えていたがトラウマのケアが上手く進むにつれて自分の感覚の制御も上手になってきた。
    心理的に乱れた弓香を抱きしめ落ち着かせるのは私の役目になっていったがそれは嫌ではなく、むしろ喜びだった。
    落ち着くと額をつけて笑ったり、時にはふざけて軽いキスをすることもあった。
    顔立ちは似てることもあり近所の人々も弓香が養子であることを意識しなくなっていた。
    ただ弓香の背が伸びないのはあの事故が影響してるのだろう。

    「さち姉、あまり危ないことしないでね」
    うん、慎重になるよと私はいう。
    弓香が笑顔になってきた。
    軽いキスを交わし、頬と頬をつけて暫く温もりに身を任せる。

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■8130 / ResNo.12)  Re[12]: 磔柱の花嫁
□投稿者/ 水無月 一般人(2回)-(2018/12/09(Sun) 10:03:59)
    あの事件からしばらくたち、季節は夏により近づいていた。
    弓香から連絡が来た。
    「姫神様を招いてあの女性をどうするか相談するけど幸姉が見たビジョンを話してほしい。辛い記憶を呼び起こすようで申し訳ないけど」
    私は了承し、日程を調整し、そして今、弓香の住まいに程近い神社の境内にいる。

    人の良さそうな神主らしい老人が声をかけて来た。
    「弓香ちゃんのお姉さんかい。弓香ちゃんは装束に着替えているからちょっと待って」そういいながらペットボトル入りのお茶を差し出す。
    私は礼をいい、緑茶を飲む。汗をかいた体に冷えた緑茶が心地よく沁みる。気温は高いが良く手入れされた境内は木々の緑が涼やかで心地良い。

    弓香には自分が見たビジョンをメールで説明しておいた。
    それでもこの神社に来たのはこの事件の結末を見届けたい気持ちがあったからだ。
    私は決して能動的に他人の思考や記憶を除き込めるわけではない。
    ただ強すぎる感情に触れると記憶や思考が入り込んでしまうことがある。

    白の衣に緋色の袴、足には白い足袋に雪駄、正式の装束に身を包んだ弓香が社務所から出てきた。気温が高いにも関わらず弓香の佇まいは涼やかだ。
    「幸姉、来たんだ。じゃあ本殿に入る?」
    「うん、この事件の結末を見届けたいからね」
    弓香は老神主に本殿に人を近づけないように頼む。
    弓香と私は本殿に入る。

    すでにあの銀髪の美女は本殿の中にいた。
    ひざまずき静かに待っていた。
    「さあ始めます。」
    弓香は呼吸を調え、祈りの言葉を詠む。
    「浄魔師たる早瀬弓香、ククリノヒメノミコトにかしこみかしこみ申し上げまする、この不死の霊を導くために我が招きに応えてくだされ」
    祭壇の鏡が光る
    その光の中に美しい女性が現れた。
    これが女神?

    「あら弓香ちゃん、お久しぶり〜」
    えらく軽い女神様だ。
    「姫神様、この人は世の中への恨みが激しくて不死者になったようなの。強く結び付いたひとの御霊を呼び出せれば不死の呪いを終わらせることができるんだけど」
    弓香の口調もくだけたものになっている。

    女神は銀髪の美女の傍らに座ると銀髪の美女の胸に手を当てる。
    女神は銀髪の美女にいう。
    「縁の糸を引いてあなたが求める人を呼びます。その人の姿を思い浮かべるの。」
    銀髪の美女は喜びの表情を浮かべた
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