[戻]-110/親
傷跡
こっこ
傷つけた恋人に、送る。
手紙
“おれは、萌に何をしてあげたろう。何も、思い出せない。もしかしたら、萌が望むことを、何もしてあげられなかったんじゃ(;_;)それだけが、心残りです。指輪を、あげたね。ハタチのバースデー。それだけかも。喜んでくれたのは。
でも、それも、今となっては意味もないけど。
指輪は、萌にあげたものだから、返さなくていい。返されると、つらくなる。鍵も、いらないから。
今まで、ありがとう。ありきたりだけど、萌と付き合えて良かった”
切手の貼られていない手紙が届いた。別れた、ヤスから。車を走らせ、届けたのだろう。
「切手、貼ればいいのに」萌はつぶやく。
ヤスは、典型的O型で、思い立ったら、すぐ行動に移す性格だった。行動力のあるところが、好きだった。とても熱い性格で、真っすぐすぎて。
萌には、受けとめきれなくなってしまった。
萌の気持ちが、すべてヤスにむかっていないことを知ると、ヤスはとても乱暴になった、特に、二人で過ごす夜に。
ヤス、お願い、今日はいやなの。と、抱き締めてキスを繰り返す。
おでこに、ほっぺたに、くちびるに。あなたを、愛していると気持ちをこめながら。
でも、何よりも深く抱き合うことを大切に思うヤスに、伝わらない。
せっかく逢えたのに。と、物足りないと言う。
お願い、ヤス、今日はこのまま眠りたいの。穏やかなまま。もう一度、耳元でつぶやく。
でも、受け入れられることはない。
拒むと、もっと求める。ヤス自身も、傷つくほどに。
服を脱がされた。そして腕を、縛られる。拒んでも、拒めないように。こういうときのヤスは、キスを返してはくれない。ただただ、体を求める。
03/03 12:47
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