[]-5531/親
唯一の光
春風

朝からザワザワと騒がしい、有名な名門である学校の校門を潜り抜ける。

最近、あまりいい事がない。

(父様も母様もお忙しいし、ずっと飼っていた猫も死んだ・・・。)


彼女は河合紅<カワイ コウ>。とある大手会社の一人娘。
腰までの色素の薄い、茶色のポニーテールに茶色の瞳、すらっとした身体。
身長は低めだが存在感はあった。

お金持ちのお嬢様ばかりが集うこの女子校。
紅は可愛い容姿とは反対に、意外と友達が少なかった。

「ごきげんよう」

そう交わされる挨拶を適当にあしらい、一人教室へ足早に向かう。

そんなクールで可愛らしい紅に他の生徒は悶えていた。
(か、可愛いわ・・・・!!)

         

                      *



紅は鈍感な為、そんな人々の心を自覚しているわけでもなく。
教室に着くと、鞄を窓側の一番奥の自分の机に置き、隣のクラスへと足を運ぶ。

幼い頃からの数少ない友人である、浅生蓮<アソウ レン>に会う為にである。
蓮は紅とは対照的で、肩までも無い漆黒のショートヘア、黒い瞳、ナイスバディ。
身長は高めでクラスでも中心的人物だ。

そんな明るく強気な蓮と、クールで冷淡な紅は不思議なほど仲が良い。

「・・・・蓮。来た」

今朝もクラスメイトに囲まれていた蓮の、黒いカーディガンを軽く引っ張る。
自然と人々は紅に道を開ける。

みんなはこの、美人な二人のコンビに憧れており、くっつかないかと密かに応援していた。

「あ、紅〜!今日も可愛いvv」

紅のふっくらとした頬にチュッと軽く口付ける。蓮のスキンシップだ。
紅も平然と蓮に口付けを返す。

「ねえ、今日はお昼ご飯中庭で食べない?」

「ん、いいよ」

そこで予鈴が鳴ってしまい、紅が教室に戻る。


「・・・・・可愛い紅・・・・・」

そう蓮が呟いたのを、紅は勿論、他のクラスメイトも知る由はなかった・・・。



11/23 19:13
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春風
(01/07 06:54)
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Re[1]: 唯一の光


(01/01 23:07)
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