[戻]-6855/親
クレイジー
豆大福
皆様、ようこそいらっしゃいました。
私はここで雇われている、井上李緒(いのうえりお)と申します。
本日はお集まり頂き、ありがとうございます。
軽食やお飲物をご用意させて頂きましたので、ごゆっくりお楽しみ下さいませ。
そう言って深々とお辞儀をしたのは、まだまだ若い1人の可愛らしい子。
黒と白のメイド服を身に着け、首には真っ赤な首輪をはめています。
結構色白な子なので、メイド服の黒い生地と真っ赤な首輪がよく映えます。
そのメイド服はミニスカートで、しゃがめばスカートの中が見えそう。
黒いストライプ柄のタイツを穿いているので、生足ではないのが残念です。
そして今日、都心のビルの地下に集められたのは、10人の女性たち。
年齢は10代後半ぐらいが最低ラインの、至って普通の女性ばかりです。
その集められた10人の女性の中には勿論、“貴女”も入っていますよ?
それぞれの女性の自宅に、1つの薄いピンクの封筒が届いたのは半月前。
封筒の中には、今日のこの集まりについてのお誘いと、そのためのカードキー。
彼女たちは、とある女性のファンクラブに所属する女性たちなのでした。
このお誘いは、今回が初めてのものではありませんから、彼女たちは慣れっこ。
そもそも、これが目当てで入会したという女性もいるそうなのです。
まあ、今回お誘いがかかったのは、ファンクラブの“幹部”に属する女性のみ。
幹部の女性は、このファンクラブを持つ女性が履歴書を見て、自ら決めるのです。
ファンクラブに入会する時には、履歴書を送らなければなりません。
それを見て、職業・容姿を配慮したうえで、幹部が選ばれます。
あまりに外見に無頓着な人、理由なく無職だったりする人は論外です。
ある程度外見に気を配っていて職に就いていれば、誰でも可能性はあります。
・・・・・説明が長くなってしまいましたね、話をもとに戻しましょう。
貴女はちょうど暇だったので、今日、この集まりに参加しました。
幹部は15人いるはずですので、どうやら今日は5人が欠席のようです。
李緒と名乗ったその染めていない黒髪をボブにした子が、歩き出しました。
幹部である招待客の女性たちも、その子の後に続いて廊下を進みます。
上は会社のビルなのですが、隠し通路を抜けると、ホテルのようでした。
カードキーと暗証番号で扉を開けると、そこはホテルのロビーのような場所。
全員が揃うまでそこで待機し、全員集まったところで李緒が現れたのです。
3分か5分ぐらい歩くと、ドアが現れ、李緒がインターホンを押しました。
ピンポーン、という音が微かに聞こえた後、無言でドアの鍵が開く音がしました。
李緒はドアを開けるとドアを押さえ、女性たちを先に中に通しました。
部屋の中には、広いキッチンやダイニング、リビングなどが広がっています。
そのリビングの赤いソファーの上に、黒いパンツスーツ姿の女性が座っていました。
優雅に指と足を組み、こちらに気付くと美しい微笑みを浮かべました。
―――――そう、この女性こそ、ファンクラブを持つ謎の女性、慈雨(じう)。
苗字は分からず・・・というか慈雨という名前が本名かどうかさえ分かりません。
真っ白に染めたベリーショートの髪が特徴的な、優しげな女性です。
「ようこそ、幹部のみなさん。お久しぶりです」
ソファーから立ち上がると、幹部の女性1人1人と握手をして回りました。
モデルや女優にも滅多にいないその美貌に、幹部たちはうっとりとしました。
身のこなしも優雅で上品で、肌も綺麗で白く透き通るようで・・・・。
もう、慈雨を見たら、いくら美人だと言われる女性でも、そう思えません。
そのぐらい慈雨は魅力的で美しく、なおかつミステリアスな女性なのです。
「慈雨様、この間お会いした時は、黒髪でしたよね?」
20代ぐらいの女性が、興奮で頬を微かに紅潮させたまま口を開きました。
慈雨はよく覚えているね、とまた微笑み、先々週染めたの、とにっこり。
その笑みに幹部の女性も李緒も顔を赤らめ、またうっとりとしました。
「さて、今日貴女方を呼んだのは、この髪型を見せたかったのもあるんだけど、
本来の目的は、私が雇っているこのメイド、李緒にお仕置きとしつけをするためなの」
首輪から垂れていた銀の細身の鎖を引っ張られ、李緒はよろめきつつ慈雨の元へ。
慈雨は彼女を受け止めると、そのさらさらの髪の毛を軽く指でといてやりました。
李緒は気持ちよさげ、嬉しげに頬を緩め、ねだるように頭を手にすり寄せます。
「彼女がどういう粗相をしたのです?」
「この間友人を招いたんだけど、その時にきちんと対応が出来なかったの。
それはそれは酷いものでね・・・・私のしつけがなっていなかったみたいね」
「だから、今日は李緒に徹底的にお仕置きをして、しつけ直すわ」
07/26 01:54
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No6856
クレイジー+2
豆大福
(07/26 02:18)
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