[]-7051/親
保健室での秘め事
紗奈

『せんせぇ〜…』
「あらあら、いずみさんじゃない」

 保険室のドアを静かに開く。
 オフィスチェアを回転させ、白衣を着た大人の女性がいずみの方を向く。

「今日はどうしたの?」

 大人の色気が漂う女性、保健教師のみゆき先生が心配そうに尋ねる。

『身体がだるいので、休ませて欲しいのですが…』

 昨夜の夜更しが今朝になって響いていた。
 本当は授業に出れないほど辛いわけではない。しかし、今日はいずみの苦手な体育がある。
 丁度いい口実を見つけたため、サボってしまおうと考えていた。

「それは大変ね」

 ベットにつながる仕切りカーテンを開放する。
 綺麗に整えられた真っ白なベットが姿を現す。

「まだ誰も居ないから、空いてるベット自由に使っていいわよ」
『ありがとうございます』

 襲い来る睡魔にベットの誘惑。
 いずみには先生が天使にみえた。

「あ、そうだ!」

 靴を脱いで横になろうとした時、突然先生が何を思い出した。
 薬品棚から瓶を取り出し、コップに移していずみに手渡す。

「休む前にこれ、飲んで」
『なんですか、これは?』

 コップには甘い香りのする液体が注がれていた。

「そうねぇ…栄養剤みたいなもの、かしら」
『では、ありがたくいただきます』

 いずみは疑うこともなく、手渡された液体を飲み干す。

「少し用事があるから席をはずすわね」

 先生は机に置いてあった書類を抱え、いずみに向き直る。

「担当の先生には私から体調不良だってこと、伝えといてあげるわ。
 ゆっくり休みなさい」

 一言お礼を言うと、毛布を引き寄せて瞼を閉じる。
 いずみはカーテンを閉めることも忘れ、眠り落ちてしまう。



02/05 00:10
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