[]-7479/親
飼われる
左眼

第一話
 仁美の目が覚めたのは、広いベッドの上だった。
 さらわれた時の事は、朦朧としていて覚えていない。
 何か、薬を使われて眠らされていたらしい。
 不安な気持ちで自分の体を検める。
 恐ろしい事に、犬の様に首輪をつけられていた。
 首輪は天井から、吊るされたロープに繋がっていて自分で外す事ができない。
 服装に乱れはなさそうで、お気に入りのワンピースを着ているが、下半身に心もとない感じがする。
 手をスカートの中に入れて、その訳が分かった。
 下着が脱がされている。
 恥ずかしさで顔が赤らみ、不安な気持ちが強くなる。
 寝ている間に乱暴されたのでは、と頭が真っ白になるが、女性の部分に痛みや傷はなさそうだ。
 天井には大きな照明が備えつけられていて、不気味な部屋を明るく照らしている。
 ベッドの傍に大きな棚があって、鞭や大きな注射器などが置かれている。
 床には婦人科の診察台や十字架の形をした金属の台、ポータブルトイレ、ビニールシート、大きな鏡、平均台、マットなどが整然と置かれている。
 ここはどこ?私はどうなるの?
 恐怖と不安で、仁美は涙ぐみ始めた。
 しばらくして、部屋のドアが重々しい音をたてて開いた。
 レイプされるの?緊張して、入って来る人影を見つめる。
 男ではなく、身なりのきちんとした女性二人が、部屋に入って来た。
 助けに来てくれたのかもしれない。
 二人は、まっすぐに仁美に近づいてきた。
「助けて、助けて下さい」
 泣き声で呼びかけたが、二人とも平然とした顔をしている。
 ひとりは、まだ若い女性でスーツを着ている。上背があり、鋭い眼光をしている。
 もう一人は、年配の太った女性で高価なブランドのドレスを着て、指にはダイヤの指輪が光っている。
「最近捕獲した中では、一番の美形でございます」
「いいわね。肌もきれいじゃない」
「処女膜も確認済みです」
「気は弱そうね。もう泣いているじゃない」
「闘犬には向きませんが、愛玩用には最適かと存じます」
 仁美の泣き声を無視して、商談しているようなやり取りが続いた。
「お願いです。教えてください。どういう事ですか?」
 思い気って、二人に大きな声をかけると、若い方の女が睨み付けた。
「うるさい犬で、申し訳ありません」
 年配の女に、頭を下げてから、壁のスイッチを押す。
 すると、首輪に吊るされた、ロープが上に上がり始めた。
 引っ張られて、仁美はつま先立ちになる。
 首が絞まる、ぎりぎりのところでロープは止められた。
 呼吸するのがやっとの状態で、声を出すことも出来ない。
「あとで、ゆっくりしつけてあげるから、黙って立っていなさい」
 冷たい声で言うと、年配の婦人との商談を再開した。


12/27 13:17
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No7649
ありがとう

左眼
(10/04 12:24)
No7648
Re[2]: 飼われる 最終話

yuka
(10/02 22:52)
No7644
飼われる 最終話

左眼
(09/06 12:05)
No7638
飼われる 第十九話

左眼
(08/13 21:15)
No7636
ありがとう

左眼
(07/24 17:32)
No7635
飼われる 第十八話

左眼
(07/24 17:29)
No7632
Re[2]: 飼われる 第十七話

のん
(07/08 16:01)
No7631
遅くなりました

左眼
(07/02 22:09)
No7630
飼われる 第十七話

左眼
(07/02 22:07)
No7628
Re[2]: 飼われる 第十六話

のん
(06/17 19:32)
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