[]-7870/親
君の痛みと僕の痛み 再会編
沙羅改めレオン

「8年ぶり・・・」

ターンテーブルから自分のバックを取りながら、考えた
そして、大きく息を吸い込んだ

不本意であったが、仕事の関係でこの地を離れ、8年が経った

大きく吸い込んだ息に、8年間の違いを彷彿させる匂いは感じられなかった


人の流れと共に
青い銀色の電車に乗ると、乗客はみんなスマホの画面を見ていた
違和感の中、外の景色を目で追っていた
8年間を取り戻すために。

自宅に着くと、別便で送った荷物が届いていた

さて、どうしようかな・・・

その段ボールを目にすると、開ける気が失せた

「少しずつやればいいか、とりあえず、ご飯、ご飯」と言い訳のように呟いた

外に出ると、太陽が容赦なく照り付けた
日差しが、皮膚に刺さって痛い感触だった

じんわり汗をかきはじめた時に
茶色の木のドアの洋食屋の外看板を見ると
ランチの文字に急ぎ足で入った

「おひとりですか?こちらどうぞ」

小柄な若い女の子のウエイトレスに案内された

一人用の席に通されると、すぐにランチメニューを渡された
メニューを見ていると、
「失礼します」と水のグラスを出された

グラスに水滴がついていた

その若い女の子は
その水滴をそっと拭いて、置きなおした

気が利いてるなぁ・・・

そのグラスを見ながら感心した
3種類のランチメニューから、軽めのランチを選んだ
ほどなく料理が届き、食べ始めた
一人で食事をすることは苦手だったが、この8年間で慣れた気がする

食事をしていると、またグラスに水滴が溜まってきた



その水滴を見ていると、思い出した







『みゅう』を。





みゅうと愛し合う時は、必ず縛った



ロープで身体を拘束されると、身動きできなくなり
自分の思うように逃げられないために
縛られた体は、強く敏感になると聞いた



それを意図してはいなかった



強く拘束したい



愛情を示したい




社会に認められない愛に苛立ちがあったかもしれない








みゅうを縛り上げて、両足を大きく広げた格好にする




ゆっくりとラビアを広げて見る




みゅうのクリトリスを撫でる



下から上になぞってみる



クリトリスの皮を剥くように撫でる



みゅうの切ない声が聞こえる



みゅうの体から流れた出た水滴


愛おしく感じた



「失礼します」とウエイトレスが声をかけてきた


はっと我に返った


水滴があるグラスに水が注がれる様子をじっと見つめていた



この地を離れる時の
みゅうの反応は想像通りだった


「見送りには行かないもん、泣くから」


うん、わかった
苦笑いで答えた


泣くからと、言っている目に涙が溢れていた


みゅうとは月に2、3度メールのやり取りをしていた
メールは200通を超えていた

今日、食べた物、仕事の事、観た映画など
いつも近況を伝えるメールだった


みゅうらしい


愚痴や不満が一切ないメール
たぶん、余計な心配をかけまいと必死なメールが
会いたいと言っている気がしていた






そうだ、みゅうに会いに行こう





私は店を後にしていた


08/08 18:58
編集 削除
続き・感想を書く
第1レス(続き・感想)
レス古い順
▽続き・感想(7)1-7
No7895
NO7 君の痛みと僕の痛み 再会編

沙羅改めレオン
(09/19 15:51)
No7888
NO6 君の痛みと僕の痛み 再会編

沙羅改めレオン
(09/07 18:39)
No7886
NO5 君の痛みと僕の痛み 再会編

沙羅改めレオン
(08/26 20:33)
No7882
NO4 君の痛みと僕の痛み 再会編

沙羅改めレオン
(08/20 12:00)
No7881
NO3 君の痛みと僕の痛み 再会編

沙羅改めレオン
(08/19 20:47)
No7879
Re[2]: NO2 君の痛みと僕の痛み..

ゆみ
(08/16 01:02)
No7876
NO2 君の痛みと僕の痛み 再会編

沙羅改めレオン
(08/14 11:36)
Menu 初頁
Child K-Tai