[]-8083/レス
Re[1]: 磔柱の花嫁
水無月

私は後を追った。
女性の集団は気づいていないようだ。あるいは気づいていても意に介さないのか?

週末には賑わう展望台には二重十字の磔柱が据え付けられている。
その側には恐らくこの作業を担ったであろう女性が四人、恭しくひざまづいていた。
「 準備は出来ているわね」リーダーらしい女性が口を開く。幼くも見え、しかし大人の女性の色香も併せ持つ不思議な雰囲気の女性だ。
「御意。恙無く儀式を進められると存じます」ひざまづいていた四人のうちのひとりが答えた。作業に従事した四人はやや逞しい印象はあるが女性らしさがないわけでもない。何らかのスポーツを本格的にやっていたのだろう。
ある女性たちは蝋燭に点火している。比較的風に強いと言われる和蝋燭だ。
どうやら何かの儀式の準備をしているようだ。
風も雨もないわ、最高の天気ね、そんなことを話ながら彼女たちは儀式の準備をしている。
あの花嫁衣装で縛られた女性は一度縄を解かれた。しかしすぐに両脇を抱えられ、たちまち磔柱に大の字に拘束された。
花嫁衣装の女性はすべてをあきらめたように頭を垂れ、儀式の時を待っている。

突然、二人の女性がこちらに視線を向けた。気づかれた。
隠れてやり過ごすか、全力で逃げるか。一瞬の迷い。
その一瞬は彼女たちが距離を詰めるには充分だった。

逃げようとして転んだ私は二人がかりで後ろ手に縛られた。

01/04 09:40
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