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Re[3]: 磔柱の花嫁
水無月

私は木に縛りつけられた。
猿轡も噛まされて悲鳴を挙げることもできない。脚も縛られて、もがくことしかできない。

リーダーらしい女性は私の両頬を挟むように触り、私の眼を覗き込む。
透き通るような白い肌、整った目鼻立ち、着衣状態でもわかる美しい身体のライン。月明かりの許でも息を飲むような美貌。だが私を驚かせたのはその髪の色だ。明らかに銀色だ。それも老人のものではない。
多くの人びとの理想、サラサラと風にそよぐ髪の質感。その質感でいて鮮やか銀色なのだ。そして眼は時折赤い光りを放つ。
これは人外の存在なのか?

いつの間にかジャケットの内ポケットから財布と名刺入れを抜き取られていた。

「早瀬幸香、フリージャーナリスト。ん・・・・『翼を折られても、歩いて生きる』の著者ですよ」
部下のひとりが驚いたようにいう。
その本は生育過程で虐待され、それでも生きて来た人びとを取材してまとめたものだ。
「あの本は素晴らしい。私も泣きました。あなたなら私達の苦悩をわかっていただけそうですね」
リーダーらしい女性は先程の妖艶さとは異なる笑みを浮かべていた。

01/04 12:33
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