■Anser 稚羽矢 2002/12/13
「芙美さん、寒いからそっち行っていい?」 芙美さんと私は同じサイトで知り合った。今年でもう知り合ってから1年は経とうとしている。 同じ小説サイトで投稿しており、彼女が私のファンだって言う事でメル友になった。 メールしようって言い始めたのは私のほう。 彼女は私の4つ上。女優みたいに綺麗で、近寄りがたい…そんな感じの人。 「いいですよ」 私は彼女の布団に潜り込んだ。最初の頃嫌がってただけ、余計その行為を受け入れてくれるのが嬉しい。 芙美は特定の人物を好きにならない。だから、好きな人なんていないのだ。 彼氏がいるけど余り好きじゃないって言ってた。 「このままで行くと自然消滅するけどそっちの方が嬉しいです」 「芙美さんらしいね」 私は笑った。そんな彼女に私は告白されたのだ。何でだろう? 私がビアンだって事彼女は知っている。 それでも付き合ってくれる事を嬉しく思っている。 唯不思議なのが、人を好きになれない彼女が何で私を受け入れるのかって事。 「芙美さん、こっち向いて。向いてくれないと生乳触っちゃいますよ」 「もぅ何言ってるんですか」 芙美さんは私に背を向けたまま。私は宣言した通り、服の下に手を滑り込ませた。 ぴくっと身を強張らせた。胸には触らず、おなかを優しく撫でる。 直接触ったら酷く嫌がることが目に見えてたから。 「琴…恥ずかしい…」 「触られるのは嫌?」 「触られるの嫌じゃないですけど…5,6年ほど人に触れることなどなかったですから…」 しゅるっという音を立てて浴衣の帯を外した。 「ねぇ、抱いていい?」 返事を待たずに私は彼女の乳首を摘んだ。触る前から乳首は硬く、尖っていた。 「私が触る前から硬くなってるし」 隙間がないくらい私は彼女の背中にくっついている。乳首をもう少し強く摘んでみる。 「欲しくなった?」 「……欲しくないです」 芙美さんは顔を赤く染め、私を睨んだ。 「でも私がしたいから我慢して下さいね♪」 なんて我儘なことを言ってのける。相手が彼女だからやることなんだけど。 力で従わせることはしない。それよりも本人が受け入れてくれる方が嬉しいから。 「そんなに嫌?」 芙美さんの上に乗って問う。バージンなのも知ってる。 「琴にならって思う。けど…バラバラになるのが怖い。人に裸見られるのが嫌」 「でもキスはいいんだよね」 そう言って唇を重ねる。 「ん…」 かなりぎこちない唇の触れ方。ぎこちないのは私じゃなくて彼女の方。 「もしかして、キスも初めて?」 話には聞いていたけど、まさかキスもしたこともないって思ってなかった。 顔を真っ赤にしている芙美さんがとても可愛らしくて笑ってしまった。 「電気消しますね」 部屋が真っ暗になったが、シルエットだけが見えている。再び彼女の布団に潜り込んだ。 「ねぇ、もう一回キスしよ」 彼女を抱き寄せて、唇をゆっくり舌でなぞる。もう一度唇を重ね、上下に動かした。 唇の隙間から舌を入れ込む。 びくっと彼女の体が震えた。怖がってるのが伝わってくる。 「やっぱり怖い?」 今までの話を聞いてると芙美さんが怖がることくらい判ってる。 「琴、私やっぱり怖い」でも、ここで引き下がる私じゃない。 服の下に手を滑り込ませ、彼女を優しく撫でつづける。 彼女がドキドキしてるのが掌に伝わってきた。 怖いと同時に期待してしまう、この心境私も知ってる。 「芙美さん…私、芙美さんが大好き。だから…欲しいんだ」 もう一度キスする。 ------------------------------------------------------------------------------ Anser 稚羽矢 - 2002/12/17(Tue) 20:59 No.55 「芙美さん、寒いからそっち行っていい?」 後ろから琴の低い声が掛かる。 「いいですよ」 もぞもぞと布団の中に入ってくるのを感じた。 背中越しに暖かさが伝わってきて、ほっとする。 私は男は元より他人に深く入り込まない。 だから、好きな人なんていない。 彼氏がいるけど余り好きじゃないと琴に告げた。 「このままで行くと自然消滅するけどそっちの方が嬉しいです」 「芙美さんらしいね」 私は笑った。それでも私は琴に告白した。 何故告白したのだろう? ……伝えたかった。 どんなに私が悪態をついても、琴はいつでも優しかった。 琴がレズビアンだって聞いた時も別に何も感じなかった。 それがなぜかと聴かれても判らない。 唯…彼女に興味を持とうと思った。 「芙美さん、こっち向いて。向いてくれないと生乳触っちゃいますよ」 「もぅ何言ってるんですか」 私は彼女に背を向けたまま。 私は宣言した通り、琴が服の下に手を滑り込ませると判ってた。 ぴくっと身を強張らせた。 いきなり胸には触らず、おなかを優しく撫でられる。 私が嫌がることをしない。 数少ない自分の言葉から、琴はどれほど私のことを汲み取ってるのだろう? 「琴…恥ずかしい…」 「触られるのは嫌?」 「触られるの嫌じゃないですけど…5,6年ほど人に触れることなどなかったですから…」 しゅるっという音を立てて浴衣の帯を外される。 「ねぇ、抱いていい?」 返事を待たずに琴は私の乳首を摘んだ。 触る前から乳首は硬く、尖っていた。 「私が触る前から硬くなってるし」 隙間がないくらい琴は私の背中にくっついている。 乳首をもう少し強く摘んでくる。 「欲しくなった?」 「……欲しくないです」 私は琴を睨んだ。 「でも私がしたいから我慢して下さいね♪」 なんて我儘なことを言われてしまった。 そこには琴の不敵な笑い。 中性的な琴の容姿。 琴は力で従わせることはしない。 琴は空手してるし、運動神経いいし…器械体操をしていただけの私が適う筈もないから。 「そんなに嫌?」 私の上に乗って問う。 琴の大きな鳶色の目が私を覗き込んでくる。 琴は私がバージンなのも知ってる。 「琴にならって思う。けど…バラバラになるのが怖い。人に裸見られるのが嫌」 自分の体を見られるのが嫌。 例えそれが誰であろうとも嫌。 「でもキスはいいんだよね」 そう言って唇を重ねられる。 キスなら自分を許せるからと琴に告げた。 「ん…」 かなりぎこちない唇の触れ方。 「もしかして、キスも初めて?」 私の体中がドキドキと呼応してるそれが伝わらないか心配だった。 私のの様子を見て琴が笑ってる。 「電気消しますね」 部屋が真っ暗になったが、シルエットだけが見えている。 再び彼女が布団に潜り込んできた。 「ねぇ、もう一回キスしよ」 抱き寄せられ、唇をゆっくり舌でなぞられた。 もう一度唇を重ね、 唇の隙間から舌を入れ込まれた。 うわっ!心の中で悲鳴を上げた。 キスだけならまだしも、舌まで…。 更に緊張が走る。 凄く怖い…どうなるの、私は。 「やっぱり怖い?」 「琴、私やっぱり怖い」 服の下に手を滑り込ませ、私を優しく撫で続ける琴。 琴に撫でられるとほっとする。 「芙美さん…私、芙美さんが大好き。だから…欲しいんだ」 もう一度キスされる。 ------------------------------------------------------------------------ 「声出していいですよ」 声が一度出たら止まらない。 でも、私は始めてHするって人相手に今までしたことがないだけに緊張していた。 そっと乳首を口に含む。 すでに硬くなっていて、舌で転がすだけで芙美さんの体が震えた。 舐めて、吸い付いて、軽く噛んで見たり彼女が感じるところを探す。 「芙美さん、私も脱いだ方がいい?」 肌と肌が重なる暖かさが、私は好き。 「っ…」 間も与えずシャツを脱がされ露もない姿にさせた。 上がりそうになる声を途中で飲み込んでいるのが手にとるように判る。 それに比例して小さな刺激一つにしても体が震えている。 ぴくぴくっと面白い程に反応する。 「声出していいのに」 「いや…恥ずかしくて」 出さない代わりに息は荒くなっている。 「濡れてるよ」 その感じは触らなくても何となく判る。 それよりそうとこれ以上したら嫌われるのかと思い引いてしまった。 どうしよう? 「ねぇ……まだして欲しい?」 どう答えられるんだろうか?ここで止める事になる? 「もっと触って欲しい」 本当に意外な答え。 「…私に体を預けて」 芙美さんの衣服を全て脱がせる。 私も服を脱ぎ捨て彼女の体を覆うように上に乗った。 「ほら…こんなに濡れてる」 クレバスをゆっくり中指でなぞる。 彼女は首を左右に振り、私をきつく抱きしめていた。 声を出すのは本当に嫌らしい。 「ねぇ、指ナカに挿れていい?」 「は、初めてだから…痛くしないで」 と、お決まりの台詞。 これしか思いつかなかったんだろうなっとくすくすと笑ってしまう。 「わかってますって」 意識したわけでもないのに、妙に優しい自分の声。 「ゆっくり息を吐いて」 私の指示通りに静かに息を吐く。 意外とすんなりと私の指が入り込んでいった。 「痛くないですか?」 「……我慢出来ます」 「慣れるまで動かしませんから…それに気持ちいのはナカだけじゃないですからね」 芙美さんのナカに指を挿れたままキスをする。 「私、凄く嬉しい。こうして芙美さんと一つになれてる…私の名 前呼んでくれますか?琴って」 「…琴…もっと気持ヨクなりたい。」 「私、指短いから奥まで入らないよ」 左手で芙美さんの頬に触る。 柔らかくてちっちゃい、赤ちゃんみたいな私の手。 指を曲げたり伸ばしたりしながら少しずつ奥に入れていく。 「これ以上入らないよ、ミアさん。少しでいいから腰動かしてみて」 ゆっくりとピストンを始めた。 「こ、これでいいのかな…」 体が自然に動くって事はないみたいで、彼女は体を動き始めた。 「本当に気持ちいいの?」 私の指が彼女のクリトリスに触ると芙美は思わず声を上げた。 「今の…すっごく気持ちいいかも」 「芙美さんはナカよりこっちの方がいいんだね」 私は指を抜いて、クリトリスを中指で転がし始める。 「ひっ…」 大きく彼女の体が震えた。 「や…琴、余り動かさないで…おかしくなっちゃう」 体に力が入らないみたいだ。 でも、それは自分の意志で…彼女は長い黒髪を振り乱しながら喘いでいる。 逃げられないように、腰をしっかり抱きかかえるとそれはより一層激しくなった。 「あ…っ。そんな激しくされたら……は…あ…っ琴ォ」 全身が大きく痙攣し、体が崩れ落ちた。 体が小刻みに震えてる。 ぎゅっと芙美さんを抱きしめた。 「大丈夫ですか?」 私の腕の中でも震えていて…とまらないらしい。 「私に抱きついたら少しは楽ですよ、ほら」 左手を首の下に手をいれ抱きしめる。 私の腕の中で大きく深呼吸をしていた。 「…琴…気持ち良かった」 消え入るような小さい声で、彼女は囁いた。 私は芙美さんの背中を撫でた。 一時したらまた彼女に腕を回す。 「良かった…感じて貰えて」 芙美さんの香がする。 「芙美さん…なんで私が好きなんですか?」 正直な質問だった。 何で私が芙美さんの気に止まっていたのか…初めての経験を私に…くれたのか。 至極当然なことだった。 「琴と付き合い長くなると思ってたんだ、だからこんなになってもいいんじゃないかって。私は琴を友だちとして好きだから」 「友達として好きで、何でHすんのぉ?」 彼女が体を許すことなどよっぽどだと思ってる。 私だって誰とでもHするわけでもなし。 確かにこの答えは聞いてみたい。 「分からないのよ。友達として好きだとは思っても、心のどこかで友達じゃなくそれ以上の関係になりたいと願うフシもある。 体を許したのも大部分がそれだから…半分は好奇心が入っているかもしれないけど。やっぱり友達じゃなく、恋…人になるのかな?」 「そうじゃないの?」 何とも言えない彼女の台詞。 私の心を掴んで離さない。 「私、ミアさん好きです。その部分が好きってわけじゃない、全部…全部好きだから」 泣いてるのバレてるのかなぁ。声がこんなのだからバレてるよね。うわぁ…ミアさんが私の顔触ってる!! 涙をぬぐってくれていた。 「そうでなくてはいけないのよね。その部分とかではなく、良しも悪きもすべてひっくるめないと好きとは言えない。 だからあの男に一言も好きだとか愛してるとか言わなかった。 安らぎすらも感じなくなっていた。…でも琴になら感じるかもね」 彼女は私に微笑みかけた。 「ごめん…何か眠い」 彼女は肌を寄せたまま寝てしまった。 -------------------------------------------------------- 日常茶飯事? 投稿者:稚羽矢 投稿日:2003/02/01(Sat) 23:51 No.915 隣寝ている琴を見る。柔らかくて艶やかな黒髪、可愛らしい寝顔。 私が初めて興味を持とうと思った人。 愛されたくもない、愛したくもない。 でも…琴は私がどんな悪態を着いても優しい目で見てくれた。 何故かは判らない、でも嬉しかった。 「琴…イイ匂い」 彼女の髪を掻き揚げるとほのかに香が香る。 彼氏には感じられなかった安らぎさえ彼女に掛かると全てを与えてくれる。 (これが「好き」って感情なの?) 別に嫌でもない。以前だったら嫌悪を抱いたのに。 芙美は琴の髪を飽きることなく触り続ける。 触り心地がいい、髪が指を流れていく。 (寝ているとこんなに可愛らしいのに) 芙美は微笑んでいた。 別に琴が普段厳格な訳でもないのだが、思わずこう思ってしまう。 無邪気で、人懐っこくて、天真爛漫、自由奔放。 それで居て頭の回転は速く、掴み所がない娘。 「……芙美?」 眠気眼で彼女を眺める。 琴は朝が極度に弱い。 だから意識がはっきりするまで結構時間掛かる。 芙美に抱きつき、思いっきり甘える琴。 不意に唇が重なる。 突然の事で驚きを隠せないのは琴の方だった。 芙美からキスなど今の今までなかったのだ。 それにそんなキャラじゃない。 「眼、覚めた?」 「な、っな、なっ……っ」 かぁ〜っと頬を染める琴を見て思わず笑ってしまう芙美。 「そんなことすると押し倒すよ」 言葉と同時に、芙美の体の上にまたがる。 「最後に愛し合わない?」 「最後って訳じゃないけど思いっきり愛し合いますか♪」 明日一番で琴は帰ってしまう。 二人の関係が『最後』ではなく、今このときの最後、なのだ。 明るいのは抵抗があるけど、すぐに吹き飛ぶと思う。 彼女にされる事は嫌じゃない。拒みたくない。 琴の唇が肌に触れるのは割と心地良い。 自分から服を脱いで、彼女を抱きしめる。 でも、私が上。 琴がぴくっと上半身を震えた。 あ…髪が顔に掛かってるから……くすぐったいだろうなぁ。 耳たぶを噛んだり、首筋に舌を這わせてみる。 「なっ、芙美!!」 「だってこうすれば気持ちイイと思ったから」 いつもは琴に抱かれるのに、今は自分が彼女を抱いてる。 不思議な気分、でももっと感じさせたい衝動に駆られる、 -------------------------------------------------------------------------------- 続き 日常茶飯事? 稚羽矢 - 2003/02/04(Tue) 17:13 No.927 ん…なんだ? 頭を撫でられてるのに気がついて起きた。 ってのはウソで、たまたま目を覚ましただけ。 頭を撫でられるのは好きだし、芙美にされるのが1番好きだ。 暫く頭撫でられてよっかな。 「琴…イイ匂い」 実を言うと自分でも、自分の匂いが好きだったりする。 自分の、というよりは石鹸とかシャンプーの匂い。 香水「パイソン」の匂いも好きだし。 それにしても芙美が私に興味を持つなんて思っても見なかった。 以前は作家として、今は一人の人間として私を見てくれる。 それが何よりも嬉しい。 「……芙美?」 じっと顔を見て、抱きついて思いっきり甘えてみる。 最近、私が甘えても芙美は嫌な顔をしない。 彼女、余り喜怒哀楽がなくて、人に対して無関心。 でも誰もを惹き付ける端麗な容姿。 心を失った月姫みたいだと思ってた。 不意に唇が重なる。 突然の事で驚きを隠せないのは琴の方だった。 芙美からキスなど今の今までなかったのだ。 それに今までの芙美からは全く想像出来なかったから。 「眼、覚めた?」 不適な芙美の笑顔。 「な、っな、なっ……っ」 顔から火が吹くってこのことなのか…なんて思った。 顔が熱い。 「そんなことすると押し倒すよ」 言葉と同時に、芙美の体の上にまたがる。 力だったら私の方が上。 これだけは自信があった。 「最後に愛し合わない?」 私が誘う。 「最後って訳じゃないけど思いっきり愛し合いますか♪」 明日一番で私は帰る。 二人の関係が『最後』ではなく、今このときの最後、なのだ。 ただ…体の関係はもう終わりではないかとふと思った。 彼女の首筋に唇を落とす。 芙美は何か思いついたように、私を押しのけ自ら衣服を脱いだ。 白磁の肌が露になる。 一昨日の常時の後がちらほらと残っている。 芙美は私の上に乗り、私を軽く抱きしめた。 前髪が頬と首筋をくすぐる。 びくっ。 私を覆うように上に乗り耳たぶにキスしたりしながら、乳首を指で転がされた。 「あっ…芙美、何でこんな事」 「こうすれば気持ちいいと思って」 芙美に抱かれるのは抵抗がない。 私は彼女の背に腕を回した。 -------------------------------------------------------------------------------- 続 日常茶飯事? 稚羽矢 - 2003/02/05(Wed) 22:50 No.946 琴の白い肌に唇を落とす。 彼女の肌に爪を立てるだけで、みみずばれになってしまう。 それも10分位で消えてしまうのだが、芙美は彼女に痕を残すのが好きだった。 “お互いに遠いし なかなか会えないから、私は本気になれないんだと思う。 遠い存在の人間がその人の心を束縛する権利はないから” 以前琴に言った言葉、確かに今でもそう思ってる。 でも…何故違和感があるのだろう。 本気じゃない…そう思ってた、でも違うの? 私は琴が好き。 友達として…彼女として?? ずっとこの関係を続けていきたい。 絶対壊したくない。 「……っあ、芙美…やぁ…」 ヴァンパイアみたいに首筋に噛み歯を立てる。 少し強く噛むだけで、彼女の肌は血が滲んだ様に見えるのだ。 琴がH好きなの判る気がする。 肌の暖かさや、普段見れない表情さえ短い時間で見れる。 抱かれる時は、快楽に飲まれるし…抱く時は冷静に相手を見れる。 鳶色の瞳と視線が交わる…大好きな色。 琴の眼の色。 「琴、好きよ」 綺麗な体のライン。 鍛えられた無駄のないしなやかな筋肉。 柔らかい琴の肌。 言葉にならない、この想い。 彼女の全てを壊したくなる、全てを愛したい。 ----------------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------------- 無題 投稿者:稚羽矢 投稿日:2003/02/14(Fri) 11:33 No.992 「え、マジで○○なの?」 「うん…そうだよ。珍しいよね、田舎なのに…始めて」 とあるチャットルーム。 「会いたいよねー、近くの人なんて居ないし」 「会ってどうするの?」 「話したいだけだよ」 なんて話してた。携帯の番号を教えたら向こうから掛けてきてくれたのだ。 彼女「沙耶禾」は高校1年生。 私は20のフリーター。 電話口で話した内容は勉強の話。 高校卒業して2年経つが、大体のことを覚えている。 「教えてやろうか?」 の一言で展開が急変した。 明日休日だしって事で、私がそっちに向かう事になった。 ○○駅。色白の女の子が待っている。 田舎だし…この娘以外にそれらしい人はいない。 彼女の方もずっと私を見ているし、間違いないかな? 「沙耶禾?」 ポツリと呟く。 ベンチに座ってた彼女の隣に立つと、そっと寄りかかってきた。 「うん、そだよ」 ちょっとだけ私に体を預けて、立ち上がった。 色白…しかも透明感のある色の白さ。 パステルの赤みたいに鮮やかな唇。 可愛らしい顔立ちをしている。 高校生ってこんなに可愛かったっけ? 素直で純朴な…って感じ。 「どこ行く? ファミレス行くにしても遠いんだよ〜」 ここは本当に田舎。 殆ど歩行者を見かけないほど、田舎である。 「喫茶店でもいいけど、歩いてる時間が勿体無いぞ?」 「そーだよね、商店街いこっ。でも…寂れてるけど…冗談抜きに」 他愛のない話をしながら店に入る。 珈琲とアップルジュースを頼み、問題集を広げた。 「どれ判らないの?」 「全部」 ぱらぱらとプリントを眺める。 懐かしいなぁ、拡散とか、ボイル・シャルルの法則とか。 珈琲を使って拡散の話を始める。 私はミルク入れないんだけど、まっいっか。 「拡散ってのは、高濃度の液体が低濃度の液体と混ざり合って等張になろうとする現象のこと」 言葉が難しすぎて、言葉を飲み込んだ。 「例えば、水に絵の具を溶かすよな? そしたら絵の具はどうなる?」 「全部同じ色になる」 「そそ♪」 半透膜の説明もしたけど判ってくれたみたいだ。 後ボイル・シャルルの法則を説明して勉強終了。 覚える所と解き方を教えてあげたら十分と思ったから。 良く見ると綺麗な顔してるよなぁ… そっと沙耶禾の顔に触れる。 私の手を気持ち良さそうに受け入れていた。 「したいな〜」 「…したいって何を?」 上目で私を見てくる。気持ちいいようで眼がトロンとしていて…… 「欲求不満だし」 「私もだよ?」 少し身を乗り出し、キス。 軽く舌を噛んだり、その程度。 やばい、したくなってきた。 荷物を片付け、店を出る。 「琳の手…暖かいね」 寄り添って道を歩く。 「さっきの初めてなんだよ」 照れくさそうに言葉を紡ぐ沙耶禾。 「キスは初めてって事?」 「…したことない…全部…」 「私で良かったのか?」 「うん、嬉しかった」 本当に人通りが少ない。路地に入って、またキスをした。 「ここ…ないんだ。そう言うトコロ…でも…したい」 ホテルを探すが本当にみつからない。 「トイレでする?」といわれたが、さすがにそういう訳もいかない。 彼女の通う高校に入り込み、死角になる場所を見つけると私は彼女を抱きしめた。 さっきよりずっと長いキス。 舌で唇をなぞり、するりと中に滑り込ませた。 沙耶禾の息が荒くなってきてる。 私は壁にもたれかかり、彼女を膝の上に座らせた。 長い長いキス。 「私、どうしていいか全然判んないよ」 「いいよ…私に体委ねて」 膨らみかけた胸を揉みながらキスを続けると、溜まらず声をあげた。 可愛い声。 もっと大きい声出したいんだろうなって思いながら愛撫を続ける。 私にしがみついて喘ぐ沙耶禾。 「もっと、もっと触って」 服の下に手を滑り込ませ、乳首を摘んだ。 学校と言ってもしてる場所は外。 寒いだろうな…と思うと服を脱がせきれない。 「小さいでしょ…?」 小さな胸をもみしだいてると、彼女がポツリと漏らした。 「小さくてもいいよ。大きけりゃイイってもんじゃないし…可愛いしさ」 ペロっと乳首を舐め上げる。 「胸大きくなりたいの?」 「…琳がイイって言ってくれるならこのままでいい…」 凄く可愛いことを言ってくれる。 「ねぇ…アソコ触ってぇ……」 自分でジーンズのボタンを外し、腰を浮かせる。 愛撫が気持ち良かったのか、かなり濡れていた。クリを触ると、声が一段と高くなった。 「もっと奥まで…」 「ナカに入れて欲しいの?」 彼女のアソコを指先で丁寧に撫でまわす。 「…うん」 「始めてだったら痛いかもよ?」 「…痛いの? 琳…優しくして」 「うん」 何の抵抗もなくスルリと私の指を咥え込んだ。 「気持ちいいよぉ」と、うわ言のように口にしている。 ナカを掻き回されるよりピストンの方が感じると判り、焦らしながら指を動かす。 「あぅ…琳、琳、大好きだよぉ!!」 ちゅぷちゅぷといやらしい音を立てながら、沙耶禾は感じていた。 「イク…イキそう…」 がくがくと全身を震わせて彼女は果てた。 「私のどこが好きなの?」 「声が好き、優しい所も、意地悪なところも好きだよ」 「判らないなぁ」 「琳、自分の好い所って自分じゃ判らないんだよ。 琳のイイトコ私だけが知ってればいいもん」 ぎゅ〜と抱きしめてきた。 「それって告白?」 「うん、そうとられても全然構わない」 その日から沙耶禾と付き合うことになった。 私に彼女が居るのに、だ。 -------------------------------------------------------------------------------- 続き 無題 稚羽矢 - 2003/02/16(Sun) 23:56 No.1000 日曜の昼下がり、イキナリ携帯が鳴り響いた。 着信先は沙耶禾。 「琳、あぁ…良かった、取ってくれて…良かった!!」 状態が把握出来てない私。 「凄く抱き締めて欲しい気分なの…ギュって抱き締めて欲しいんだ、琳に会いたい」 沙耶禾の声が欲しがってる。 「…傍に居て欲しいの。でも…声聞けてほっとした」 「そんな事言われると、ドキッとするじゃんか」 本当にドキッとする。 私は沙耶禾が本気じゃないと思っている。 だから…本気にならないように接してるつもりだ。 彼女ともそう話していた。 「相手が本気だと、その子可哀想だよ」 彼女と意見が一致してる。 それと、遊びでも本気になると彼女…繭に忠告された。 私達も、最初は遊びだったから。 遊びというよりは、仲のいい友達と欲しいと気にHしてるという感覚だった。 学生時代、私は繭と半同棲生活をしていた。 朝眼が覚めたら、必ず私の腕の中に彼女が居る。 それが当たり前だった。 彼女の居ない生活など考えられなかった。 学校を辞めて、彼女と別れる筈だった。 が、お互いの存在が大きくなりすぎてそれは不可能で… 遠距離になってから、大体月1回のペースでしか会えない。 私は第二の人生を見つける過程にいる。 いつも彼女に支えられて、今日までやってきた。 近くに繭が居たら、こんな事にはならなかっただろう。 …罪悪感に潰される。 「あ…子機の受電切れる、またね」 通話が切れ、単調な機械音が耳に残る。 私はどうするべきか? 一番大切なのは繭であることに変わりはないのに。 最悪だ。 私はそのまま布団の中に潜り込んだ。 -------------------------------------------------------------------------------- 続き 無題 稚羽矢 - 2003/02/17(Mon) 12:20 No.1003 無理言っちゃったかな? 私は机の上に置いてある宿題を読み返した。 プリントの説明文を読んでも良く判らない。 …昨日の琳の説明、凄く判り易かったなぁ。 何か凄く説得力があったし。 「難しく考えすぎだよ」の一言が頭の中に残ってる。 少し低くて、優しそうな琳の声。 凄く包容力がありそうな…そんな感じがする。 「今からだとそっちに4時ぐらいにつくんだけど大丈夫?」 「ねぇ、無理してない?」 琳は今日バイトの面接で、即採用になったって話してた。 その後で私に会ってくれるなんて、無理してるんじゃないかと思う。 「大丈夫、心配しなくていいから」 予定時刻を述べて琳は電話を切った。 琳の話を聞いてると、彼女が本当に羨ましい。 運動神経はいいし、身長も自分より高い。 それに全然勉強しなくても勉強できる。 自分が欲しいもの全て持ってる気がした。 でも、琳はそれを鼻に掛けてない感じだった。 厭味に聞こえない。 予定時刻。一人の女性が駅から出てきた。 サラサラとした黒髪に、それを際立てるような白い肌。 黒のジャンパーと黒のジーンズ姿。 可愛いというよりは、綺麗。 綺麗って言うよりは格好良い。 彼女も私の方を見て、もう一度辺りを見回した。 「沙耶禾?」 小さい声で私の名を呼ぶ。 小さく頷くと琳は私の座ってるところに寄り添ってきた。 そっと体を預ける。 嫌がる様子もなく、私を包んでくれた。 「行こっか」 私はカバンをもって、琳を喫茶店に案内した。 着くまで10分くらい。 何話していいか判らない私を、琳は優しく交わしてくれる。 「どこが判らない?」 「…全部」 琳は苦笑を浮かべると、ぺらぺらとプリントを眺めていた。 「懐かしいし…やったよなぁ…」 数行見ただけで、彼女は自分のノートを広げた。 珈琲にミルクを入れながら、その状況をノートに書き写していく。 …なんか判った気がする。 「半透膜?」 拡散の話って、半透膜とごちゃごちゃになってしまう。 「そうだね…拡散の中に半透膜が存在するって言うべきかな。 半透膜の説明でよく使われるのはセロハン。 セロハンってのは、薄い網だって考えてみて。 水は凄く小さいから、その網をくぐれる。 でも、他の物質は大きくて網に引っかかってしまう。 そこまで判る?」 物凄く噛み砕いた説明。 難しい言葉だとどうしても突っかかってしまう私にとって、こういう説明は嬉しい。 「で、拡散は判ったよな? 同じ割合で、物質を薄めようとするから…こっちの水分量は多くなるわけ」 「うん、判った気がする」 本当に判った気がする。 「んじゃ、拡散と半透膜の事私に教えてよ」 今琳が説明してくれたことを、自分の言葉にして必死に伝える。 「…間違いじゃないね。OKだよ」 ほっと胸を下ろす。 「じゃ次、ボイル・シャルルの法則ね。方程式覚えた? v=k''P分のT」 「その英数字って何?」 「コラコラ、基本じゃん。v=体積、k''は定数。p=圧力、Tは温度。これは絶対覚えること」 これだけを覚えればいいらしい。 方程式にそのまま数字を当てはめるだけだって。 ……確かに難しく考えていた気がする。 方程式を崩して、どんな風に解いていくか教えてくれた。 「昔、距離=速度×時間だって習ったろ?それと一緒」 目の前で解いて行ってくれる。 「じゃ、これを自分で解いてご覧よ」 自分で解いていく。…思ったよりも簡単だった。 「はい、終わり!! 後は自分で帰ってやれ〜〜〜」 宿題をしたかったのに、その解き方しか教えてくれなかった。 琳の手を触る、ぷにぷにと柔らかい手。 そっと手が私の頬に触れた。あぁ…もっと触って欲しいの… 「したいな〜」 ポツリと琳が呟く。 「…したいって何を?」 照れくさそうに私を見る。 「欲求不満だし」 琳の手…気持ちいい。 頬や額、耳も首筋も撫でられる。 「私もだよ?」 琳は少し身を乗り出し、キスしてきた。 軽く舌を噛んだり、その程度。 もっと…したい。 「出るよ」 彼女は荷物を片付け、ジャンパーを羽織って私を待った。 私も荷物を片付け、琳の後ろについて店を出た。 「琳の手…暖かいね」 寄り添って道を歩く。 「さっきの初めてなんだよ」 ……まだドキドキしてる。 「キスは初めてって事?」 「…したことない…全部…」 「私で良かったのか?」 「うん、嬉しかった」 きゅっと琳の手を握り返す。 本当に人通りが少ない。 路地に入って、またキスをした。 「ここ…ないんだ。そう言うトコロ…でも…したい」 ホテルを探すけど本当にみつからない。 「トイレでする?」 トイレでいいから、琳に触って欲しい。 彼女は私の通う高校に入り込み、死角になる場所を見つけると抱き締められた。 長い長いキス。 理性が吹き飛んだ。 「私のどこが好きなの?」 私を優しく抱き締めながら、琳が問う。 「声が好き、優しい所も、意地悪なところも好きだよ」 Hの時、琳はちょっと意地悪になる。 「判らないなぁ」 苦笑を浮かべたようだった。 辺りは真っ暗で表情が判らない。 「琳、自分の好い所って自分じゃ判らないんだよ。琳のイイトコ私だけが知ってればいいもん」 ぎゅ〜と抱きしめた。 「それって告白?」 「うん、そうとられても全然構わない」 本当に構わない。 初めて会ったのに、何でって言われても好きなものは好きなんだから… -------------------------------------------------------------------------------- 続き 環 稚羽矢 - 2003/02/20(Thu) 02:10 No.1023 「琳、夕飯一緒に食べに行かない?」 「……珍しいですね、摩那さんから声掛けて来るなんて」 眼を真ん丸として、私を見上げる。 私の行動に驚いてるらしい。 確かに、必要な言葉以外自分から投げかけることなんてない。 琳はバイト先の後輩。 最近入ってきたばかりで、必死にマニュアルを覚えている。 傍には飄々として、余裕さえ感じる雰囲気を出しているが本人はそうでないらしい。 初々しさがお客さんにも伝わり、少々の不手際も笑って許して貰える。 でも、それが嫌らしく細かくメモを取っていた。 挨拶もするし、誰にでも丁寧だし、とにかく感じの良い娘。 「摩那さん、どこに行くんですか? 私歩きだし…遠くは無理ですよ?」 「乗せてってあげるよ」 琳とまともな会話をしたことがない。 判らない所を教えてあげるだけで、それ以外の会話は全くなかった。 二人とも着替え終わり、店を出る。 「隣乗って」 「…お願いします」 礼儀正しい娘だなぁ。 いつも通り車を走らせる。いつもと違うのは、隣に人が乗ってるって事くらい。 「琳ってここ来る前何してたの?」 「……○○で学校通ってました。去年の暮れに辞めちゃったんですけど…」 表情を曇らせたので私はそれ以上投げかけなかった。 しばしの沈黙。 「摩那さん、何で私を夕食に誘ったんですか?」 ミラーを見ながら、彼女の表情を確認する。 「…琳と話したかったから、かな。仕事中話せないしさ」 「そうですよねぇ…私、摩那さんと話したかったんです。だから誘って貰えて光栄です」 この娘は興味をそそる。 可愛らしいとともに、内に秘めた何かが魅力的で… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 もうこっから実話じゃないです。 ばれると怖いんで(笑) -------------------------------------------------------------------------------- 続き 無題 稚羽矢 - 2003/02/28(Fri) 14:20 No.1042 「琳は彼氏居ないの?」 「居ないですよ、色恋沙汰はあんまり……」 むぐむぐと琳はグラタンを食べている。 言葉の続きが気になるが、敢えて口にしなかった。 「摩那さんは居ないんですか?」 「…ある気に入られてる…私の一方的な片想い、どっちにしろ付き合ってない」 それ以上琳は突っ込んで聞いてこない。 物足りないような、心地いいような…不思議な気分にさせる。 「ねぇ、これから飲みに行かない? うちの近くに行きつけのバーがあるんだけど」 「いいですよ」 笑顔で返してくれる。営業用ではなかった。 琳は色素が薄いせいか、瞳が鳶色である。 眼が大きいのに顔はシャープと言う日本人離れの顔立ちである。 それと今日は琳を返したくなかった。 この娘に興味があるから。 摩那のマンションに車を止め、歩いて店に向かった。 バーの名前は「a'rosh」、店内は薄暗く照明は蝋燭の明かりのみだ。 赤と白の2色で統一され、何の匂いか判らないが香が炊いてある。 「いらっしゃい、摩那ちゃん。隣の娘は初めてね♪」 長身で、綺麗な店員。身長は軽く170cmを超えているだろう。 すらっとした容姿に、飄々とした雰囲気を纏っている。 「バイト先の後輩、可愛いでしょ?」 琳を抱き寄せてみる。 何も抵抗がないし、嫌がってないみたいだ。 「佐伯琳です。あの…初めまして」 ぺこりと頭を垂れる。 「葛城亜季よ。こちらこそ宜しくね」 琳が私と亜季を見比べている。 「琳、どうした?」 「摩那さんと亜季さんってどこか似てるな…って思って」 確かに亜季と私は似た部分がある。 だから仲がいい節もあるのだ。 「なんにする?」 「2人とも飲み放題で。私はビィトィーンザシーツ」 「…ホワイトレディを」 何を話そうかと話題を考えてみる。 さっきもあんまり話と言う話をしてない。 「亜季、ピアノ借りるよ」 入り口付近においてあるピアノの前に座ると、私はおもむろに弾き始めた。 ショパンだったか…題名はよく覚えてない。 母が子守唄代わりに弾いてくれていた曲だ。 曲を弾き終わると拍手が聞こえてきた。 琳と亜季だ。 「摩那さん凄いですね!楽譜も無くて…私音楽苦手だし、尊敬します」 憧れの眼差しを向けてくれる。それが心地いい。 「敬語使わなくていいから。 私だって普通に喋ってるでしょ?」 「はい…判りました。ベートーヴェン交響曲第九番「第九」って弾けます?」 「弾けるけど…好きなの?」 琳が嬉しそうに頷く。 大作曲家ベートーヴェンが耳の聞こえなくなる病の苦しみから、復活して最後に作った名作。 まさに運命を切り開く…歓喜の如く… 第九…第四幕≪歓喜の歌≫に入ると、琳は私の隣で歌い始めた。 歓びよ 美しい神の火花よ お前の天にあたる聖堂に進む 全ての人々が兄弟となる 全ての歓びの声を合わせよ 世に一つでも 人の心を 人々に生きる喜びと勇気を 自分のものとしたものは 共に歌え 抱き合おう もろびとよ この口付けを 全世界に 兄弟達よ お前達の道を進め 歓びをもって英雄が 勝利の道を歩むように 全ての善が 全ての悪が 自然の薔薇色の 足跡を追う 光の天使ケムビルは 神の御前に立つ 星空の彼方に神を求めよ 星の彼方に必ず主は住みたもう 普段は低いのに、高く澄んだ琳の声。 なぜ歌詞を知ってるんだろうか? と不思議に思いつつも、私は弾き続ける。 -------------------------------------------------------------------------------- 続き play 稚羽矢 - 2003/03/03(Mon) 02:03 No.1047 「何でこの曲が好きなの?」 「…いいじゃないですか、絶望の淵に居てもまた這い上がって来れるって… 私はそこまで強い人間じゃないし、やっぱり強さに憧れちゃいます。 頑張らなきゃ…って思わせてくれるから好き」 カクテルを手渡してくれ、私は口にした。 「歓喜の歌はどうして知ってたの? 歌詞って耳にしたこと無かったんだけど」 「好きな…本に載ってて、凄く綺麗な歌だったから歌詞覚えちゃったんです。…あはは、変ですよねぇ」 「私だって好きな曲は弾いてた。ゲームのサントラとか楽譜買ってたしさ」 意外な言葉のやり取り。 好きなゲームのサントラの曲を弾くと、琳はすぐに反応した。 隣でリズムを取りながら楽しんでいる。 「摩那さん、もっと飲みましょうよ。ピアノ聞きたいけど…もっと話がしたい」 カウンターに着いて、言葉を交わす。 ゲームの話、映画の感想や、小説……色んな会話が飛び交う。 琳は飲むペースが速い。しかもショートカクテルばかり頼んでいるというのに、全然酔った気配がない。 私は酒に強いと自負出来ていたが、彼女に比べれば大したものではなかった。 …やばい、酔ってきた。気持ちがいい、琳に触りたい、触られたい。 都合よく店に入ってから2時間が経過しようとしていた。 「亜季、ご馳走様」 二人分の料金を支払ってから店を出た。足元がふらつく、琳にあわせて飲んだものだからかなり飲んでいる。 すっと琳の腕が私を捕らえた。 「…大丈夫ですか? 良かったら肩貸しますよ」 甘えさせて貰い、私は琳の肩に腕を回した。ウォーター系の香水の匂い、洗い立てのカッターシャツの匂いが漂う。 不安定な足取りを庇うように、ちゃんと体を支えて歩調を合わせてくれる。 「ねぇ、今夜は一緒に居てくれない?」 「…いいですよ」 かちゃりと自宅のドアの鍵をあける。部屋に入るとベッドに崩れるように倒れた。 「気分悪くないですか?」 心配そうに琳が顔を覗き込んでくる。 「ううん、凄く気持ちがいいから…心配しないで…」 二人きりの空間、理性が切れるのも時間の問題だった。 上半身を起こし、ベッドの縁に座る。 琳は地べたでベッドに背をつけて座っている。 「私のこと呼び捨てにして、摩那って呼んでよ」 「うん…摩那…」 彼女の後ろに回り、抱きついてみる。嫌がるのだろうか? 「そんなことされたら、襲っちゃいますよ〜?」 くすくすと私を見て笑う。 冗談めかしたその笑顔が、私の理性を吹き飛ばしてしまいそうで。 「別に…襲われてもいいし…」 ぎゅっと腕に力が入る。琳の掌が私の頬に触れた。身をよじり、口付けをかわす。 「これでも襲われたいって思う?」 …挑発的な態度。蟲惑的な微笑、理性が崩れ落ちる。 「抱いて、琳。私を抱いて」 今度は私からのキス。触れるだけではなく、舌を絡めあい吸い上げる。 唇を落とされながら制服を脱がされ、上半身を裸にさせられた。 布団の中に潜り込み、体を丁寧に撫でられる。 輪郭を確めるような手つき。 「嫌だったら言って…すぐ止めるから…」 乳首を口に含まれ、舌で転がす。 気持ちいい部分だけ、丁寧に舐めあげてくれる。 「はっ…あ…琳…」 体が過剰に反応する。琳のカッターシャツを掴み、愛撫を待ち焦がれた。 乳首を舐められるだけでこんなに感じてしまう。 「体ガクガクしてるよ?」 腰がガクガクしてた。感じてる…こんなに感じたことなど今まで無かった。 「琳、怖いの」 正直、自分がどうなるか不安だった、感じすぎるのがこんなに怖いことなどとは思いもしなかった。 「だったらやめる?」 「…もっと触って欲しい…けど…感じすぎて怖い…」 それ以上何もいえなかった。それ以上言葉が無い、そんな状態。 「大丈夫、私が傍に居るから」 覆い被さるように私を包み込み、抱き締めてくれた。 何て安心できるんだろう。 ベルトを外され、ジーンズを脱がされる。 くちゅっと音を立てて私のクレバスは琳を受け入れた。 最初は軽くなぞるだけ。少しずつ押し付けるような形で触られる。 ひだの裏や入り口の周囲も丁寧に触られ、何度もイキそうになった。 「摩那…ねぇ、入れていい?」 「…こんなにしておいて、今更…琳の意地悪…」 「だって大切でしょ?」 「………欲しい」 ゆっくりと琳の中指が体の中に入ってきた。 「痛くない?」 「うん、大丈夫…気持ちいい」 自分から腰を振っていた。 私の動きに合わせて指が動いてきて、奥まであたる。 琳にしがみついて、快楽に溺れる私。 卑猥な音が聞こえてくる。 声をあげて、爪を立てて感じる。 唯夢中に、快楽をむさぼる。 …これ以上ない快楽の中で私は絶頂を迎えた。 「大丈夫?」 琳が抱き締めて背中をさすってくれる。 とても心地がいい。 暖かくて、柔らかで安らぎを与えてくれる。 「…凄く気持ち良かった」 肩を上下に動かしながら答えた。 「このまま寝ていい?」 「うん」 優しい琳の笑顔。彼女は私は腕枕をして、布団を纏った。 気付かない内に、私は眠りに誘われていた。
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