■Girl Holic  
□エビ 2005/07/26(Tue)


私とアキが出会ったばかりの頃ー 初めて訪れたアキの部屋で流れていたCDに ある曲があって。 〜〜♪♪ 流れる歌詞と 切なくシンプルなメロディに惹かれ。 「これ‥何て曲?」 アキに訊いてみた。 「ん?これ?」 アキはふっと顔をあげ 「と…」 立ち上がってオーディオのボリュームを少し上げた。 ー‥だけどこんなに胸が痛むのは‥ー ー‥何の花に例えられましょう‥ー 「これ、いいアルバムやで」 アキに渡されたCDケース。 その裏の曲名リストの中にー 今流れている曲のトラックナンバーを探す。 ‥‥んと これだ♪ タイトルはー 『ばらの花』 ‥‥♪ ‥‥♪♪ 「いい唄だね‥」 私のため息に 「やろ?」 目を細めるアキ。 「買おうかな‥」 私が言うと 「貸すよ」 アキは笑った。 「ありがとう」 まだ出会ったばかりだった私達 「いいえ」 笑顔も少しよそ行きだったね。 もう一年前のー 私達の姿。 それから私は。 その唄を何度も何度も聴くようになり 今ではそれが 一番大好きな唄になった。 それを言うたびアキは‥ 「感謝せい」 得意気に笑うんだけどね。 ふふ‥ それから時計は365日余りの時を刻みー 今、私の隣には アキがいる。 「明日遅刻したらあかんでー」 「はーい」 京都への旅行を明日に控えー 会社帰りの道を 二人で歩く。 「楽しみだねー‥」 「せやなあ」 “温かい”以外。 私達を包む空気を表す言葉は 見つからない。 「‥おかえり」 アキが突然 私を見て言う。 「え‥?」 アキはもう一度 「おかえり」 そう言って私の手を握った。 暗い夜道だからこそ許されるー 外での“恋人同士”。 トキュン‥(古いって) 『強くなってアキのところに帰るから!』 随分大きなことを言った私に‥(恥) アキからの言葉。 「おかえり」 だった。 (携帯)
「おかえり」 つないだ手と耳から伝わる 大切な人の温もり。 あー‥ んむー‥// 「ただ‥いま」 恥ずかしくて 声が小さくなった。 「あん?聞こえへんわい」 アキに怒られてしまい。 ‥‥‥ 「ただいまっ!」 アキの目を見て伝えた。 「ふっ」 「へへへ‥」 つないだ手を少し大きく振って 星空の下を二人で歩く。 「ふふふ‥」 「にゃはは」 笑顔が伝染し。 「こうゆうのええなあ」 「ほんまやなあ」 関西弁も伝染。 「でもさアキ‥」 私にはひとつ心配事が(不安) 「ん?」 「いい女性になって帰ってくるって約束したのに‥」 私にはまだ 足りないものが多いよ。 あなたと向き合い あなたに愛される自分に。 なれたのかな‥? 「これからケンカもいっぱいするやろなあ」 アキがちらっと私を見て言う。 「‥‥」 「ぶつかることも、悩むことも多いかもしらへん」 「‥‥」 そう‥だね。 「でもな‥」 ん? でも‥何? アキはコホンとひとつせきばらい。 「傷ついたり、傷つけたり。それでも守っていきたいんが‥‥」 愛、やろ? 真っ赤な顔でアキが言う。 ‥‥‥。 「‥ふ(笑)」 「笑うなコラ!言う方が恥ずかしいんじゃ!」 「ご、ごめ‥んアキ」 ふふふ‥ すんごいクサいけど‥ 素敵な言葉だね? アキ ありがとう。 「ねえアキ?」 「ん?」 「アレ唄おうよ」 「‥アレ。か?」 「ふふ、アレ。」 ー‥こんなに 胸が痛むのは‥ー ー何の花に例えられましょう‥ー 小さな声で 二人こっそり唄う帰り道。 ージンジャエール買って飲んだ こんな味だったけな‥ー ー安心な僕らは 旅に出ようぜ‥ー ー思い切り泣いたり 笑ったりしようぜ‥ー 安心な僕らは旅に出ようぜ 思い切り泣いたり 笑ったりしようぜ‥
「待ってよアキ〜!」 京都旅行の朝ー 「早く走らんかい!サキ」 「だ、だってヒールなんだもん‥」 「そんな色気づいたもん履いてくるからじゃ!」 「そんな言い方しなくたって‥」 旅行のためにわざわざ買ったのっ このミュール! 「急げ〜新幹線乗り遅れるどー」 ひ ひ‥ ひーん(泣) 広い駅の構内 大きな荷物を抱えて小走りの私達は。 ‥乗り遅れ寸前(汗) 起きるのは早かったんだけどなあ 準備に時間がかかっちゃった。 だってねえ‥ 恋人との旅行は。 オシャレしたいですよね♪ 「‥誰に話しかけてんねんサキ」 「あ、いや何でもない」 ナハハ。 「急ぐど。あと5分で発車や」 アキが左手のオメガを確認し 私を見る。 「着いて‥来れるかな?」 流し目な視線を投げられた私は‥ ポッ‥//(古) 「行くで?サキ」 アキはひょいっと私の荷物を肩にかけ 「ヨーイ‥」 手もちブタさんになった私の左手を握ると 「ドンっ!」 小さなかけ声を合図に 私の手を引き走り出した。 ‥えっ わ‥ わわわわー! 早い〜!! 人波の隙間をぬうようにー 私達は走りぬけた。 つないだ手と手は 離れることなんてない。 そう信じながらも 強く 強く アキの手を握った。 運動音痴の私。 元陸上部のアキに手を引かれて走ったその早さは 自己新記録ー どこまでも行けるような気がした 何だってできちゃう気がした。 アキを信じ アキを愛せるなら。 どこまでだって行ける気がしたんだ。 新幹線に乗ったのは 発車2分前。 「ぜーはー‥」 「ぜーはー‥」 息を切らして座った座席。 「‥ふふっ」 「にゃはは」 顔を見合わせ笑いながら ‥チュ(ペロ) 久しぶりのキスを交わした時ー 新幹線は走り出した。 アキの生まれた 京都へ向かってー
……… 私ね あなたが好き。 あなたにそれを伝える時ー 複雑な理由や 背伸びしたレトリック 難しい言葉なんかを使おうと いつも必死で頭を悩ませてるんだよ? どうしたら伝わるんだろうって… 魅力的なあなたに 素敵なあなたに。 『好き』だけじゃ 言葉が足りない気がして… いつも頑張ってるの。 でもね? 毎晩眠りにつく時ー。 「んー…」 枕を抱えて思うんだ。 あー…私 好きなんだなあって。 あなたのこと 好きなんだなあって。 すごくシンプルで 幸せな実感なんだよ? 結局いつも言葉が出てこなくて 『好き』って言っちゃう私だけどさ…。 今日も聴いて? 茶化したらヤだよ? 好きだよ。 あなたが大好き。 あなたに逢えた事 本当に嬉しく思う。 友達? 恋人? それとも名前なんてない もっと曖昧な関係かな? でも今は そんなことどっちだっていいの。 恋愛中毒からは卒業したけどー あなたに中毒なのは もう治らないみたい。 でも… でもね? 私だってダテに24年間生きてきた訳じゃないし ……。 子供なんかじゃないから。 大人なあなたに 大切なあなたに。 私しかできないことだってあるんだよ? それは。 あなたに負けないくらい私も いつも笑顔でいること。 どんな時も 優しい気持ちを忘れないこと。 あなたの淋しさは 私が半分引き受けるよ。 あなたの淋しさを分かちあえる私は きっと幸せ者だから。 それだけは 忘れないでね? …ぬふふ(!?) 勝負だね? 勝負だよ。 負けないよ? 大切な あなたへ。 アキへ。
…… ……… ……… 新幹線の窓から差し込む 強い夏の光。 「ん……」 瞼に感じる陽光に 私は目を開けた。 「ふに…」 あ 寝ちゃってたんだ私…。 新幹線での小旅行ー 隣のアキを見ると… 「…ZZZ」 私の肩に小さな頭を乗せて とろりとろり夢の中。 ふふ… アキも 昨晩あんまり寝てないのかな? ん〜 くわわわ…(欠伸) ……。 何かすごい気持ちいいなー… もうちょっと寝ちゃおうかなー… 私も アキの頭にそっと寄りかかり。 …あは 何か。 幸せなまどろみ? ふふ… …… …ZZ …ZZZ “〜都” “京都〜京都〜お降りの方は…” ん んにゃ… 京都… だって…アキ。 へへ… 京都かあ… …… ………。 ん? なぬ? …… 京都!? 窓の外を見るー そこには。 まっすぐにそびえ立つ アナログな形の白い塔。 京都タワー。 はわわ…… 「アキ!起きて!」 着いたよ! 降りなきゃー!! 「むにゃ…」 …アキ助め。 寝ぼけているアキに とうっ! 鼻フック(キマった…) 「ぎゃわっ!何するねん!」 「降りるのー!」 「えっ?あっ…?」 行くよー!! 今度は私が。 寝ぼけナマコのアキの荷物を抱えてー アキの手を引き出口へゴー! 狭い通路を走り抜け(ごめんなさい…) プシュー 閉まりかけたドアにヘッドスライディン!(しないって) あ… 降りたったホームからは。 東山に広がる鮮やかな緑の山並み 教王護国寺、東寺の五重の塔… 京都の夏がー そこにはあった。
暑い暑い暑い暑い… (本とに暑いの;) 京都の夏ー 楽しむぞー!! 「ねっ、アキ?」 「よっしゃ行くべー!」 彼女はアキ 私はサキ。 にやっと笑う私達に 向かうところ敵なし♪ 「あ、でもさ。まずどこに行くの?」 アキが案内してくれるって言ってたけど… 「ん〜…」 アキはちょっと困った顔をして。 ちょいちょい 私を手招き。 「ん?」 顔を寄せた私の耳元にアキが ごにょごにょ… 小さく耳うち。 ー…今から行くところはな。 スケベな作者が 気になる人ができる度に 決まって連れていくコースらしいねん。 こんなところでバラしたったら恥ずかしがりよるから。 内緒にしたろや…ー だって。 「…ぷ」 「にゃは」 「そうだねー」 「そうやろー?」 つまりお勧めコースは… 『秘密ってことで♪』 「行くでー」 「はーい」 てくてく てくてくてく…。 私達が歩く一歩一歩は とても小さいけれど。 一歩一歩 前に進むことが人生で。 一日一日 あなたと積み重ねていく時間が… 愛、なんだよね? タハハ… 恥ずかしいけれど。 そんなことを感じる 今日この頃です。 「私もー」(アキ) 「私も同感ー」(エビ) Girl Holic ーFin .
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