■鞭を求める女  
□hime

 「お仕置き」
 と言う言葉に過剰に、つまり性的に反応するようになったのはいつからだろう。
 昔から『セーラームーン』の「月に代わってお仕置きよ」なんて決めゼリフを聞くと、もうダメ。
 あそこがジュンってなる感じ。
 あの声だけでオカズになる。
 あんなエッチなセリフが毎週流れてた時代って、どんなのって思ってしまう。
 あと、昔のスパイ映画で、しくじった女スパイが「それだけは止めて」って泣きながら、
 ベッドに横になり、スカートをまくり上げ、パンティを下ろし、折りたたみの鞭で何度も何度も鞭打たれるシーン。
 女スパイは枕に涙を流して、「ごめんなさい、許して」って言ってるのに、男は無言で鞭を振り下ろし続けるの。
 記憶の中では、男は映ってなくて、ただ鞭の音だけ、その音に合わせて女の唇がピクッと震え、拳がギュッてなって、涙が流れ……
 思い出すだけでもゾクッとして、記憶をオカズに3回は逝ける。
 別に親に虐待を受けたとかそんなんじゃないのに、どうしてこんなになっちゃったんだろう。
 ネットを見るようになってからは「鞭」とか「スパンキング」に「拘束」も合わせて検索。
 私をストーカーしてる男とかいたら、あまりの変態さに呆れて逃げるかも知れない。
 いちばん興奮して、何度も何度も観たのは、古いOLものの動画で、もちろん、鞭打ちシーン。
 夜のオフィスになぜか鞭打ち用の木馬があって、そこに全裸に剥かれた新人OLが拘束され、先輩たちの鞭打ちを受ける、というもの。
 効果音とかはもちろんないから、映像的には地味なんだけど、本気で痛がっている女優さんが本当に哀れで、実は羨ましくて、
 あそこがジュンってなって、もう数え切れないほど逝かせてもらいました。
 もう一つはフランスもので、たぶん『O嬢の物語』のシーンだと思うんだけど、それこそ脚をV字に拘束されて、
 あそこも丸見えになった美少女の内股を、ものすごく痛そうな細い鞭で丁寧に真っ赤になるまで叩いていくの。
 鞭が空を切る音と、女の子の絹を裂くような叫び声が何とも言えない。
 いつ終わるかわからない苦痛に、女の子は泣きながら哀訴してるんだけど、鞭を振るう女は無表情で「まだよ、まだよ」みたいなことを言ってる。
 ああ、羨ましい。
 誰か私を鞭打ってくれないかな。
 そう思い、今宵も胸に手を、あそこに指を……
「オナニーしたわね。お仕置きよ」
 そう言って鞭打ってくれる人が現れることを祈りながら……(新シリーズだよ。感想待ってるね)
 

 ネットの出会いサイトでそういうことを書いたら、なんだか恐ろしげなメールがいっぱい来て、これはダメだと思ってあきらめたし、  そのころ付き合ってた彼にそれとなく水を向けてみても無関心というか、まったく相手にされなかった。  なんなんだろう、この、拘束されて鞭打たれたいという願望は。  ネットでは、特に欧米のサイトでは、そういう動画や画像が溢れていて、そう異常ではない欲望のはずなのに。  なぜ私のこの強烈な欲求は満たされないの?  そういうことを、あるレズビアンのサイトに書き込んだら、早速、返事があった。  自分も同じです、と。  同じじゃダメなんだよ、鞭打ってくれる人を求めてるのに。  でも、役割を交代しながらなら出来るかも知れないと思って会ってみた。  それが美紀ちゃん。  ビックリしたことに、まだ17歳の処女だった。  しかも驚くほどの美少女。  腰まで届く金髪がさらさらっとしてて、目は少し青い。 「母親がルーマニア人なんです」  ラブホの椅子に腰掛けながら美紀ちゃんは言った。  それからとりとめのない話を1時間以上して、なかなか鞭打ちの話にはならなかった。  ここは年上の私がリードしなきゃ、と思って、 「私が最初に、でいいかな」と切り出すと、 「はい」と言って、美紀ちゃんはベッドに横になった。  いや、私が最初に鞭打たれたかったんだけど。  でもまあ、いいや。  ネット通販で買ったバラ鞭をこれ見よがしに取り出して、うつぶせになった美紀ちゃんの目の前に置く。 「これでしっかりお仕置きしてあげる」  美紀ちゃんはもう泣きながら、 「お願いします」  そういうだけで、スカートをまくり上げもしない。 「お尻、出してよ」  美紀ちゃんは泣きながら首を振るだけ。  私がスカートの裾に触れると、急にガバッと起き上がって、 「私、そんなんじゃないんです。誤解しないで下さい。もう帰ります」  あまりのことに、私も鞭をバッグにしまい、美紀ちゃんを庇うようにしてホテルを後にしたの。  それからしばらく何の連絡もなくて、美紀ちゃんとは切れたものと思っていたある日……(続くよ。感想待ってるね)
 この間はすみませんでした、というメールが美紀ちゃんから来た。  もう一度会って欲しい、それも美紀ちゃんの家で、という。  約束の日の夜に指定された番地に行くと、そこはもう、豪邸と言うにふさわしいお家だった。  ピンポンを押すと、敷地の門の扉がギィッと開いて、そういえばドラキュラってルーマニアだったな、などと思い出すほど、洋風な屋敷だった。  女の執事みたいな恰好をした人が迎えてくれて、こんな人がいるところで鞭打ちなんてするんだろうかとふと思った。  玄関というか、屋敷の入り口のホールには美紀ちゃんがいて、硬い表情で「いらっしゃい」と言ってくれた。 「じゃあ、もういいわ」と執事みたいな人に言うと、その人はサッと姿を消した。  本当に消えるみたいにいなくなった。 「見て欲しい部屋があるの」  そう言って、美紀ちゃんは私を奥にへと案内してくれた。 「ここって、地下室なんだけど、驚かないでね」  分厚いドアを開けて階段を降りると……  ネットではお馴染みの様々な鞭打ちの道具、木馬や、拷問台や、磔台や、様々な恐ろしいものが所狭しと並んでいて、これを見るだけで口には出来ない部分が潤んできた。 「パパとママがこれで遊んでるの」  ああ、そういうことか、と少しこの子のことを理解できたような感じがした。 「お姉さんは」と美紀ちゃんは私に言った。  こないだから美紀ちゃんは私のことを「お姉さん」と呼んでいたから。 「理解できますか? こういうの」  ここはもう、はっきり言う方がいいと思った。 「出来るよ。私もこういう遊びしてみたいし。だからネットに書き込んだんだよ」 「私、全く理解できないんです」 「でも、処女だったら、セックスだって理解できないでしょ。なんであんなことしたいのか」 「そうですよね」と言って、美紀ちゃんは顔を赤らめました。 「ねえ」と私は思いきって言ってみました。 「私を縛って、鞭打ってくれないかなぁ」 「そんなこと、私には出来ないですよ」 「出来るよ。そこの木馬なら簡単だし」  私は木馬を抱くようにして「ねえ、やってよ」と美紀ちゃんを促しました。  革張りの木馬はすこし臭ったけど、それもまた味、というものでしょう。 「いいんですか?」  美紀ちゃんはそう言って、木馬の鎖を手に取りました。 「いいわよ。存分にやって」  両手両脚を拘束すると、美紀ちゃんは鞭を三本持って来ました。 「どれにします?」  私はいちばん痛そうな一本鞭を選びました。 「お尻、ですよね」 「うん、おねがい」  私がうなずくと、美紀ちゃんは私のスカートをめくり、パンティを下ろしました。  生まれて初めての鞭打ちです。  心臓はもう、バクバクに高鳴って、これだけでも逝きそうです。 「何回、叩きましょうか?」 「百回」と私は言いました。「私が泣き叫んで、止めてって言っても、絶対に止めないで。百回、絶対に手加減しないで叩いて」  本当にバカです。  競馬用の一本鞭で手加減抜きに百回も叩かれたらどうなるか、その時の私は想像も出来なかったのです。  三回目くらいまでは痛さも甘美だった。  これこそ望んだものだと思った。  けれど、美紀ちゃんが慣れてきて、本当に本気で鞭を振り下ろせるようになると、これはもう耐えられる痛みではありませんでした。  本当に、マジで、痛い。  前の鞭の痛みが退く前に、次の鞭が重なって、次々に重層的に痛みが重なって、  途切れることのない痛みに声が漏れ、叫び声になり、ただただ、もう止めてと哀願するだけになる。  甘美さなんてどこにもない。  激、激、激痛、あるのは、なんでこんなものを求めたんだろうという後悔だけ。  この日は38回で失禁して気絶して終わりになりました。  お尻はパンパンに腫れ上がって、パンティがはけたのは三日目の朝のことでした。  もちろん歩くことも出来ず、一週間、ずっと美紀ちゃんのお家で女執事さんのお世話になることになりました。  執事さんは何があったか気付いているくせに何も聞かず、食事を客室にまで運んでくれていたのです。  お尻に薬を塗ったり、包帯を替えたりしてくれていたのは美紀ちゃんでした。  お互いに気まずく、あの夜のことは口には出しませんでしたが。  お尻に薬を塗られながら、ふと、この美少女に無慈悲に鞭打たれ、激痛に耐え続けたあのひとときを思い出すと、思わず手は胸に、指は羞恥の中心へと向かうのでした。 「オナニー、するんですか?」と美紀ちゃんは言いました。 「うん」 「しても良いけど、あとでお仕置きしますよ」 「うん、して。お仕置きして」 「たっぷりお仕置きしてあげます。覚悟して下さいね」 「うん。虐めて。たっぷり虐めて。ああ、逝きそう」 「ダメですよ。まだ逝っちゃ駄目」 「でも、もう逝きそう、あ、逝く」  美少女の目の前でオナニーして逝くという背徳的な感じに、私はまた逝きそうになりました。  美香ちゃんは私の目を見て、ニッコリと笑い、 「言うこと聞けないなんて、駄目な子ねぇ。もう一回逝って。そのかわりお仕置きも倍だから」  そう言って、私のお尻を優しくなでたのでした。 「お願いします、ああ、あぁ」  私は自分を犯しつつ、セックスでも感じたことのない快楽を感じたのでした。  私が美紀の奴隷になった瞬間でした。(続くよ。感想待ってるね)
 別に女が好きな女じゃなくても、美紀ちゃんには惚れると思う。  ルーマニア人とのハーフで金髪青眼、でも東洋的な感じも残っていて、内面的には全く日本人で、万事控えめ。  そんな美紀ちゃんに下の世話までさせていたんだから、思えば天国のような日々だった。  こんな二十歳過ぎのおばさんのオナニーにつきあって声までかけてくれたし。  だから、日曜の朝、美紀ちゃんが、 「今晩お仕置きよ。あの部屋で」  って言ってくれたとき、心臓が飛び出そうなくらいときめいて、歳柄にもなく顔が真っ赤になるのがわかった。 「私」と朝食の後、美紀ちゃんは言いました。「自分の性癖というか、そういうのがわかった様な気がするんです。恥ずかしいんですけど」 「恥ずかしくなんかないよ。誰にでも性癖ってあるから」 「私、女の人が痛がってるのを見ると、興奮するみたい。自分がその苦痛を与えてるんだって思うと、なんだか……」 「オナニーしたくなる?」 「実は私、それってしたことないんです」 「そうなんだ」 「した方がいいんでしょうか?」 「さあ、どうだろう。教えてあげようか?」  私はごく自然に言いました。 「お仕置きの後、そんな気分になったら、教えて下さい」  これで楽しみが倍になりました。
 日曜の昼食でちょっとしたアクシデントがありました。  給仕をしてくれている結衣ちゃんという女の子が、美紀ちゃんの膝にスープをこぼしたのです。 「熱っ」と美紀ちゃんは言ってすぐに着替えに立ちました。  結衣ちゃんはそれを呆然と見送り、女執事さんに促されてどこかへ消えました。  着替えた美紀ちゃんが帰って来て、何事もないように食事は済み、夕方になり、お待ちかねのお仕置きタイムになりました。  美紀ちゃんが呼びに来て、例の地下室に降りていくと、そこにはもう灯りがついていて、  女のくぐもった、苦痛にか、度を超した快楽にか、とにかく自分の意思を越えた絶望的な感覚に耐えている声が聞こえてきました。 「あれは?」と聞くと、美紀ちゃんは、 「別に」と素っ気なく答えました。 「使用人たちの関係には関わらないことにしてるから」  階段を降りきると、そこには信じられない光景がありました。  さっき粗相をした結衣ちゃんが裸で木馬に座らされていたのです。  手は天井からの鎖に結びつけられてまっすぐ上に伸ばされ、足は鎖で木馬に拘束され、何か不気味な振動音と、  丸いボールを噛まされた口から漏れるうめき声とが不気味なメロディを奏でていました。 「もう二時間か。これ以上やると死ぬかもね。三点責めはこれで勘弁してあげる」  女執事さんが言い、そばにいた使用人さんたち三人が結衣ちゃんを木馬から下ろしました。  その時、木馬に付いた、柔らかいけど弾力のある細いドリルと太いドリルが結衣ちゃんの体内から、ズルリ、と抜けるのが見えました。  どんな責めが行われていたのか、一目瞭然でした。 「鞭にしますか?」 「ダメだよ、こいつ喜んじゃうから」  そういう声が聞こえてきましたが、美紀ちゃんは全く聞こえないかのように振る舞っていました。 「この子、便秘だって言ってなかった?」 「言ってたような気がするわ。だったら、お浣腸して、アナル栓して、朝まで放置しようか」 「それがいいわ。きっと夜の間に腸捻転起こして悶え死ぬだろうし」 「前に朝まで放置した子、便が口まで上がってきて、猿ぐつわされてるんで出せなくて、鼻に詰まって窒息死したんだっけ」 「そうだったわね。自分のウンチ食べながら死ぬってどんな気分だろ。でもあれは臭くてイヤだったわ。臭い死体なんて最悪。口に上がってくる前に悶え死んで欲しいわ」 「そうよね。死ぬしか、この苦しみから逃れる方法はないんだから、早く死んだ方が楽よ」  ぐおーっと、何か抗議するような声がしましたが、美紀ちゃんは全く意に介さない様子で、隣の部屋に進んだのです。
「いいの、あれ。ほっておいて」と私は聞きました。  いくら何でも死ぬまで虐め抜くというのは…… 「あんなの、お遊びよ。放置って言ったって、どうせ一時間くらいでやめるんだろうし。  それで、さんざんトイレのおねだりをさせたあげくに、恥ずかしい恰好で床にでもお漏らしさせて、泣きながら後始末するところを観てみんなで囃し立てて楽しむんでしょ」 「そうなの」 「でも、結衣ちゃんはそんなこと知らないから、本当に殺されると思ってるわ。恐ろしいし、苦しいし、かわいそうにね。でもきっと、結衣ちゃんはそれを望んだのよ。心のどこかで」 「心の、どこかで」 「そう。そこにみんなの気持ちが反応したの。こうしてあげたら悦ぶだろうって」 「美紀ちゃんって……」 「私、この間の鞭打ちで、その前とは別の人間になっちゃったみたい。  前は使用人のあのリンチ観て、気持ち悪いとしか思わなかったんだけど、今はよくわかる。  する方もされる方も悦んでるんだって。あなたはどう? 鞭打たれてみて」 「嬉し、かった。かな。後は辛かったけど」 「今日は後はないわ。工夫したの」  そう言って美紀ちゃんが地下室の別の部屋を開けると、そこにはピンクのむち打ち台がセットされ、側には白衣を着た女性がナース服の女性三人と立っていました。 「先生お願いします」  そう言って、美紀ちゃんは私をその先生と呼ばれた女性の前に差し出しました。 「悪い子なの?」と先生は美紀ちゃんに聞きました。 「とっても悪い子なの。しっかりお仕置きしたいんです」 「わかったわ。死なない程度に、しっかりお仕置きしましょう」  私は服を脱ぐよう促され、そのまま鞍馬のようなむち打ち台に固定されました。  お尻にひんやりとした感触があり、何か液体の浸みた布のようなものがかぶせられたのを感じました。  先生が美紀ちゃんに何か説明をしているのが切れ切れに聞こえてきました。 「……これは麻酔の反対……皮膚の痛覚だけを鋭敏にさせる……吸い込んだらいわゆるハイな状態……一種のドラッグ……  医者は合法的に入手……用法はもちろん別……こんなふうにプレイに使うのは……」  少し間があり、先生は私の目の前にメスを持ってきて、 「これからこれで、あなたのお尻を縦横の格子状に切り刻みます。そこにお酢をかけて、塩を塗り込み、その上で100回鞭打ちます。覚悟してね」  覚悟って言ったって……  口を開こうとした瞬間、さっき結衣ちゃんがされていたような猿ぐつわをされ、声を出せなくなりました。 「衝撃で舌を噛まないようにね」  先生はそう言って私のお尻の方に回りました。 「それではまず横に切っていきます」  焼けるような冷たさ、とでも言うのでしょうか。味わったことのない、鋭い痛みが、お尻を横切りました。  あまりの激痛に声を上げようとしましたが、ただグオーッという意味不明の音にしかなりませんでした。  お尻をメスで切られている、そのザクザクした感じが激痛を伴い、私の脳を恐怖で満たしました。 「これから縦に切っていきます」  止めて! と声にならない声で哀訴しましたが、冷酷なメスは私のお尻を今度は縦に切り刻んでいきます。  その様子が目に見えるように感じられ、あまりの痛みに声も出ません。 「痛い?」  と美紀ちゃんが聞きました。  私は答えることも出来ず、首を縦に振るだけでした。 「良かった。ちゃんとお仕置きになってる」  これはあんまりだと思いました。  お尻を切り刻まれるとまでは思っていなかった。 「お酢、行きます」  止めて! 止めて止めて!  ギャアアアアァァァと言いたかったのに、声になりません。  切り刻んだお尻に酢をかけるなんて、お尻全体のこの激痛に下半身全体がしびれたようになり…… 「塩、行きます」  塩を塗り込んでいく指の感触が一本一本感じられるほど鋭敏な激痛として伝わってきました。  もうお尻しか体にないかのように、ただそこだけが燃えるように熱く、かゆく、痛く……  バシッと音がして、脳天にまで突き抜けるかというような、異次元の激痛がお尻から全身に広がりました。  思わずエビ反り、喉の奥から「もう止めて」という声を絞り出そうとしました。  二打目が来ました。  これはもう耐えられるような痛みではありません。  まえの鞭の方がよっぽどマシだった。  切り刻まれて酢をかけられ、塩をすりこまれて鞭打たれるなど、いったいどんな拷問なの。  もう数も数えられず、絶望の中で髪を振り乱して泣き続け、やっと百回が終わり、縛めを解かれたとき、始めて自分が失禁していたことに気付きました。  また、そうなってもいいようなむち打ち台だったことにも。 「鏡、観てみて」  そう言って美紀ちゃんは手鏡を私の前に持って来ました。  後ろには姿見があり、私は自分の破壊されたお尻を……  どこにも傷がありません。  切り刻まれて酢と塩と…… 「鞭以外、全部、ドラッグの妄想よ。メスは爪楊枝だし、お酢と塩もほんのちょっと塗り込んだだけ。鞭もほら、これ」  そう言って先生が見せてくれたのはオモチャの剣でした。 「でも、私」と美紀ちゃんが言いました。「興奮しました」 「だったら、オナニー講座に行く?」 「はい、お願いします」  そう言うとナースさんたちは私を得体の知れない磔台に運び、今度は大股開きに拘束しました。  これは想像していなかったので、あまりに恥ずかしく、でも…… 「ここがクリトリス。いちばん感じるところ。この包皮を少し剥いで……」  先生に触られただけで、ビクン、と逝きそうになりました。 「薬がまだ残ってるみたいね。ここにローションをかけて、クリクリクリってすると」  快感とも激痛とも付かない感覚に、思わず叫んでしまいました。 「お嬢様もやってみて。ここをクリクリクリって」  美紀ちゃんはおずおずと歩み寄り、私のそこを…… 「クリクリクリ、ですか」  美紀ちゃんに触れられただけでも一大事なのに…… 「クリクリクリ、なんだか楽しいですね」  楽しいどころか、味わったことのない異次元の快感は快楽どころか拷問でした。 「クリクリクリ、クリクリクリ」  この後私は恥ずかしい不自然な恰好で逝きまくり、失神し、強制的に目覚めさせられて、また逝かされて失神し、  これを本当のドクターストップが出るまで続けさせられたのでした。  そして、この責めを耐え抜いたご褒美に、美紀ちゃんのあそこに触らせて貰ったのです。  私がパンティに手を入れ、草むらの奥の小さな芽を少しいじっただけで、美紀ちゃんは、 「あ、いい。逝きます」と言って果ててしまいました。 「初めてだから、このくらいにしますね」  美紀ちゃんは言って、ニッコリ笑ったのでした。
 私がフラフラになってお仕置き部屋を出ると、そこではさっきの続きが演じられていました。  後ろ手に縛られ、アヒルのオマルの上に跨がった結衣ちゃんが泣きながら、 「栓を取って下さい、お願いします」と叫んでいました。 「もう我慢できないの? まだ2時間よ」と女執事さんが冷笑のこもった声で言いました。 「もうダメです。トイレじゃなくてもいいです。ここでさせて下さい」 「みんなに見られて、笑われて、それでもいいの?」  私と美紀ちゃんが地下室の階段を上がっていこうとした、その時、オマルの底を打ち付ける激しい水音と、女達の下品な笑いが起きました。  私は思わず立ち止まってしまいました。  結衣ちゃんの号泣と水音は断続的に続き、 「まだなの? まだ出るの?」 「ごめんなさい。まだ出ます」 「まだ出るんだって、この子。あ、この子、オシッコもしてる」 「ごめんなさい」  美紀ちゃんは私の目を見て言いました。 「ああ、されたいの?」 「そんなわけじゃないわ」 「でも、考えておくわ。あなたにふさわしいお仕置きを」  私が返事できないでいると、 「さあ、お願いします、でしょ」 「お願いします。私にふさわしいお仕置きを考えて下さい」 「わかったわ。ねえ、さっきの続きをしながら考えようよ。先生の前では緊張してて、あまり感じられなかった。二人きり、ベッドの中で、ね」  私が悦びに震えながら「うん」と返事したのは言うまでもありません。(今日は時間があったんで筆が進んだ。感想待ってるね)
「やさしく、して」と美紀ちゃんはベッドで言いました。 「うん。もちろん」  私は堪らず美紀ちゃんの唇を奪いました。  そして豊かで形の良いバストを……  あ、と美紀ちゃんの唇から声が漏れました。 「初めてなの?」 「うん。でも、誰かに揉んで欲しかった。あなたで良かった」  私は美紀ちゃんをギュッと抱きしめました。 「抱いて」と美紀ちゃんは言い、私の胸に手を持って来ました。  つたない動きですが、そんなことは問題じゃない。  美紀ちゃんが私に触れてくれていること、それだけで満足です。 「なんだかすごく幸せです」と美紀ちゃんは言い、私の茂みに指を伸ばしました。 「与えるのが苦痛でも、快楽でも、私にとっては同じみたい」 「私も同じ。あなたがくれるのが苦痛でも、快楽でも、どっちでもいいの」  そう言った瞬間、私の茂みの中の小さな芽が摘まれました。  快感と激痛がそこに走ります。  声が漏れ、それでも逝けないもどかしさに下半身が震え…… 「私、ここが大好き」と美紀ちゃんは言って、さらにそこを、どうやっているのかわからない責め方で責めてきました。 「ここにキスして、舐めたいの。いい?」 「そんな、汚いわ」 「そんなこと言わないで。あなたに汚い場所なんてないわ」  美紀ちゃんは布団に潜り込み、私の脚を広げ、サラサラの髪を内股に感じさせて……  そこに柔らかい唇と、そして良く動く舌が……  やはりまだ薬物の影響が残っていたのでしょう、さんざん逝った後なのに、私はまた、立てなくなるほど逝きまくったのです。
 次の日曜のお仕置きも凄まじいものでした。  私はテーブルの上の大の字型の磔台にうつぶせに拘束されました。  この恰好で鞭打たれるのかと思うと、先生が私の前にやってきて、糸の付いた釣り針を見せ、 「これを全身に刺して、ハリツケ台ごと吊り上げます」  意味がわかりません。  けれど、かかとに何かを突き立てられたのはわかりました。 「痛い!」と叫びました。  次々と突き立てられるそれが釣り針だと気付いたのは、もう十数本も突き刺された後でした。  とにかく痛い。  力を入れても痛い、抜いても痛い。  突き立てた釣り針は残っているから、いつまでも痛い。  さらに新しい釣り針がふくらはぎ、腿の裏、と突き立てられ、ついに背中にまで……  腕の裏にも……  私が痛みに号泣しているのに、ナースさん三人は何やら談笑しながら釣り針を突き刺し続け…… 「もういいわ」と先生が言うと、ナースさんは、 「いち、に、の、さん」というかけ声と共に、磔台の下のテーブルを一気に外したのでした。  ギャアァァァ……  全体重と磔台の重さが、体の裏側に突き立てられた釣り針にかかり、皮膚が引っ張り上げられ、まるで生皮を引きはがされたような激痛です。  美紀ちゃんがやってきました。 「痛い?」 「痛いよ、すごく痛い。死ぬほど」 「良かった。じゃ、始めるわ」  何を?  これ以上何をするの?  お尻にものすごい激痛を感じ、体がブランコのように揺れ、全身に激痛が走りました。  美紀ちゃんはこの状態の私を鞭打ったのです。 「止めて! これはダメ! 本当に耐えられない!」  けれど鞭は止むことなく、冷酷に私のお尻を打ち続けたのでした。  失禁し気絶した私は、美紀ちゃんの腕の中で目覚めました。  美紀ちゃんは笑いながら種明かしをしました。  釣り針は全部幻覚で、単に爪楊枝でちくちくしていただけ。  磔台も鎖で吊り上げただけ。  鞭もオモチャの鞭。  でも、私の中ではすべて現実で、恐怖は恐怖でした。  私は思い出して泣きながら、それでも優しく差し出される美紀ちゃんの乳房を口に含んで乳首を転がしました。 「またたっぷりお仕置きしてあげる」と美紀ちゃんは言いました。  私の恥ずかしい場所は恐怖にジュンとなりました。(もっとハードになるよ。心臓の弱い人は読まないで)
 美紀ちゃんと平日はじゃれ合い、オナニーゴッコやセックスゴッコをして過ごしていました。  そんなある日、廊下で美紀ちゃんと先生とが話しているのを立ち聞きしてしまいました。 「先生、あと何回くらいやれますか?」 「そうね。今と同じ濃度なら今度が最後かな」 「最後ですか……」 「あの子、良くもってる方よ。たいてい、一回で妄想に侵食されて廃人になっちゃうんだから」 「そうですよね」 「前の子も、その前の子も、妄想に取り憑かれて、こっちに帰って来られなくなっちゃったでしょ」 「あれは、どうなったんですか?」 「かわいそうに、彼女らの中では永遠に妄想が続いてるの。最初の子はなんだっけ?」 「皮剥です」 「だったよね。永遠に、死ぬまで、彼女は生皮を剥がされてるの。全身剥がされたらまた復活して爪の先から剥がされて、終わることがないわ。  その恐怖と激痛で現実の彼女は全身が硬直したままよ。食事も排泄も出来ないし、点滴を止めたら三日で死ぬの」 「でも、それって自分が望んだことですよね」 「確かに深層意識の中で望んだことしか妄想にならないわ」 「だったら、本望ってことでは?」 「苦しみから解放されるっていう、その快楽が望みだったのに、永遠に解放されない苦しみの中に落とされるのよ」 「永遠に解放されない苦しみ……ああ、なんだかその言葉にゾクゾクしちゃいます。そこに早く突き落としてあげたい」 「あなたも病気ね。じゃ、日曜は予定通りで良いのね」 「はい。これが最後だと思って、それまで思い切り愛おしんであげます」 「で、妄想は?」 「彼女、鞭打ちが好きなんで……」 「カミソリ仕込みの鞭で全身切り刻むとか、どう?」 「いいですね。その苦しみの中に一生閉じ込められることになるんですね、彼女」 「そうよ、かわいそうに」 「そう言いながら、先生、嬉しそうですよ」 「私ね、妄想に閉じ込められて廃人になった女の子の顔を見るのが好きなの。  まだ若いのに、あと何十年も妄想に閉じ込められたまま、恐怖に見開いた目で、常人は凝視できない引きつった表情で  『助けて下さい、助けて下さい』って言い続けてるの。あれを観ると、もう……」 「先生も病気ですよ」 「それは認めるわ。あの女の子たちに囲まれてするオナニーって最高よ。あなたも一度やってみたらいいわ」 「今の彼女がそこに加わったら、やってみます」 「じゃね。日曜にね」  私は本物の恐怖に凍り付き、持っていたコップを落としてしまいました。 「誰かいるの?」と美紀ちゃんが言いました。  私は柱の後ろに隠れ、身を固くしました。 「誰か?」  美紀ちゃんがこちらに来る気配があり、私はソッとドアの陰に移りました。(次回最終回。恐がりの人は読まないで)
 そのドアの陰には先生がいて、私は何かを嗅がされ、気を失いました。  目が覚めると、いつものお仕置き部屋で四つん這いに拘束され、隣には同じように拘束された結衣ちゃんがいました。  結衣ちゃんのお尻にはなにか蛇口のついたガラスのようなものが突き立てられていて、全身が脂汗でぬめ光っていました。 「気付いた?」と美紀ちゃんが言いました。 「あなたには知られたくなかったんだけど、しかたないわ。本当のお仕置きしなきゃならないことなったわ。  あなたの深層意識は鞭を望んでいた。だから鞭を与えてあげたの。  でも、本当のお仕置きなら、深層意識でいちばん望んでいない苦痛を与えなきゃね。  結衣がリンチされてるときの表情観てわかったの。あなたは浣腸が最も嫌いだって。だからそれを与えてあげる。  結衣ももう二時間耐えてるわ。人間浣腸としては最高の出来のはずよ。もう言葉も出ないし」  私はナースさんたちに、結衣ちゃんが見えない位置に運ばれました。  いきなり、後ろに何か堅いものを突き立てられました。  それは徐々に深く入ってきて、私の後ろの門が限界まで開くのがわかりました。 「これでもう、自分の意思では出せないわ」  美紀ちゃんは嬉しそうに言いました。 「どう? 辛い?」 「辛い」  でも、それはまだ我慢できる感覚でした。 「じゃ、行くわよ。さあ、結衣、思い切り出すのよ」  ギャ……  信じられない勢いで、熱い奔流が体の中に入ってきました。肛門から直腸、大腸が直接感じられるほど、その液体は私の体内を満たしたのです。 「今まで結衣の体に入っていた浣腸液よ。何て汚いの。それが今、あなたの体を満たしたの」  あまりのおぞましさに、 「止めて、すぐに止めて」と叫びました。 「あなたが望んだことよ」 「こんなの、こんなの望んでない。絶対に」  次第に腹痛が強烈な便意となって襲ってきました。 「嘘よ。ここでは望んだことしか現実にならないわ」 「ここ?」 「そう。ここはあなたの妄想の世界。あなたは結衣ちゃんと汚物で結ばれることを望んだのよ。  そのほかは全部ここに至るまでの迷路の突き当たりよ。言ってみれば幻ね。あなたは死ぬまで、ここで結衣ちゃんと汚物で結ばれて過ごすのよ。何年も何十年も。幸せね」  出そうとしていきむと、結衣ちゃんの悲鳴が上がりました。 「止めてください。もう死んじゃいます」 「ほら、つながってるでしょ、二人。あなたの出したものが、結衣ちゃんの体内に入っていくの。幸せよね、二人つながって。これが望みだったんだものね」 「望んでない、こんなこと、絶対に」 「じゃ、私たち行くわ。お二人で永遠に楽しんでね。何十年も……」  私の心を真実の絶望が満たし、結衣ちゃんと汚物を交換する何年もの日々がすぎたある日のことでした。  ……聞こえますか……  ……聞こえますか……  目を開けると、そこは病室でした。  すべては、私のパートナー、結衣ちゃんが、セックスの時に使うとサイコーらしいよ、などと言って持って来たドラッグをお気軽に使った結果でした。  私はそのハーブティを飲んだとたんに昏倒し、三日間病院で点滴を受けていたのでした。  妄想の中では深層意識が現実化すると言うのですが…… 「ねえ、どんな世界だった?」  と結衣ちゃんはお気楽な顔をして聞くのですが、とても説明できたものではありません。 「恥ずかしがらなくてもいいじゃない、私とあなたの仲じゃん」  いえ、どんな仲でも絶対に口には出せません。  現実になったらイヤだから……  イヤ……? (終わり)
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