■12068 / inTopicNo.1) poison □投稿者/ 雅 一般♪(1回)-(2005/08/14(Sun) 14:42:20)
はぁ・・すっきりした。 クーラーを少し低めの23度に設定しているので、シャワーからあがった時の あのひんやり爽快感がたまらない。さすがに目覚めの悪い私も、目の前が明るくなる。 白い薄手のバスローブを羽織り、そのまま徐に冷蔵庫に突進する。 まだ、少し身体がだるいな。。 冷蔵庫から、よく冷えたぺリエ瓶出して一気に半分まで飲み干した。 加奈はソファにゆったりと横になり、昨日の思わぬ出来事を思い出していた。 加奈は、明日から1週間の連休ために、仕事の整理をしていた。 「社長。今回は長いお休みを取られるんですね。旅行とかいかれるんですか?」 「うん。ちょっとのんびり海にでも行こうかと思ってるの。珠ちゃんは予定立てたの?」 「はい。今年免許とったので、友達とバイクでツーリングに行く予定なんですよ」 秘書の珠美は見た目、清楚という言葉がぴったりとくるタイプだ。 色白、天然らしいが少し茶色の緩やかなウェーブの髪。きゃしゃな身体 の割りには、胸の膨らみもしっかりある。甘いシャンプーの香り・・ 女性の私から見ても、かなり魅力的な感じだ。たいていの男性なら、きっと、目に止まるに違いない。 その珠美から、バイクっていうのは、何だか私のイメージしてる珠ちゃんとは程遠い。 誰かの後ろに乗せてもらってってほうが、ぴったりくる。 一体、どうやって、あの重いバイクを重い通りに操るんだろう。 「バイクって、あの大きい方?原チャリじゃないよねぇ。」 「社長。やめてくださいよぉ。原付でツーリングなんて、いきません・・・。」 珠美は、何だか、恥ずかしそうに下を向いた。 「私に似合いませんか?」 一瞬の沈黙。。。 「ぷっ。」加奈は微笑みながら、吹き出してしまった。 珠美も、既に他の人にも言われたのか、やっぱりって感じで、加奈を見た。 「でしょうね。経理の友達にも笑われました。」 「ごめんごめん。そんな変な意味で笑ったんじゃなんだけどね。なんか、バイクに 乗ってるのか、乗せられてるのかって、頭の中に浮かんじゃって。うふふ。」 「もぅ。社長ったら、ひどーい。」珠美はちょっぴり、頬を膨らませている。 「じゃ、珠ちゃん。これ、来週の予定の書類ね。私は一足先に休ませてもらうけ ど、怪我だけは気をつけるんだよ。再来週には、元気な可愛い顔をみせてちょうだ い。あっ、もし急用があったら、携帯もっとくようにするから。」 そういって、珠美の頭を軽く撫でて、部屋を出た。 じっと背中を見つめる、珠美の視線など、全く気づかなかった。 その時は・・・。
■12094 / inTopicNo.3) poisonA □投稿者/ 雅 一般♪(3回)-(2005/08/15(Mon) 05:30:48) (やっと、休みだぁ〜。さ、尚のお迎えまでは、少し時間あるから、ちょっと ハーバーでもよって時間潰しでもするか・・) 尚は、去年の春から付き合っている私の彼女だ。 年1回、商工会主催で女性起業家の親睦を目的とした名刺交換 会と立食パーティがホテルで行われる。その日、尚と知り合った。 色々な業種の会社、店舗を営んでいる経営者達。年齢もとても幅広く 下は20代から、上は70代と普段なら、余り会話が成り立たないような年齢の 人たちが集い、挨拶を交わす。特にまだ、会社や店を興して間もない、ひよっこ起 業家たちは、どれだけ名刺を貰えるのか競うかのごとく、必死に自らの顔を売り込 んでいる。何事にも一生懸命で、私も見習わなくちゃと思うくらいだ。 私なんて、初めて参加した時は、緊張というか、どうも何を話したらいいのか わからなくて、向こうから挨拶され、慌てて名刺入れから、自分の名刺を出し 「初めてなので・・よろしくお願いします。」とカチンコチンになってしまって いたものだった。 今では、もう恒例となっている懇親会では、顔馴染みもできて、この懇親会で出会 っがきっかけで、ビジネスに結びつくこともしばしばだった。 私が営むのは、レディスオンリーの広告代理店。小ぶりな会社だからこそでき る肌理細やかなサービスと良心的価格を売りにしている。 その日は、何となく気分が乗らないので、取引客だけに挨拶をして 早々に切り上げ、会場をでた。エレベーターを待っていると後ろから声がした。 「すみません・・あの・・これ・・・」 そこには、新入社員って感じの、リクルートスーツっぽい紺のスーツを着た、うい ういしい感じの女の子がそこに立っていた。 (ん・・・あれ?・・・えっ?・・・) その子の手に、見覚えのある化粧ポーチ。ん?あっ、私の化粧ポーチだ。 「あっ、ごめんなさい。トイレに忘れてきちゃったのかな。」 「さっき、出て行くが見えたので、もしかしてって思って。良かったです 持ち主が見つかって。」その女の子はにっこり微笑んで化粧ポーチを 加奈に手渡した。 「ありがとう。ちょっと、ボーっとしててね。明日化粧できないとこだったわ。」 「フフフ。いえいえ。」 二人は、エレベータに乗った。少しの沈黙・・・。エレベーターの降りていく階の ランプを目で追う。加奈は、ふと尚を見た。 (鼻筋が通った、綺麗な顔立ち・・それにしてもこの子、すごくまつ毛長い んだな・・。) 尚は加奈の視線に気がついたのか、二人は目が合ってしまった。 (何かじっと見てたのバレちゃったかな・・まずい・・何か話さなきゃ・・) 「今日は、名刺交換会参加してたの?同じ階だったから。」 「実は私、別の階のフロアーで研修があったんですけど、ちょっとお痛く て・・。同じ階だと恥ずかしいから、別の階にきてたんですよ。」 少し顔を赤らめながら、尚は目を伏せて笑った。 (可愛いな・・。恥ずかしいそうな顔も。フフ) 「フフフ。そうだったの。そういうの分かる気がするわ。違う階に行きたい気分」 「でしょ。なのに、友達は、勝手に帰ったって思ったみたいで・・電波悪かったみ たいで携帯繋がらなかったらしくて、もう電車に乗って帰っちゃったらしいんで す。私も、何も言わないで別の階にいったから仕方ないんですけどね。(笑)」 「フフフ。でも、そのお陰で私は、明日化粧できることになって良かったんだけど ね。それも運命だったかも知れないわね。」 「あっはっは。そうですね。」 二人は、何気ない話をしながら、ホテルのロビーを抜けて、正面玄関まで歩いた。 加奈は、ふと気がついた。向かう先は、地下駐車場なのに、つい一緒に歩いてきて しまったのだ。 「あっ。雨降ってる。」尚は、空を見上げた。 「傘、持ってるの?」 「今日、折りたたみ傘、入れてくるの忘れちゃった。」尚は鞄をゴソゴソ探して いる。 「良かったら、私車だから、送っていってあげようか?ここのホテルは駅まで 少しあるしね・・。雨ぬれちゃうし。」 「でも・・。そんなの悪いです。」 「全然気にしなくていいよ。男の人だったら、怖いかもしれないけど、私なら、 怖くもなんともないでしょ。」加奈はにっこり微笑んで尚に言った。 「えっ。怖いとか、そんなんじゃなくて・・。じゃ・・近くの駅までいいですか? すみません。」尚は、下を向きながら答えた。 「車、地下に入れてあるの。つい話しが楽しかったものだから、ここまできちゃっ たんだけどね。」 加奈は歩きながら、そう言って笑いながら車の鍵を尚の前にちらつかせた。 尚も、微笑みながら、二人は駐車場に向かっていった。 それが、初めての尚との出会いだった。
■12096 / inTopicNo.4) poisonB □投稿者/ 雅 一般♪(4回)-(2005/08/15(Mon) 07:12:04) 加奈は、車の鍵をあけ、運転席に乗り込んだ。 車のエンジンをかけて、尚を見ると、まだ車に乗らないでつったっている。 どこに乗っていいのか、わからないのか、それとも、乗るタイミングがわからない のかどうも困った様子だ。 加奈は、運転席から助手席に身体をのばし、助手席のドアを少しあけた。 「さ、どうぞ。」 尚は恥ずかしそうに、車に乗り込んできた。また少し顔が赤い。 「女の人でも緊張する?」 加奈は少し意地悪そうに、尚に言った。 「そ、そんなことはないですけど。どこに乗ったらいいのかわからなくて」 尚のちょっとした動揺が、面白くて楽しくて、可愛い。 「あっ、そうそう。今から予定とかあるの?」 「別に、特には・・。家に帰って寝るだけです。」尚は微笑みながら言った。 「良かったら、ご飯でも食べに付き合ってくれない?私なんだか、お腹すいて きちゃったから。食事食べないで、抜け出してきちゃったからねぇ」 「あっ。もちろん、私のおごりだよ。化粧ポーチのお礼。」 加奈は軽くウインクして、尚に言った。 「でも・・送ってもらって、食事までなんて。何か私厚かましい子みたいで。」 「そんな気にすることないよ。じゃ、OKね。」 半ば強引に加奈が尚にいった。 (そんな、食事までご馳走になんて、ほんといいのかしら・・。ま、いいか) 二人の乗った車は、ホテルを出た。外はどしゃぶりの雨に変わっていた。 「わーっ、すごい雨。私ついてたかもしれないですね。」 「ま、この雨なら、きっと家に着く時には、そのスーツびしょ濡れだったね、きっと」 車は赤信号で停車した。加奈は尚のスーツを見た。 シートに座っているせいか、スーツの上着が少し浮いていた。 V字に空いた胸元から少し、胸の谷間がちらついている。 色が白くて、吸い付くような、きめの細かい肌。 そこから見えるだけでも、結構、胸が大きいのがわかる。 ういういしいリクルートスーツの奥に隠された、妖艶な身体。 (触れたいな・・) 信号が青になり、車は、海辺へ向かって走っていった。 「どこに連れていってくださるんですか?」 「んー。どこにしようかな。私にお任せで構わない?」 「はい。そんなご馳走してもらうのに、文句はいいません。」 尚はにっこり微笑んだ。 「じゃ、ここにしよう。」 そういったかと思うと、車は急に左折して駐車場に入った。 海岸線にある、Festaという小さな看板の店だった。 少し急な階段を上って、店のドアをあける。 「いらっしゃいませ。お久しぶりですね。上月様。」 (上月さんっていうんだ。名前もまだ知らなかった。) ドアボーイは、そういって、店の一番奥へと誘導した。 「上月様、今日は雨ですので、デッキが使用できませんので、海側のお席しか ご用意できませんが、よろしいでしょうか?」 「構わないですよ。いつもありがとう」 加奈は店の常連客らしかった。店は、少し薄暗い、海岸線に相応しく、バリ島を をイメージしたような、お洒落なお店だった。 椅子を引いてもらい、尚は少し緊張した面持ちで、ゆっくり椅子に腰かけた。 テーブル席でも、一番奥の少し隔離された感じの席だった。 そこからは、海が見える、この店のテーブル席ではおそらく一番いい席だった。 加奈は、尚にドリンクだけ選ばせて、後は、メニューを見て、適当にみつくろっ て、注文した。 加奈は車だからと、ジンジャーエールを注文し、色気ないでしょと微笑んだ。 尚は、キールを注文した。 「今日はお疲れ様。」 「お疲れさまでした。」 軽くグラスを鳴らし、二人は乾杯した。 「あっ、そういえば、名前も聞いてなかったけど。名前なんていうの?下の名前でいいから。」 加奈は、シガレットケースから、煙草を出して火をつけた。 「河野 尚って言います。」 「尚ちゃんか。可愛い名前だね。じゃ、今から尚ちゃんって呼ぼうかな。」 「はい。尚でいいですよ。」 「あっ、私の名前言ってなかったね。上月 加奈。加奈でいいよ。」 そういって、加奈は微笑んだ。 料理がどんどんテーブルに運ばれてきた。 「さ、どんどん食べて。私もお腹すいてるから、バンバン注文するからね。 話は、後まわし」 加奈はにっこり笑って、料理を取り分けながら言った。 尚は段々、加奈の気さくさに、緊張もほぐれてきていた。 そして、尚は、目の前の女性に、少し興味を持ち始めていた。 (加奈さんって、いったいどんな人なんだろう・・)
■12135 / inTopicNo.6) poisonC □投稿者/ 雅 一般♪(6回)-(2005/08/18(Thu) 03:28:16) 「あ〜、お腹一杯。これでちょっと落ち着いたわ。」 加奈は、そういって煙草に火をつけた。 「それにしても、今日は、こんな可愛い人と食事ができるなんて思いもよらなかったわ。」 「そんな可愛いなんて。。照れちゃいます・・」 尚は、何だかドキッとした。 言葉とか、そういうのではない。この人の目だ・・ 何か、表現できないんだけど、不思議な感じがする。。 どうしちゃったんだろう。。相手は女性なのに・・ 「尚ちゃんは、明日は仕事お休み?」 「はい、土日休みなので、明日はお休みです。」 「そっか〜、じゃ時間あるんだね。」 「え??」 「今日は、何だか仕事も乗らなくてね。それで、あのホテルでも抜け出してきちゃったのよ。 だから、少し付き合ってくれたらありがたいなぁ。厚かましいすぎるかな?」 加奈は、少し目をそらしながら、煙草の煙が尚にいかないように、ふーっと吐き出した。 「時間は、構わないんですけど・・・」 「じゃ、OKね。うふふ」 加奈は、少し強引に尚に言った。尚も少し躊躇したが、嫌な気分がしなかった。 (ほんと、強引な人だな・・加奈さんって。) 店を出て、加奈と尚は車に乗った。外は、まだ雨がどしゃぶりだった。 「それにしてもすごい雨だね。この店も天気がいいと、デッキで海眺めながら 結構いい雰囲気作れるんだけどね〜。残念だったわ。フフフ」 尚は少し戸惑っている。加奈はそれを楽しむかのように、尚の目を覗き込んで微笑んだ。 「尚ちゃんって、結構照れ屋さん?結構ドキドキしちゃったりしてる?」 「加奈さんって、男性だったら、口説くの旨いかも知れないですね。」 「あっはっは。そんなことないよー。ただ、素直に言うだけだよ。行動もね。」 「加奈さんって、彼氏とかいないんですか?」 「ん〜。彼氏はねぇ・・・。ウフフ。今はいないよ。」 「加奈さんって、綺麗じゃないですか。大人の雰囲気っていうか。何か、いくらで も彼氏いてそうなのに・・」 「えっ、綺麗なんていってくれるんだぁ。それは光栄だなぁ」 加奈は、煙草を取り出して、笑いながら火をつけた。 「ん〜。彼氏っていうかね、正式に言うと、彼女も彼氏も今はいないって言ったほうがいいかな。」 「えっ??」 尚は、びっくりした顔で、加奈を見た。 (え??彼氏も彼女もいない??一体どういうこと?) 驚きを隠せない尚を見て、加奈は優しい目で言った。 「私、女性も恋愛対象になるのよ。」 尚の周りに、そういうことを言う人は誰もいなかったのだろう。 かなり驚いていた様子だった。 それでも、加奈は、普通ににっこり笑いながら 「ちょっと引いちゃった?」 「いえ・・。でもびっくりしちゃいました。」 「あっはっは。そらそうだろうねぇ。だから、さっきも言ったけど、全てが素直 だっていったでしょ。好きなものは好き。だから行動も素直なのよ」 尚は、色々考えてみた。初めて会った人に食事をご馳走して・・もしかして、 私、ナンパされちゃった?そうだ、されちゃったんだぁ〜 加奈の運転する車はどんどん走っていく。。 尚は、加奈の横顔をチラリと見た。ネオンに照らされる加奈の顔にドキッとした。 運転しながら話をする加奈の唇。 小さめだが、ふっくらとして、キスしたら柔らかそう・・ あの唇で、今までに、他の女性と・・・・・ 加奈は色素が薄いのか、色白なのも加えて、目も少し薄めの茶色だ。 あの吸い込まれそうな優しい目、時折見せる、妖しく甘い眼差し・・・ いったい、どんな風にして女性を口説いて、ベットに誘うんだろう。。 そして・・どんな風に、女性を愛撫するんだろう・・・ 尚は、どんどん想像が膨らんでいく。そんないやらしい想像をする自分が何だか恥ずかしかった。 これからどうなっちゃうんだろう・・ 少しの不安と、期待が入り混じった気持ちで一杯だった。 尚は勇気を振り絞って加奈に言った。 「あの・・もしかして、私を誘ったんですか?」 「うん。可愛いなって思ったよ。だから誘った。でも、今日は少し人恋しいってい うか、何かそんな感じだったのよ。最近仕事で疲れているのもあるんだけど、今日 はそんな感じだったの。」 加奈はそういって、尚を見た。尚は黙って下を見ている。 少し沈黙の時間・・・ 車はマンションの駐車場に入っていった。 「さ、ついたよ。」 加奈について、尚は車を降りた。 エレベーターに乗り、8階のボタンを押す。 「何か、怖い?私が襲うかもって思ってる?」 加奈は、にやっと笑って、尚の顔を覗き込んだ。 尚は、何って答えたらいいんだろうと、頭の中で混乱した。 「・・いえ。。そんなことは・・・」 尚の真顔な表情を見て、余りの可愛さに加奈はぷっと吹き出してしまった。 「ま、雰囲気にもよるけどね〜。」 意地悪っぽく、尚を見ながら加奈は言った。 「でも、大丈夫。無理やりはしない人だから。今日は紅茶、尚ちゃんと一緒に飲め たらなぁって、思ったから誘ったのよ。安心していいわよ。ウフフ」 8階について、すぐ扉があった。 「さ、マイルームへようこそ」
■12143 / inTopicNo.9) poisonD □投稿者/ 雅 一般♪(8回)-(2005/08/19(Fri) 01:45:53) 「遠慮しないでいいから、その辺でくつろいでて。今お茶入れるから」 そういって、加奈は食器棚に綺麗に飾り付けられた中から、ティカップを選んでいた。 尚は、窓際にある、大きなソファに腰かけ、部屋の様子を伺った。 30畳はありそうなリビングの中央には、真っ黒なグランドピアノがおいてある。 楽器が好きなのか、壁際にはクラッシックなギターが数本、立てられている。 尚はしばらく、部屋をキョロキョロ見回していた。 わぁ・・・何だかいい香りがする・・・ 「この香り・・・何の紅茶ですか?」 尚は、興味深そうに加奈に聞いた。加奈はにっこりと嬉しそうに答えた。 「とってもいい香りがするでしょう。アールグレイとダージリンを私がブレンドしてみたの。」 「そうなんですか。とってもいい香りがする・・」 「さ。用意はバッチリ。そこのテラスの窓を開けてちょうだい。」 尚は、慌ててソファから立ち上がり、カーテンを開け扉を開けた。 「わぁ〜、素敵なテラスですね。」 「ウフフ。ありがとう。」 窓を開けると、ウッドデッキの広いテラスだった。真っ白いテーブルに、真っ白いイス。 周りには、たくさんの観葉植物があり、お洒落なランプが何箇所にも置いてあった。 ちょっとした植物園の中にあるティーラウンジみたいな雰囲気がした。 テラスの半分は雨にさらされているが、またそれも開放感があって、いい雰囲気をかもし出している。 加奈は、用意したお茶をテーブルに置き、ランプの電源を入れた。 オレンジのランプの灯りがうっすらと周りを照らしている。 「さ、どうぞ。」 尚は、何だか、夢を見てるような、そんな感じさえした。 いったい何故、私はここにいるんだろう・・ 「雨の音っていいでしょう。私は雨の日にここでゆっくり紅茶を飲むのが好きなのよ」 加奈は、落ちついた様子で、ゆっくり香りを楽しみながら、紅茶を口にした。 「特に、疲れたときは、アールグレイティーが主流になるわね。癒されるの。この 香りにね・・・」 「確かに、何だかほっとする香りですね。普通のアールグレイより、濃厚で・・ やっぱり、ダージリンのせいなのでしょうかね?」 尚は不思議な気分だった。 (今日初めて会った人と一緒にその人の家でティータイム。 何でこんなに、ほっとしてるんだろう・・・私・・) 加奈は、優しそうな眼差しで、尚を見つめた。 「ねぇ、尚ちゃん。少し・・目閉じてみて。」 「えっ・・」 尚はどきっとして、顔が赤くなり、恥ずかしくてうつむいた。 加奈は、そんな尚を見て、笑みを浮かべた。 「ウフフ。まつげ・・すごく長いのね。どのくらいあるか見たかったのよ。」 「あっ・・まつげですか・・・?はい・・。よく言われます。」 動揺する尚を見て、加奈は意地悪そうな目で言った。 「今、何か勘違いしなかった?」 加奈は尚を覗き込む。 「いえ・・・。そんな・・。」 尚はもう、心臓が張り裂けそうなくらい恥ずかしかった。 「じゃ、軽く目を閉じてみて。」 尚は軽く目を閉じた。目を閉じていても加奈の顔が近づいてくるのがわかった。 (こんなに近くに加奈さんの顔・・あぁ・ダメだ・・私、どきどきしてる・・ 一体、私・・何を期待しているんだろう・・)
■12146 / inTopicNo.10) poisonE □投稿者/ 雅 一般♪(9回)-(2005/08/19(Fri) 02:51:15) 加奈は、動揺する尚を見ているのが楽しくて、可愛くてたまらなかった。 加奈は、軽く尚の顎に手を添えた。 尚の身体は緊張して硬直している。だが、尚はそのまま目を閉じたままだった。 尚のくちびるが、ランプの灯りに照らされて薄く光ってみえた。 (可愛い・・・) 加奈は、尚の唇に優しくそっと口づけた。 尚は、一瞬、びくっとしたが、そのまま動かなかった。 女性とする、初めてのキスだった。 尚は、初めての女性の唇の感触に驚いていた。それは、男性にはない柔らかな、 そして優しいキスだった。 加奈は、唇をそっと離して、尚の目を見た。 尚も加奈の目を見つめた。 そして、加奈はそっと尚を自分の胸へ引き寄せた。 尚も加奈を拒むことはなかった。 雨の音だけが、二人をそっと包み、時間が流れていった。 「加奈さん・・・私・・」 加奈の胸の中で尚がつぶやいた。 「ん?」 「まだ何も加奈さんのこと知らないのに・・。好きになっちゃうかもしれない」 「それなら嬉しいんだけどね。」と加奈は笑った。 「何だか、今日が初めて会ったはずなのに、落ち着くんです。。加奈さんといると・・」 「そう?私こそ、尚ちゃんを見てるだけで、楽しい気分になれる。 ここ最近のモヤモヤしてた気分もすっかり忘れてる・・不思議なんだけどね」 「加奈さん・・。」 「何だか、返しちゃうのイヤになっちゃうなぁ。」 加奈はぎゅっと尚を抱きしめた。 「私も、帰りたくなくなっちゃいました。」 「じゃ、お互いに自然に任せることにしない?」 加奈は微笑んで尚に囁いた。 二人は見つめあい、今度は深く深く、お互いを知り合うように 長い長い、接吻をした。 アールグレイの香りと、雨の音に包まれて・・・ 「あっ、でも、今日は抱かないよ」 「え?どうして?」 「だって、今日は尚ちゃんお酒入ってるから、抱かないの」 加奈は微笑みながら、そういって、おでこにチュッとキスした。 「私は、しらふの時にしらふで抱き合いたい人だからさ。だから、今日はゆっくり 唇で堪能させてもらうことにするよ」 そう言って加奈は、尚の唇をすかさず塞いだ。 加奈もそれに答えた。二人の唾液は混ざり合い、何度も何度も相手の唇を求め、 激しくお互いの舌を絡めあわせた。 そっと唇を離した加奈の唇は、今度は尚の耳たぶを含んだ。 「あっっ・・・」 尚はかすかに声を上げた。 「色っぽいね、尚の声・・可愛いよ・・すごく可愛い・・」 加奈の舌は、耳の中にまで入ってきた。 「ん〜・・あっ・・もう・・ダメ・・・」 加奈はにやっと笑った。 「本番に備えて、もう少し尚ちゃんのこと知っておかないとね。」 尚の耳もとで、加奈は囁いた。 加奈の唇は、尚の感じるところを確認するように、ゆっくりゆっくり愛撫していく。 尚の首筋に、今度は舌を這わせていった。 尚の身体はとても敏感だった。舌を這わせると、身体をビクンとさせ、そして 甘い吐息を出して、加奈の首に両腕を絡め、感じるたびにその力は強くなっていく。 「これ以上したら、私が我慢できなくなっちゃうから、これでおしまい」 「えっ・・そんなぁ〜・・意地悪・・」 「ウフフ。お楽しみはとっておいたら、もっと楽しくなるわよ」 そういって、加奈は尚を抱きしめた。 それが、尚とのはじまりの日。
■12148 / inTopicNo.11) poisonF □投稿者/ 雅 一般♪(10回)-(2005/08/19(Fri) 05:11:25) 加奈は会社を出て、ハーバーランドへ車を走らせていた。 尚のお迎えは、午後8時。尚の会社まで車で迎えに行く。 今日はミーティングがあるらしく、いつもより遅い待ち合わせだった。 加奈は時間がある時は、よく車の横付けできるところで、のんびり海を眺め また、ウトウトと昼寝をするのが好きだった。 すぐ近くでは、釣り人がのんびり竿を垂らしている。 海を見ていたら、会社での悩み事や、疲れも忘れてしまう。 加奈にとっては、秘密の休息場所だった。 リリリリ〜〜〜ン リリリリ〜〜〜ン いきなり携帯電話が鳴った。 珠ちゃんからだ。会社で何かトラブルでもあったのだろうか・・ 「はい。上月です」 「社長、今少しよろしいでしょうか?」 「今車の運転中なんだけど・・。何か急ぎの用?」 「あの・・。実は少し時間作っていただけませんか?相談事があるんです。」 「ん?何だか神妙な声だねぇ。で、今からの方がいいのかな?7時過ぎ位までだっ たら時間空けれるけど。」 珠美と約束をして電話を切った。 珠美からのそのような電話は、初めてのことだった。 いつも電話といっても、仕事の確認の電話か、留守中の伝言くらいだ。 ましてや休み中などは、余程対処できないこととかない限り電話で加奈を 呼び出すようなことはなかった。 (何か会社であったのかな・・) 車をUターンさせて、また会社へ向かって車を走らせた。 一旦会社を出てまた会社に帰るのもどうかと思い、会社の近くの少し奥まった ところに車を止めて、珠ちゃんに電話をした。 珠美は、社封筒と、紙袋を持って現れた。 「とりあえず、乗って」 珠美は、静かに助手席に腰を下ろした。 「で。どうしたの?相談ごとって」 加奈は、珠美の様子を伺いながら尋ねた。 珠美の表情は少しひきつったように固かった。 「会社では内容を言いにくかったので・・」 そういって、社封筒を加奈に差し出した。 加奈は、社封筒の中身を取り出した。 「あっ・・・」 「社長騙してごめんなさい。怒らないでください。。あと、これも。」 社封筒の中身は、社員から加奈宛の誕生日の色紙だった。後、紙袋の中には リボンのかけられた、ブルーの包装された箱・・・ 「社長がこんなに早く会社を出るなんて思ってなかったから、出来上がってなくて。 私は、こんな方法どうかと思ったんですけど、皆が、社長を呼び戻す方法はこ れが一番だって結論に達しまして・・。本当にごめんなさい。」 「あ〜。確かにその方法じゃないと、帰ってこないかもだね」 加奈は、にっこり微笑んだ。 「社長今回はお休み長くとられているでしょ。丁度誕生日もお休みされてるから。 誕生日終わってから渡すよりは、早くのほうがいいからって、今日渡す予定だったんですよ。 なのに、さっさと帰られちゃうし。で、それを把握してなかった、秘書の私の責任ってことになっちゃいまして・・・」 加奈は、これはみんなにやられたと、頭を叩いて笑っていた。 「でも、嬉しいよ。ちゃんと私の誕生日覚えてくれてたんだね」 「会社のカレンダーに丸して書いてありますよ。ウフフ。じゃ、確かに渡しましたよ。どうされますか?会社に顔だされますか?」 「じゃ、会社に戻って、御礼でも述べようかねぇ」 そういって、車を駐車場にいれ会社に戻っていった。
■12177 / inTopicNo.12) poisonG □投稿者/ 雅 一般♪(11回)-(2005/08/20(Sat) 12:35:57) 外回りの社員はまだ会社に戻っていなかったが、会社の中にいる社員に一人一人 に、加奈は「ありがとう」と順番に声をかけていった。 扉付近では、珠美を囲んで大きな笑い声。 「珠ちゃん、ほんとにやったんだぁ〜。社長に怒られなかった?」 貴子たちベテラン社員たちは、お腹を抱えて笑っている。 「だって・・そうしろっていったのは、貴子さんじゃないですかぁ〜」 「そんなのまさかほんとにするなんて思わなかったからさぁ〜。まぁいいじゃん社長、怒ってないし。」 そんなやりとりを聞いて、事務所内は、明るい雰囲気に包まれていた。 加奈は、一通り皆に声をかけてから社長室に戻った。 時計を見ると、5時ぎになっていた。 (中途半端な時間になっちゃったな・・・) スーツの上着を脱いで、接客用のソファに腰をおろした。 暫くすると、珠美が紅茶を持って、部屋に入ってきた。 「社長すみませんでした。」 珠美は、加奈の前に紅茶を差し出しながら、少し申し訳なさそうな面持ちで言った。 「ま、誰かが倒れたとかあんまり内容のひどいことだったら怒るけどね。 でも、嬉しかったよ。」 にっこり笑って、加奈は答えた。 「いい香り・・・。」 「今日は自前のフォションのフルーツフレーバーティにしてみました」 「珠ちゃんも紅茶好きなの?」 「はい。持ってきて、会社に置いてるんですよ。何種類か。」 「そうなんだ。」 加奈は濃厚なダージリンとオレンジの香りを大きく吸い込んで それを口にした。 「これ。なかなかいいわね。私はあまりフルーツ系は飲まないんだけど・・。 これ美味しいわ。とっても。」 珠美は嬉しそうに加奈を見た。 「良かったら、珠ちゃんも入れておいでよ。私を騙した罪滅ぼしに、ここで一緒に 飲まない?」 加奈はちょっと、意地悪く笑いながら、珠美に言った。 「珠ちゃん。入社してどれくらいだったっけ?」 「ちょうど、2年ですね。」 「よく考えたら、珠ちゃんと、ここで紅茶飲むの初めてだよね」 「ですね。社長お忙しい方ですから・・」 珠美は、マグカップを手にとって下を向きながら答えた。 加奈は、会社でいる時は、書類に目を通したりと忙しいし、ほとんどは取引先に出向くことも多い。 社員とここでお茶を飲む時って言えば、何か仕事の相談があるとか、中にはプライ ベートな相談も持ちかけられることもあったが、それくらいで、珠美はそういうことは1度もなかった。 「そういえば、今日言ってたけど、バイクの免許最近とったっていってたね。いつ取りにいってたの?」 「会社の終わる5時にはでて、教習所に通ってたんですよ。」 「そっか。でも大変なんでしょ?バイクの扱いって。車より難しいって聞いたことあるけど。」 「こんな風になっちゃいました。」 珠美は、長めのスカートを少し上へあげて加奈に足を出して見せた。 薄くはなってきているが、あざだらけになっていて、加奈は少しびっくりした。 「そんなんでツーリングって大丈夫なの?」 「今はもう慣れてきて、バイクをこかすこともなくなりました。私、結構治りが悪いんですよ。 恥ずかしいから長いスカートかパンツしか今はけません。」 そういって、珠美は微笑んだ。 「でも、これ・・結構派手にやっちゃってたんだね」 加奈は、向かいに座る珠美の膝元まで行って、痛々しそうな足にそっと触れた。 珠美は、少しはっとした様子だった。 加奈もその瞬間、今自分が触れている、少し痛々しげな珠美の細くて女らしい足を意識してしまった。 加奈は、慌てて元座っていた場所に戻り、表情に出さないようにティーカップに口をつけた。 二人の間に少し気まずいような、恥ずかしいような しばらく沈黙の時間が続いた。
■12179 / inTopicNo.13) poisonH □投稿者/ 雅 一般♪(12回)-(2005/08/20(Sat) 14:06:18) 暫くして、珠美は静かに言った。 「社長って、女性から告白されたことってあります?」 加奈は、びっくりした。会社の人間には、自分がバイセクシャルである事など かけらも出したことはなかった。 もしかしたら、どこかで見られた? さっきので、バレた?まさか・・足のあざを見ただけ・・・そんなはずはない・・ 加奈の頭は混乱した。いきなりの珠美の言葉に、何て返事をしたらいいのか言葉が見つからなかった。 「びっくりしましたか?こんなこと聞いて・・・」 珠美は冷静だった。 「どうして、そんなこと聞くの?」 加奈は珠美の様子を伺った。そしてその返事に対する何種類かの言い訳を必死に考えていた。 加奈はマグカップを手にとり、静かに囁いた。 「そんなことあるんじゃないかなぁって思っただけです。素敵だから・・」 加奈は動揺した。 考えていたいくつもの言い訳をするはずだった返事とは、全く違った答え・・ 「もし、私が社長のこと好きだっていったら、どうします?」 「ん・・・。どうするかな・・・困っちゃうかな・・」 「女性だからですか?」 「そんなことはないよ。。」 「・・・・・・・・・・・」 珠美は黙ってうつむいた。 「女性だからとか、そんなんじゃなくてね。私には、今とても、大事にしている人がいるのよ。」 「そうなんですか。ちょっと聞いてみたかっただけなんです。気にしないでください。」 何もなかったように、いつもの笑顔で珠美は答えた。 外は、さっきまでの天気が嘘のように、いきなり雨が降っていた。 「雨降ってきましたね。天気予報は大はずれです」 加奈はそういって、カーテンと窓をあけた。 前は幹線道路なのでちょうどラッシュで車が混雑しているらしく、慌しく鳴らすクラクション響きわたった。 空を見上げる珠美の横顔は、少し寂しそうで・・・ 加奈は、その横顔から目を離すことができなかった。 ポートレートを見ているみたいに 珠美が綺麗だったから・・・。 いきなり携帯電話がなった。尚からだった。 「今日はちょっと遅くなりそうなの。ミーティングのあと、全員で 飲みにいくらしいから。終わったら電話するね。」 用件だけいって、慌てて尚は電話を切った。 「あっ、社長。そろそろ出ますか?今日予定入ってるって・・時間大丈夫ですか?」 「ん。大丈夫。時間できちゃったよ。」 加奈は携帯を見せて尚に微笑んだ。 「じゃ、良かったらご一緒しませんか?今日少し変わったパーティがあるんです」 加奈は、少し迷った。珠美の気持ちがわかってしまっているのに・・誘いに 乗ってもいいのだろうか・・・ 「今日だけは、私に付き合ってください。ねっ?」 今日だけは・・・その言葉に構わないかと思ってしまった。 加奈は想像もしていなかった。 まさか、それが 逃げ切れない、毒に犯されてしまうことになる始まりになろうとは・・
■12180 / inTopicNo.14) poisonI □投稿者/ 雅 一般♪(13回)-(2005/08/20(Sat) 15:28:06) 加奈は珠美を乗せて車で、芦屋の住宅街に向かっていた。 「でも、そんな住宅街でパーティって、いったいどんなパーティなの?」 「それは、いってからのお楽しみです。」 珠美はこれから向かうパーティについて、全く答えてはくれなかった。 (一体何のパーティなんだろう・・・いきなり参加していいのかしら。。) 珠美に道案内され、車は、大きな家の門の前にたどり着いた。 高くて大きい門からは、中の様子は全く見えなかった。 しかし、門の前には、パーティらしき人もいないし、物音もなくひっそりとした感じだった。 珠美は、助手席から降りて、大きな門の横にあるインターホンを押した。 「ネプチューン25。開錠お願いします。」 (ん?ネプチューン25??何だそれは?) カチっと音が鳴るといきなり門が動き出した。 そこには、古い洋館のような建物がひっそりとたっている。 その手前の広いスペースには、車がずらりと並んでいた。 かなり人が集まっている様子だった。 加奈はそこへ車を駐車した。 「何かすごいね。吸血鬼とかでてくる、肝試し大会とかじゃないよね?」 おどけたように、加奈は、珠美にいった。 「そんなんじゃないですよ。ウフフ」 珠美は笑んだ。会社では見せたことのない、艶っぽい色気のある視線に加奈はどきっとした。 不思議な事にその古い洋館の扉にはノブがなかった。 (どうやってこの扉を開けるんだろう・・・) 加奈は、珠美を見た。 珠美は、パスケースからカードを取り出し、扉の横にある四角いケースに それを押し込んだ。 カチッ・・ 扉は、音とともに開錠されて、少し隙間があいた。 珠美は、加奈の背中にそっと手を添えて、ゆっくり洋館に入っていった。 洋館の中は、人の気配は感じられるが、全く声がしなかった。 自分たちのヒールの踵の音だけが、洋館の中に響きわたる。 珠美は、ゆっくりと、正面にあるらせん階段を上っていく。 加奈も珠美の後を追って、2階へとあがった。 そこには、広い廊下をはさんで、いくつかの部屋の扉があった。 階段脇にあるネプチューンと書いてある扉の前で珠美はとまった。 またここもドアノブがない。扉の横には、携帯電話ににたような、暗証番号 を入れるようなキーがついてある。 ピッピッピ・・・ カチャン・・・ そのとたん、加奈は、いきなりの人の声にびっくりした。 中には、20人くらいの女性たちがいた。年齢は、20代〜30代くらいの人たちだろうか。 「久しぶり。今日は同伴なんだね。ウフフ」 25,6歳くらいの、珠美と同じくらいの童顔の女性が二人に飲み物を差しだした。 加奈は、さっぱり何のパーティか分からず、部屋の中をキョロキョロ不思議そうに見渡している。 特に用意された料理もなければ、テーブルの上におかれた、少しのクラッカーと、その横にある飲み物サーバー、グラス・・・。 ふと見ると、まだ奥に部屋があるらしい大きな扉が目についた。 この部屋は、ただの待合室なのか・・・? チリーン・・チリーン・・・・呼び鈴の音が聞こえた。 「はじまるわ・・」 一人の女性が囁いた。 周りの女性の声が、いきなり静かになった。 呼び鈴は何かの合図のようだった。
■12181 / inTopicNo.15) poisonJ □投稿者/ 雅 一般♪(14回)-(2005/08/20(Sat) 16:40:26) いきなり、電気が消され、真っ暗になった。 加奈は、驚いた。このままでは、自分の位置すらわからない。 ましてや、隣にいる女性が、珠美かどうかもわからない状況だった。 それにしても、皆落ち着いていて、沈黙を守って何かを待っているようだ。 ガチャ・・・ 奥の扉がゆっくりと開いた。 その部屋には、壁に額縁が数枚あるだけで、特に他には何も置いている様子はなかった。 床は、かなり豪華な絨毯が敷き詰められ、紅い蝋燭が点々と、置いてあるだけであった。 妖しい雰囲気が立ち込めている。 (いったい・・・これから何が始まるんだろう。。) チリン・・チリン・・・ またあの呼び鈴がなった。 「今日は、お断りになってくださいね。」 珠美は、そっと耳元で加奈に囁いた。 呼び鈴をきいた周りの女性たちは、思い思いの女性の所へ行き誘いを駆け出した。 あるものは、女性の背後から耳元へキスしながら、その胸を弄り またあるものは、スカートをまくりあげ、パンティに手をかけて 抱き合って、何か耳元で囁いている。 一人の女性に3人もの女性が絡んでいるのまでいる。 何とも言えない、淫乱なその光景に、加奈は言葉を失った。 その人たちは、アプローチをかけた女性の手をとり、あの紅い蝋燭ある部屋へと進んでいく。 元の部屋に残ったのは、加奈と、珠美だけだった。 加奈は、びっくりした目のまま、珠美を見た。 「私、ここで知ったんですよ。本当の快楽を。」 「珠ちゃん・・・」 加奈は言葉にならなかった。 隣の部屋では赤い蝋燭の灯りが、ゆらゆら その薄明かりの中で、20人もの人たちが、周りも気にせず 服ははだけ、乳首を吸われ、いたるところを嘗め回し、いやらしい歓喜の声が響き渡る。 あらゆる香水と体液の香りが交じり合い、まるでフェロモンを刺激するかのように立ち込めた。 「珠ちゃん。どうして、ここへ私を連れてきたの?」 「・・・・・」 珠美は黙っていた。 「さ・・でようか。」 加奈は、珠美の肩を抱いて、その妖しい部屋を後にした。
■12183 / inTopicNo.16) poisonK □投稿者/ 雅 一般♪(15回)-(2005/08/20(Sat) 17:45:38) 二人は車に乗りこみ、洋館を後にした。 部屋を出てから、二人はずっと黙っていた。 加奈は、公園の脇に車を止め、自販機で、お茶を買って珠美に手渡した。 「あのさ・・」 珠美はずっと黙ってうつむいている。 「珠ちゃん・・本当に好きな人とHしたことある?」 加奈は、煙草を取り出して、ライターで火をつけた。 「付き合ってた人は、いました・・」 「それで、何であそこへ?」 「その人に連れていかれたのが初めなんです・・」 「で、その人はあそこに来てたの?」 「はい・・・・・。」 「じゃ、見せ付けるために、私をあそこへ連れていったのかな?」 「ごめんなさい・・ぅぅぅぅ・・」 珠美は、いきなり声を押し殺すようにして泣き出した。 加奈は、そっと珠美を抱き寄せた。 何も言わず、珠美の髪を撫で、背中を摩った。 どれくらい時間がたっただろう・・ 珠美は、加奈の胸から身を起こし、ゆっくり加奈に話はじめた。 「彼女からの誘いで、何も知らされずに、あのパーティにいったんです。」 「付き合ってたの?その時」 「いいえ・・。」 「余りの衝撃で、何が何だかわからないけど、私、流されてしまったんです・・。それから、付き合いはじめました。」 「そうなんだ・・」 「で、それから、その彼女のことが、どんどん好きになって・・・でも・・」 「でも?」 「彼女のどこが好きとか、全然わからなくて・・ただ、 身体が求めてるだけなのか・・・わからなくて・・・・・・でも離れられなくて。。」 「で、何で彼女と別れたの?」 「あそこの他の女性と付き合ってしまったんです・・彼女・・。でも、あそこにいけば、彼女に抱いてもらえる・・・」 「そんなの・・何か変だよ・・」 「じゃ、ちょっと聞いてもいいかな?その彼女が、あそこで、他の女を抱いててそれを見てて、どう思った?」 「・・・・」 「好きならさ・・イヤなもんでしょ・・。 それに、本当に好きならさ他の人に抱かれる自分の姿なんて、見せたくないもんじゃないのかな。 何か、不自然な関係の付き合いだと思わない? セフレで割り切った関係みたいなものにしか、感じられないけどね」 珠美は、何もいえなかった。 それは、図星だったから。きっと、愛してくれてなかっただろう彼女との 関係を、認めたくなかった。 それに・・今本当に心から好きなのは・・・ そう言われた瞬間・・・珠美の目から涙がこぼれた。。 何かが、はずれたように 誰にも話せなかったことをで今まで、押しこらえてきた気持ち。。。 そして、この優しい人に、伝えきれなかった思い・・・ 加奈は、今にも大声をあげて泣き出しそうな珠美を、自分のもとへ引き寄せた。 余りにも小さくて、この傷ついた子を愛しいと思った。 「お互いに愛しいって思いあって抱き合わなきゃ。。本当の満足って得れないって、私は思うけどね・・」 珠美は、そっと顔をあげ、加奈を見つめた。 そこには、優しい、加奈の瞳があった。 珠美は、静かに目を閉じた。 加奈は、珠美の唇に、そっと優しくくちづけた。 二人はもう止まらなかった・・・・。
■12217 / inTopicNo.17) poisonL □投稿者/ 雅 一般♪(16回)-(2005/08/21(Sun) 02:25:49) 加奈は、愛しさを込めて優しく 何度も何度も、珠美のくちびるに触れた。 絶え間なく頬をつたう 珠美の涙を、自らの唇で拭っては 抑えている声を唇で塞いだ。 まるで、母犬が子犬を 愛しく 愛しく 構っているように・・・ 車のシートをゆっくりと倒し、真下になった、珠美の顔を見つめた。 珠美の乱れた髪を、そっと手にとり、 加奈は、珠美の耳のピアスを口に含んだ。 珠美の涙は、いつの間にか消えて、小さな声で、甘く吐息をもらした。 珠美の腕は、加奈の首筋に巻きつき、そしてその指はそっと、上下に 加奈の背中をゆっくりと刺激していく。 「今晩、一緒に過ごそっか・・」 加奈は、珠美の耳元で囁いた。 珠美は加奈を見て、軽くうなずいた。 加奈と珠美は、神戸市内のシティホテルに車を走らせた。 さっきまでやんでいた雨が、またポツポツと降り出して加奈は、車のワイパーを回した。 加奈の手は、珠美の手をとり、しっかりと繋がれていた。 「あの・・・。」 「ん?」 「ほんとは、社長のこと・・・入社する前から知ってたんです・・」 「え?」 「Fasta・・・ご存知ですよね」 加奈は少し驚いた様子で、珠美の顔を見た。 「私、あそこでアルバイトしてたんです。ご存知ないかも知れませんが・・」 「知らなかったな・・・。」 「いつも、女性と同伴して来られるのに、1回だけ一人で来られてた時があったんですよ・・」 「あ〜。あったかも知れない・・」 「デッキで、とっても寂しそうに、海眺めてて・・。その時、声かけられたんですよ。社長に・・」 「えっ?何か言ってた?」 「飲み物届けたら、海は好き?って聞かれて。私、好きですって答えたら、社長なんて言ったと思います?」 加奈は、数年前の光景をうっすらと思い出しかけていた。 確かに、一人で行くときは、まぁ珍しい。 大概、仕事で落ち込んだりして、一人でゆっくり飲みたい時くらいだったから。 でも、細かなことは、全く覚えてないけど・・ 「海は心のゆりかごだって・・・」 そう言えば、そんな事があったかもしれない・・。 もう、だいぶ昔の話だけれど・・。 「それから、何だか気になってて。ずっと遠くから見てました。 それから店にあった会社の名刺探して、それで面接にいったんです。」 加奈は、驚くことばかりだった。 「じゃ、もしかして、私が女性を好きだってこと知ってて?」 「そこまでは、わからなかったけれど・・。」 珠美はにっこり笑った。 リリリーン・・・ 加奈の携帯が鳴った。尚からの電話だった。 加奈は、電話に出るか出まいか躊躇した。 自分の犯してしまっているこの状況で、どんな声で尚と話しをしたらいいんだろう 「出てください・・・」 加奈は、緑のボタンを押した。 「もしもし」 「加奈?ごめんね・・・。遅くなっちゃって。今どこにいるの?」 「・・会社。」 加奈はとっさに嘘をついた。 「そうなんだ〜。今晩家にいってもいいかな?」 「今から?」 「そうだけど・・。都合悪いならいいよ・・」 尚はちょっとむくれたよう言った。 「まだ、もう少し仕事残ってるから・・」 「なら仕方ないかぁ。じゃ、仕事の片付けたら、電話ちょうだい。」 「うん。わかった。」 「大事な人からですか?」 加奈は何も答えなかった。頭の中には、尚に対する罪悪感と、今あるこの状況で 一杯だった。 でも、今晩は、今にぎりしめているこの手を、温めたいと思った。 ホテルに着き、フロントでキーカードを受け取り 二人は部屋に入った。 どちらからともなく、抱き合い そして、激しく唇をむさぼりあった。 加奈は、そのままベットへ、珠美を押し倒した。 珠美はつぶやいた・・ 「今晩だけでいいから・・・私だけを見て・・・」 加奈は優しく微笑んだ。
■12221 / inTopicNo.18) poisonM □投稿者/ 雅 一般♪(17回)-(2005/08/21(Sun) 03:46:20) 「あぁぁ・・アァァ・・ハァァ・・・」 外の音など全く聞こえないホテルの部屋 壁にかけられている、時計の針の音だけがカチっカチっと時を刻んでいた。 珠美ののけぞった身体を支え、加奈の舌は順番にゆっくりと珠美の感じる場所を探していた。 耳たぶ・・首筋・・・肩・・鎖骨・・ 全てを剥ぎ取って、あらわになった、形のいい薄い色の乳首は加奈に愛撫され、固く突き出ている。 「すごく綺麗な乳首・・・もう、こんなになってる・・」 珠美は、ゆっくりと先端の一番感じる部分を口で含んだ。 「あっ・・ダメ・・」 加奈の舌は、ゆっくりその先端を転がし音を立てて吸いたてる。 支えた左手は、珠美の汗がじわっ滲んできていた。 優しく乳房を愛撫しながら、右手はゆっくりと珠美の秘部へと這わせていった。 そこは、もうかなり潤っていた。 珠美から溢れる愛液を、たっぷりと中指で、固く大きくなった割れ目の中芯に下から上へと流していく。 「あぁ・・とっても温かいよ・・可愛い・・珠ちゃん」 加奈はそう耳元で囁きながら、その中指は、止まることなく刺激を与えていく。 「ハァァ・ン・・社長・・・もうダメです・・」 「まだまだ、これからだよ・・。ゆっくり愛してあげる。」 加奈の右手は、かなり敏感になっている花びらの中芯を軽くつまんだ。 「うっ・・アぁーぁァァァ」 珠美は、大きく喘いだ・・。どんどん珠美の体温は上がっていく。 その指は、愛液の出所にゆっくり入っていった。 「気持ちいいよ・・・珠ちゃん・・ほら・・」 そういって加奈は、愛液まみれの指を、珠美の唇にもっていく・・ 「今度は、もっと感じさせてあげる・・」 加奈の舌はどんどん下がって、その中芯をとらえた。 珠美は、大きく身体をのけぞらして、歓喜の愛声をあげた。 加奈は、乱れ狂う珠美を愛しいと思った。 もっともっと感じさせてあげたい。。。 指で柔らかな奥のスポットを刺激しながら、加奈の舌は止まることを知らず 激しく吸いながら、嘗めあげていく。 「キツイよ・・こんなに指を締め付けて・・・珠ちゃん・・」 愛液で指がすべる音と加奈の愛撫の音が、珠美の声にかき消されていく。 「もう・・イッちゃう・・アぁぁぁぁぁー」 最高潮に加奈の指を締め付け、一瞬空洞になったその奥は、柔らかくなり、指を包み込むように絡みつき大きくうねった。 珠美はぐったりと果てた・・・。 加奈は、珠美を柔らかく抱きしめて、軽くくちびるにキスした。 「まだだよ・・珠ちゃん・・」 加奈は、何時間も、何度も何度も珠美を愛し続けた。 その身体から、あの忌まわしい洋館の面影を消し去ってあげたかった。 珠美は、声すらあげることができないほどに、声はかすれ波が押し寄せるように何度も何度も絶頂を向かえた。 加奈も、珠美を愛しつづけた。 力つきるまで・・ そうして夜は明けていった。
■12224 / inTopicNo.19) poisonN □投稿者/ 雅 一般♪(18回)-(2005/08/21(Sun) 04:45:10) 小一時間ほど。。。眠ってしまったのだろうか。。 ベットの隣で、スヤスヤと珠美の寝息が聞こえてくる。 そっとベットを抜け出し、裸のままシャワールームに向かった。 シャワーを浴びながら、加奈はふと、尚の事を思い出した。 加奈は、後悔はしていなかった。 ただ、その場限りの慰めをしてしまった事実に少し心が重くなった。 シャワーをすませ、備えつけのバスローブをはおり、加奈は部屋のカーテンをあけた。 車がパラパラと通ってるだけで、信号機の色と街燈だけが目についた。 冷蔵庫から、瓶のミネラルウォーターを出し、栓を抜いて、そのままゴクゴクと飲んだ。 「社長・・・」 珠美はベットからゆっくり起き上がってきた。 「時間大丈夫ですか?すみません・・寝てしまいました・・」 「いいよ。気にしないで。ゆっくりおやすみ。朝起こしてあげるから」 「いいえ。今日は帰ります。着替えもないし、明日仕事ですから。」 そういって、珠美はゆっくり着替えをはじめた。 「シャワー浴びてきたら?」 「いいえ。いいんです。社長の香りが身体にまだ残ってるから・・・」 そう言えば、同じようなセリフを何度か聞いた。 尚も、同じような事をいっていたから。 加奈は、それ以上、何も言わずに自分も脱ぎ捨てた服を身につけた。 フロントでチェックアウトして、珠美の家まで送っていった。 家の前で軽く会釈して、珠美は家の扉の向こうに消えていった。 加奈は、自宅のマンションの駐車場に車を入れた。 もう、明け方近くだった。空がうっすら明るくなってきている。 部屋の鍵を開けて、ドアをあけると、玄関に尚のサンダルが揃えてあった。 寝室の扉をあけると、待ちくたびれたのか、照明をつけたまま、パジャマに着替えた尚が、ベットに横たわっていた。 加奈は、そっとおでこに、キスをして、服をハンガーにかけ、 電気を消して、尚の隣に、そっと横になった。
■12225 / inTopicNo.20) poisonO □投稿者/ 雅 一般♪(19回)-(2005/08/21(Sun) 05:56:01) 「おはよう。夕べは遅かったね・・」 ソファで夕べの事を思い出していた加奈は、尚の声にびっくりした。 「おはよう。夕べまさかうちに来てるって、思わなかったよ」 「今日来ようかと思ったけど、しっかり10日分のお泊りの用意してタクシー飛ばしてきちゃった」 尚は、くったくのない笑顔でそう答えた。 今日から、10日間の少し長めの夏期休暇。 二人で小旅行の計画をたてて、休みのうちの3日間、淡路島に行くことになった。 電話で何とか連泊できるホテルを見つけて、夕方までゆっくり過ごしてから出発した。 尚は、釣りも面白そうだし、のんびりできるかもと、途中にあった釣具屋にトイレ休憩を兼ねてよってみた。 店内の一角には、写真がずらりと並んで、最近の釣果と日付が書いてある。 尚は、簡単装着できるらしい、釣り竿セットをもってきた。 親切な店員さんは、淡路島の女性でも安心な釣り場を教えてくれて すぐ、釣りができるようにと、購入した釣り竿セットに、針までセットしてくれたた。 3日間は、あっという間にすぎていった。 初日は、夕べ買った釣竿セットをもって、餌をかって釣り場へ出かけた。 車が横付けできる波止場で、店員さんが用意してくれた仕掛けにアミエビを詰めるだけで、初心者の二人でも簡単にできた。 サビキ釣りと言って、子供にでも簡単にできる釣り方らしい。 加奈は、小学校の時に父親に連れていってもらって家の近くの池でフナを釣ったいらいのことだった。 目の前を大きな船が通り過ぎていく。 海風が、夏の暑い日ざしで火照った肌に優しく駆け抜けていった。 本当に、気持ちいい。。。 尚は、子供のように、大はしゃぎで釣りを楽しんでいる。 釣った魚は、隣で釣っていた子供連れの家族に、全部あげた。 お昼になって、釣具を片付け、海岸線を二人でドライブした。 眺めは最高だった。 二人は、お洒落なカフェを見つけて、サンドイッチを注文して頬張った。 「ねぇ・・」 尚は加奈の顔を覗き込んだ。 「ん?」 「私のどこが好き?」 「その食いしん坊な口と、そのほっとする笑顔かな・・」 「じゃ、どれくらい好き?」 「い〜〜っぱい好き。」 「い〜〜〜っぱいって、どれくらいの大きさ?」 加奈は少し考えてから優しく言った。 「このどこまでも続く海と同じくらい。」 尚は顔を赤くして、「ふーん」と言って、サンドイッチを口に運んだ。 尚は、照れると、顔を赤くして、すぐ目をそらしてしまう。 そんな尚を加奈は、本当に愛しいと思った。 「ほら・・ちょっとこっち向いて。」 顔を上げた尚に加奈は、ふいにキスをした。 尚は慌てて周りを気にして、顔を真っ赤にしている。 「あっはっはっは」 「もーっ!」 その後、ホテルに戻って、残り2日間はホテル内で過ごした。 プールや温泉、エステ。 夜は、部屋で、二人で過ごした。 何かがおこる、嵐の前静けさのように、海も穏やかだった。
■12243 / inTopicNo.21) poisonP □投稿者/ 雅 一般♪(20回)-(2005/08/22(Mon) 03:16:45) 小旅行から帰宅して、次の日は、何もする気になれなかった。 二人は殆どの時間をベットで過ごした。 こんなに連続して寝たのは、本当に久しぶりだった。 リリリリーン 携帯の着信音。会社の番号だった。 加奈の頭に、休みに入る前日の記憶がよぎった。 相手は、会社の営業の子からの電話だった。 「社長ですか?すみませんお休み中に。あの、実は珠ちゃんが・・」 「ん?どうしたの?何かあった?」 「まだ、よくはわかっていないのですが、事故巻き込まれたようなんです・・。 本人と連絡が取れないので、状況はわかっていません。」 「どこから連絡が入ったの?」 「警察からのようなんですが、どうもうちの社封筒を持ってたらしくて、それで電話がかかってきたんです。 今、本人の確認のためにと、貴子さんが、今病院に向かってます。」 加奈は頭が真っ白になった。 一体、今どんな状況なのか・・怪我の具合は・・・ 「どこの病院なの?私もすぐに向かうから。何かわかったらすぐに連絡をちょうだい」 病院名と住所を控えて、電話を切った加奈は、慌ててクローゼットをあけて用意をはじめた。 「会社の人、事故にあったの?大丈夫?」 「うん。病院に行って来るから。ちょっと今晩帰れるかわからないけど、あとで連絡するから。」 「気をつけていってきてね。慌てちゃダメだよ。」 「わかった。」 加奈は車を飛ばして、病院に急いだ。 救急病院の受付前で、貴子が座っている。 貴子はすぐに加奈に気がついた。 「社長。」 「いったいどんな状況なの?珠ちゃんの具合は?」 「あの、それが・・」 「社長!」 後ろから、珠ちゃんが驚いた様子で、現れた。 加奈は、びっくりした。何が何だかさっぱり分からなかった。 でも、加奈の元気そうな姿を見て、安心した。 「よかった・・・」 加奈は、一瞬にして緊張がほぐれ、長椅子に座り込んだ。 珠ちゃんの説明によると、どうも交通事故現場のすぐそばで、貧血で倒れて意識を失っていたらしい。 事故現場で、救急車で運ばれてしまったために警察では、事故に巻き込まれてと誤解したらしいとのことだった。 特には、怪我もなく、異常はなかったらしい。 「はぁ〜、でもびっくりしたよ。」 加奈は、珠ちゃんの頭を撫でた。 「社長、お腹すいた〜って。珠ちゃんが」 貴子は、ニヤリと笑って加奈を見た。 「はいはい。ご馳走しろってことね。わかったよ。」 「じゃ、とりあえず私、会社に連絡いれときます。」 貴子は、携帯を出して、病院の外へ出た。 「心配かけて・・・すみませんでした。」 「ううん。何もなかったんだからさ、気にしないでいいよ。」 加奈は、にっこり珠美に微笑んだ。 「で、もう貧血のほうは大丈夫なの?」 「もう、何ともないっていったんですけど、検査とか何とかで・・。 夕べ夜更かしして、おまけに今日暑かったので、倒れちゃったみたいです。 お腹もすいてきたってことは、大丈夫って証拠ですね」 「あっはっは。なら、美味しいもの食べにつれていかないとね。」 ちょうど貴子が戻ってきた時には、精算も終わった。 荷物もあるのでと、一旦会社に戻り、珠美のリクエストで会社の近所にある ドミンゴという地中海料理の店に向かった。 結局、その時会社に残っていた社員も含めて、8人での食事となった。 女性が8人揃うと、とても賑やかだ。 珠美も楽しそうに、食事も進んでいた。 その日は、珠美の体調を考えて、早めのお開きとなった。 「お疲れさまでした〜。」「ご馳走様でしたぁ〜」 「珠ちゃん、気をつけてね。無理するんじゃないよ〜」 珠美は加奈が自宅まで送り届けるということになり、他の社員は、電車で帰宅するのに、手を振って駅へ向かって帰っていった。 「さ、そろそろ帰ろうか。」 加奈と珠美は、車に乗り込んだ。 「もう、社長の車には乗ることはないって思ってました・・」 加奈は、それには答えなかった。 「あそこには二度といきません。もう決めました。」 「その方がいいよ・・」 「あの・・社長・・・これ持っていてくれませんか?」 珠美は鞄から、パスケースを取り出し、例の洋館のカードを差し出した。 「あの洋館は、これがないと入れないから・・。」 「処分したらいいんじゃないの?なら」 加奈は珠美に言った。 「会の規則で、必ず返すのはあそこにいって返却するようになってるんです。 カードを無くしたっていうだけで、大変なことになる・・・」 「そらそうだろうね・・あの厳重な警戒だものね・・」 「もう少し、落ち着いたら返しにいくつもりです。。だから、それまで預かっていてください・・」 加奈は、わかったといって、カードを預かった。 その磁気カードには325とだけ書いてあった。 「毎週金曜に集まるんです。他の曜日は政財界の内密な会議にも使われているとかって話ですよ。」 「そうなんだ。ま、預かっとくよ。とりあえず。」 「でもあそこって、すごい秘密だらけ・・」 「ま、そうそう公にはできないとこだからねぇ。運営なんてどうやってるんだろ」 加奈は興味半分で珠美に聞いた。 「私たちは一切お金はいらないんですよ、ってことは誰かが出してるんですよね」 「ま、あの建物だって、誰かの持ち物だろうしね・・金持ちの道楽ってやつかな?」 そう言って、加奈は煙草に火をつけた。 「一番奥の部屋が、そのマダム達専用らしいのですけど、その方々が運営されてるとかって聞きました。 噂ですけど、その奥の部屋は、モニターで全部屋が見えるようになっているとか・・」 「へー。見て楽しんでいるのかな?VIPたちは。」 「それもあるらしいですけど・・・。何か、モニターで目に止まった人がいたら奥の部屋に、呼ばれるらしいですよ。 私は行ったことないので、どんな部屋になってるかも、想像もつかないんですけどね。」 「すごいね。。それ」 「興味がおありなら、入り口で、モニターにカード見せて、ネプチューン251って言えば入れますよ。キーは325でOK」 珠美は、笑いながら言った。 少しは吹っ切れてきたのかな・・と加奈は思った。 車は、珠美の家に着いた。 無理するんじゃないよと声をかけ、珠美を降ろして車を発進させた。 珠美は、加奈が見えなくなるまで門の前で見送っていた。 珠美は、笑みを浮かべ、家へ入っていった。
■12246 / inTopicNo.23) poisonQ □投稿者/ 雅 一般♪(21回)-(2005/08/22(Mon) 04:25:34) 長い休みも終わった。 今日からは、またいつも通りの生活・・。 朝シャワーを浴び、すっきりと会社へと向かった。 「おはようございまーす」 珠美は、いつも通りの笑顔で加奈に言った。 「社長、今週の予定なのですが、」 淡々と、珠美は予定を読み上げていく。 休みのしわ寄せか、びっしり入っている予定に、加奈は、はぁ・・とため息をついた。 「で、金曜日なのですが、M企画の社長が、最終原稿を自宅に届けてほしいとのことです。」 「自宅って、会社じゃダメなの?」 「何か、体調がすぐれないらしく、今自宅療養されているとか・・」 「そうなの。お見舞いのお花でも届けておくかな・・手配しておいて。」 「わかりました。」 金曜日・・・ 先方の指定で、午後7時ということなので、加奈は早めに会社に戻り、そのまま直 帰できるように、残りの仕事をすませていた。 「社長、これが、原稿で、あと・・住所・・封筒にはっときますね。」 「うん。そこにおいといて。」 「はい。では、私は今日はもう仕事も終わったので、失礼していいですか?」 「うん。構わないよ。お疲れさま。」 加奈は、目を通さねばならない書類を見ながら珠美に言った。 「お疲れさまでした。失礼します。」 珠美は、軽く頭を下げ、部屋を出た。 加奈も時間もあるので、慌てて仕事をすませて会社を出た。 芦屋か・・芦屋と言えば、あの洋館を思い出した。 夜はどうしても車が混むので、裏道を使って、何とか時間に間に合った。 M企画の社長は、商工会の名刺交換会で知り合い、そこで仕事をもらってからの付き合いだった。 40代前半で、ここ10年で業績を伸ばし、1代で会社を築いたかなりのヤリ手と、名前が知られている社長だった。 「お身体の具合はいかがですか?」 「少し仕事しすぎて疲れたのかな。。もうすっかり元気だけどね。」 「余り無理なさいませんように。」 「ありがとう。で、さっそく原稿をちょうだい。」 30分ほどで、原稿についての打ち合わせも終わった。 「そうそう。1件紹介するわ。もう連絡はとってあるの。今から時間ある?」 「有難うございます。私は構いませんが、会社の案内も持ってきてませんし、日をあらためましょうか?」 「いいえ。構わないのよ。私からちゃんと話はしてあるから、案内は後日でいいわ。 じゃ、これ住所ね。すぐ向かって、私から電話しとくから」 M企画の社長の家をでて、早速手渡された住所に、加奈は向かった。 加奈は、目を疑った。 (ここは・・・あの洋館・・・。) 車を降りて、住所を何度も確認した。間違いない・・。書き間違えたのかも知れない。 社長にもう1度電話で確認しよう・・・ そう思った時、モニターから声がした。 「連絡は入っております。どうぞお入りください。」 ドアが開いた。 一体どうなっているんだ?? 訳がわからないまま、加奈は中に入っていった。
■12248 / inTopicNo.25) poisonR □投稿者/ 雅 一般♪(23回)-(2005/08/22(Mon) 05:09:28) 車を止めた加奈は、どうしていいかわからなかった。 (連絡はいただいてるっていってたな・・ここのオーナーなのかな・・紹介って) もう一度確認しておいたほうがいいと思い、加奈はM企画の社長に電話を入れた。 でも、電話はいっこうに繋がらなかった。 (困ったな・・・) 加奈は、少し考えていた。 (もし、ここのオーナーが紹介者なら、扉の前で待っていれば、誰か出てくるに違いない。 私は、ここの会員ではないし、あのドアをあけて入るすべもない訳で・・。 あっ・・そういえば、珠美のカードなら入れるけど、そんなの相手は知らないんだから、入れなくて当然な訳で・・) 加奈は扉の前で、暫く待っていた。 でも、誰も出てくる様子もなければ、鍵が開く様子もない・・ どこからともなく、声が聞こえた。 「はやくカードをお入れください。中で、お待ちでございます。」 一体どういうことなんだ。カードって・・・。 「すみません。私カードは持っていません。」 いっこうに返事はない。 「すみませーん。」 加奈が何を言おうが、返事は帰ってこない。 仕方ないか・・ 加奈は、珠美から預かったカードを手にとった。 カチっ・・・ 扉があいた。 加奈は中に入り、玄関で立ち止まって、様子を伺った。 「すみませーん」 暫くすると、奥から一人の若い女性が出てきた。 「上月様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ・・」 (やっぱり・・紹介ってここのオーナー?) 加奈は、案内の女性の後をついていった。 螺旋階段を上り、奥へ奥へと進んでいく。 案内の女性は、ロック解除ボタンを押し、扉を開けて言った。 「どうぞ」 中は、大きな広間になっており、ソファが置いてあった。 そこには、一人の女性が座っていた。 「・・・・・・!」 「待ってたのよ。遅かったのね。」 そこには、何と、M企画の社長が座っていた。
■12249 / inTopicNo.26) poisonS □投稿者/ 雅 一般♪(24回)-(2005/08/22(Mon) 05:52:00) 加奈は、固まって声も出せなかった。 「どうぞ。お座りなさいな」 加奈は、言われるがままにソファに座った。 「・・・これは、一体・・どういう事なのですか?・・・」 M企画の社長は、笑みを浮かべて煙草をふかしながら答えた。 「貴女、前もここへ来たわね。」 「・・・・・・・・・・・」 加奈は絶句した。 モニターで見てるという珠美の言葉を思い出した。 「こっちへいらっしゃいな・・」 社長は、奥の部屋に案内した。 そこには、3つの部屋のモニター、そして大きなキングサイズのベットが置いて あった。 そのベットには、女性が裸で横たわっていた。 「そう。私がここのオーナーよ。」 「そんな・・・・」 加奈は、余りのショックに何も考えられなかった。 M企画の社長は、加奈に腕を回し、耳にキスをして囁いた。 「仕事の内容は、ネプチューンに行けば分かるわ。」 「いったいどういう事ですか?」 「断れば、貴女の仕事は全部なくなると思っていいのよ。」 「そ・・そんな・・・」 「仕事は、そんな難しいことじゃないわ。ただあの部屋にいけばいいのよ」 M企画の社長の指したモニターには、あの光景が映し出されていた。 加奈は、しばらく考えた。 「では、あの部屋に行くだけでいいのですね?」 社長はうなづいた。 ただの1顧客なら、加奈は帰っていただろう。しかし、この人に逆らえば 裏で手を回して、全部の仕事を奪うのは簡単なことは想像がついた。 今まで築きあげてきたものを、壊したくなかった。 ただ、その部屋にいくだけでいいのなら・・・そう加奈は考えた。 M企画の社長は、ベットの女性を愛撫し始めた。 女性の吐息・・ 大きなモニターに映し出されている映像・・ そして、喘ぎ声・・ 加奈は、そのまま部屋を出て、静かにネプチューンへと向かった。
■12252 / inTopicNo.27) poison(21) □投稿者/ 雅 一般♪(25回)-(2005/08/22(Mon) 07:23:17) 加奈は、ネプチューンの部屋の前で立ち止まり、カードキーに書いてある番号を確認した。 ピッピッピ・・・・カチャっ 扉は開いた。 加奈は、中へ入った。 「!」 何とそこには、珠美の姿があった。 珠美は、すぐに加奈の側へ歩いてきた。 「来られたのですね・・・」 加奈は、何が何だかわからなかった。 もう既に鈴は鳴らされていて、奥の部屋では、紅の蝋燭がゆらめき女性同士の営みのエロティックな声が響きわたっている。 「どうして、珠ちゃんがここにいるのよ・・」 「・・・・・」 「全てわかってたのね・・珠ちゃん」 「はい・・。」 珠美はうつむいたまま答えた。 「社長・・・。ごめんなさい」 珠美は、いきなり加奈にキスをした。 加奈は、顔を横に向け拒んだ。 それでも、珠美はどんどん迫り、逃げようのない壁際まで加奈を追い込んでいく。 加奈は必死で抵抗した。 珠美は耳元で小さな声で囁いた。 「ダメです。答えないと大変なことになるんです。」 そう言って、加奈の胸のボタンをはずし、手をいれた。 「いったいどういうことなの」 「声を小さく・・聞こえてしまいます。バレてはダメ・・」 珠美は、加奈にキスをしながら、加奈のスカートをまくしあげた。 「こうしてたら、バレませんから」 珠美の右手は、1枚の薄い布の上から割れ目を探りだした。 珠美は、加奈を押し倒し、パンティの中へ手を入れた。 「アァ・・っ」 「もう、濡れてますよ・・社長。」 珠美は、加奈の突起した部分を、人差し指と親指で摘みながらゆっくりと こねるように回した。 加奈は、こういう状況で感じている自分が信じられなかった。 自分の下半身が、どんどん溢れていくのがわかった。 珠美は手を止めずに、耳元で囁いた。 「見つかってしまったんですよ。この前、ここへ社長が来ていたのを・・」 珠美の右手は、加奈の感じる部分を完全に捕らえている。 加奈は、声を押し殺そうと歯を食いしばっていたが、時折、声が漏れてしまう。 珠美は、愛撫しながら、耳元で囁きはじめた。 「オーナーが、社長を奥の部屋へ招こうとしてるらしいって、聞いてしまったんです。 でも・・私は、ただ1度だけ連れてきてしまっただけの人です、それはできないって、私は、オーナーに断ろうとした・・・。」 加奈の下半身から、卑猥な音がかすかに聞こえ出した。 加奈は仰け反り、その快感に必死で堪えた。 「・・・・ァァ・・ァ・・」 珠美の囁きと愛撫は続いた。 「その時知ったんです・・M企画の社長が、ここpoisonのオーナーだって事を。 社長とわかって、オーナーは呼ぼうとしていた事も・・ 断れば、どういう事になるか・・・ でも、オーナーに必死で頼んだ・・・ 私は社長が好き・・だから、必死で頼んだの、社長は関係ない、ヤメて下さいって。 そしたら、オーナーは「貴女と上月さんがここで愛し合うなら、許してあげてもいいわよ。」・・って それですむならって思った・・・。 社長・・・奥は絶対にダメ・・。 でも、嬉しいとも思ってしまったの・・。 だって・・私・・ 「また社長と愛し会えるなら、場所なんてどこでもかまわない・・・。」 珠美はそういうと、加奈のくちびるに吸い付いた。 ねっとり舌を絡ませ加奈の舌を探った。 愛撫する手は全く止まらない。 加奈は、少し分からない事もあるが、だいたいの経緯はわかった。 でも珠美の愛撫で、加奈はそこまで聞ける余裕などなかった。 もう抜け出せない・・・ それだけは、加奈にもわかった。 珠美は、加奈の服を全部剥ぎ取った。 白い乳房・・・柔らかな陰毛・・・ 珠美は、下半身に顔を埋め、その敏感な突起物を口に含んだ。 「アァァーンっ。」 敏感な突起の快感とともに、指が、2本、3本と、奥へグイグイ押し上げてくる。 珠美の舌は激しさを増す一方だった。 「あぁ・・・社長・・・。大好きです・・。」 加奈は、頭が真っ白になっていた。もうどうにでもなれば良かった。 珠美の激しい愛撫に、加奈は、果てた。
■12255 / inTopicNo.29) poison(22) □投稿者/ 雅 一般♪(27回)-(2005/08/22(Mon) 14:17:40) 「どうぞお二人様、こちらへ。」 先程案内してくれた女性が現れ、加奈と珠美は、奥の部屋へと向かった。 扉が開き、奥のルームへと二人は進んだ。 「堪える顔も、可愛いわね。」 オーナーは、ベットの女性の柔らかな乳房を弄りながら言った。 加奈は、何も答えなかった。 「貴女も、ここの会員になりなさい。」 「・・・・」 黙ったままの加奈を見て、珠美は答えた。 「オーナー。1度だけの約束じゃ・・・」 「ええ。そうよ。ネプチューンへはもういかさないわ。私は約束は必ず守る主義なの。」 「では、何故社長を会員に・・」 オーナーはニヤリと笑って言った。 「そうよ。でも、自分の意思なら話は別よ。」 オーナーは、ベットから身体を起こし、ベット脇にあるセンターテーブルの上にあるグラスの飲み物を口に含んだ。 そして、いきなり加奈の手を引き寄せ、キスをした。 「ダメっ・・」 珠美は、叫んだ。 でも、もう手遅れだった。 加奈の意識はどんどん、遠のいていく。 フフフ・・オーナーの不気味な笑顔がその時の記憶の最後だった。 どれくらい時間がたったのか・・・加奈は目を覚ました。 「目が覚めたようね。」 そこには、オーナーの姿があった。 隣には、裸で横たわる珠美の姿があった。 加奈は、絶句した。 (一体、あの後何が・・・) オーナーは笑みを浮かべ加奈の側へ寄り、そっと唇を重ねた。 「うぐっ・・」 いきなり加奈の口に、何かが大量に流し込まれた。 突然のことで、加奈はその何かを飲み込んでしまった。 (しまった・・) 加奈は、必死で吐き出そうとした。 そのとたん、身体が宙に浮いたような感触になった。 身体の芯が何だかモゾモゾと、そして熱くなっていく。 オーナーの動きが、段々スローモーション見える。 「こっ、これは・・・」 「ゆっくり気持ちよくなってくるわよ。フフ」 加奈の焦点は定まらない。 そのまま、加奈はベットへ押し倒された。 「さ、楽しみましょう。加奈」 加奈は、着ていた洋服をゆっくり脱がされていく。 「あっっ・・」 加奈は声をあげた。 衣服がすれるだけで、身体中が敏感になっている。 「ウフフ。心配ないわよ・・・でも、初めてだからよく効いているわね」 オーナーの中指が、加奈の乳首を軽くつまんだ。 身体が、変だ・・。火照る・・・感じる。 我慢できない・・。 加奈の下半身から、ダラダラと流れていく愛液・・ オーナーは、紅いロープを手に取り、慣れた手つきで縛りあげた。 乳房に食い込んでいくロープ開脚させられ、あらわになった花びら、そしてほとばしる愛液・・ 「光ってとっても綺麗だわ・・。もう充血して、こんなになってるわよ」 紅いロープによって、自由を奪われ、足を閉じることさえできなくなった加奈。 それは、初めての感触だった。 頭で拒否しても、身体はついてきてくれなかった。 どんどん、感じていく加奈の全身は、激しくオーナーを求めた。 「いい子ね。」 感じれば感じるほど、食い込んだロープが身体にますます食い込んでくる。 うっ血し、赤黒くなっていく手首・・。 オーナーは、加奈のあらわになった光る部分にそっと舌を這わせた。 加奈は、仰け反り大声をあげた。 「じゃ、ここはどうかしら?」 オーナーは、濃いピンクに色づいた花びらの中心を口に含んだ。 「あぁぁっぁー」 加奈は、悲鳴のような大声をあげた。 オーナーは、その表情を見て、楽しんでいる。 「可愛いわ・・・加奈。」 ますます激しくなる舌に、加奈は気を失った。
■12268 / inTopicNo.30) poison(23) □投稿者/ 雅 一般♪(28回)-(2005/08/22(Mon) 20:34:26) 「ん・・・」 加奈は目を覚ました。 自宅の駐車場の車の中だった。 加奈は、はっと我に返った。 (確かさっきまで、あの洋館にいたはず・・) そうだ。珠美はどうなったんだろう。 加奈は、慌てて携帯電話を出し、珠美に電話をかけた。 「はい。もしもし。」 「珠ちゃん。無事だったのね。」 「社長?どうかされたのですか?言ってる事がわかりません。」 加奈の頭は混乱した。。。言ってる事がわからないって・・一体どういうこと? 「あの洋館で・・M企画の社長が・・・」 加奈は数時間前に起きたできごとを、珠美に話した。 珠美はクスクス笑いながら答えた。 「何寝ぼけてるんですか。」 「えっ?寝ぼけてるって・・・?」 加奈は、何がなんだかさっぱりわからない。 「きっと休みの後、仕事がかなり混んでましたから・・お疲れになったのですね。 ゆっくり休んでください。」 そう言って、珠美は電話を切った。 一体・・・どうなっているんだろう。夢だったとしたら、ここへ戻った記憶はない。 加奈は、とりあえず、珠美の声を確認したので、少し安心した。 身体が、だるい。 加奈は、家へ入るなり、服も脱がずにベットに入り眠りに落ちた。 加奈の腕には、縄の模様がうっすらと赤く浮き出ていた。 加奈に気づかれることなく、静かに夜は更けていった。
■12270 / inTopicNo.31) poison(24) □投稿者/ 雅 一般♪(29回)-(2005/08/22(Mon) 21:21:45) 次の日の朝、珍しく加奈は遅刻した。 朝、起き上がることができなかった。 「おはようございます。」 珠美はいつもの笑顔で、紅茶を持ってくる。 「社長。かなりお疲れのようですね。今日の予定は、日を変えておきましたから今日はゆっくりしてください。」 「ありがとう・・・」 加奈は気だるく、珠美を見た。まだ、身体がすっきりとしていなかった。 「ねぇ、珠ちゃん。夕べ私電話した話さ・・」 加奈は、もう一度確認したかった。珠美は笑っている。 (私、少し頭変になっちゃったのかな・・) 加奈は、それ以上聞くのを止めた。 珠美の後姿を見ていて、夕べ見た夢の珠美の妖しいほどの裸体を思い出した。 白い肌に食い込む紅い縄・・・。 縛られる事によって浮き出てくる、珠美の乳房・・。 加奈は、その頭での光景をかき消そうと、そそくさと仕事をはじめた。 夢ならば・・・それでいいんだ・・。 加奈は、急ぎの仕事だけをすませて、ソファで横になって、少し仮眠をとった。 珠美は、そっと自分の上着を加奈に着せ掛けた。 「・・・今何時?・・・・」 「ちょうど、10時すぎですよ。」 加奈は、6時間も眠ってしまっていた。 でも、身体も頭もすっきりして、元の身体に戻っている。 「ごめんね。珠ちゃん。ほっといて帰ってくれたら良かったのに。」 加奈は、申し訳なさそうに言った。 珠美は加奈の横たわるソファの側にきて笑いながら言った。 「寝顔見てるのも、結構いいものですね。」 加奈は、少し照れるように笑って目を閉じた。 「社長・・・」 珠美の唇が加奈のくちびるに触れた。 加奈は、拒むことも答えることもなく、そのまま目を閉じていた。 珠美は、加奈に覆いかぶさるように、そっと胸に顔をうずめた。 「もう、洋館には、いっちゃダメだよ。。」 加奈は、そういって、珠美をギュっと抱きしめた。 その夜、珠美と事務所のソファで抱き合った。 誰もいない静かな事務所で、二人は激しく求めあった。 初めに攻めたのは加奈だった。 脳裏にある、縛られた珠美の美しい姿が、さらに激しく加奈を燃えさせた。 珠美は、声を張り上げ、二人の汗はソファに滴り落ちた。 今度は、珠美が加奈を愛撫しにまわった。 加奈は、ハっとした。 初めてであるはずの、珠美からの愛撫・・・。夕べと同じ・・・。 やはり夢ではなかったと、加奈はその時確信した。 でも、その確信を珠美に伝えることはなかった。 あれで終わりなら・・それでいい・・・。 二人は愛撫しあった。二人の入り混じった汗と、愛液で一杯だった。 エクスタシーの頂点を二人で一緒に向かえた。
■12273 / inTopicNo.32) poison(25) □投稿者/ 雅 一般♪(30回)-(2005/08/22(Mon) 22:12:45) それから、週に1回は、珠美と一緒の時間を過ごすようになった。 尚は、最近前より忙しくなったのねと、少し拗ねているが、週に2回は泊まりに来て、加奈と一緒に過ごしていた。 その日も、尚は加奈の部屋へ泊まり支度をして、マンションに来ていた。 「いいにおいだね。ただいま。」 加奈は、玄関に向かえにでてきた尚に軽く頬にキスした。 尚は、恥ずかしそうキッチンに戻っていった。 シャワーを浴びて、出てくると、テーブルの上には尚お得意のペペロンティーノとバケット。 そして、シュワルツカッツの白を用意してくれていた。 値段もお手ごろのこの黒猫がモチーフになっているシュワルツカッツは加奈のお気に入りだった。 「はぁ・・。美味しい。。」 よく冷えた白ワインに、ペペロンティーノはとっても相性がいい。 美味しそうに食事する加奈を見て、尚はとっても嬉しそうだった。 「ねぇ。二股かける人ってどう思う?」 食事しながら、尚は言った。 加奈は、ヒヤっとした。 心当たりのある自分の事を言われているようなそんな気がした。 心の動揺を気づかれないように、加奈は答えた。 「さぁ・・。どうかな・・・。」 「会社の友達がさ、二股かけられてて、本人全く気づいてないのよねぇ」 「同じ会社の人なの?二股の相手」 「そうなのよ。そんなカッコよくもないのに手だけは早いのよねぇ。」 尚は、スパゲッティを頬張って、話を続けた。 「友達だからさ、その事言ってやろうかどうか、迷ってるのよ。加奈ならどうする?」 「んー。どうかな・・。」 「どうかな・・って、そいつが悪いと思わないの?可哀想って思うでしょ?」 加奈はワインを手にとった。 「確かに正当化はできないけどね。でもさ、本物なら、きっと残ると思うん だよね。」 「それ、どういう意味?」 尚は、不思議そうに加奈に尋ねた。 「今は、そいつもさ、どっちへの気持ちもそれぞれに本物かも知れないし、ただの遊びかも知れない。 でもね、ずっとそのままではないと思うよ。必ずどちらかの比重が大きくなる。 人間そこまで器用じゃないって思うんだけどね・・・・。」 尚は少し不服そうに、ふーんと言った。 「その友達は、不安そうなの?」 「全然。だから、腹が立つのよ。信じられないくらい幸せそう。」 尚は呆れ顔で答えた。 「ならさ、悩みの種をわざわざ尚が作る必要ないじゃん。」 「そら、そうかも知れないけど。。」 「気づかない方が幸せな事って、一杯あると思うよ。」 加奈は、自分の事を重ねて、尚に話していた。 「善悪だけで割り切れないことってあると思うからさ・・・。」
■12283 / inTopicNo.33) poison(26) □投稿者/ 雅 一般♪(31回)-(2005/08/23(Tue) 03:04:04) M企画に訪問する日が来た。 大きい取引先だけに、避けるわけにもいかない。 もう、終わったこと・・ そう思って、仕事としてM企画へ向かった。 社長室での打ち合わせ。 加奈は少し緊張していたが、社長は普通の笑顔を見せ、通常通り仕事の打ち合わせに入っていった。 社員の女性がコーヒーを出して部屋を出て行った。 ここなら安心だ。会社だから、社員の人もいる・・。 しかし、加奈の警戒心は完全には取れなかった。 無事に、打ち合わせも終わり、原稿を片付けた。 席を立とうとした時、加奈は軽いめまいを起こした。 「大丈夫?気分でも悪い?」 「いえ・・。軽いめまいです。ご心配なく。」 「貴女、顔色が悪いわよ。少し横になりなさい。」 そう言って社長は優しく、加奈をソファに横たえた。 「いえ。もう大丈夫ですから」 加奈は、身体を起こそうとした。力が入らない・・・ 社長は、デスクで、電話をかけていた。 「大事な打ち合わせだから、誰も通さないでちょうだい。あと電話もね。」 加奈は、必死で起き上がろうとした。 「もう、すっかり動けなくなったみたいね。」 社長は、洋館のオーナーの顔になっていた。 「お・さ・と・う」 オーナーはそう言って、加奈のくちびるに軽くキスをした。 そういえば、備え付けてあった・・・。コーヒー用の角砂糖。 今頃気づいても、もう手遅れだった。 加奈は、抵抗のしようもなかった。 終わっていなかったのだ・・。
■12285 / inTopicNo.34) poison(27) □投稿者/ 雅 一般♪(32回)-(2005/08/23(Tue) 04:49:44) 「貴女・・・気に入ったわ・・。」 オーナーは、加奈のシャツの上から、膨らんだ乳房をまさぐった。 「もう・・あれで終わりだったんじゃ・・」 加奈は朦朧とする意識の中でオーナーに尋ねた。 フフっとオーナーは、妖しい笑みを浮かべた。 「そのつもりだったわ。」 「なのに・・どうして・・」 「きっと、自分の意思でpoisonの会員になるって思ってたからよ・・ 身体がそう反応するはずだったわ。でも、貴女たちは戻ってこなかった。」 オーナーは加奈の髪を掻き揚げ、首筋に舌を這わせながら言った。 「あの子ね・・。私代わりになりますって身体を差し出したのよ。」 加奈は驚いた。 「でも、私が欲しくなったのは、貴女なのよ・・加奈・・」 オーナーはそっと乳首の先端を指で這わせた。 加奈の意識はどんどんと暗闇に落ちていく・・遠くでするオーナーの声・・ 「私の秘密とpoisonの関係を知った以上は、入ってもらうほかないのよ・・ かしこい貴女なら・・それくらい、わかるわよね。。」 その時だった。 いきなりドアがノックされ、部屋にスーツ姿の男と警官が数人入ってきた。 「ちょっと、ゆっくりお話をお聞かせ願いたいのですがねぇ。」 そのスーツ姿の男は、1枚の紙を散らつかせながら、オーナーに言った。 「麻薬法違反で逮捕する。」 オーナーの手に手錠がかけられた。 オーナーは黙ったまま、警官に連れられて部屋を出ていった。 部屋の外では、社員の人だかり、そして、ざわめきでいっぱいになった。 スーツの男は、加奈の側により、大きく加奈の肩を揺らせた。 ちょっと、君、大丈夫?しっかりしなさい。すぐに救急車の手配を・・・ 遠くの声に、加奈はうなずき、そのまま加奈は落ちていった。 加奈は、病室のベッドで目を覚ました。 あの後の記憶はないが、おそらく気を失って、そのまま病院に運ばれたのだろう。 「気がついたみたいね。気分は大丈夫?」 年配の看護婦が加奈に声をかけた。 その看護婦の話によると、飲まされたのは強い睡眠薬との話だった。 その後、回復した加奈は、警察に呼ばれ、事情徴集を受けた。 poisonの事は一切聞かれなかったし、加奈も何も言わなかった。 いつもと同じ朝だった。 M企画の社長が麻薬で逮捕されたらしいと、社内はその噂で持ちきりだった。 加奈も珠美も、その件のことには全く触れなかった。 加奈は、2,3日会社を休んで、心と身体を休めることにした。 尚には、何も言わずにいた。 ピンポーン 速達でーす。 加奈は、郵便を受け取った。差出人は、珠美からだった。 社長へ 私は、今回のpoisonのオーナー逮捕の件で、色々考えてみました。 社長が私を愛しく思って側にいてくれた時間をくれた事、本当に感謝しています。 きっとあの時、私を抱いてくれなかったら 私はあのままpoisonから抜けれなかった・・ poisonは、快楽を与えてはくれたけど、 好きな人に触れられる悦びを教えてはくれませんでした。 あんなに全身が感じて、抱かれて安心した気持ちになれたのは、 社長が、初めてでした。 それを社長は教えてくれた・・ 私、社長から卒業しようと思います。 きっと社長の大事な方も、私と同じように、社長の胸で安心してるはず・・・ このまま、もっと社長といれば、私はきっと 社長を完全に奪ってしまいたくなるでしょう・・・ だから、そうなる前に、 素敵な恋の思い出として、とっておきたいと思います。 そして環境を変えて、自分の本当に愛する人をみつけようと思います。 私を本当に愛してくれて、私も思いっきり愛せる本当の大事な人を・・・ 社長に会って話そうかと思ったけど、 会うと気持ちが揺らぐかもしれないし、また抱かれたいと思うかも知れない。 だから、手紙にしました。 本当に、出会えてよかった。 もしいつか、私を見かけたら、笑って微笑んでくださいね。 それまでに、愛する人を見つけておきますから。(笑) 大事な人を大切に・・・。 後日、辞表を送ります。 P.S この手紙は、読んだら捨てて下さい。 水野 珠美 加奈は、手紙を読み終えると、ゆっくりと煙草をふかして そして、灰皿の上で、手紙に火をつけた。 それから数ヶ月・・・ 尚に誘われて、芦屋の住宅街に新しくできたというレストランに向かった。 とても雰囲気のいい素敵なお店らしい。 尚のはちゃめちゃな道案内で、ようやく到着した。 「ここよ。ここ。」 加奈は、門の前で車を止めた。 そこには小さい看板がかけられてあった。 「poison」 加奈は、うっすらと微笑みを浮かべた。 大きく開かれている門へ二人を乗せた車は入っていった。
完