■二人
□ミズキ



それは1年前の丁度今頃、蒸し暑い初夏のある日。 「今日のテストもダメそうだよ〜私。」 「え!由香里も?私も、かなりヤバイよぅ」 そんな話をしながら、バイト先へ向かう2人。 「あ!明菜、雨降ってきたから急ご!」 「ホントだ!走れー」 ぽつりぽつりと降り出した雨は、次第に強くなっていった。 5分程でバイト先に着いた2人だが、 髪からも制服の裾からも雨水が滴り落ちる。 「まだ、40分もあるね〜」 「休憩室で休もうよ。髪も乾かさなきゃだし。」 休憩室には、従業員用のロッカーと小さなテーブルと椅子が置いてある。 この時間、バイト先のファミレスはお客の多い昼時で、休憩室で休む者は誰も居ない。 だから、2人は勤務時間よりも早く来て ここでダラダラと時間を過ごすのがいつもだった。 「はぁ・・・私、ちょっと眠たくなっちゃた・・・。」 「あ!昨日遅くまでテスト勉強してたんじゃないの?!」 「違う違う・・・ごめん、ちょい寝るわ・・・」 明菜は大きな欠伸をすると、テーブルに突っ伏して眠り始めていた。 「髪を乾かすんじゃなかったっけぇ?もう・・・」 由香里は少々不満そうに、自分の髪をブラシでとかした。 ふと、ブラシを持つ手が止まる。 すやすやと眠る明菜の栗色の髪から、雫が頬へと流れ落ちる。 由香里は自分のタオルでそっとそれを拭った。 「ん・・・」 明菜の声に、由香里の鼓動は高まった。 自分でも何故こんなにドキドキしているのかはわからない。 ただ、そこで眠る明菜に言い様のない愛おしさを感じていた。 明菜の頬に指で触れてみる。 雨に打たれたせいか、少しひんやりとしている。 由香里は吸い寄せられるように、 明菜の頬へ自分の顔を近づけるとそっとキスをした。 明菜の髪の香が由香里の鼓動を、いっそう速くする。 「シュウ・・・・」 明菜が彼の名前を呟く。 その瞬間、由香里の中で抑えられていた感情が爆発した。 由香里は明菜の背後に廻り、勢いよく抱きしめた。 「んぇ?!何!!」 「明菜・・・」 「なんだ、由香里かぁ・・・びっくりするじゃん!もうっ」 目を覚ました明菜は、くすぐったそうに笑っている。 由香里は、明菜の首筋に唇を這わせた。 「ひゃぁっ!」 「由香里ぃっ!」 そう言って振り向いた明菜を、テーブルの上に無理やり押し倒す。 「えぇ?!」 起き上がろうとする明菜を押さえつけ、制服のボタンに手をかけた。 「ちょっ・・・由香・・・んんっ!」 由香里は明菜の唇を自分の唇で塞いだ。 今まで何度もキスを経験してきたが、 同性とキスをするのは初めてだった。 男の子とは比べ物にならないほど柔らかく小さな唇。 明菜は堅く唇を結び、片手で由香里の肩を叩く。 制服のボタンを外し、肌蹴た白い胸元に由香里は顔を近づける。 「由香里・・・?」 さっきまでとは違う細く震える声。 明菜の下着をずらし、露になった乳首に唇を這わす。 「ねぇ・・・やめて・・・」 明菜の訴えに耳を貸そうともせずに、乳房を揉み続ける。 そして、再び乳首を舌で刺激し、厭らしい音が部屋中に響いた。 「由香里・・・お願い・・・」 そのかすれるような声に、由香里は唇を離し、小さく 「ごめん・・・」 と、呟いた。 由香里の涙が明菜の頬に落ちる。 そこに、もう一滴の涙が合わさった。 明菜の涙だった。 「由香里・・・」 明菜は由香里をぎゅっと抱きしめ、そっとキスをした。 「私ね、由香里のこと好きだよ。恋愛感情とか友情とか関係なく好き。  由香里がそんなに私のこと想っててくれてたなんて気が付かなかったよ・・・ごめんね。  今のは確かにビックリしたけど、由香里の正直な気持ちを聞かせて・・・。」 「明菜・・・ごめんね・・・。  私も、明菜のこと大好きだよ。  でも、彼のことも好き。  自分がわかんなくなっちゃったの・・・。  ただ、さっき明菜が寝言で彼の名前呼んだとき、すごく嫉妬した。  奪ってやりたいって思った。  可笑しいでしょ?私・・・・。」 そう言って泣き崩れる由香里の髪を、そっと撫でる。 「可笑しくなんてないよ。  みんな言わないだけで、きっとそういう時ってあるんだよ・・・。  だから、可笑しくなんかないよ。  私は、由香里の全部を受け止めたいって思うよ。  私のことを好きって思う由香里も受け止められるよ。」 そう言って明菜は優しく微笑んだ。 「明菜・・・・」 由香里はもう一度明菜をそっとテーブルの上に寝かせると、優しくキスをした。 涙の味の長い長いキス。
最近、小説に興味を持ち始めたので書いてみました。 だからフィクションなんですけど、全然エロくないです(;´▽`A`` 次は、エロエロな物語も書いてみようと思ってます。
完 面白かったらクリックしてね♪ Back PC版|携帯版