■ショー
□omame


 後ろ手に手錠をかけられる。  全裸にオムツをはかされて。  手錠はロープで柱につながれる。  ガムテープを口に。  そして……  強力な洗濯ばさみで鼻を……  息が出来ない…… 「五分、我慢しなさい」  苦しい、マジで苦しい!  唾液でガムテープを剥がそうともがく。  少しずつ剥がれてくる。  でも、絶対間に合わない。  助けて、助けて、と頭を振り乱す。 「まだ一分よ」  五分なんて我慢できるわけがない!  苦しい、本当に苦しい!  ズンと頭を殴られたような衝撃!  脳の酸素が切れかけてる!  ズン、ズン、ズンと来る!  死ぬ!  本当に死んじゃう! 「やっと二分!」  苦しいの!  本当に苦しいの!  指先が痺れてくる……  失禁が始まる……  脱糞も……  オムツの中に全てを垂れ流して……  死ぬ……  ……
 あれは四日前だった。  有香に女性限定の秘密のショーに連れて行かれた。  それこそ地下に潜った劇場で、人いきれがムンムンする中で、そのショーは行われた。  前座のストリップにはあくびが出た。  でも、メインの舞台になって、大の字のハリツケと、目の覚めるような美女が出てきて、私は目を覚ました。  ガウンが解かれると、全裸の美女は恥ずかしげに胸と下を隠した。  それを無理矢理、MCの、これもまたタイプの違う美女が、まず右手首を革のベルトでハリツケに固定した。  信じられないほど美しい胸が露わになった。  次には左手を……  よく手入れされたアンダーヘア……  脚を無理矢理開かされ、大の字になった。  初めて見る、全裸のハリツケに、私は息を飲み、有香の手を握った。 「許して」と美女は言った。  泣いていた。 「私、やっぱり出来ません」 「何を言うの」とMCは冷たく言った。 「そんなこと言うと、本当に殺すわよ」 「い、嫌です、でも出来ません!」 「わかったわ」 「許してもらえるんですか?」 「違う。そんなことが二度と言えないように、今日は五分我慢してもらうわ」  ギャァ〜〜と美女が叫んだ。 「嫌です! 絶対に嫌! 許して下さい、許してくださぁいいぃ〜〜」  MCは黙って助手からガムテープを受け取り、美女の髪を掴み、口に貼り付けた。  美女は静かに頭を振り続けた。  それをさらに押さえつけ、MCは美女の鼻を洗濯ばさみで塞いだ。  不気味な沈黙の中、髪を振り乱す全裸の美女のかすかな風音だけが伝わってきた。  私は有香の手をギュッと握った。  有香も握り返してきた。 「まだ一分よ」  MCが言った。  不気味な沈黙の中、美女は次第にぐったりと動かなくなった。  そして突然、異常な痙攣に全身が震え、失禁が始まった。  脱糞も。  まだ四分も経っていない。  MCは美女の鼻から洗濯ばさみを外し、ガムテープを剥がすと、その口にキスした。  人工呼吸なのだろうけれど、その様子は恋人を愛おしむようにしか見えなかった。  キスの途中でも排泄は続き、床に用意された透明なボールに嫌らしい音を立てて落ち続けた。  美女の目が開いた。  キスから解放され、そして惨状に気付くと、号泣を始めた。  自分の意思では止まらないらしく、排泄は長く長く続いた。  その間、美女は顔をうつむけて泣き続けた。 「みっともない」とMCは言った。 「いい歳してお漏らしなんて。さあ、皆さんに謝りなさい。みっともないものをお見せしてすみませんって」  美女は泣きじゃくるだけで、何も言えなかった。 「言えなかったら、もう一回、息を止めるわよ」  美女はギャァ〜〜と髪を振り乱し、「申し訳ありませんでした、こんなものをお見せして、申し訳ありませんでした」  その間も断続的に排泄は続き、会場には異臭が満ちた。 「ああ、何て臭いなの」 「ごめん、なさい、申し訳、ありません……」 「しばらくあなた、このまま晒しておくわ。みなさんに観ていただきなさい」  それから二十分、美女は晒し者になり、屈辱と羞恥の限りを味わった。  と思ったけれど、これは始まりだった。  MCは電動バイブを持って現れた。 「死と性は隣り合わせなんです。  死の間際まで行った人間の味わうエクスタシーがどれほど深く、激しいか、とくとご覧下さい。  この女、これが味わいたくて、忘れられなくて、このショーに出てるんですよ。そうでしょ」  美女は恥ずかしげに頷いた。 「欲しいんでしょ、これが」  MCはそれを美女の頬に当てた。 「欲しいなら、下さいって言うのよ」 「欲しいです。下さい」 「素直ね。ご褒美よ」  MCはそう言って、美女のそこにバイブを当てた。  ギャ〜〜ッと、断末魔のような叫び声と共に、美女はハリツケのままのけぞり、髪を振り乱した。 「駄目〜〜〜ッ!」と叫ぶ声は鋭く、それでも腰を快楽に振り続けた。  そして、ガクンと力尽き、そしてまた叫び始めた。  それが何度も何度も、何度も何度も続き、失禁を繰り返し、限界を訴える叫び声と共に失神した。  失神したまま、助手たちからハリツケを解かれ、退場した。  舞台には排泄物だけが残った。  ショーは終わった。  私も有香も、異常に興奮した。  その日は普通にセックスしたけれど、あのショーのことが私たちの頭からは消えなかった。  それで、手錠やロープを買い、真似をしてみたのだった。
 目を開けると、知らない天井だった。  起きようとしても身体が動かない。  知らない女性が「起きましたか?」と聞いてきた。 「はい、ここは?」 「先生呼んできますね」  何があったのだろう。  有香の部屋で、呼吸を止めるプレイをやって気を失った。  そこまでは憶えている。  それから……  ドアが開き、そちらを観て、あまりの驚きに心臓が止まりそうになった。  あの女性!  ショーのMCの女性が入って来たのだった。  そして私の顔を覗き込み、 「バカなことしたものね。もう少しで死ぬところだったのよ。  今でも身体は麻痺して動かないはずよ。少しずつ回復していくとは思うけどね」 「私……」 「あんな危険なプレイは、私みたいな専門家じゃなきゃ無理なの。  あなた、人工呼吸に失敗して本当に心臓も止まって、救急車で運ばれてきたのよ。  状況を聞いて、ピンと来たの。それで私が担当しますって」 「有香は……?」 「あなたの彼女なの?」 「はい」 「帰したわ。心配ないからって」 「あの子も観たの? ショー」 「はい」 「仕方ないわね。じゃ、あの子も舐めたんだ、あなたのアソコ」  いきなりのことに絶句してしまう。  あの子も、ってなに?  も、って。 「あなたに尿道カテーテル入れる前、たっぷり舐めさせてもらったわ。処女のアソコ。  久しぶりに味わわせてもらった。ごちそうさま。さて……」  女性は私の布団をめくり上げた。  そして私のそこに手を……  グッ……  感じる!  感じすぎる!  声が、漏れる。  クリトリスが、まるで野球のボールのような大きさになって、それを手で強く撫でさすられるような激烈な感覚。  ウァアァアアアアア、アアァアア……  イク!  イッたのに、感覚は続く!  ボールのようなクリを、今度は口に含んで舐め回されるような、優しく優しく、けれども強く激しい刺激!  またイク!  それでもまだイク!  イクイクイク!  イッたきりになる!  死ぬ、このままでは本当に死ぬ!  逃げなきゃ。  でも、身体が動かない。  全身が麻痺しているのに、クリトリスだけは巨大化して、この感覚を舐めるように味わってる!  イイ、あまりにもイイ!  良すぎて恐ろしい!  のけぞった時に時計が見えた。  長針がまるで秒針のように動いている。  何これ!  意識が飛び、ふたたび起きたとき、女性は言った。 「あなた、8時間もイキつづけたのよ。  最初の1時間は私がイカしてあげたけど、あと七時間は自分だけでイキ続けたの。  それから10時間寝てた。身体も、もう動くはずよ。起きてみて」  私は手を突いて身体を起こした。 「カテーテル、抜いてあげる。脚を開いて」  死ぬほど恥ずかしかったけれど、仕方ない。  ヌルッと抜けるのが、軽い痛みでわかった。 「可愛い。今度は舐めて上げるね」 「そ、そんな……」  けれどあらがえるようなものではなかった。  この間のような激烈なものではないけど、逃れようのない、柔らかな、柔らかな、快楽!  イイ、これもイイ!  またイク!  キリがない。  どうしたの?  その問いに答えるように女性が言った。 「これが死ぬ間際まで行ったあなたへのご褒美なの。  死を味わったものにだけ訪れる極上のエクスタシーよ。  明日になったらもう消えてしまうわ。  今だけのこの極上の快楽を存分に味わってね」  クリトリスはやっぱり、私の頭の中でドンドン膨らんで、ピンポン球くらいになり、女性の口の中でもてあそばれるのだった。  イク、イク、イク!  イキっぱなしになる!
 有香に連れられて退院した。  その夜、いつものようにセックスした。  感じない。  有香の舌にも、指にも……  生まれて初めて、感じたふり、イッタふりをした。  有香のこともイカせてあげようと、触ろうとしたその手を有香は撥ねのけた。 「イッタふり、したでしょ」  返事できなかった。  有香は背中を向けてシクシクと泣き始めた。  そんな有香を私は優しく抱いた。  手を握った。  有香も握りかえしてきた。  私たちはもう、後戻りの出来ないところに来てしまったのだ。  死と隣り合わせの快楽を私は知ってしまった。  そのことを有香も知ってしまった。 「先生のところに行く?」  私は有香に聞いた。 「うん」  有香は泣きながら答え、こちらを向いて、私の胸で泣きじゃくった。
「あなたたち二人、今晩のショーに出てみない?」  と、私たちの相談を聴いた先生はこともなげに言った。  あのショーに? 「もっと安全にあのエクスタシーが味わえるようにしてあげる。  あなたたち二人だったら、お客さんも満足してくれるはず。どう?」  驚きのあまり凍り付いた私を尻目に、有香は、 「やります。やらせてください」  とハッキリ答えた。 「どんな辛いことでも耐えて見せます」 「本当? 死んだ方がましってくらい、恥ずかしくて、辛いわよ」 「大丈夫です」  そんな、勝手に…… 「じゃ、用意しましょう」  私たちは大型のバンに乗せられ、会場へと向かった。  そしてスタッフさんたちと一緒にシャワーを浴び、丁寧に化粧を施され、白い綿のガウンを着せられ、ついに舞台に立った。  ライトに煌々と照らされ、客席は見えない。  何が起こっているのかもよく分からない。  ただ、ガウンが剥がされて、自分が全裸であることに気付き、本能的に胸と下を隠した。  ものすごい羞恥心が涌いてきて、 「やっぱり駄目です」とつぶやいた。  けれども、スタッフさんたちは私の手首を縛り、天井からの鎖に拘束した。  鎖は上がり、私は腕を頭の上に伸ばした状態になった。  何も隠しようのない全裸だ。  ここでガムテープが……  と思ったら、スタッフさんたちはしゃがみ込み、私の後ろから……  グッ!  アナルに指が……  揉み込まれる。  ゆるゆると……  別の堅いものが……  ウッ!  奥で膨らむ…… 「今入ったのは、アナルバルーンという器具です。  直腸でリンゴの大きさにまで膨らんでいます。  これだけでも相当の便意が起こりますが、絶対に自力では出せません。さらにここに……」  そう言って、チューブに点滴のようなものをつないだ。 「浣腸液を500ミリリットル注入します。  死ぬほどの便意が起きますが、絶対に出せません」  まるで音を立てるかのような勢いで、私の中にその薬液が入って来た。 「駄目、駄目、駄目です。こんなこときいてません!」  同じようなことを有香も叫んでいた。  恐ろしい薬液が全部私の中に消え、点滴が外された。  もう、トイレに行くことしか考えられなかった。 「ここで、100回、鞭打ちます」  最初の一撃が!  お尻に!  火が、火がついたかのように痛い!  声も出ない。 「さあ、あと99回よ。我慢できるかな?」  我慢できない!  絶対に無理! 「さあ、お尻からみっともないものを出したければ、もっと鞭打ってっておねだりするのよ」 「もっと、もっと打って下さい!」  有香が叫んだ。 「そうよ、そうやっておねだりするの、3、4、5」  続けて有香は打たれ、絹を裂くような声で叫んだ。  私も耐えられない。  もう早く出すことしか考えられない。 「お願いです、早く鞭打って下さい」 「よく言えたわ、2、3、4、5、6」  火のような痛みが背中からふくらはぎまで!  あまりの痛みに漏れる!  事前に飲まされた4リットルものイオン飲料が、身体から迸る!  会場が爆笑に包まれる。  目が慣れてくると、女達の顔、顔、顔!  好奇の目、目、目!  それが涙でかすむ!  次々と打たれる! 「さあ、おねだりしなさい! おしりからみっともないものを出したいんでしょ!」 「打って下さい! もっと、もっと!」  それでも身体は本能的に鞭を避け、へっぴり腰になる。  天井に釣られた鎖に拘束された全裸の女が、鞭を避けてつんのめる様は浅ましく、劇場の爆笑を誘うのだった。  しかも前からだらしなく漏らしながら! 「さあ、もっと、おねだりしなさい!」 「もっと、もっと、打って下さい! これ以上、耐えられません!」  それでも鞭の数はゆっくりゆっくりとしか進まず、  なんとか100に達したとき、私たちは立っているのがやっとの状態だった。  そこでバルーンの空気が抜かれた。  私たちは同時に叫んだ。  便意からの解放!  脳が痺れるほどの快楽だった。  そしてスタッフさんは手にローションを取り、私のそこへ!  一瞬だった!  一瞬で私はイッた。  イキ続けた。 「もう手を触れなくても、この子は一時間はイキ続けますよ」  この間と同じ、風船ほどに膨らんだクリを、  今度は10人ほどの美少女が手で、舌で、唇でもてあそんでいるのだった。  絶叫、絶叫、絶叫! 「浣腸と鞭という、内と外からの苦しみから解放されて、脳が極度の悦びを味わってるんです。  手を触れなくても、ああやって、自分で太ももを擦り合わせるだけでイキ続けます。  これは究極のオナニーなんですよ」  スタッフさんの解説に会場がどよめく。  とにかく、イイ!  前から後ろから噴出しながら自分で自分を辱め……  イッてイッてイキまくる!  その様を何十人もの女に観られる……  観察される!  屈辱、恥辱、あまりのことに脳が麻痺して、さらに脚を擦り合わせる!  後ろからは固形物も出てくる。  ボドボドと落ちる。  会場の悲鳴!  それがまたイイ!  辱めて!  もっと、もっと!  イキながら気を失った私をスタッフさんはさらに鞭打つのだった。 「気絶は許さない。もっとイキなさい」  言われるまでもなく、私はさらに浅ましく腰を振りながらイキ続けた。
 休憩を挟んだ次のショーはさらに過酷だった。  中世のヨーロッパで行われたというノコギリ挽きを再現された。  私たちは頭を下に、脚を広げて拘束された。  Yの字になって。  そこをノコギリで挽けば、性器から切り裂いていく本物の死刑だ。  もちろん、そんなことはしない。  本物のノコギリも用意されるけれど、それは恐怖を与えるだけ。  実際にはノコギリの歯は透明な分厚いゴムで覆われている。  たっぷりとローションが塗られ、ついにそれが……  ヒィイイイ〜  と隣で声が上がる。  有香がまず挽かれた!  私にも来る!  来た!  妖しい声が出る!  味わったことのない、異様な快楽!  逆さ吊りにされた脚がビクビク震え、脊髄に電撃が走る!  もう一度挽かれる!  耐えられない!  ギャァアァアアア、アアあぁ……  往復される!  何度も何度も!  イケない!  イクような種類の快楽じゃない!  さっき、モジモジとした快楽でイキ続けたそこは、異様に敏感になっている。  そこをさらに延々と、一メートル近いゴムのノコギリで挽かれる!  ゴムのギザギザがクリを次々と刺激する!  往復のギザギザが延々とクリを挽く!  終わることのない火のような快楽!  焼ける!  燃える! 「もう駄目! 死んじゃう! 本当に……」 「まだ口がきけるのね。それじゃ……」  スタッフさんはニヤリと笑い、挽く速度を速めた。  背中がのけぞる!  会場からの冷笑の声が上がる!  ノコギリで挽かれながら快楽の声を上げる全裸の女……  客観的に観て、これほど浅ましい光景があるだろうか。  そう思うと脳が沸騰し、イキそうになる。  けれどイケない!  刺激が強すぎて、イクどころじゃない!  けれど、けれど…… 「イク時はイクって叫びなさいよ」 「はい、はい、イキます、イキます、イクぅうううぅう!」  身体がビクンビクンとえびぞりになる。  隣からも絶頂を知らせる有香の声。 「同時にイッタわね」  これまでとは次元の違うイキ方だった。
 休憩時間に飲まされた二リットルのイオン飲料は体内を通って、羞恥の源泉から噴出した。  Yの字の股から溢れ、お腹を流れ、胸の谷間を抜け、私の頬の下に生ぬるい池を作った。  その池の中で私は溺れた。  ノコギリ挽きの快楽に溺れた。  叫びながら有香を観ると、有香もまた、羞恥の池の中でもがいていた。  しかも有香は今日生理で、その血もまた池の水に混じっていた。  血の池で髪を頬や額に張り付かせ、  その髪を振り乱してバチャバチャ水音を立てながら叫び狂う、  有香のその凄惨さは極まりなかった。  その姿は何よりのオカズとなり、私もまた、羞恥の池で叫び狂った。  もう何も考えられない。  また漏れる。  重力に逆らって漏れたそれが、重力に従って流れてくる。  性器をノコギリ挽きされながら、イクなどという生やさしいものじゃない、  絶頂の上の絶頂を味わわされながら、同じ責めに遭っている恋人の凄艶な姿に興奮し、  どうしようもない快感に全身を震わせながら、漏らす。  有香の池と私の池が繋がるのが見える。  池が一つになる。  その池で二人の女が髪を振り乱して快楽を貪る!  責めは容赦なく続き、どうしようもなく腰も動き、ノコギリを求めて動き、叫ぶしかない!  永遠に続くかと思われたノコギリ挽きは唐突に終わった。 「今度は中でイッて貰うわ」  スタッフさんたちが私たちの拘束を解いた。  そしてそこには木馬が用意されていた。  用途は一目瞭然だった。  木馬にやや斜めに取り付けられた二本の人工ペ●スは、  スタッフさんたちの手の中のコントローラーで位置と長さを自在に変えるのだった。 「さあ、自分たちで跨がって」  これまでとは違う種類の羞恥を感じながら、私はそれに跨がり、屹立するそれを自分に入れた。  有香も同じようにすると、ちょうど抱き合える位置なのだった。  羞恥の水や血にまみれた私たちは、なぜか悦びに震えて抱き合った。  キスした。  私たちの中のそれが動き始めた。
 と同時に、木馬は高さを増し、宙に浮いた足首が革の枷に拘束された。  体重の全てが人工ペ●スに預けられた。  私たちは抱き合い、互いの唇と舌を貪りながら、体内でうごめくモノの感触を楽しんでいた。  まだ楽しむ余裕があった。  スタッフさんは手元のペ●スを示した。  それは、現実ならばありえない、  蛇のような自在な動きでとぐろを巻き、  その先端から透明なローションを噴き出しながら妖しく妖しくうごめくのだった。 「こうして子宮口を柔らかく徹底的に揉み込みます。  この快楽に女がどこまで耐えられるのか、とくとご覧下さい」  始まった!  最初は普通のピストン運動だった。  たぶん、普通の男とのセックスでもこんな感じなのだろう。  私はまるで有香からされているかのような気持ちでその感触を楽しんだ。  有香を抱きしめた。  有香も抱きしめてきた。  次第にピストン運動が激しくなり、キスしながら味わうのは無理な快楽になった。  熱い!  身体の中が熱い!  有香とお互いをディルドゥで犯し合うのとはまるで違う、悦び!  声が出る!  クリとはまた違う悦び!  身体の奥底からの!  私たちは叫びながら抱き合った。  強く、強く。  そして、ついに来た。  身体の中でそれがとぐろを巻くのがわかる。  有香もわかるのだろう、お互いに一瞬息を飲む。  来た!  恐ろしい、恐ろしい、快感!  声も出せない!  ただ、のけぞる。  グググ……  そして、  ギャァアァアアァアアァアアァ……  二人して叫ぶ。  あまりのことに。  子宮そのものが揉まれ、絞られる、恐ろしい快楽に、ただ叫ぶ。  有香の絶叫に、耳がつぶれそうになる。  同じくらい私も叫び、有香の耳をつぶす。  もう、もう、何も考えられない。  目の前が真っ白になる!  ただ、ただ、叫びながら有香を抱きしめる。  有香もまた、叫びながら私を抱きしめる。  拘束された足首が震える。  抱きしめ合っていないと、えびぞりにのけぞってひどい状態になる。  必死に、この地獄のような快楽に耐える!  体内から来る地獄のような快楽! 「ここで、クリトリスも刺激します」  そこに当たった木馬の部分が微妙に振動し始めた。  クリが、クリが……  ノコギリ挽きされ、限界まで膨らんだそこが……  さらに激しく刺激され……  私たちは同時に、 「もう駄目ぇええぇええ〜」  と叫んだ。  叫ばずにはいられない!  内と外から、限界を遙かに超えた悦び!  内では子宮口が、とぐろを巻いた蛇にもてあそばれ、外ではクリがバイブで責め立てられ……  現実にはありえない快楽が……  限界を、限界を本当に、遙かに超えた……  悦び!  悦び、悦び、悦び!  苦痛と、死と、紙一重の、絶頂を越えた、悦び!  私たちは抱き合いながら、それを舐めるように味わうのだった。
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