■M性感、憬れの果てに
□omame


 M性感というのに憧れていた。  自分がマゾ男で、サディストの美女にオモチャにされる。  快楽で責め抜かれる。  特に、寸止め地獄を思うとアソコがジュンとなる。  イキそうになると、寸前で止められる!  それを繰り返され、精液ではない何かがドロドロと溢れだす。  それでもイケない。  縛られて自分でイクことの出来ないマゾ男はひたすら哀願するしかない。 「イカせてください、イカせてください」  ゾクッとする。  自分で寸止めを試してみた。  もうたっぷりと蜜を湛えた池に指を浸し、敏感な芽を……  イイ、イイ、と、まるでマゾ男のように喘いでみる。  ふと、指を止める。  そして「お願いします、イカせてください」と口に出してみる。  脳が痺れ、それだけでイッてしまう。  だめだ……  上手く行かない。  もっと、もっと、焦らし、焦らされ、泣くほどにならなきゃ。  もう一度……  こんなことが一年くらい続き、やっぱり駄目なことが身にしみて分かった。  私はオナニーを繰り返しながら、ネットの風俗サイトでM性感の記事を貪るように読んだ。  そして見つけてしまった…… 「女の子もOKだよ。優しく虐めて上げるね」  の文字。  しかも写真を見る限り、恐ろしいほどの美少女だ。 「あい 十八歳」  私はおそるおそる電話をかけ、あいちゃんを予約した。  よくわからないから、六十分全サービスてんこ盛りコースにした。  三万五千円。  高い方だと思う。  私はドキドキしながら待ち合わせのコンビニに急いだ。
 あいちゃんは写真と同じ、濃いめの茶髪のロングをサッと振って、 「こんにちは! あいです!」と頭を下げた。 「はるかです」とあいさつを返した。  とても顔を見てはいられない。  恥ずかしい。  こんな美少女と、これから…… 「じゃ、指定のホテルに行きましょうね。ホテルの部屋に入ってから料金が発生します」 「はい」と返事を返すのがやっとだった。  あいちゃんは私の肘に手を回し、胸を預けてきた。  ぷに〜っとした乳房が私の二の腕に当たる。 「こっちです」と交差点の角を曲がるとき、その乳房が揺れた。  もうドキドキして、どこをどう歩いているのかわからない。 「こういうの、初めてですか?」 「はい、すみません」 「初めての経験で、私を選んでくれて、ありがとう!」  まるで声優のような声だった。 「私、声優になりたいんです」 「やっぱり、そう?」 「でも家はそんなにお金があるわけじゃなくて、だから……」 「そうなの」 「でも、この仕事は好きですよ。お客様に喜んでもらえるし、 特に、はるかさんみたいな女の人が喜んでくれるのが大好きなんです」 「そう、なんだ」 「今日はたっぷり楽しみましょうね。ここがホテルです」  外観は普通のラブホだ。 「ここらでは、ここだけなんです。完全SM仕様のホテル」  私がホテル代の前金を支払うと、あいちゃんは慣れたやり方で私をエレベーターに誘った。 「本当はシャワーは一人で浴びてもらうんですけど、今日は私もサービスしちゃいます。一緒にシャワー浴びましょうね」  頭の中が真っ白になった。
 部屋は想像していたとおり、おどろおどろしい調度だらけだった。  部屋の真ん中にX字型の拘束具があり、しかもその下に便器がしつらえてあった。  便器の背もたれと足下にも拘束具があった。  ベッドにももちろん。  飾りだろうけど、鞭が何本もガラスケースに入って壁に掛けられてある。  電動木馬には恐ろしげな電動ペニスが取り付けられている。  どれも、どれも、ネットのサイトで観てきたのと同じ。  でも、現物を見るのは初めて。 「どれか、試したことのあるもの、ありますか?」 「ありません!」  つい、強い口調で返してしまった。 「今日はどれも少しずつ試してみましょうね。気に入ったプレイを見つけて下さいね」  あいちゃんはもう下着姿になっていた。  若い、細い、美しい肢体!  眩しい!  ブラジャーを外す!  パンティーも!  淡い草むら! 「さ、はるかさんも……」  そう言って、私の首に手を回す。  キスされる……  待って、口紅が……  そのままベッドに押し倒される。  貪るようにキスされる。  服のまま、全裸の美少女に……  あいちゃんの手が……  私のパンティの中に……  パンティが脱がされる……  恥ずかしい……  それでも腰を浮かし、膝を上げて手伝う。 「寸止め地獄、ご希望でしたよね」  メールで知らせておいた。 「存分に味わっていただきます。それでは序の口、ということで、最初の一回はイカせてあげます」  あいちゃんは自分の胸を見せつけるように起き上がり、私の……  すごい!  何これ!  イイ、イイ、すごくイイ!  信じられない!  どこをどうされているのか全然分からない!  イイ、イイ、イイ! 「イキます、イキます、イキます!」  イッた。  けれど刺激はゆるゆると続く。  また来た!  もう絶頂を声にして訴えることも出来ない。  イッて、イッて、イキまくる。  イキ狂う!  その絶頂で、指を止められた。  胸のドキドキが止まらない。 「さ、シャワー浴びましょ」  あいちゃんはベッドを降りた。  お尻も美しかった。
「先にバスルームに入ってますね」  私は柄にもないワンピースをハンガーに掛け、下着姿になり、全裸になった。  このままバスルームに入るんだろうか?  私は急に恥ずかしくなり、そこにあったバスタオルで身体を巻いた。  それで入って行くと、 「駄目ですよ。全部を見せて下さい」  あいちゃんは優しく言い、私のタオルを脱がせた。  恥ずかしい……  手で胸と下を隠す。 「ねえ」とあいちゃんはコケティッシュに言った。 「私のここ、洗ってもらえませんか?」  そう言って、M字開脚して草むらを指さした。 「後で舐めてもらうんで」  脳が、痺れた。  私はほとんどイキそうになりながら、ボディシャンプーの泡を手に取り、あいちゃんのそこを……  初めて触る女の子の……  私のより襞が小さい……  泡を流すと…… 「後でたっぷり見せてあげますよ」  あいちゃんは見透かしたように言い、そのまま四つん這いになった。  あまりの光景に私の全身は固まった。 「お尻も洗って下さい」  そう言って、あいちゃんはお尻を丸く振るのだった。  私はたまらずお尻にむしゃぶりつき、可愛いアナルにキスをした。 「駄目ですよ。それは最後の最後のご褒美です。今はちゃんと洗って下さい」  私は言われたとおりにした。 「つぎははるかさんの番ですよ」  そう言って、あいちゃんは泡を手に取った。 「私の時と同じ格好してください」  そんな! 「早く!」  仕方なく…… 「はるかさんのここ、可愛い。あとでたっぷり舐めてあげますよ」  そう言って、泡が……  そしてあいちゃんと同じように四つん這いになって全てをさらけ出した。 「さあ、行きましょうか。夢のような時間を過ごさせてあげますよ」  私の膝は期待に震えた。
 私がバスルームを出ると、あいちゃんはすでにレザーの女王コスチュームをまとっていた。  目はキリリと引き締まり、女王のオーラ全開だった。 「何を着てるの」  あいちゃんは威厳のある口調で言った。 「奴隷は全裸が基本でしょう! 脱ぎなさい!」  私はバスロブを脱いでたたみ、ソファの上に置いた。  急に羞恥心がわき出てきた。  私一人全裸! 「そこに土下座して、お願いするのよ。これから一時間、たっぷり虐めて下さいって」  和式便器と排水溝のある床をあいちゃんは示した。  私は土下座して、 「これから一時間、たっぷり虐めて下さい」  と、震える声で言った。 「まず、そのままお尻だけを上げなさい」  全てが丸見えになるその格好を、私は額を床につけたまま、とった。 「これから、これで」  と、あいちゃんは塩ビのパイプを私に見せた。 「十回、お尻を打つわ。絶対服従の儀式よ」  言うまもなく、風を切る音が聞こえ、お尻に!  バシーン!  痛い!  本当に痛い! 「痛いでしょ?」 「はい、痛いです、本当に痛いです!」  バシーン!  2発目!  痛い!  1発目の痛みがひかないうちに2発目が!  さらに痛い!  お尻を上げていられない! 「何をしてるの! ちゃんとお尻上げなさい!」 「でも、でも……」 「言うことを聞かないと……」  パイプであそこをいじられる。  何という屈辱!  快楽のひとかけらもない屈辱! 「さあ、お尻を上げなさい。でないとこれを突っ込むわよ!」  おそるおそる上げる。  そこに、  バシーン!  ギャァアアアァァァ……  痛い!  痛すぎる!  漏れる!  意思とは関係なく、身体が反応する!  このための特別な設備だったんだ。  漏らしても大丈夫なように。 「情けない、たった3発で漏らすなんて」 「ごめんなさい」 「止めなさい」  そんなこと言われても…… 「止めなさい!」  4発目!  漏らしている最中に!  屈辱!  屈辱!  屈辱!  5、6、7、連続で来る!  ギャァァァァアァァアァァ……  泣き叫ぶ!  漏らしながら泣き叫ぶ!  8、9、10!  やっと終わる。  安堵したところで、 「これからは特別サービスよ」  立て続けにさらに10発!  泣き叫んで、お尻を上げていられなくなる!  泣き崩れる!  酷い!  あまりにも酷い!  漏らしたものの上にへたり込んで泣いている私の顎を、あいちゃんはクイッと上げ、 「よく我慢したわ。ご褒美よ」  そう言って、キスをしてくれた。  甘い、甘い、これまで味わったことのないようなキスだった。  キスだけで、イク。  身体が反応する!  イク!  キスだけで!  腰をビクンビクンさせながら、漏らしたものをビチャビチャいわせ、みっともなくイク!  キスしながら、叫びながら、イキ狂う。  あいちゃんは私の涙を舐め取り、 「素敵だったわ。あなたの耐えてる姿、イク姿も」  そう言って、さらにキスをしてくれた。  最高のキス。  またイク。  オマケに漏らす。 「あらあら、お楽しみはこれからよ、まだまだ、何にも始まってないのに」
 そして私はあいちゃんにハマった。  鞭だけではない。  ロウソク、ペニバンでのアナル責め、そしてなにより、浣腸にハマった。 「女には寸止め地獄はないの。 男は物理的刺激がなきゃイケないから、寸止めが出来るけど、 女は刺激がなくても勝手にイクからね。 だから女はイキ地獄と、寸止めの代わりに浣腸で、徹底的に責め上げるのよ。 覚悟しなさい」  その言葉の通り、体力の限界までイカされ続け、 大量の浣腸液だけでなく固形物を噴き出して大笑いされ、 ペニバンでアナルを犯されて泣きわめいても、 それでも、翌週にはあいちゃんの優しいキスを求めて電話をしてしまうのだった。 「出して良いのは入れたものだけよ。少々濁っても仕方ないけど。他の物を出したら容赦しないわよ」  それは無理だった。  それを出してしまえば、女として何かが終わってしまうことがわかっていながら、我慢できずに……  屈辱の固まりを、一つずつ……  ホテル室内の和式のトイレで全てを……  天井からの鎖に手を拘束されて、後始末も出来ず…… 「さあ、何か言うことはないの?」 「ごめんなさい、後始末をお願いします」  そうやってペーパーで拭かれ、それを見せられ、 「もう一度、お願いします……」  屈辱の極み……  でも、究極の快楽……  アナルにペーパーが触れるだけで……  イク……  耳元であいちゃんが囁く。 「変態」  あそこをイジリながらキスしてくれる。  また出る。  出しながら、キスしながら、愛ちゃんの指を感じながら、身をよじらせて、イク。  漏れる、漏らす、出す、イク!  下半身総動員して、快楽に溺れる!  そしてこの後は、ペニバンでアナルを犯される!  その期待も高まって、さらにイク!  貯金はあっと言う間に尽きた。  もう、鞭と、浣腸と、ペニバンがなければ生きていけない身体になったのに。  でも、もしかしたら、あいちゃんはお金抜きで愛してくれるんじゃないかな。  あれほど愛おしく、優しく、愛してくれたんだから。  あれは商売ではないと思う。  きっと、お金抜きで、私のことを愛してくれてるんだと思う。  そう思うと、いてもたってもいられなくなった。  あいちゃんが世間話でしていた情報をもとに、住所を割り出してみた。  買い物は○○スーパーで、本を買うのは○○堂で、と。  で、よく行く公園には噴水があって……  ネットの地図で調べたら、該当する公園は近所に四つあった。  いちばんアヤシイ公園で一日待った。  あいちゃんらしい子は現れなかった。  次の日も待ってみた。  来た!  あいちゃんがきた!  けれど、子連れで!  バギーに一歳くらいの赤ちゃんを乗せて……  ママ友らしき、これもバギーに赤ちゃんを乗せた女性と……  あいちゃんは私に気付き、歩みを止めた。  私はそこにいることも出来ず、ベンチを立ち、そそくさと走り去った。
 その夜、あいちゃんから電話があった。  初めてのことだった。  寂しい、と。  お仕事じゃなく、いつものホテルで待ってるという。  やっぱり!  お金じゃないんだ。  愛してくれていたんだ!  私は嬉しさに弾けそうになりながら、いつものホテルの部屋へと急いだ。  そこにはあいちゃんがいて、私はいつものように全裸になって、 いつものように足首と手首を拘束されて大の字になった。  ここでいつもなら鞭が始まるのだけど、あいちゃんはいつの間にか平服に戻って、ソファに座ってる。  恐ろしく冷たい目で私を見ながら。 「どうしたの?」  私は聞いた。 「私、マゾ女って大嫌いなのよ。 とくにアンタみたいなスカトロ系で悦ぶバカ女。 ブリブリクソひりだして臭えんだよ、このバカ」  酷い!  どうしたの?  ドアが開き、別の女性が三人入って来た。 「この女か?」  一人があいちゃんに聞いた。 「そうよ、うちの近所にまで来た。 完全なストーカーよ。こんなのがいるんじゃ、怖くてお仕事できないわ」 「てめ〜」と、悪鬼の形相になった一人が私の乳房を鷲掴みにして捻った。  愛情の欠片もない、乱暴なやり方で! 「ウチの嬢につきまとったらどうなるか、その身体に教えてやるよ!」 「駄目よ。そんなことしちゃ、悦んじゃう」 「プレイ中に死んだってことにするか」 「それが一番ね」  嫌、嫌、嫌!  死ぬのは嫌! 「殺さないで、お願い」 「どうする?」と一人があいちゃんに聞いた。 「生かしてちゃ、絶対に駄目よ。一度でもストーカーやると、絶対にヤメないから。 これまでの経験から、女がストーカーになったら、絶対に治らない。 こちらが諦めて遠くに引っ越さないと、いつまでもつきまとうのよ。これまで何人も経験してきたわ。 でも、今度はワケが違う。この女、私の子どもの顔を見たの」 「子どもの顔を見た?」 「そうよ。私が子連れでいるところを待ち伏せしてたの。これまでとはワケが違うわ」 「殺すか?」  三人はコソコソと話し合っていた。 「許して、そんな気はなかったの。ごめんなさい、許して」  私は全裸で泣きわめいた。  けれどそんなことには全く無頓着に、三人は「殺し方」の話し合いを続けていた。  そして、電動木馬に乗っていてお漏らし、漏電、ショック死に決まった。  私は拘束を解かれた。  泣き叫び手足を振り回したけれど、バケモノのような体格の女達にはかなうわけもなかった。  後ろ手に手を拘束され、無理矢理、電動木馬に座らされ、人工ペニスが突き刺さった。  足首も拘束され、電気スタンドのほころんだ電線がさりげなく足下に置かれた。 「いつものように、イキながらお漏らしするんだね。イキながら死になさい」 「嫌、嫌、嫌! 殺さないで、死ぬのは嫌!」  ヴン!  電動木馬が上下左右に動き始めた。  こんな動き初めて!  人工ペニスも私の中で動く!  クリに当たる箇所は激しく細かく振動を始める!  イク、イク、イク、イク! 「悦んでるよ、この女」 「悦びながら死ぬんだね」 「みっともない最期だな」 「警察も腰抜かすぜ」  漏れる!  意思とは関係なく、漏れまくる!  足下でバチッという音、文字通り電流が私の性器を駆け抜ける!  イクなんてものじゃない激震!  気が遠くなる。
 気がつけば病室だった。  しばらくすると女医さんがやってきた。 「あんまり過激なプレイは駄目よ。 今回は事故だけど、ホテル全体のブレーカーが落ちなかったら、確実に死んでたわ。 脚の火傷の跡は消えるから大丈夫。じゃ、恋人を呼んでくるわね」  恋人?  あいちゃんがやってきた。  恐ろしい表情だった。 「今度、ウチの店に来たら、絶対に殺すからね。絶対に殺す」  そう言って去った。  私は病院のベッドで泣き続けた。  退院して、次の生理が来る頃、私の中で何かがざわつき始めた。  死の恐怖、そして電動木馬の上で身もだえしてイキまくり、漏らした末に電撃!  冷徹な女達の視線!  ひとかけらの慈悲も愛情もなく、ただ死んでいく私を見つめ、罵声を浴びせる女達!  思い出すだけで……  イク!  グジュグジュになったあそこをイジリながら……  駄目!  こんなんじゃなかった。  あの、死と隣り合わせの、恐怖の中の絶対的な快楽!  あれをもう一度味わえるなら、死んでもいい!  どうせ、鞭と浣腸がなければ生きていけない身体になったんだし。  まともな人生をこれから送れるわけじゃない。  私は店に電話をしてあいちゃんを指名した。
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