■親友に恋した、夏子の場合。  
□れい(2006/04/20(Thu) 08:38:08) 

 それを発見したのは、実は半年も前の話。

去年の8月、真夏の夜の話。

いつも巡回するビアンサイトをぼーっと覗き、

カップルサイトをみては羨ましさが募り、

気まぐれにリンクサイトのバナーをクリックして、

別のサイトに飛ぼうとした。


そこのリストで見た、ひとつの名前。


 ********   カイト


"カイト"は、わたしの好きな人の別名で。

その名前に惹かれてそのブログにアクセスした。


それが、きっかけ。
 

(携帯)


"カイト"は。 高校時代、女子バレー部でセッターだったわたしと強力タッグを組んでいた アタッカーのコートネーム(コートの中で呼び合うニックネームみたいなものだ)で。 彼女は高校時代からのわたしの想い人だった。 高校時代からわたしは、大人しそうなお嬢風の外見に似合わず、 恋愛に関してはかなり積極的なアプローチを試みていたほうだった。 当時の高校生だったわりには、自分の武器が何なのか知っていたし、 それを使う術も心得ていた。 今思うと、ちょっとやな女子高生だなと思う。 若気の至りで、ツマミグイみたいなことも、何回かしてしまった。 ただ、わたしは一見優等生のお嬢さま風だから。 悪い噂が立つことだけは避けられていたけれど。 けれど、そんなわたしでも、彼女の鈍いんだか疎いんだかよく分からない、 とにかく脈のなさそうな誰にでも分け隔てない対応の壁を崩して、 彼女の心を射止めることができなかった。 …いいところまでは、持っていけたと思っていたんだけどね。 それが気のせいじゃなかったと分かるまで、実に8年の年月を要したことを考えると、 実質彼女が、わたしにとって一番の難攻不落の城だったんでしょう。
“カイト”のブログサイトは。 わたしの想い人、アタッカーのはるかのもので間違いなさそうだった。 “カイト”のブログに出てくる、彼女と彼女の想い人とのエピソードは、 どれもわたしに身の覚えがあるものばかりで。 そしてそれら殆どは当人たちしか知り得ないエピソードのはずだから。 むしろあまりにも鮮明に描かれていたので、 それらの記事はわたしの記憶を補完すらしてくれるものだった。 そのときわたしが何を言ったのか。 それに対して彼女が何を感じたのか。 そういったことが最近のことから、高校時代に遡ってまで、 時の流れを錯綜しながら書かれていた。 日記を通して伝わってくるのは、彼女のわたしへの溢れんばかりの想いで。 その想いを目の当たりにして、わたしの鼓動は高鳴った。 それが欲望に変わったのは、それからまもなくのことで。 そのブログを発見してからすぐに、わたしは彼女に連絡をとった。 勿論、彼女にわたしの想いを伝えるためだ。 わたしはすぐにでも会いたかったのだけれど、 彼女に会う約束が取れたのは、ちょうど五日後。 彼女は出張中で、東京にはいなかったから。 彼女の都合とわたしの都合があったのが、その日だった。
約束をした日の夜だったと思う。 早速約束のことが”カイト”のブログに登場した。 はるかが”カイト”であることは間違いなさそうだった。 確証がとれると、わたしの心は弾んだ。 五日後、彼女を驚かせてやろうと思って、まだ何も彼女には伝えていなかったから。 その夜、お風呂に入る前に、脱衣所で鏡に映った自分の姿をまじまじと観察した。 黒くて長い髪。 顔は正直あまり変わっていないと思う。 そこまで大きくはないけれど、黒目がちで奥二重の目。 鼻はそんなに高くない。主張しすぎもしない。 うすい唇に、薄い、舌。とがった顎。 全体的にアジアンフェイスだとおもう。 でも、メイクをするようになって、多少はきれいになっただろうか。 高校生の頃よりは大きくなった、胸。 あの頃と比べたらハリは少し失われたかもしれないけれど、 あの頃よりも乳首は大きくなって、卑猥な印象を与える。 エロチックに相手を誘える体にはなったと思う。 ちょっと先端をつまんでみると、乳首は途端に反応を示し、凝固した。 と同時に下半身も少し反応しかけたのが分かる。 バストのラインに手を添えてから、なだらかなカーブを描く ウエストに沿って手を滑らせていく。 そのまま少し腰骨を撫でて、指先を股間に滑らせた。 きちんと手入れしてある、陰毛。 そこの毛は少しだけ、いつも短く切るようにしている。 いつ誰に舐めてもらっても恥ずかしくないように。
はるかは、タチだろうか、ネコだろうか。 ふとその疑問が頭を過ぎった。 彼女の瞳を思い浮かべてみる。 普段の彼女は誰がどう見たってタチだ。 かっこよくて、仕事もできて、こういっちゃ悪いが男らしい。 でも、わたしと一緒にいるときのはるかは。 わたしにひどく従順で、おとなしい犬のようだから。 ああ見えても、意外にネコかもしれない。 わたしのようにどっちでもいけるタイプだといいのだけど。 でもはるかは、どんな声で鳴くんだろう。 どうやってわたしを攻めるんだろう。 そんなことを考えていたら、わたしのあそこは潤ってきてしまった。 わたしの体は困ったことに、一回火照ってしまったら最後、 一度イくまでは絶対に熱が引かない。 ――夏子。 はるかのわたしを呼ぶ声が頭の中で再生されて、 わたしは一つ、ため息をついて、お風呂のドアを開けた。 はるかを想像して、自分で自分を犯すなんて、社会人になってからはじめてだ。
浅く湯を張ったバスタブに身を沈めて、ひざをまげた状態で足を開く。 はるかの白くてすこし骨ばった、長い指。 それがわたしのウエストラインをなぞって。 そのまま、下へ。 股間に進入してきた指先は、 くすぐるかのようにクリトリスの周辺を皮の上から軽く撫で回し、 下の唇の付近を行ったり来たりする。 その刺激に耐え切れず、わたしの口からは吐息が漏れた。 クリトリスに触れられそうになるたび、 その刺激に反応して自然と腰が振られ、 膣は指先を求めて、閉じられていた両の唇から蜜を漏らしはじめた。 明らかに水ではない液体が、指に触れる。 両の唇を割って指を軽く進入させ、 その蜜を唇とクリトリスに塗りたくるかのように、前後に擦る。 クリトリスは自ら皮を脱ごうと大きくなりかけていた。 気づけば乳首は充血していやらしく勃起していて、 今にも食べてくださいと言わんばかりにその存在を主張していた。 乳首と乳房との、その境界線を指でなぞると、 快感が走って、膣の奥からじゅんと蜜があふれたのがわかった。 どんどんと硬度を増す乳首をすぐには触らずに、乳房をもみしだく。 「はぁぁ…んん……は、るかぁぁ…」 声を止められなかった。はるかの名前を声に出して呼ぶことで、 より一層、本当に彼女に犯されているような錯覚に陥った。
我慢ができなくなり、左の手のひらで乳房を弄びながら、 指先で乳首を抓ったり、押し潰したり、引っ張ったりした。 「ふぁ…、あ…ぁん、はぁぁぁッ…、はるかぁ…気持ちいい…」 右の指でクリトリスを皮から出して摘むと、腰がびくんとはねた。 耐えられないくらいの刺激。強い快感が体を支配した。 「ぁぁあ、はるか…ぃ、いれてぇぇぇ……」 思わず懇願する。もう膣は溢れていた蜜でどろどろだった。 膣の中に、中指と人差し指を差し入れる。快感が体中に走った。 「ぃぃ、…はるかぁ、突いてぇ…!!」 自分の体のイイところ、敏感な部分は分かっている。 そこを集中的に刺激した。 「はぁ、…ぁッ…あぁん、…もっとッ……もっとぉぉ、…はるかぁああぁッ!」 自分の指では足りなかった。 でも、周りで代用品になりそうなものは無い。 洗面台に携帯用制汗スプレーの缶があったことを思い出し、 お風呂の蒸気と軽い酸欠で朦朧とした頭で、 指を膣に入れたまま、いったんバスタブを出て、 ドアを開け、制汗スプレーの缶を手にした。 すぐにバスタブに戻って膣にスプレー缶を挿入する。 「ぁあっ!ぃい……!」 全身に鳥肌が立つような錯覚を覚えた。 ひやりとした感覚が熱くなりすぎた体には気持ちいい。 すぐにピストン運動を開始した。 最初こそ、異物感があり動かすのを躊躇ったが、 快感を求めるスイッチが入ったままだったので、すぐにピストンのスピードは 自分でできる最高速度に達した。 もっと突いてぇ、と叫びながら、力の限り、スプレー缶を突き上げる。 腰は自然にグラインドしていた。 「あっ…ああっ…やぁ…、いいぃ!……はるか、いいっ…いっちゃうよぉぉ…!!」 敏感なところと、そして更に奥まで突くようにすると、 体の奥から快感の波のようなものがすごい勢いでやってきて、 あっという間に体をびくんびくんと震わせてわたしはイってしまった。
お風呂という密室空間だったせいで、頭が朦朧とする。  お風呂の湯が濁っている気がして、わたしはすぐにお湯を抜いた。 しかし、入れ直してまた浸かる体力もなく、 シャワーを浴びて体と髪を洗い、 髪も半乾きのままその日は寝た。 それから五日間、わたしは毎日はるかのブログをチェックし、 彼女を想像して自慰をした。 彼女の日記に毎日わたしのことが書かれるのが嬉しくて、楽しくて、 五日間、毎日思わせぶりなメールなり電話なりをした。 彼女はほぼ毎日、わたしのことを日記に書いてくれた。 そして、五日後に会ったとき。 わたしは彼女への想いを告げなかった。 もう暫く、彼女がわたしに想いを寄せる様を見ていたかったから。 まだわたしは、想像の中の彼女と、愉しむことができたから。
そんなわたしが彼女に告白を決意したのは、 身も蓋もない言い方をしてしまえば、 想像の彼女では満足できなくなってきたからだった。 実際に彼女と会うたびに、彼女の腰や背中、首筋に手を這わせたくなり、 彼女をわたしだけのものにしたくなる衝動に駆られた。 「わたしだけのもの」――。 性的欲求を満足させたかったから、だけではない。 自分の弱い部分が、彼女を心の支えとして求めていたことに気付いたのが、 彼女のブログを発見してから半年後だったのだ。 ほかのひとはみないで。 わたしだけをみて。 性的欲求からではなく、そう感じたのは久しぶりだった。
それまでわたしの付き合い方といえば、性的欲求が先行していた。 心が動かなくても、体に惹かれれば抱かれたし、抱いた。 心が寂しくても、女性同士では体が満たされれば、お互いある程度心も満たされたし、 大体の付き合いがセックスから始まっていった。 体の相性が良ければその付き合いは数ヶ月続いたし、 そうでなければ、よっぽど気に入らない限りこちらから連絡は一切しなかった。 寂しくなったら誰かしら相手をしてくれる人を探したし、 探せば見つからないことなど、なかった。 でも、わたしはついに気付いてしまったのだ。 わたしが寂しくて一番最初に頼るのは誰か。 会っていて一番心が満たされるのは誰なのか。 わたしが一番抱きしめて欲しいのは、誰なのか。 それらの答えはずいぶん前からひとつだったけれど。 それらをじぶんに問い掛けてしまうのが怖くて。 その答えから拒否されるのが、ただひたすらに耐えられなくて。 わたしはずっと封印していたのだった。 気付かないふりをしていたのだった。 でも、気付いてしまった。 体の寂しさを、他の女ではなく想像の彼女でしか収めなかったわたしに。 心の寂しさを、他の女ではなく彼女にしか埋めてもらいたくなかったわたしに。
告白の日に平日のあの日を選んだのには、ひとつだけ理由があった。 その日ははるかの誕生日の前日だったから。 誕生日当日は何かしら予定が入っているかもしれないけれど、 前日は空いている可能性が高いと思ったから。平日だったし。 もし、仕事帰りにでも会えたのなら、日付が変わったと同時に祝ってあげたかった。 そんなときに告白ができたなら、最高のプレゼントになると思ったのだ。 本命の"プレゼント"の準備も抜かりなかった。 旅行代理店に勤務する大学時代の友達のところに行き、格安で探してもらった。 「社割とか、使えないからさ」 そういいつつも、シュウという名の面倒見のいい友達はいくつかピックアップしてくれた。 条件は、安くて、あたたかいところ、海のきれいなところ。 「だれと行くの?」の問いには、新しくできる恋人と、と答えた。 シュウは、へぇ、と目を細めるようにして笑うと、 「何?こんどは男?女?夏子もわりかしやるね」 と言った。 彼女はわたしの数少ない友達のうちの一人で、わたしをビアンだと知ってもなお 全く変わらず友達でいてくれる貴重な人種だった。 彼女自身も女の子を好きになることはあるらしい。 ただ、お互い無害な関係でいられるのは、わたしの嗜好にも、彼女の嗜好にも、 まったくヒットしなかったからだと思う。 きれいな人なんだけど、なんだか草食動物みたいなひとだ。 中性的で、ちょっとつかみ所ない感じがする。 わたしにとっては、適度な距離感を持って付き合える、貴重な友人だった。 「女。本命なんだ、すごく久しぶりにね」 そう返すと、シュウはPCの画面を見続けたまま、 普段あまり開かない細い目を大きく見開いた。 「そりゃあ、気合入れてさがさにゃね」 シュウの口角が上がった。 彼女はわたしの恋愛癖を知っているから。 確かに、大学時代から本命なんて言えるひとはいなかった。 いつも、使い捨てのように恋愛を積み重ねてきた。 「ここは、値段の割にはホテルきれいだから、おすすめ」 「このホテルはね、お姫さま気分味わえるよ」 「ここはね、近くに見晴らしのいい展望台があるんだ」 そんなことをひとつひとつ聞きながら、1時間とちょっと。 行く国と、泊まるホテルを予約した。 なんだかんだいいつつも、彼女は結構値引いてくれていて。 「サービス。あんたに本命ができるなんてね」 そう言って、ぐいっと口の端を上げて笑っていたけれど。 そうしてわたしはプレゼントを用意して、はるかを呼び出したのだった。 はるかとデートするときはいつも、彼女がおしゃれなお店をチェックしておいてくれる。 彼女が選ぶお店はどこもわたしの嗜好をぴたりと捉えてくれていて、はずさない。 彼女のそういった心遣いがどれだけ稀有なものなのかに気付いたのは、 さまざまな人とデートをするようになってのことだった。 それに気付いてからはより一層、彼女に依存する部分が増えた気がする。 しかしあの日のレストランの味は、正直言ってあまり覚えていなかった。 おしゃれで雰囲気もすごく良かったことは覚えているのだけれど。 あの日はわたしは珍しいくらい緊張していて。 まるで高校生の頃に戻ったみたい、と内心自分で自分を嘲ったのを覚えている。
告白をして、付き合い始めて。 次に会えたのは、旅行前日。 それまでのはるかとわたしと言えば、 隙あらばお互いメールして。 毎晩どちらともなく電話して。 「うわ、照れるー」 「なんか、恥ずかしいね」 「変な感じ」 「慣れない…(笑)」 「ほんと、嬉しい」 「夢みたい」 「まだ信じられないよ」 そんな会話ばかり、繰り返していた。 友達でいた期間が、圧倒的に長かったから。 友達でいた期間のほとんどを、片思いに費やしていたから。 両想い、という関係に慣れなくて。 それでも相手のことは良くわかっていたから。 微妙にぎこちなく、そして心地よい関係が続いていた。 旅行前日、わたしはどうしてもはるかに会いたくて。 「ね、はるか。明日、一緒に空港行こうよ」 「うん。そうだね。どこで待ち合わせしよっか」 「…明日、うち泊まりに来たら?空港までうちからのが近いし」 「そっか。そうする」 そうして彼女がくることになった。
その週の金曜日、わたしは仕事を定時に切り上げて、大急ぎで大掃除をした。 今まで何度もはるかがうちに来たことはあったけれど。 今日、旅行前に呼んだのは、もちろん目的があって。 簡単に言えば、我慢できなかったのだ。 彼女を一刻も早くこの腕で抱きしめたかった。 彼女の意外と薄くて細い腰に腕を回し、顎を捕らえて、 彼女の唇を、きゅっと上がったきれいな口角を、わたしの唇で、舌でなぞりたかった。 彼女の感じる声を、吐息を、この耳で聴きたかった。 はるかが仕事をいつも通り終えて、一旦着替えに、そして荷物を取りに帰り、 うちにたどり着いたのは、既に土曜日になっていた。 家を出るまで、あと6時間、出国まであと9時間。 時間はまだたっぷりあった。 わたしの体はただひたすらに、彼女を求めていた。 「おじゃましまーす」 そう言って荷物を持ってはるかはいつもと変わらぬ素振りでうちに上がった。 羽織っているコートの下はジーンズにブーツというカジュアルな出で立ちだ。 足、とくに腿がもともと細い上、足が長いからそういう格好はよく似合っていた。 しかしはるかは、表情から察するにかなり疲れ切っているようだった。 精一杯見せてくれる笑顔にも、明らかに無理しているのが現れていた。 今週末に仕事出勤にならないよう、必死で仕事を終わらせたと言っていたから それが影響しているのだろう。 「いらっしゃい。お仕事、大丈夫だった?」 「なんとかね。…早く、夏子に会いたかったからさ。頑張れたよ」 そう言って、へへへ、と笑うはるかの笑顔とその言葉にやられて。 まずわたしは、真っ先に彼女にキスをした。
顔を離してはるかを見た。はるかと目が合う。 はるかはいつも目が合うと微笑んでくれる。 でも、今日は違った。 さっきまで疲れて生気があまりなかった目が、気づくと真剣な眼差しに変わっていた。 先に不意打ちで攻撃を仕掛けたのはわたしだったのに、 その眼差しにどきっとしてしまう。 「はる…」 か、と言い切らないうちに、下に荷物を置いたはるかの手が、 わたしの顎を捉えて。キスを返された。 唇が触れ合うだけじゃなく。 下唇の上を舌が這うキス。 舌が少しわたしの口角に触れて、 その感触に、ちょっと腰が抜けそうになった。 はるかの舌は、想像していたよりも厚くて。 冷たかった。外気に晒されていたせいかもしれない。 「は、反則…」 「どっちが」 訴えようとしたけれど、それはそのままわたしに返ってきてしまって。 「なつ」 両手が自由になったはるかに、立ったまま抱きしめられた。 「はるか…」 わたしも抱きしめ返す。身長差があるので、わたしの頭はちょうど はるかの肩に乗せるような形になった。 はるかのいつもつけている香水の香りが、わたしの鼻腔をくすぐる。 彼女を抱きしめるだけで、わたしの鼓動が早くなり、濡れるのがわかった。 「夏子、好きだよ」 「わたしも、好きだよ、はるか」 そう言うと、なんだか鼓動がますます早くなっていて。 我ながら高校生みたいでおかしいな、と思うほどだった。 ため息の音した。 「…ずっと、こうしたかったんだ。すっごい幸せ。」 はるかが、ため息混じりにそうつぶやく。 まったくもって、わたしも同感だった。 あまりにも嬉しくて、幸せで。 「はるか」 そう言って、彼女を呼んで。 彼女がこっちを向いたところで、彼女を抱きしめたまま、 長くて甘い、とろけるようなキスをお見舞いした。 半分開いていた唇に舌を這わせて。 彼女が感じるところを探るように、舌先を尖らせて口角やリップラインを刺激した。 彼女は上唇よりも下唇、右口角よりも左口角が感じるみたいで。 はるかの荒くなる息をぞくぞくしながら聞いて、 軽く噛んだり、舐めたりしてそのあたりを重点的に攻めていたら、 彼女の舌が、わたしに反撃しようと口の中から出てきたのだった。 出てきた舌先をわたしの舌先に擦り合わせるように刺激すると、 「ふぁっ…ん…」 声が漏れた。 その色っぽい声にわたしの体が完全に臨戦態勢になるのがわかる。 やばい。もう止まらない。止めたくない。 背中に回していた手を、するりとセーターの下に差し入れて、 じかにはるかの背中を撫でた。
「ん…」 嫌がるかと思ったのだけれど、はるかは意外と抵抗もしなかった。 でも、身構えたのが分かったから、そのまま背中を撫で続けた。 キスをし続けながら、さりげなさを装って、 背骨の一つ一つを押すようにゆっくりと撫でた。 「ぅ ぁっ…」 狙ったところで、 はるかが反応したのがわかる。 「…感じるの?」 「……」 キスをやめてはるかに問うと、はるかは顔を赤くしてうつむいた。 まるでバージンかと思うようなかわいらしさだ。 …残念ながら、バージンじゃないことは、 高校時代から親友だったわたしが一番良く知っているのだけど。 (あの話を聞いたとき、わたしは思わずその場で彼女を押し倒してやろうかと思った。 それほどまでに悔しかったのだ。 わたしのほうがその男よりもはるかを感じさせられるのに、と思った覚えがある。昔の話だ。) 「夏子」 はるかが、何か言いたげな目をしてわたしを見た。 彼女の目は潤んでいて、明らかにわたしを誘っていた。 頬は上気して、ピンクに色づいている。色っぽい。 普段友達としてわたしに見せていた顔ではない、別の表情がそこにはあった。 ――はるかは、今日覚悟してきている。 わたしに抱かれてもいいと思っている。 それに気付いて、その瞳に、 わたしは自分の膣がよだれを垂らすのをはっきりと感じた。 なんだかんだ言いつつも、やっぱり不安はあったのだ。 いくら両思いで、付き合うことになって行く旅行でも、 「まだそんな気になれない」「やっぱり私…」 なんて言われるんじゃないかと、わたしはドキドキしていた。 「はるか」 そのはるかに、わたしはひとつ、お願いをした。 「はるか、…触って」 彼女の、わたしの腰に回っていた手を取って、 わたしの胸に押し当てた。 わたしからの誘いに、 はるかが息を飲むのがわかった。 「強く、揉んで」 わたしの胸に手を当てたままのはるかに、 挑発するかのように、耳元で囁いた。 「なつ…」 はるかに、受身のセックスはさせたくなかった。 やるからには、はるかにも動いてほしかった。 わたしに欲情してほしかった。 わたしを、気持ちよくさせてほしかった。 はるかの背中を撫で続けたまま、 はるかには、わたしの胸を揉ませた。 「夏子の胸、おっきい…」 最初は恐る恐る、興味本位で。 でも、次第にはるかのわたしの胸を触る手は、熱を帯びてきていた。 不慣れな感じの手つきだったはるかは、すぐに慣れたみたいだった。 わたしが時折漏らすため息を聞き漏らさずに、 確実にわたしを感じさせようと、コツをつかんで揉んでくる。 はるかに胸を揉まれている、と思うと、 わたしは狂いそうなくらい、歓喜が心の底から沸いてくるのが分かった。 ずっと願っていた、はるかの手。 ずっと待っていた、はるかの唇。 「あ…ぁあっ…ん、はるか…」 「夏子、きもちいい…?」 はるかの、興奮で少し上ずった声が、より一層わたしを興奮させた。 服の上から胸を揉まれているだけで、我慢できなくなる。 直接触って。 乱暴にして。 乳首を舐めて。噛んで。吸って。 はるかを求める、苦しいくらいの欲求が、胸の中を渦巻いた。 わたしのFカップの胸は、はるかの手に余るようで。 それでも服の上からはるかはわたしを感じさせようと、愛撫してくれていた。
わたしの胸の感触に、そして感じているわたしに、 はるかの瞳に光が宿るのが分かった。 それと同時に、はるかのわたしの胸を弄る指先が動き始めた。 ブラの上から意図的にわたしの乳首を苛めようとしてくる。 わたしには、もう我慢できなかった。 「はぁっ…ぁ……はるかぁ…、……脱がせて、直接触ってぇ…」 濡れた瞳で懇願すると、はるかはわたしの服を脱がせにかかった。 はるかがわたしのシャツのボタンを一つずつはずしていく間、 わたしの右手はジーンズ越しにはるかのお尻をなで、 左手と口で、はるかの右の耳を弄った。 突然の刺激に、はるかの口から、吐息交じりの声が漏れた。 お尻を撫でて、耳たぶに舌を這わせ、耳の軟骨の部分を指でほぐすように刺激する。 「ふぁ…ぁッ…」 舌を尖らせて耳の穴に入れて中を刺激すると、 はるかの腰が少し振れて、ひざからが少し力が抜けたみたいだった。 「感じる?好きよ、はるか…」 そう耳元で囁くと、その吐息と声に、びくんとまたはるかは反応した。 「夏子…」 そう言ってはるかはわたしの顎を引き寄せ、キスを求めてきた。 舌が差し入れられて、口中が犯される。 わたしも応戦した。 右の口の端を舐めるようにしてわたしの反応をはるかが待つと、 快感に腰が抜けそうになりながら、わたしは執拗に左の端を攻めた。 お互いの息が、次第に荒くなるのを、感じる。 セーターの中に、再び手を差し入れ、背中を伝って はるかのブラのホックをはずした。 そのときにはわたしは既にはるかによって シャツもスカートも剥ぎ取られ、ブラとショーツだけの姿になっていた。 今日のために新調した、薔薇の刺繍がきれいな赤いレースの下着。 わたしがはるかの上唇と歯の間に舌を差し入れ、刺激すると、 うめき声とともに、はるかの高度ががくっと一瞬下に下がった。 はるかの顔を見ると、目が合った。 頬が上気して、目が潤んでいる。 はるかがわたしに欲情しているのを感じるだけで、 わたしは膣が収縮するのを感じた。 はやく、 はるかがほしい… はるか、はやく、入れて、 おもいきり、わたしを突いて。 わたしを、めちゃめちゃにして――。 歯茎を嘗め回すようにはるかの口中を犯していると、 はるかの手が、わたしのブラをたくし上げ、 すでに痛いくらいに立っている乳首を、ぎゅっと摘んだ。 「ぁああッ…は、るかぁ…!!」 突然の刺激に、思わずキスをしていた口を離してしまった。 視線を下に下ろすと、 ブラに上から押されて胸が変形し、 赤のブラとのコントラストがちょっと卑猥なわたしの胸が視界に入った。 乳首は、ブラの赤に負けないくらい、赤く、硬く、高くそそり立っていた。
「ベッドに、行こうか」 わたしたちは、立ったままで。 わたしは胸が半分押し出されたまま。 はるかはブラのホックが外れたまま。 ベッドに二人で横になった。 そして… もちろん、 上になったのは、わたし。 はるか腰の上に、はるかを跨ぐように座り、 はるかのトップスをすべてまとめて剥いだ。 ブラも、セーターも。すべてまとめて。 途中、「わッ」とはるかの声が聞こえたけれど、 上着をはるかの腕あたりまで脱がしてから、 わたしはそのまま目の前に現れた、はるかの乳首に食いついた。 「はぁぁッ…ふぁ……ぁッ……な、なつ…」 赤黒い、といった形容が適切なわたしの乳首とは異なって、 彼女の乳首は薄い褐色をしていた。小さく、尖っている。 手始めに、舌で丹念に舐めると、わたしの膝で固定していた はるかの腰が少し跳ねた。 口の中で、はるかの乳首が、どんどんと硬度を増すのが感じられた。 はるかの胸は、わたしよりはちいさいが、 それでも思った以上にボリュームがあった。 スレンダーなはるかだから、胸はそんなに大きくないと思っていたのに、 予想を嬉しい形に裏切られることとなった。 右胸だけ、乳輪に舌を這わせ、左は中指を使い、 触れるか触れないかのところで先端を刺激する。 「ぁあ、あ…ぁぁ…ぅん……ふぁ…ああ」 胸だけで、すごく感じるらしく、 はるかの腰は、さっきからすこしだけグラインドしている。 両手で乳首を弄り、首筋に舌を這わせて、 耳元で囁いた。 「そんなに感じるの…?はるかって淫乱だね…」 「な、夏子…キモチイイ、よぉ…」 普段の凛としたはるかからは想像できないくらい、 今のはるかは淫らだった。 両腕が、脱がされ途中の衣類に固定されて 動かせないようになっているせいで 体まで固定され、快感がすべて腰の動きに直結していた。 「いつものはるかしか知らない人が今のはるかをみたら、なんていうだろうね…?」 「そんなこと言わないで、夏子…。」 そう言って、困ったような、甘えるような瞳でわたしを見た。 その瞳に、激しく興奮したわたしがいた。 「そんな顔したら、わたし、もう止まらないからね」 「とめなくていいよ……夏子、好きだよ」 彼女の微笑みによって、彼女に攻められたい、という欲求以上に 彼女を攻めたいという欲求が、わたしの中で暴発するのがわかった。 再び、今度は左胸を舌で刺激しながら、 はるかのジーンズを脱がせにかかった。 脱がせる途中、偶然を装って、ショーツの上からクリトリスを撫でた。 「はぁん…!!」 ひときわ高い嬌声が、はるかの口から上がった。 「はるか、すごい。まだ触ってなかったのに、クリが、もう立ってるよ」 ジーンズを脱がし途中だったけれど、 ショーツの上からクリトリスを潰すように押すと、 「ぁあッ、いいッ…なつこぉ……!」 はるかは膝を曲げ、足を開いてわたしの指を受け入れようとしていた。
「まだまだよ。ゆっくり、じっくり食べてあげる。」 そう囁いて、わたしははるかのジーンズから 彼女の足を抜き取りながら、腿をそっと撫でた。 先に一度イかせてしまってから、 ゆっくりじっくり攻めようかとも思ったけれど、 やっぱりそんな優しいことはしてあげないことにした。 はるかは手が上に上げられて不自由なまま、 濡れた瞳で足元にいるわたしを見る。 腹部の、影を一段と濃くする臍のくぼみと カーテンの隙間から零れた月明かりを受ける彼女の腰骨、 その奥に望む乳房と尖った乳首、 白い二の腕のコントラストがまるで絵のようで。 「きれいだね、はるか」 わたしは改めて彼女のわき腹をそっと撫でた。 はるかは吐息を少し漏らして腰を浮かし、 少し微笑んで、切なそうな顔をして 「夏子」 わたしの名前を呼んだ。 「私を、食べて」
「ぁぁっ!…はぁ…あ…ぁッ……あ…んんんッ!! 」 充血し、薄い褐色よりずいぶんと色の濃くなった左の乳首を 口に含み、左右に振れるように舐めまわし、 右手はもう片方の乳首を撚るようにして引っ張り上げる。 「あぁッ、んんっ…、あ、あぁ…」 「きもちいい?はるか…」 「うぁぁっ…ふぁ…あ…、へ、変になっちゃうっ…あ…」 「食べて、って言ったじゃない。」 そう言って、乳首に軽く歯を立てる。 「はぁあぁっ…!!」 腰が、宙に浮いた。 乳首を弄るのは手に変えて、 引き続き押したり引っ張ったり、抓ったり、撫でたりしつつ、 舌を、乳房を伝って上のほうに舐め上げていく。 「く、…あ…ぁん……んん… あ、あ…」 「脇、きもちいい?」 「気持ち…いぃ…、あぁ!」 足ではるかの足を開いたままに固定し、 わたしの腿をショーツ越しに彼女の股間に摺り合わせると、 ショーツが驚くほど濡れているのがわかった。 「びしょびしょ。」 「はぁ…あ…、い、わないで…」 「溜まってたの…?」 「……。」 顔を近づけて聞くと、思い切り顔を逸らされた。 「どこをどうしたらはるかは感じるの…?」 「教えて、はるか。わたしにどうしてほしいの…?」 「ね、自分でいつもやっていること、わたしに教えて…?」 乳首を弄って、股間に腿をあてがい、 首筋に舌を這わせ、耳たぶを噛んで、彼女を煽った。 腰が動いて彼女の股間がわたしの腿に密着し、 クリトリスが触って欲しそうに立っていることすら伝わってくる。 わたし自身、触るのを我慢するのも一苦労だった。 「下、さわって…」 「下?下って?」 「……。」 「言わないとわかんないよ」 「ぁそこ…」 はるかは消え入りそうな声で顔を赤くしている。 「あそこって?」 「…今、夏子の足が当たってる…」 「ここ?」 腿をぐりぐりと少し動かした。 「んぁっ…!! そ、そこ…っ!」 「ここ、なんていうの?」 「……。」 「言わなきゃ、触ってあげない」 「……夏子の…いじわる」
はるかは、頬を紅潮させて、瞳を潤ませて、わたしを訴えるように見た。 今までのオトコに、そんなこと、させられたことすらなかったんだろう。 ちょっと泣きそうな顔をしている。 「夏子ぉ…いじわる、しないで…」 いつもは強がってばかりいる彼女のそんな言葉に、やられたのはわたしだった。 「しょうがないな、触ってあげる。はるかを気持ちよくしてあげる」 はるかへの言葉責めは、サイパンでもできる。 まずははるかに、わたしが与える快感を知って欲しかったから。 わたしから離れられなくなって欲しかったから。 作戦変更をした。 脇腹から腰骨の辺りを指先で何度も撫でながら、 上体をずらし、舌をはるかの内股に這わせた。 とにかくはるかを感じさせたい。 はるかの体が、びくっと反応をする。 はるかの体が反応したのと同時にはるかの膝がかくんと立てられて、 膝がわたしの隆起した乳首に当たった。 予期せぬ刺激に、思わずため息が漏れる。 その息が、また彼女の内股をくすぐり、はるかは「はぁん、」と喘いだ。
はるかのショーツは、デニムの色に合わせた濃い青で。 ジーンズから下着の線を出さないようにするためだろう、 少しボクサータイプになっているローライズだった。 色が濃い下着は、濡れてしみになった部分が更に濃い色になるため目立つ。 はるかの下着は、彼女自身の蜜によって、股間部分の変色が目立っていた。 「はるか、気持ちいいね。ここ、しみになってるよ」 敢えて言葉にして言い、クリトリスから膣にかけての部分を下着越しに指でなぞった。 「あぁんっ、き…もちいい、よぉ…、なつッ…ぁぁ…ん」 「下着…脱がせても、いいかしら?」 硬く勃起している彼女のクリトリスの周囲を、円を描くように 人差し指でショーツ越しに撫でながら、わたしははるかに聞いた。 夏子が、あぁん、と喘ぎながら、目を潤ませて頷くと、 わたしは彼女のショーツに手をかけた。 両手で彼女の腰を包むようにしてするりと脱がせる。 片手でクリトリスを弄り続けようか少し迷ったけれど、 結局それ以上じらしはせずに、くるくるとショーツを剥ぎ取ることにした。 ショーツを半分ほど下ろしたあたりで、片足だけ先に抜き、 そうして両足の間にわたしの体を割り込ませる。 目の前にはぷっくりと腫れ、頭を出した赤いクリトリスと、 すっかりよだれを垂らし、糸を引いている膣が見えた。 右手の人差し指と中指で膣の入り口を押し開き、 ふぅ、と息を吹き込んだ。 「あッ」 感じるらしく、はるかの体がびくんと震えた。 迷わずクリトリスを口に含み、軽く吸うと、 はるかの口からは、大きな声が漏れた。 「あ、ああぁ、あん、ああ、い、いいッ…!!」 口に含んだまま、舌を使って先を刺激したり、 唾液に浸して口の中で動かしてみたり、 唇に力を入れて、挟んでみたりするたびに、 彼女の口からは嬌声が上がった。
はるかがあまりにも悦び、呼吸が浅くなり、イってしまいそうだったので、 一気にクリトリスと膣を一口でくわえ込み、 一息に舐めあげて、吸った。 「あぁああ、なつこ、いいっ、んんッ…いっちゃうッ……!!」 そう言って、はるかは、体をびくんびくんと痙攣させてイった。 そこで、彼女の体が弛緩する前に、わたしは口を開け、 クリトリスを舌で押すように刺激しつつ、膣に指を二本挿入した。 「うッ…んんッ…ぁ…ぁぁあ、あんッ!」 ぐちゅぐちゅと濡れた音を発して、 はるかはわたしの指を嬉しそうに飲み込んだ。 思ったよりきつく、わたしの指をぎゅうぎゅうと締め付けてくる。 まだイった余波に体が攫われている最中の挿入に、 彼女は戸惑っていたようだったけれど、 彼女自身は悦んでいるようだった。 奥まで挿入することはせず、Gスポットのあたりを押すようにして丹念に責める。 時折中をかき回すようにして焦らせ、快感を引き出す。 彼女は先ほどからずっと喘いでいて、口から言葉にならない声が漏れ出ていた。 「やぁぁ、あ…んん…、あ、夏子ぉ…い、いっちゃう…またイっちゃうよッ…」 はるかがしきりにわたしに訴えている。 腰のグラインドが、わたしの指をさらにくわえ込もうと動いていた。 「いいのよ、はるか。たくさんイって。わたしでたくさん感じて…!」 はるかの痴態を目の当たりにして、わたし自身も驚くほど濡れていた。 布地の少ない赤のレースの下着は、既に下着としての役割を果たしておらず、 腿のあたりまで、わたしの中から蜜が垂れているのがわかった。 「あ、あ、な…夏子、…い、いっちゃう、イっちゃうよぉぉ…!!」 彼女が果てる。今度は体を襲う痙攣が、さっきよりも数秒長く続いていた。 イった直後は彼女の中でじっとさせていたわたしの指を、 彼女の痙攣がひと段落したあたりでまた動かしだした。 「ちょ、ちょっと、夏子、ぃやッ…む、無理だよ!!あぁぁあッ…!!」 狼狽し、感じるはるかにまた感じながら、再びピストン運動を開始する。 今度は、奥まで、突くように勢いよく動かした。 「あッ、はぁッ…あ、んんん…!はぁぁッ、す…すごい、奥までクるッ…!!」 はるかの口からは、よだれが垂れているのが見えた。 表情は熱で浮かされたようになっていて、全身でわたしを感じてくれているのがわかった。 腰がガンガン振られている。グラインドの動きも、まるでわたしの 指をより早く、長く味わおうとするかのようで圧倒された。 「はるかぁ、きれいだよ、もっと気持ちよくなって――!!」 「夏子、イっちゃうぅ…!またイっちゃうよぉォッ、いい、イイ!!イくぅぅぅッ――」 はるかは体を大きく震わせて、絶叫のような大きな声とともに、イった。
はぁっ、はぁっ、と乱れた息を整える。 思いきりはるかを突いたせいか、呼吸が乱れていた。 あの後しばらく突くのを止めず、彼女の制止を振り切って 連続でイかせたため、はるかはぐったりとしていた。 「はるか」 呼んでみるが意識がない。 イって、意識まで飛ばしてしまったようだった。 「はるか」 もう一度名前を呼んで、彼女の寝ているベッドの脇に、自分の体を滑り込ませた。 意識のないはるかの体を引っ張り上げ、抱き合うように肌を重ねる。 「はるかの肌、気持ちいい…」 そうつぶやいて、はるかの足に、自分の足を絡めた。 顔を少し上げて、はるかの唇にキスをする。 するとはるかはちょうどそのタイミングで意識がもどったようで、 「夏子」 わたしの名前を呼んだ。 「ありがとう。すごく、よかった。気持ちよかった」 そうしてはにかんだように笑う。 その笑顔がかわいくて。かわいくて。 はるかの頭を引き寄せて、胸のところでぎゅっと抱きしめた。
「ねむ…」 「うん…眠いね」 「ちょっと、ここで寝てい?」 「うん、わたしも…」 翌朝7:30、成田空港にて。 わたしとはるかは、頭を寄せ合って、ロビーのベンチで寝ていた。 あのあと、疼いたままのわたしの体を鎮めるために、 はるかはわたしの言う通りに気持ちよくしてくれて。 わたしもまたそのお返しに第三ラウンドに突入して。 わたしもはるかも、何回イったかわからないくらい、絶頂に達した。 気付いたら、外は明るくなっていて。 わたしとはるかは、重い体を引きずりながら、一緒にシャワーを浴びた。 はるかと一緒のシャワータイムは、ひどく新鮮で。 鏡を見ると、わたしの胸やおなかには、たくさんのキスマークが付いていた。 はるかをみると、はるかはすまなそうな顔をしていて。 「ごめん、今日からサイパンだったのに…。つい夢中でつけちゃったみたい…」 その様子がかわいらしくて。 「気にしないわ。いいじゃない、別に。」 そう言って、はるかの顔を引き寄せて、唇にキスをした。 上から降ってくるシャワーのお湯に濡れたはるかは、またセクシーで。 シャワーを浴びながら、何度も何度も、キスをした。 シャワーを浴び終わると、もう寝る時間は残っていなくて。 それはつまり、わたしたちが一晩中、やり続けていたことに他ならなかった。 慌てて出かける準備をして、 家を出て、電車に乗った。 電車の中では二人とも、大爆睡で。 危うく、乗換えを寝過ごすところだった。 そうしてやっとの思いで空港について。 まだ搭乗時間まで時間があったので、 ベンチに二人、仲良く並んで寝ていた。 腰は重いし、体は心地いい疲労感に包まれていた。 すぐにでも寝られる準備だけは万全だった。 「…はぁ……幸せ」 ほっとした瞬間に、無意識に出てきた言葉。 「ん、どうした?」 はるかは、わたしのほうを向いて、眠そうな顔で微笑んでくれる。 その笑顔が、すごく優しくて。 わたしのことを、好きだよ、って言っていて。 たまらなく幸せだ、と思わされる。 こんな時間が、いつまでも続けばいいのに。 いつまでも、一緒にいられたらいいのに。 そんなことを考えていたら、はるかが一言、 「ずっと、一緒にいてね、夏子」 そう言って、わたしの手をぎゅっと握った。 考えていることが、同じだったことが少し嬉しくて。 そして、何より彼女のその一言が嬉しくて。 「ずーっと一緒よ、はるか」 そう言って、わたしも彼女の手を握り返した。 わたしが彼女の肩に頭を乗っけて、 彼女がわたしの頭の上に、頭を乗っける。 そうしてまるで仲良しの小さな姉妹のように、 わたしたちは眠りの世界に落ちていった。 わたしたちの乗る飛行機の搭乗開始のアナウンスが、流れる。 搭乗開始時刻に携帯のアラームをセットしておいたのが功を奏し、 わたしたちはなんとか乗り遅れることだけは免れた。 「いこっか」 そう言って、眠そうな目をこすりながら、 はるかは先に立って、わたしの手を引っ張った。 はるかに起こされるようにして、わたしも席を立つ。 こうして、わたしとはるかの旅ははじまったのだった。
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