■ご主人様と私 第6章@ 
□投稿者/ 昴 2006/08/01(Tue)


コンコン ノックの音がする 朝? 今何時? 昨日は ご主人様と一緒に お出かけして そこでお泊まりして あっ 「はい、どうぞ」 いけない お屋敷じゃなかったんだっけ 少し寝ぼけていたみたい ご主人様も 一緒にお目覚めになられてる 『おはようございます リビングに朝食をご用意していますので お召し上がりになられたら 病院の方にお越し下さいますか?』 お医者様は もう白衣を着ていらした 早起きだなぁって 一人勝手に感心する 『病院にお越しの際は ゆったりとしたスカートを 履いて来て下さいね』 私に微笑まれている 朝の身支度を整えて リビングに向かう リビングには ご主人様好みの 朝食が用意されていた 『いただきます』 ご主人様と朝食を頂きながら 伺ってみる 「ご主人様 病院って…?」 勇気を出して やっとお聞きしたのに 『行けば解るわよ』 そう仰って 取り合っては下さらない 仕方がないので 黙って食事を進める 朝食が済むと 食器を洗って 簡単に片づけをして それから リビングを後にして ご主人様と一緒に病院に向かった (携帯) 記事No.14449 のレス / 返信ページ / 関連記事表示 削除チェック/ ■15581  ご主人様と私 第6章A □投稿者/ 昴 -(2006/08/02(Wed) 23:37:44) 病院に着くと 診察室の前で お医者様が立っていらした まだ看護士の方も来ていない時間 『どうぞ』 診察室に案内されたけど 『私はここで待っているわね』 ご主人様は 待合室のソファーに腰を掛けられた 診察室に入る お医者様のテーブルの前の椅子に座って 名前や年齢を確認される 『ご主人様から お話しはあったの?』 その問いに 「いいえ、何も」 そう首を横に振る 『では、こちらへ』 『下着を脱いで その椅子に足を掛けて座って下さい』 その促された先には 浅く腰掛ける背もたれ付きの椅子と それにくっついてる 足を掛けるところと その前に 中途半端な長さの カーテンがあった えっ これに座ってって ご主人様以外の方に 見られちゃうの? そりゃあ昨夜 多少は見られたかも知れないけど その椅子を前にして 戸惑っていると 『ご主人様からの ご依頼なんですよ… ご主人様のご意志ですので 座って下さいね』 後ろから お医者様の声がした (携帯) 記事No.14449 のレス / 返信ページ / 関連記事表示 削除チェック/ ■15614  ご主人様と私 第6章B □投稿者/ 昴 -(2006/08/04(Fri) 22:16:40) 仕方なく その椅子に座る お医者様が何か操作されて 椅子が上がり 足を掛けているところが 左右に広がっていく カーテンの端から 薄いゴム手袋をはめながら こちらに近づいて来るお医者様が見える やっぱり ご主人様じゃなきゃイヤ 私が乾いていくのを感じる お医者様がカーテン越しに 私の正面に立たれる フッ 小さなため息が聞こえて 『正直な 困ったチャンだこと このままでも 別に普通なんだけど それだと少し痛みを伴うことになるし ご主人様のご依頼だから それは私の本意ではないわ』 独り言のように言って 足音が遠のいて行く 扉の閉じる音がして さほど間を置かず カチャ 『…ええ わかったわ』 扉の開く音の後で聞こえて来た ご主人様の声 足音が近づいて来て ダメ ご主人様に見られている そう思うだけで 溢れて来る蜜 『やっぱりね 分かり易い女性(ひと)』 半ば呆れている声で 近づいて来るもう一つの足音 ■15634  ご主人様と私 第6章C □投稿者/ 昴 -(2006/08/05(Sat) 23:09:18) 『このお医者様は信頼が出来る人よ 安心して力を抜きなさい』 ご主人様の声 もう一度 カーテンの端から少しだけ 薄いゴム手袋をはめながら こちらに近づいて来るお医者様が見えた ご主人様ではない指が 初めて私の中に入る 直接ではなく 薄いゴム手袋がはめられては いるけれど お医者様は 無駄なく くまなく私に触れられる 指が抜かれ その後に金属の冷たさを感じる 『終わったわよ』 お医者様が また何かを操作されて 足が少し閉じられ 椅子が降りる 『自分で拭く? それともご主人様に拭いて頂く?』 お医者様は ティッシュペーパーの箱を 持っていらした 『私が拭くわ』 私が返事するよりも早く ご主人様が仰った ご主人様の舌が 私を舐めて 強張った私が解きほぐれていく その後で 優しく丁寧に ティッシュペーパーで 私を拭いて下さった 『検査の結果が出るまで 家の方でごゆっくりなさって下さいね』 『検査の為に細胞を採取して 小さな傷がありますので 指を使用しないで下さいね ご主人様』 カーテンの向こう側から 悪戯っぽい声がした (携帯) 記事No.14449 のレス / 返信ページ / 関連記事表示 削除チェック/ ■15652  ご主人様と私 第6章D □投稿者/ 昴 -(2006/08/06(Sun) 17:57:44) ご主人様と二人で ゆっくりしながら お医者様の家で お医者様の帰りを待つ 『お待たせしました』 『診察の結果をお伝えしますので リビングのテーブルに お越し下さいますか?』 ご主人様と二人で リビングのテーブルに移動する 「お茶を煎れますね」 立ち上がり掛けた私に 『そうね、お願いするわ』 ご主人様が仰った キッチンに向かうと ご主人様とお医者様が 何かお話ししていらしたけど 声が小さくて 内容までは判らない 「どうぞ」 ご主人様と お医者様と ご主人様の隣の席に お茶を置いて キッチンにトレイを片付けに行こうとしたら 『ありがとう それは後で構わないから お掛けなさい』 ご主人様が仰った 慌てて椅子に座り直す私 『改めて紹介するわね 今までの言動で 気付いていると思うけど メイドだった頃の 貴女の先輩に当たる人よ 今は産婦人科医で まだ若いけれど ある分野で 国内トップクラスの 名医よ』 (携帯) 記事No.14449 のレス / 返信ページ / 関連記事表示 削除チェック/ ■15674  ご主人様と私 第6章E □投稿者/ 昴 -(2006/08/07(Mon) 01:09:44) 『それでは 診察の結果ですが… 大丈夫ですよ 健康体です まったく問題ありませんね 内診の触診も 細胞検査も 異常ありませんよ』 『それは良かったわ 検査では 恥ずかしい思いを させてしまったわね ごめんなさい 検査の結果が良ければ 貴女にお願いしたいことがあったのよ… もちろん 貴女には断る権利があるから いやなら 無理はしなくていいのよ』 真剣な眼差しで お話しをされるご主人様 私は黙って頷くだけだった 『お願いの内容を話す前に このお医者様の トップクラスの その分野のことを言うわね』 『このお医者様は 不妊治療の分野で トップクラスなのよ しかも 男性が精子を持たない場合は 第一人者なのよ だから私のお願いは… … …』 ご主人様は そこで口ごもってしまわれた 私も想像は付くけれど それを確認出来なくて やはり黙ってしまったまま
■15675  ご主人様と私 第6章F □投稿者/ 昴 -(2006/08/07(Mon) 01:10:44) 『男性が精子を持たない場合と言うのは 少し正確ではありませんね…』 黙り込んでしまった ご主人様と私の間に 口を開いたお医者様 『女性と 精子を持たないパートナーの為の 本当は 今日の日の為の 研究でしたので 女性から卵子を採取して パートナーの細胞と合わせて 受精卵と同じ状態にします その後で女性に着床させる もちろん元々は 精子を持たない男性のご夫婦の為に研究され始めたものですが… 女性同士にも応用は可能です ただ女性同士の場合は 当然XXの染色体しかありません 生まれ来る命も確実に女性と限定されます それに 女性同士で繁殖すると 男性の存在意義がなくなってしまいますので 医学的に承認は得られていません 医者の世界も まだまだ男性社会ですからね…』 殆どのことを お医者様に説明されて 切羽詰まったような 真剣な顔つきのご主人様 『もしも いやでなければ 私の子供を生んでもらえないかしら? 養子になるけど 私の籍に入って』 私に断る理由なんてない 真剣な眼差しのご主人様に 私も真剣に 「はい」とだけ答えた
■15677  ご主人様と私 第6章G □投稿者/ 昴 -(2006/08/07(Mon) 01:19:32) お医者様は席を立って 病院に戻られた 『ごめんなさいね ややこしい方法で 私が健康ならば 私の卵子を受精卵にして 貴女に着床させることも出来たんだけど 私は卵子を持たないのよ また、そのお話しは いつかゆっくりとするわね』 『籍を入れることも 屋敷に戻ったら 具体的に詰めましょうね…』 『明日は排卵日でしょ 今日はちゃんと早めに休みましょうね』 私のYESの返事を聞いて 安堵されたのか 随分と楽しそうなご主人様 「承認されてなくって 大丈夫なんでしょうか?」 本当は ご主人様と家族になれる その喜びでいっぱいだったけど 私の口から出たのは そんな言葉だった 『大丈夫よ その辺も ちゃんと上手くやってくれるから』 正直に言うと ご主人様の特別になっても ご主人様との将来に 不安がなかった訳じゃない でも ご主人様と一緒で良かった ご主人様を信じて良かった (携帯) 記事No.15676 のレス / 返信ページ / 関連記事表示 削除チェック/ ■15678  ご主人様と私 第6章 最終回 □投稿者/ 昴 -(2006/08/07(Mon) 01:20:31) ご主人様の細胞と 私の卵子で作った 受精卵と同じようなものは 無事私に着床し 私は予定通りの 可愛い女の子を生んだ 籍は 私がご主人様の子供 娘がご主人様の孫と言うことになっている 私の決めた選択が 正しかったかどうか それは今でも判らない 特に娘の人生を考えると 私達の我が儘で 迷惑を掛けているのかも知れない でも私達は産むことを選んだ 私達の愛の証を残す為 私達が生きた証を残す為 ご主人様と相談して ご主人様のことを【お母さま】 私のことを【ママ】と呼ばせることにした やっぱり あの人(ご主人様)は 私よりも年上だから 私よりも先に 逝ってしまった 大きくなるにつれ あの人(ご主人様)の面影を残す娘 思春期の頃は 自分の父親のことで 少しグレたりもしたけれど 娘と ご主人様と 私の遺伝子鑑定を見せて 話し合ったら 納得して それからは とても親思いな子になった 学校を出ると あの人(ご主人様)の会社に勤め 今は あの人(ご主人様)の跡を継いでいる 私は幸せだったわ あの人(ご主人様)や貴女(娘)に会えて Fin
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