■外伝 第4章 1  
□投稿者/ 昴 2006/09/18(Mon)


契約に関係なく 愛純と一緒にいたい 何なのだろうか? この感情は あの方に飼われた時に こんな感情など失ってしまったと思っていたのに 感情などなく ただ愛人の契約として あの方やお嬢様と肌を重ねていた筈なのに 肌を重ねる程に 愛純の心が欲しくなる 私は愛純に恋している? 契約に関係なく 愛純と一緒にいたい 契約に関係なく 愛純のことが必要 だから愛純にも 必要とされたい ずっと愛純の隣にいたい ベッドの中で聞いてみた 絶頂の後の乱れる呼吸で聞いてみた 「愛純 将来の予定は どうするの?」 私達の関係を聞いたつもりだったのに 『将来? お母さまの跡を継ぐことになると思うよ だからウチの女子大じゃなくて 〇大の経済で経営の勉強をするつもり』 私の質問の真意は伝わらなかったけど 愛純の返事は 私には充分だった あの方の跡を継ぐ愛純 その時私はどうしていたい? 秘書として仕え続ける? 顧問弁護士として法律面でサポートする? それも一つの方法かも知れないけれど 大学の4年間を 離れて過ごすなんて耐えられない
メイドとして 直接愛純にお仕えする? 愛純の役に立つことなら何でもしたい でも あの方やお嬢様の愛人である私は 奥様と顔を合わせ続けることは辛い それに私は 愛純の後ろではなく 愛純の隣にいたいから ご主人様に相談してみよう ずっと愛純の隣にいたいから 〇大の経済に進学させて下さいって ご主人様が応援して下さるにしても 学力的に無理と言われる訳には行かない 多分、愛純なら大丈夫 でも私は… だから私は それから必死で勉強をした 愛純が泊まりに来ても 愛純の屋敷(ところ)に泊まりに行っても 本気でちゃんと勉強をしていた その頃には ご主人様も 合格をしたなら 入学に掛かるあれこれを 約束して下さっていた 私が愛純の隣にずっといる為の日々を過ごしている頃 とうとう恐れていた出来事が起きた 休憩時間に愛純とおしゃべりをしていたところに その女性(ひと)はやって来た 私達の教室にツカツカと入って来て 私達に向かって話し掛けた 『ごきげんよう ちょっといいかしら?』
■16599 / inTopicNo.6)  外伝 第4章 3 □投稿者/ 昴 ベテラン(207回)-(2006/09/24(Sun) 00:05:33) 『ごきげんよう ちょっといいかしら?』 愛純と私は 声のする方に顔を上げた 『愛純 私と付き合いなさい あら お返事は頂けないのかしら?』 『は…はい』 勢いに飲み込まれて 愛純が返事をしている 『ありがとう いいお返事ね では放課後に 図書館の前で待っていなさいね 舞も一緒で構わないから お邪魔したわね ごきげんよう』 踵を返し立ち去るその女性(ひと)を ただ呆然と見送った 鮮やか過ぎていた 堂々とし過ぎていた 『キャー』 今の会話をクラスメートにも聞かれていて クラスの中に歓声が起こっている 愛純は… その女性(ひと)の立ち去った後を見つめていた 「愛純 愛純 ちょっと しっかりして 次の授業がそろそろ始まるよ」 『舞 ゴメン なんだか知らない内に 返事してた』 『今の誰だったっけ?』 愛純はまだ半分呆然としたまま なんで私が教えなきゃいけないの 「誠先輩でしょ 生徒会長の」 『そうか だから見たことある顔だったんだね』 (携帯) 引用返信/返信 削除キー/ 編集削除 ■16619 / inTopicNo.7)  外伝 第4章 4 ▲▼■ □投稿者/ 昴 ベテラン(210回)-(2006/09/24(Sun) 19:24:41) 誠先輩 生徒会長で 財閥系の 正真正銘のお嬢様 やっぱり私よりも 愛純に相応しいのかな? そんなことを考えている自分がイヤになる 私はずっと愛純の隣にいたい 私はずっと愛純の隣にいる 私はそう決めたのだから 放課後 愛純と一緒に図書館の前に向かう 本当は少しイヤだったけど 『舞もついて来て』 愛純に頼まれれば 私に拒むことは出来ない 『ごきげんよう ちょっと待たせたかしら? イイ子ね お約束をちゃんと守って』 上級生だから仕方ないかも知れないけど ずっと上から話されて いい加減気分が悪い 不機嫌な顔の私に 舞は黙ってて 愛純の顔がそう言ってる 『誠先輩 先程のお話しですが 私には舞が…』 『このことは 私の父から 愛純のお母様に話して頂いて 愛純のお母様も承知なされている筈だけど』 愛純の言葉を遮って 誠先輩が話す 『それに いずれ愛純が お母様の跡を継がれるのならば 私とお近づきになることは 愛純にとっても 良いお話しの筈よ』 ご主人様がご存知 そう聞いて 私はその場を逃げ出した 引用返信/返信 削除キー/ 編集削除 ■16639 / inTopicNo.8)  外伝 第4章 5 ▲▼■ □投稿者/ 昴 ベテラン(212回)-(2006/09/25(Mon) 23:36:16) ご主人様がご存知 そのことが頭の中をグルグル回る ご主人様との契約で 私は愛純の愛人になった筈なのに そうか そうだ 私は愛純の愛人だった 愛人 ならば私は 自分の気持ちに正直に これからも 愛純の隣にいる 愛純の愛人として そう考えが落ち着いた時 私は部屋の真ん中で 制服のまま座り込んでいた 着替えもせずに 窓の外はそろそろ薄暗くなっていた ピンポーン 部屋のチャイムが鳴る カチャ インターホンに出る 「はい」 『舞 愛純だけど 入ってもいい?』 いつもなら 自分で鍵を開けて入って来るのに 珍しい やっぱり少しは気にしてくれてるのかな? 『さっきは… ちゃんと舞の前で断るつもりで だから舞について来てもらったのに ゴメン 断れなかった』 部屋に入るなり 謝罪の言葉 「うん 解ってる」 ちゃんと自分で決めたのに それでいいって決めたのに なんでだろう 涙が溢れて来る 引用返信/返信 削除キー/ 編集削除 ■16660 / inTopicNo.9)  外伝 第4章 5 ▲▼■ □投稿者/ ゆらら ちょと常連(50回)-(2006/09/27(Wed) 20:00:06) 舞ちゃんが切な〜い☆うるうる☆ 引用返信/返信 削除キー/ 編集削除 ■16668 / inTopicNo.10)  ゆららさん♪ ▲▼■ □投稿者/ 昴 ベテラン(214回)-(2006/09/29(Fri) 01:03:48) うるうるする程に 舞に感情移入して下さいましてありがとうございます。 切なくて…最近ちょっと暗いかな?って思いますが宜しくお付き合い下さいませ。 (携帯) 引用返信/返信 削除キー/ 編集削除 ■16670 / inTopicNo.11)  外伝 第4章 6 ▲▼■ □投稿者/ 昴 ベテラン(216回)-(2006/09/29(Fri) 01:32:33) なんとか涙を堪えて さっき決めたことを愛純に話す 「誠先輩 綺麗だもんね」 『うん ゴメン やっぱりもう ここには来ない方がいいよね』 それはイヤ 「愛純は 舞のことを嫌いになったの?」 『ううん 好きだけど でも…』 「じゃあ 今までと変わらないでいて」 「愛純が好きなの 愛純と離れたくない だから 二番目でいいの 愛純の一番になれなくていいの 舞を愛純の傍に居させて」 『本当に それでいいの?』 聞き返す愛純 「愛純が少しでも 思ってくれてたら 舞は幸せだから 舞は愛純の愛人でいいの」 人差し指で愛純の唇をなぞりながら話し 言い終えて唇を重ねた 「しばらくは我が儘言わないから 今夜は舞を抱いて 愛純の痕を舞につけて 愛純を舞に刻んで」 愛純の耳元で 甘い声で囁く 強く抱きしめられた 『舞 離さないよ そんな風に言ってくれる舞を 離せる訳がない』 制服を脱がされ 愛純も脱いで 浴室に入った 引用返信/返信 削除キー/ 編集削除 ■16676 / inTopicNo.12)  外伝 第4章 7 ▲▼■ □投稿者/ 昴 ベテラン(217回)-(2006/09/29(Fri) 23:18:50) 浴室でシャワーを浴びる ボディソープを掌に取り 撫で回すように洗ってくれる愛純 ダメ そんなこと 欲しくて欲しくて堪らないのに 〈好きな時にいつでも〉から 〈次は何時かわからない〉になったことで 私の欲情は強くなっていた 躯に着いた泡をシャワーで流しながら 愛純の手が私の躯を撫で回している 「お願い きっと立っていられなくなるから ベッドに行こう」 愛純の手がポンポンと 私の頭を撫でる 『そのほうが 良さそうね』 先に浴室を出て躯を拭いて 私を呼んで躯を拭いてくれる タオルが間にあるのに 愛純の手に反応している私の躯 バスローブに腕だけ通して 愛純は私の肩を抱いて 寝室に向かった そのまま肩を抱かれて ベッドの端に腰掛ける 『どうしよう 初めての時以上にドキドキしてる なんだか変だね』 「ううん ちっとも変じゃないよ 舞だって すごくドキドキしてるもん」 愛純の指が私の躯を這う 愛純の指 私だけのものじゃなくなったけど この指を決して離さない
完 Back PC版|携帯版