■65 / inTopicNo.1)  桃色の吐息  
□投稿者/ すみれ 一般人(1回)-(2004/01/21(Wed) 21:24:07) 

〜予感〜 ベットに横になって、窓からのぞく月を眺める。。 群青の空に浮かんだ明るい月が、部屋にブルーの陰影をつけて、 昼間彼女がつけた手首の跡を浮かび上がらせる。。 彼女は不意に繋いだ手を持ち上げて、すぃっと、甲に口付ける。 くすぐったいような恥ずかしさに肩をくすめる私を楽しそうに 手の甲の向こうから見上げる瞳が、笑う。。。 その瞳に捉えられると、瞬きを留められなくて、落ち着きのない仕草をする自分が、また恥ずかしくて目を閉じてしまう。。 「ふふふ、誘ってるの?」 そんな風に揶揄されて、下を向いたまま首を振る。 「あら、ちがうの?」 あっさりと、手を離されて、ビックリして顔を上げると 「嫌なの?」 嫌なんてちっともないのを知ってるハズなのに。。。 首をまた振ると、可笑しそうに唇の端をあげなら、 「ちゃんといわなくちゃね。でしょ?」 何を言えばいいのか分からなくて彼女の方をみると、 手首をぎゅっと、捉まれた。。 そのまま、引き寄せられて唇が近づく。。 「今、すごくドキドキしてるでしょ?」 唇が触れる直前に声をかけられ、 言いようのない恥ずかしさで、体温が上昇したのが自分でも分かるくらい。。 いま、私、きっと、真っ赤だ。。 「手首捉まれて、いつものkissよりも、どきどきしてるでしょ?」 見透かされた言葉に恥ずかしくて目が潤んできて。。 「かわいいヒトね」 身体が浮いてしまいそうなkissがたくさんたくさん降ってくる。 ふわふわ熱に浮かされ始めた私の手首に白いバスローブの紐が 掛けられる。。少し怖くて震えてしまう。。 でも。。震えてるだけじゃないの彼女は知ってるから、ゆっくり確認されるみたいに手を持ち上げて縛りながら、じっと私をみる。。 「解いて欲しい?いやな事はしないのよ」 優しいような意地悪な言葉。。 いわないければそのまま外して 背中を撫でてそのまま、抱きしめているだけ。。。 「・・・や。。ゃめ。。なぃでぇ。。。」 恥ずかしくて、目を瞑ると端にたまっていた涙が、 こぼれてしまう。。。。 「いいこね♪」 満足そうな彼女の笑顔に切なくなる。。 どうなってしまうか分からない不安もその笑顔に勝てない。。 今日は手首に巻いただけ。。 でも。。越えてしまうのかもしれない 彼女に手をひかれて、知らない場所へ。。。
■66 / inTopicNo.2)  桃色の吐息 2 □投稿者/ すみれ 一般人(2回)-(2004/01/21(Wed) 21:25:49) SIDE:タキ <タキちゃんに愛たいよぉ。。> スミレからのメールが届く。 スミレが、会いたいでなく、愛たいと変換する時は、 身体も焦がれている時で、恥ずかしがり屋で、 直接的な表現の使えない、すみれの精一杯のねだりなのだ。 焦がれているスミレへ、少し意地悪なメールを送ってみる。 <焦がれているみたいだね。どれくらい焦がれているのか、 写メールしてみて。 それで、明日のデートのプラン考えるから、 今のところ、秋の紅葉を見にドライブしようかとおもってる> 遠恋の二人の日曜日の久しぶりのデート。 いつもなら、泊まれない日曜の時に、遠出を計画しない。 遠出をすれば、帰宅時間の関係で、ゆっくり愛してやれないから。 スミレも、遠出の意味がわかっている・・・ そして、うまく私のハートに火をつけなければ、焦がれる身体を 燻らせて、その次のデートまで待たなければならない。 さぁ。。どんな、画像で私を誘ってくるかな。 10分後送られてきた画像は、バスルームの洗い場で 膝をそろえへ抱え、膝小僧に唇を寄せる姿のスミレ。 洗い髪がしっとりと肩や背中に流れ、上目遣いの濡れた瞳と 吐息が漏れそうな薄く開いた艶やかな唇。 ベビーフェイスから覗かせる、淫らな誘い。。 抱えた膝からはみ出した、胸の横のラインと谷間。。 たやすく煽られそうになる自分に苦笑いする。。 どんな風に責めようか・・・ 明日まで、焦らさせてるのは、私のほうじゃないの。 これは、覚悟して貰わなくちゃね。。
■67 / inTopicNo.3)  桃色の吐息 3 □投稿者/ すみれ 一般人(3回)-(2004/01/21(Wed) 21:26:47) SIDE:スミレ バスルームから画像を送ってから、2分後がすぎた。 いつも、こうゆう画像を送った時は、不安で落ち着かない。 彼女の期待に応えられたのかしら。。。 もしも、興ざめしてしまったら。。 時間がとてもゆっくりに感じる。。 このまま朝まで返事がなかったら。。。 私、泣いてしまいそう。。 壊れたのかと想うほどゆっくり秒針が動いて3分目に入ったとき 彼女からの返事が届く。。。 <スミレは、いつのまに誘うのが上手になったんだろうね(笑)  明日は、遠出はしないで、近くに、もみじの綺麗な庭がある  料亭を思い出したから、そこでお昼をしようね。  そのあとは・・・・スミレの紅葉を楽しもうかな。明日の装いも  楽しみにしているよ。おやすみ。> 彼女ごのみで、料亭で浮かない服装。。。 今夜は、眠れないかも.. いつも以上に身の回りの手入れをしてしまう。。 抱かれる事を想像してしまうから。。それがまた恥ずかしぃ。 この前のように、その続きをされてしまうのかしら… SIDE:タキ 駅に迎えに行くと、ホームの階段を下りてきたスミレは、 ベージュの膝丈のワンピースに黒のカーディガンで、 料亭を考慮して、品の良いお嬢様風だった。 よく転ぶスミレは、階段を降りる時、足元しか見ない。 階段を降りきって、ほっとした表情で私を探すスミレ。。 視界に私を捕らえると、華がほころぶように笑い、 駆けてくる。。。 この瞬間だけで、私がどれほどスミレに揺さぶられているか 本人は、知る由もなく、目の前までくると、心配そうな顔を 向ける。公共の場で、言う挨拶でもないから、 「よくきたね」っとだけいい、車に促す。 助手席に乗ったスミレは、じっと私のほうを見ている。 今日の服装が私の好みかどうか、案じている。 エンジンをかけて、車が滑り出すと、 耐えかねたように、大きな瞳が、不安に揺れながら、 潤んでくる。。安心させてやらなきゃね。 そっと手をとって、指先に口付ける。 「今日もかわいいよ。そのワンピース、よく似合ってる。」 ゴールドをベースに、白とピンクの小さなコスモスを描いた爪が ピクンっと震える。。もうどきどきし始めているのだろう、 すっと唇を滑らせて、中指の間接あたりに軽く歯を立てると、 真っ赤になって、手を引こうとする。。 嫌がっていないことは承知の上で、言わせてみたくなる。 「いやなの?」 スミレは、なおも肩をすくめて手を引こうとしながら、 首を振る。畳み掛けて、言わざる終えないところへ 追い込むのは、ぞくぞくするほどの快感だ。 「嫌じゃないのにどうして、手を引くの?」 「教えて欲しいなぁ、手を引かれたら寂しいよ?」 真っ赤になった、スミレが、消え入りそうな声を出す。 「・・・体が…焦げちゃいそうになるから。。」 まだだよ。もう少し白状してもらうよ。。 「体が焦げちゃうって、甘噛みされると感じちゃうの?」 下を向いた頭を更に下げて、かすかにうなずく。 耳まで真っ赤にして、震えてる姿が、強烈に誘いかけてくる。 クールを装うのも人苦労だよ。。君は知らないけどね。。 食事は楽しませてあげようと想ってたんだけどね。。 ごめんね。。もう、こんなに煽られちゃったらねぇ。。 料亭につくなり、トイレへ連れ込んでしまう。 熱いkissで、焦点を合わなくさせて、ボーとしている隙に、 下着を引きおろし、ワンピースをたくし上げる。 清楚なワンピースの下は、黒のレースのスリップと おそろいレースの黒いパンツとブラとガーター。 フリスク(ミント)を3つ噛み砕いて飲み込む。 口いっぱいにミントの清涼が満ちる。 ミントの残るその舌で、スミレの秘密の華をなぞる。 スーッした、その感触に、スミレが我に返る。 「や。。なに??」 私は、それを無視して執拗に、 口の中あるミント混じリの唾液を送り込んでいく。。 「やぁん。。なに。。なにか。。へん。。あ・・つ。。」
■112 / inTopicNo.4)  桃色の吐息 4 □投稿者/ すみれ 一般人(1回)-(2004/03/03(Wed) 13:00:28) SIDE:スミレ 今日のタキはちょっと違う。 黒のブラウスから覗く皮のチョーカーにつるした銀のプレートと 同じ光をまとった、まるで射抜くみたに見つめてくる。 繋いだ手に、時々、ギュッと力を入れたりして、 そのたびに背中や胸にツキンっと甘い痛みが走る。 焦がれてるココロもカラダも見透かされてしまうようで うつむきがちになる顔を覗き込まれて、 「こっちむいてよ。久しぶりなのに可愛い顔見せてくれないの?」 なんて、言われて、切ないような恥ずかしいような よく分からない感情にさらわれて瞳が潤んでくる。 車を降りて、お店に入ると、 「化粧室、借りるから、あとで、自分たちで部屋へいくわ、 部屋は、紅葉だったわよね?」 なれた様子で仲居へ声をかけて、私をひっぱていく。 ドアを閉めるなり、顎をとられ、抱き込むような深いキス。。 膝に力が入らなくて、ドレッサーにもたれて息をついでいる間に 下着を引きおろされ、驚いてとめるまもなく、 ワンピースをたくし上げられる。 清楚なワンピースの下の、黒の下着。 タキが好きなものだから選んだのだけど、 まるでオネダリしてるみたいにHなその下着を こんな風に見られるのは、とても恥ずかしぃ。 それも、こんなところで、こんな風にされても拒めないくらい 焦がれてる。 「下のオクチにもご挨拶ね」 スットした、冷たいような感覚。 「や。。なに。。。」 「静かにしていないと、聞こえちゃうよ?」 スット冷たい後に、むずむずと熱いような感覚が追いかけてくる。 「やぁん。。なに。。なにか。。へん。。あ・・つ。。」 どんどん、冷たさと熱さが交互に追いかけてくる。。 「やぁん。。あ。。つぅ。。」 体の奥を絞りたいような強い感覚で、じっとしていられない。 SIDE:タキ すっかり、口の中あるミント混じリの唾液を送り込んだ頃、 「やぁん。タキぃ。。」 スミレの声もねだるように甘く妖しい色をおびてた。。 それを、そ知らぬふりを装い部屋へ促す。 「ご挨拶が、長くなっちゃったね。さぁ。そろそろいかないと、 本当に仲居さん来ちゃうね。」 スミレは、すがるよな困ったような、潤んだ瞳を向ける。 初めての感覚にきっと、どうしたいのかも分からないだろう。 その感覚が「疼き」だと、じっくり教えてあげるからね。 紅葉の部屋は、雪見障子で程よく外界を遮りながら 紅く色づいた紅葉の庭を楽しめる小さな座敷で、 座卓下の床が堀ごたつように下げて、座りやすくしてある つくりも、この後の趣向に好都合な部屋だ。 仲居が、手際よく料理を並べ終わると、さっそく、 向かいに座るスミレの手をとる。 色づき始めの紅葉のようにうっすらと紅をさした頬の スミレが、うつむきながら 『ぁ。。』っと、小さく言う。 手のひらを中指でゆっくりと撫でまわされるだけで、 感じてしまうらしい。ミントも使いようだなぁ。 タキ :「スミレ、元気がないね。どうしたの?」 スミレ:「そんなこと。。ないの。。」 タキ :「さっきから、ずっと、うつむいているよ?      この店気に入らなかった?」 スミレ:「ううん。。とてもすてきよ。」 恥ずかしがり屋で、育ちのいいスミレは、自分の性欲に関して 口にすることは、はしたない事だと、戒めている。それを ひとつひとつ剥がして、言わせていくのは、ぞくぞくする。 プライドをキズつけず、優しいスミレが告白しやすい様に 水を向けてやる。 タキ :「そぉ?スミレは優しいからねぇ。遠慮してる?」 スミレ:「ちがうの。。あの。あのね。。」 スミレ:「さっきの。。なにか。。あの。。」 タキ :「さっき?いつ?」 スミレ:「化粧室の。。ときの。。、熱がね引かなくて。。」 真っ赤にうつむいて、恥ずかしさに顔を隠そうと繋いだ手を 引こうとするのを引き止めて、覗き込む。 タキ :「どこが熱いの?」 スミレは、恥ずかしさに耐えかねて首を振って拒む。 タキ :「いてくれたら、お熱下げてあげるよ?」 ちょっとけ、顔を上げて潤んだ目がこっちをみる。。 直撃級に色っぽくて、かわいい。駄目だよそんな瞳しちゃ、 もっといぢめたくなっちゃうよ。。 スミレ:「ほんとぉ?」 ・・・・・・うそだよ。。でも、癖にさせちゃうかもね。 タキ :「うん。だから、どんな風か、詳しく話て?」 スミレ:「ぅn。。ぇっとね。。なんかね。。スースー      したのそれで、。。オクが。。熱いの。。」 タキ ;「スースーしたの?それで、熱くなっちゃたの?」 手のひらの愛撫を続けながら、優しくきく。 スミレ:「うん。なんかいつもと違うの。。」 タキ :「そう、エチケットでkissの前に噛んだフリスクが      残っちゃたんだね。拭いてあげるね」 スミレ:「・・え!?・」 タキ :「ミントが残っててスースーしたんだよきっと。      拭いたら直るよ。ね?今なら仲居さんこないよ。      それとも、自分で拭く?」 スミレ:「・・・じゃぁ。。トイレにいってくる。。」 タキ :「だめ。。さきトイレ行ったとこじゃん。変だよ」 スミレ:「でもぉ。。」 タキ :「ここで、見られながら自分でする?してほしい?」 まるで、いつもスミレの秘密の華を愛してやる時のような動きで、 ゆっくりと、手のひらをなぞって、誘いかける。 スミレ:「・・・・して。。くだしゃい。」 タキ :「いいよ」
■113 / inTopicNo.5)  桃色の吐息 5 □投稿者/ すみれ 一般人(1回)-(2004/03/03(Wed) 13:02:19) SIDE:スミレ 手のひらの内側をタキの中指が、緩やかに円を描く。。 座卓の向こうから、繋いだ手に、ゆっくりと力が入り 逃れられない強い想いのこもった瞳に射ぬかれて、 夜伽の手つきで、誘い込まれる。。 頭がしびれたように、促されるままに、隣に座ってしまう。。 恥ずかしくてうつむいて、不安になって目が合って、また。。 うつむいて。。。そんな時もタキはじっと見てる。。 いつも、その視線だけで、体の奥が揺れてしまうのに。。 今日は、もっと、つらくて、求める言葉を止められない。 「おねがい。。もぅ。。ダメなの…」 熱いような冷たいような感覚がジクジクと染みてきて、 むず痒くて、乱暴に掻き回してほしくて我慢できなくなる。 「スミレ、足・・・開いて、脱いでしまおうね?」 もう、分別も羞恥心も勝てなくなって、下着に手をかける。 「あ。。タキ。。そんな。。」 残りの足を抜くと、下着はタキのカバンに仕舞われてしまう。 「これは、今日の記念に、もらっておくね。君が、はじめて  自分の欲望に素直になった日の記念ね」 耳元で、そうささやかれて、からかわれても恥ずかしいよりも 焦らされる辛さの方が、勝ってしまう。 「やぁん。。もぉ。。タキ。。」 「くふふ。。すっかり、淫乱みたいだよ?いやらしいね。  スミレちゃん。」 耳元にかかる息にも身震いしてしまう。。 お絞りを持ったタキの手が近づいてくる。 すっかり冷めて冷たい空気を孕んだお絞りが触れる。。 「ひゃ。。ぁ。。ふぅ。。。」 「くふふ、だめだよ、スミレ。聞こえちゃうよ?」
■114 / inTopicNo.6)  桃色の吐息 6 □投稿者/ すみれ 一般人(1回)-(2004/03/03(Wed) 13:03:06) SIDE:タキ 「聞こえたら、はずかしいんでしょ?がまんしなきゃね」 スミレは、真っ赤になりながら、軽く握った左手の人差し指の関節を口に含んで、今度は、声を漏らさないようにしようとする。 「いいこだね。そうしてじっとしているんだよ。」 スミレは、時折、堪えきれずに鼻から抜けていく吐息に更に羞恥を 煽られながらも大人しくしている。 「ん。。ぅ。。。」 私は中指に巻いたお絞りを最奥へ押し入れるようにしながら、親指を立てて、爪の先で敏感な先端をかすめる。 「んん。。」 爪の先が先端に触れるたびに、背筋がのび、ピクンと震える様が可愛い。ゆっくり、ゆっくり、かき回す。 「ねぇ。さっきの手の動き、スミレの中で同じ事してるんだよ?  ほら、こうやって、まわして、くすぐって・・・んふふふ。。」 耳元で、更に煽ってやると、お絞りの下の指に暖かい感触が染みてくる。 「だめだよ、スミレ、そんなに濡らしたら拭けないよ?それとも このまま、溢れさせたほうが、ミントが、流れてくるかなぁ?」 「ゃ。。ぁ。。ん。。」 1人では、姿勢が保てなくなったスミレが肩口によりかかってくる。スミレの甘い香りが、鼻をくすぐる。そそられるけど、もっと見たい。羞恥に染まりながらも快感に溺れて私しか見えなくなっていく姿を。。こっちも我慢だなぁ。。っと苦笑いをこっそりしながら、今日のために取り寄せた小さなタマゴ型のバイブを、そっと取り出す。肩口に顔を埋めるスミレに気づかれないように、卓の端にある呼び出しボタンに手をかけながら、タイミングを計る。静かにボタンを押して1.2.3.4。きゅぷ。。。お絞りと入れ替えて押し入れる。 「や。。なに?」 「しっ。。仲居さんがくるよ」 突然の異物感に我に返ったスミレを制すると、丁度良く仲居が入ってきた。 「およびでしょうか?」 「ええ、紅葉がこちら側からのほうが良く見えますので、並んで食べられるように、配膳を変えてもらえませんか?」 用意しておいた言葉を伝えると、良く教育された、仲居は、にこやかに都合のいい提案をしてくれる。 「まぁ、これは、気がつきませんでした。お席が近いと食べにくいですし、もしよろしければ、隣は今日は使っておりませんので、仕切りを開けさせて頂きますと、丁度見頃のもみじが、お連れ様のお席からも楽しめますよ」 隣の仕切りを空けると坪庭は、広々とした中庭へかわり、端には、渡り廊下とそこを忙しく渡る仲居たちの姿が小さく見える。 「よかったねスミレ、座ってごらん渡り廊下まで良く見えるよ。」 助けを求めるように向ける瞳を無視して、にっこり笑う。 スミレは、仲居の手前、あきらめたように、ぎこちなく向かいの席へ戻るのを見届けてから、愛想よく仲居さがらせる。 「ありがとう。素敵ですね。庭全体が楽しめますね。」 「いいえ、ゆっくり、おくつろぎください」 自分の機転に満足そうな笑顔をしながら仲居は下がっていった。 仲居が下がると、モジモジと異物を気にしだしたスミレを止める。 「とったら、向こうから見られちゃうかも知れないよ?」 「そんな。。!」 ショックに色をなくして怯える顔も、イタイケで困っちゃうねぇ。 「溢れた方が、ミントが早く流せて辛くないよ?ね? もうちょっとだよ。ほら、すこし食べよっか?」 『もうちょっと』という言葉に望みを託したかのように、 スミレは、大人しくすわり、箸をとった」
つづく