■10714 / inTopicNo.1) 夏の想い出。 □投稿者/ テル 一般♪(1回)-(2005/07/06(Wed) 04:19:43)
暑い夏だった。 照り付ける太陽が痛いくらい、肌を焦がすくらいに━。 全てが初めてだった。 家の事情や、友人関係に悩んで…苦しくて逃げ出した私は。 海の近くの小さなアパートに引越した。 守るべき物も、失う物も何もなかった。 白かった肌も今じゃすっかり小麦色になって、夏の香り漂う海の女になった。 何ももかもを投げ出して、逃げてきた私には本当に何もなかった。 貴方が現れるまでは…━。 (携帯) ------------------------------------------------------------------------------------- ■10737 / inTopicNo.2) NO TITLE □投稿者/ テル 一般♪(2回)-(2005/07/07(Thu) 07:18:46) 私、詩乃は只今部屋でだらけております。 ふとベランダから見える海が凄く綺麗だなー。なんて思いながら、今日もダラダラとゴロゴロの繰り返し。 退屈過ぎて死んじゃいそうで、海岸に足を運んでみた。 丁度太陽が沈みかけて、海面にオレンジ色をしたキラキラが目に染みるほど綺麗でずっと眺めてた。 「…帰ろっ。」 海ばっかり眺めてても、やっぱり何処か寂しい物があるから、私は立ち上がった。 「…ん〜。」 一つ大きく背伸びしてもう一度海を眺めると、オレンジ色の海をバックに立つ人影があった。 ーあの人も海見てるんだ。 なんて別にどうでも良い事考えながらオシリに付いた砂を手でパンパン叩いてはらった。 海から家までは歩いて五分もかからないから、気が向けば海に向かう。 なんて贅沢な生活環境。でもやっぱり、17歳の私には不安もあれば寂しさもあるのです。 家に帰っても、ただいま〜という自分の声しか響かない訳で…。 それでも、自分なりに頑張ってはいるんです。 バイトもやるし、家事もやる。 合間を見ては海辺でタソガレて。 はぁ。 部屋に入って、即お風呂です。 勿論節約しながら…。 コツコツね。 湯船につかって目を閉じたら、さっきの海で見た人が浮かんできた。 男かな…女かな…。 逆光のせいで性別すら識別できなかったのに、妙に頭の中に残ってる。 明日また行ってみようかな。 久しぶりに人を知りたいと思った。 顔も性別も分からなかったのに。 綺麗な夕日に溶けてるあの人をもう一度見たいと思ったから。 「あっつい;」 考え過ぎてノボセましたよ…。 ポタポタとウルフにした髪の毛から、水滴が垂れた。 バスタオルを巻いて、冷蔵庫に向かう。 「…」 ゴクッ…。 冷たい水が喉を通るのがわかる。 「…寝よかな。」 何を言っても返事はない。 だって一人だもん。 ベッドに勢いよくダイブして、そのまま眠った。 ーあんた海好きなの? ━うん。 ━へぇ。 ジリリリリリ! 「だー朝だー。」 妙な夢を見た。 ━変な夢。 眠たい目を擦りながら、今日もご出勤。 16歳の時に買った、愛車♪ビーノでバイト先に行きます。 少し海岸沿いにそって走るんだ。 (携帯) ------------------------------------------------------------------------------------- ■10740 / inTopicNo.3) NO TITLE □投稿者/ テル 一般♪(3回)-(2005/07/07(Thu) 08:29:19) 10分位バイクを走らせて着いたのは、ちっちゃなレストラン。 夜はショットバーみたくなってオシャレなの。海を一望出来るベストスポット。 どうしても此処で働きたくて何日も通いつめちゃった。 スタッフ専用通路を抜けて、小さな個室に入って着替えた。 調度今は8時半。 七分丈のパンツに、白いYシャツ。 うん。シンブルイズザベスト! 「おはよぅざいます。」 「はよー」 店内を見渡すと五組のお客さんがいて、美味しそうに朝食を食べてた。 グルルル…。 「なんだー?」 ニヤニヤと店長が笑ってる。 「な、何ですかね?」 顔はもう真っ赤で恥ずかしくて。 死ぬかと思いましたよ(´_ゞ`) (携帯) ------------------------------------------------------------------------------------- ■11005 / inTopicNo.4) NO TITLE □投稿者/ テル 一般♪(4回)-(2005/07/17(Sun) 11:46:34) せっせと料理やドリンクを運んで気が付いた時にはもう三時だった。店いっぱいにいたお客さんももう殆どいなくなって、最後のお客さんを送り出すと店は夜の店になるため変身を始めた。 「詩乃休憩入って。」 「あ、はいっ。お先失礼します。」 もう一度店内を見渡すと、もうすっかり夜に向けて雰囲気を変えていた。 スタッフルームのドアを開けて、小さなソファに座った。 「はぁ…。」 私は夜も働くのでOPEN時間までは海に行く事が多かった。 コンコン。 と誰かがドアを叩く音が聞こえた。 「はい?!」 「入るよ。」 ドアを開けて入って来た人は、同じバイトの人だった。 背は180近くあって、低音なのに響く声が素敵だな。なんて思った事もあるくらい。 一般的に言えば、イケメンとやらなんでしょうか…? 「どしたの?」 「店長が飯もってけって。」 「本当?ありがと〜」 「じゃ。」 「あ、うん!ありがとね!」 テーブルの上に置かれた、ハヤシライス。 多分 (*´∀`)ノ←こんな顔して食べたと思う。 バタンッと閉まるドアには見向きもしてなかったと思う。 貴方がどんな顔をしていたかなんて分からなかった。 「おいひい〜」 幸せいっぱい頬張ると、店長に感謝しながら食器を洗って元に戻した。 スタッフルームを出て店長に声をかけた時は多分凄い幸せそうな顔をしてたんじゃないかと、少し恥ずかしかった。 店を出て直ぐにバイクで海に向かった。 丁度良い潮風に吹かれて気持が良いからついつい鼻唄歌っちゃった。 砂浜を一人歩いてた。 波の音も、だいぶ聞きなれたんだなとか、下らない事考えて。 暑い暑い、真夏の海からはちっぽけな私はどう見えてるんだろう。やっぱり、小さく、小さく見えてるのかな。 時計を見るともう六時半になっていて、慌ててお店に戻った。 海に居ると時間たつの早いから…それだけ、海が魅力的なんだと思った。 (携帯) ------------------------------------------------------------------------------------- ■11007 / inTopicNo.5) NO TITLE □投稿者/ テル 一般♪(5回)-(2005/07/17(Sun) 12:03:58) 店に着くと、凄い速さで着替えた。 もう周りの人が驚くくらい早かったと思う。 「スイマセンっ。」 「お、はよホール出なさい。」 「はい!」 ホールには既に、あのイケメン兄ちゃんが居て、お客さんとニコニコ話してた。 「何だ?気になるのか?」 店長はニヤニヤと意地悪そうに笑って言った。 「えっ、いや違いますよ〜!」 「そうか、そうか。」と言いながらもニヤニヤが止まらない店長。 「ん〜。もう。」 「おせぇよ。」 イケメン君が少しふてくされた顔で怒った。 でもその顔は、怒ってるのに凄い優しくて、安心した。 夜のお店は静かで、会話の邪魔にならない程度の音楽が流れてる。 「はい、お二人さん、お疲れ〜!」 「お疲れ様です。」 私とイケメン君は、いつも一緒に上る。 でも、名前まだ知らないんだ。 誰も何も話さないから。 「家まで送るよ。」 こんな事言われるのも初めてで、でも原付だし必要ないから断った。 「アドレス教えてよ。」 「いいよ〜!」 赤外線送信で送信した。 「後でメールする。」 「うん!」 そう挨拶を交して家に帰った。 (携帯)