ビアンエッセイ♪
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■22137
/ ResNo.10)
すこしづつ…J
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□投稿者/ 桃子
一般♪(11回)-(2016/11/09(Wed) 01:53:14)
支払いを済ませて 外に出た時
「コウちゃん まだ時間ある?」
と 切り出した。
「ありますよ(^.^)」
「どっか 静かな場所 知らない?」
「2人っきりになれる」 とは 言えなかった…
「えっ?」
かなり切羽詰まった顔をしていたのだろう…
コウちゃんは
「運転代わりましょうか?」
と続けた。
「お願い…」
車内には 重苦しい空気だけが流れていた。
引用返信
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■22138
/ ResNo.11)
すこしづつ…K
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□投稿者/ 桃子
一般♪(12回)-(2016/11/09(Wed) 14:10:30)
2016/11/09(Wed) 14:33:30 編集(投稿者)
2016/11/09(Wed) 14:32:46 編集(投稿者)
「ここが 最近のお気に入りの場所です」
コウちゃんが 車を停めたのは 高台にある公園の駐車場だった。
「降りますか? それとも このまま?」
「降りようかな…」
「ここから見る夜景 わりとキレイなんですよ」
「ホントだ…こんな場所があるなんて 知らなかった…」
2人とも 黙って 眼下の風景を見ていた…
どれぐらいの時間が経ったのか…
少しずつ体の中の緊張がほぐれていくのがわかった。
(今だ!)体からゴーサインが出た。
「コウちゃん」
「はい」
「私たちって どんな関係なのか 考えたことある?」
コウちゃんの返事を待たずに 続けた。
「私…コウちゃんが…好きです」
コウちゃんの顔を見ることは出来なかった。
「それは…」
直球が返ってきた。
「恋愛対象として という意味でですか?」
「うん」
引用返信
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■22139
/ ResNo.12)
すこしづつ…L
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□投稿者/ 桃子
一般♪(13回)-(2016/11/09(Wed) 14:14:20)
あとの言葉はスラスラと出てきた。
「初めてコウちゃんを見かけたのは 3年前…働き出してスグの頃…
最初は 見てるだけでよかったの(笑)
カッコいい人だなぁって…顔ちっちゃくて 背も高くて
足長くて…性別は気にならなかった(笑)
そのうち…いい人だなぁって…
コウちゃん 本借りる時とか返却する時 必ず バーコードを
職員に向けてくれるでしょ…それに…必ず 挨拶してくれるし…
そういうちょっとしたことが嬉しくて
次はどんな本を読むのかなって興味が沸いて…
でも カウンターで訊くわけにもいかないし…
年齢を知った時は 驚いた(笑) 6歳も違うと 接点なんて 何処にもないでしょ…
だから…今の仕事は大好きだけど…
坂本クンが ココを離れたら 自分も地元に帰ろうって…
それで 気持ちに踏ん切りをつけようって決めてたの…
今年の春 お引越しの挨拶に来てくれた時は 飛び上がるくらい嬉しかった。
でも コウちゃんは 全然気がついてなくて…
『駅裏』でバイトしているのを知って…ちょっと勢いに乗って…
一緒の空間に居られるだけでいいって思いながら…
一緒に居ればいるほど「好き」は どんどん大きくなって…
このままだと 私 窒息するって…
で 『当たって砕けろ!』で 今 ここに居る…」
一気に喋った。
引用返信
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■22140
/ ResNo.13)
すこしづつ…M
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□投稿者/ 桃子
一般♪(14回)-(2016/11/09(Wed) 14:16:14)
しばらくして コウちゃんが 大きく息を吐く気配がした。
「返事 今 した方がいいですか?」
少し 声が震えているように思ったのは 気のせいだろうか…
「出来れば…」
そういう私の声も 上ずっている。
「恭子さんに惹かれていることは気付かれちゃいけないと思ってました」
「えっ?」
思わず コウちゃんを見た。
引用返信
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■22141
/ ResNo.14)
すこしづつ…N
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□投稿者/ 桃子
一般♪(15回)-(2016/11/09(Wed) 14:18:21)
コウちゃんの目は 真っ直ぐに私を見ていた。
ずっと そうしていてくれたのだろうか…
「時々遊んでもらえるだけでいいって!
それ以上のことは望まないって決めてました」
「いつから?」
「『一緒にご飯食べよ』の時には もう…」
「そんなこと 一度も言わなかったじゃない!」
「言えるわけないじゃないですか…」
「なんで?」
「なんでって…不快な思いさせちゃうって…」
「そんなこと…」
「すみません…」
「ねぇ…ほんとは?」
「えっ?」
「ほんとに 時々遊ぶだけでいいの?(笑)」
「ほんとは…ずっと一緒にいられたらいいなって…」
「ずっと って どれくらい?」
「ずっとは ずっとです! 恭子さんが飽きるまで…」
コウちゃんは なんのためらいもなく言い切った。
「ずっと コウちゃんの隣に居てもいいの?
私の方が 先におばあちゃんになっちゃうんだよ」
「恭子さんに居てほしいんです(^-^)」
引用返信
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■22142
/ ResNo.15)
すこしづつ…O
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□投稿者/ 桃子
一般♪(16回)-(2016/11/09(Wed) 14:20:06)
思わず コウちゃんの胸に飛び込んだ。
コウちゃんは しっかりと受け止めてくれながら
「あ〜緊張した〜〜」
「うそ…そんな風には 全然見えなかったけど?(笑)」
「夕べ電話もらった時から ド緊張でした…
いつもなら「ごはん食べにいこ?」が
「時間ある?」「食事に行かない?」だったでしょ…
もしかしたら 最後なのかも…って 思ってたら…
着いた所は 雰囲気のあるレストランで…
いよいよ 本気で『ラスト』なんだって覚悟したら
とどめが「静かな場所」でしょ…
そこで最後通告突きつけられるんだって…足 ガクガクしてました…
おまけに…いつもなら 恭子さん 歩くとき 腕組むのに…それも無いし…
ああ 本当に今日で終わりなんだなぁって…」
「ごめん…」
「こちらこそ “好きです” すっ飛ばしたみたいになって…」
「ううん…すっごく嬉しい…」
引用返信
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■22143
/ ResNo.16)
すこしづつ…P
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□投稿者/ 桃子
一般♪(17回)-(2016/11/09(Wed) 14:22:59)
コウちゃんの胸にくっつけていた顔を離した。
抱きしめていてくれたコウちゃんの腕が 少し緩んだ。
私が 顔を上げるのが先だったのか コウちゃんが 目線を下げたのが先だったのか…
お互いの視線が 近づいて…ゆっくりと 唇が重なった。
背中に回っているコウちゃんの腕に 少しだけ 力が入ったのがわかった。
静かな 優しいキスだった。
いつまでもそうしているわけにも行かず…
「そろそろ帰ろうか…」
「ですね…」
「帰りも運転いい?」
「はい」
車内の空気は 確実に変わっていた。
「ねぇ…もし…今日が最後なんだ って話だったら コウちゃん どうしたの?」
「結婚する ってお話だったら おめでとうございます…
お引越しだったら お元気で って挨拶して
今までのお礼を言って…で 歩いて帰ります って言ってました(笑)」
「えっ?」
「実は…ぶっちゃけて言うと…ココ 車だと遠回りしなくちゃなんないですけど
歩くと マンションから めっちゃ近いんです(笑) 」
「そうなの?…」
「はい…最悪のコト考えて ちょっと ズルしちゃいました(笑)
ちゃんと笑顔で挨拶して…スマホのアドレス帳から 恭子さんを消して…
夜景見ながら そんなこと考えてました…」
「バカ…」
「真剣だったんですけどねぇ…」
引用返信
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■22145
/ ResNo.17)
すこしづつ…Q
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□投稿者/ 桃子
一般♪(19回)-(2016/11/09(Wed) 14:39:00)
マンションに着いた。
部屋の前で別れる時
思わず
「後で行ってもいい?」
コウちゃんは 笑顔で
「カギは開いてるんで いつでもどうぞ…」
と 言い残して ドアの向こうに消えた。
引用返信
/
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■22146
/ ResNo.18)
すこしづつ…R
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□投稿者/ 桃子
一般♪(20回)-(2016/11/09(Wed) 14:42:14)
2016/11/09(Wed) 14:44:41 編集(投稿者)
2016/11/09(Wed) 14:43:25 編集(投稿者)
2016/11/09(Wed) 14:43:10 編集(投稿者)
リビングに入った瞬間 スマホが鳴った。
発信者は ミカだった。
「今 いい?」
「うん。ちょうど 今 帰って来たとこ…」
「どうだった? ちゃんと当たった?」
「うん…心配かけてごめん。気にしてくれてたんだ…」
「けしかけちゃったのは 私だから…それで…?」
「うん…砕けないで帰って来た」
「それって…?」
「うん…坂本クンも 同じ気持ちだって言ってくれた…」
「やっぱりね(^^♪ 2人 いい雰囲気だったもん(^-^) 」
「ミカ ありがとね…ミカが背中押してくれなかったら あたし ずっと 何も言えなままだった…」
「恩人に感謝しなさい(笑) なぁんてね…じゃ 明日の残念会は キャンセルってことでいい?」
「うん…でも! もし 時間あるんだったら ご飯 一緒に食べない?」
「2人で?」
「うん」
「断 ってもいい?」
「えっ?」
「だって あたし 坂本クンに 恭子との間を邪魔する女 って思われるのイヤだもん(笑)」
「コウちゃんは そんなこと思う人じゃないよ!」
「コウちゃん って呼んでるんだ…」
「あっ…うん…2人で居る時は…」
「その コウちゃんに ちゃんと訊いてきてよ(^-^)
お互いの気持ちが通じたばかりで いきなり職場の友達とご飯食べに行ってもいいかどうか…返事は 明日の朝でいいからさっ じゃあね」
ミカは 私の返事を聞かないまま一方的に電話を切った。
彼女の気遣いが嬉しかった。
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■22147
/ ResNo.19)
すこしづつ…S
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□投稿者/ 桃子
一般♪(21回)-(2016/11/09(Wed) 14:51:36)
お風呂に入ったあと…コウちゃんの部屋に行った。
ドアのカギは開いていた。廊下のライトも点いたまま…リビングも明るいままだった。
(あれ?コウちゃんは?)
テーブルの上に メモがあった。
『入浴中につき そのままお待ちください』
(そのままって…立ってなきゃダメ ってことはないよね…)
椅子に座ろうとしたところに コウちゃんが入って来た。
「おかえりなさい」
つられて
「ただいま」
「お茶でもいれましょうか?(笑) 」
「ありがと(笑)」
コウちゃんが淹れてくれたハーブティーを飲みながら
「明日 ミカと 食事に行ってくるね」
コウちゃんは いたって普通に
「グルメのミカさんによろしく(笑)」
ちょっと拍子抜けしてしまった私は
「何故?とか どうして? とか訊かないの?」
コウちゃんは 笑いながら
「アレコレ訊いた方がいいですか?何処に何を食べに行くの とか どうしても行くの とか…」
「それは…ちょっとイヤかも(笑)
でも…さっき…ミカに 坂本クンに 恭子との間を邪魔する女 って思われるのは嫌だからちゃんと許可もらってくるように って言われたの…」
「それで 報告してくれた?」
「うん…」
「大切な人の 大切なお友達 をアレコレ詮索するようなことはしません って お伝えください(^-^)」
「それだけ?」
「他に 何か言った方がいい? 恭子さんは あげません とか?(笑)」
「バカ…」
「あっ ひとつだけいいですか?」
「何?」
「いつか お目にかかりたいってコトも…」
「わかった…でも… コウちゃん 会ってるよ!」
「えっ 何処で?」
「何処でって 図書館に決まってるでしょう! それに 昨日 あたし達『駅裏』に行ったよ(笑) もしかして…?」
「うん…恭子さんの時と同じパターンかも…」
「覚えてないんだ(笑)」
「違いますっ
覚えてないんじゃなくて 図書館の人と 昨日の人が 結びつかなかっただけです(^^;」
「それも言っとく(笑) 坂本クンは ミカのこと 覚えてなかったよ って(^-^)」
「自分 最低なヤツみたいじゃないですか(>_<) 」
「大丈夫だよ ミカは そんなコト気にしないから…」
「だといいですけど…(笑) お茶 新しいの淹れますね」
「あっ ありがと」
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■No22124に返信(桃子さんの記事) > その日 私のイライラは 最高潮に達していた。 > > 「ご機嫌ナナメなのは 最近あの子の姿を見ていないから?」 > > 昼休み 同僚のミカに 痛いところを突かれた。 > > 「そんなこと ないけど…」 > > 返す言葉が 空しかった。 > > 「仕事 終わったら ごはん 食べに行く?」 > > 「ううん…今日はやめとく…また今度誘って(^^;」 > > (冷蔵庫にあるもので 適当に済ませて お風呂に入って さっさと寝よう) > > ミカの誘いを断って 真っ直ぐ帰宅した。 > > ありあわせの材料で炒め物を作り 半端に残っていた大根でお味噌汁を作り > > ごはんだけは 炊きたてのナンチャッテ食卓を整え > > (あたし なにやってんだろ… > 明日は なんか 美味しいものでも食べに行こうかな…) > > お箸を持った瞬間 インターフォンが鳴った。 > > (今頃 だれ?)と思いながら > > 「はい…」 > > 不愛想な応答をした。 > > 「お忙しい時間に申し訳ありません。隣に引っ越してきた坂本と言います。」 > > 聞き覚えのある声が飛び込んで来た。 > > (えっ?うそ?…) > > 職場でも見せたことないほど動揺したが そのまま表に出すわけにもいかず > > 「お待ちください。今 開けます。」 > > 取り繕って ドアを開けた。 >
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