| 「いつもありがとぅね。気をつけて帰って♪」
「うん、じゃぁまた来るねぇ」
忍の病室を出たあと、あかりはフゥ〜っと大きなため息をついた。 自分の気持ちを隠すのがこんなにしんどくて、辛いものだと初めて知ったのだ。 でも、自分の気持ちを伝えるわけにはいかない。 だからといって、諦めれる気持ちでもない。 あかりは、どぅすればいいか分からなくなっていた。
「あ、あかりちゃ〜ん」
手を振りながら森さんがやってきた。
「今帰り?」
「あ、はぃそぅです。森さんも・・帰りですか?」
「えぇそぅょ。良かったら近くまで一緒に帰らない?」
「はい☆」
「フゥ〜毎日毎日仕事も疲れるゎ」
「ですよね。お疲れ様デス」
「ありがと。でも息抜きしないとホントにやってけないわょ」
「息抜きか・・・・」
「そぅだ、今度一緒にお茶でもしない?」
「え?私とですか?」
「そぅだけど・・やっぱ嫌カナ?」
「いえ、そんなわけじゃないですけど、ちょっとビックリしちゃって」
「ビックリ?」
「だって、忍の友達ってだけだし・・」
「まぁそぅだけどね☆そぅいぅ出会いも大切にしなくちゃ♪」
「そっか、そぅですね☆私も息抜きしたいし・・」
「息抜きって・・・(笑)今の高校生はそんなに疲れることでもしてるの?」
「そぅなんです勉強が〜・・・・」
2人は駅までの5分程、楽しく喋りあった。 森さんと喋ることで、あかりの沈んでいた気持ちも少しラクになった。
「じゃぁ、また病院でね〜」
あかりが改札を通ったのを見届けると、森さんは今来た道を引き返した。 森さんは病院の裏に住んでいるので、駅方向とは逆なのだ。 それに、仕事もとっくに終わっていたが、あかりと一緒に帰りたくて待っていたのだ。
好きな人と少しでも一緒に居たいという気持ち。 忍が入院していて楽しいのは誰が居るから? 松下さんがイジワルになるのは誰のどんな姿を見たいから? あかりがお見舞いに来るのは誰に会いたいから? 森さんが遠回りして家に帰るのは、誰と一緒に居たいから?
十人十色とい言うように、人にはいろんな考え方がある。 思い合っているからといって幸せになれるとは限らない。 思いが通じなくても幸せと感じる人もいるかもしれない。
あなたは一緒に居たい人の隣に居ますか?
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